共有名義の相続で名義変更する方法!持分の相続先・相続登記の手順・費用を解説

共有名義の不動産では、共有者の1人が亡くなると、亡くなった人が所有していた共有持分が相続の対象になります。共有名義だからといって、その持分が残された共有者へ自動的に移るわけではありません。

亡くなった人の共有持分を誰が引き継ぐかは、遺言書の内容や遺産分割協議の結果などによって決まります。そして、登記簿上の名義を亡くなった人から相続人へ変更するために「相続登記」を行います。
また、「共有名義の相続」には、もともと共有名義だった不動産の持分を相続するケースだけでなく、単独名義だった不動産を複数人が取得した結果、新たに共有名義になるケースもあります。

相続前の状態 相続後 名義変更する範囲
父と母が1/2ずつ共有し、父が死亡 父の1/2を相続人が引き継ぐ 父の持分1/2のみ
父が単独所有し、母・子が法定相続分で取得 母・子の共有名義になる 不動産全体
父と母が1/2ずつ共有し、父の持分を母1人が取得 母が父の持分も取得して単独所有になる 父の持分1/2のみ

相続登記は2024年4月1日から義務化されており、原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。遺産分割によって取得者が決まった場合も、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。

ただし、共有名義不動産の相続では、「期限内に相続登記を済ませること」だけでなく、「誰が持分を引き継ぎ、相続後に誰と誰の共有になるのか」まで考えておくことが重要です。
当記事では、共有名義の相続で必要になる名義変更の手順・必要書類・費用だけでなく、共有持分を専門に取り扱う不動産会社の実務経験を踏まえて、相続後の利用・管理・売却まで考えた名義変更の決め方を解説します。

なお、「相続した共有持分をこのまま持ち続けるべきか」「他の相続人と共有せず、自分の持分だけ売却できるのか」と迷っている場合は、現在の持分がいくらで売却できるのかを確認しておくと、今後の方針を決めやすくなります。
クランピーリアルエステートでは、相続した共有持分の無料査定を行っています。査定したからといって売却する必要はないため、遺産分割や名義変更後の選択肢を考えるための判断材料としてもご利用いただけます。

共有名義の相続では亡くなった人の持分を相続登記で名義変更する

共有名義不動産で共有者が亡くなった場合、原則として亡くなった人の共有持分だけが相続対象となり、相続登記によって相続人へ名義変更します。

もともと共有名義だったのか、亡くなった人の単独名義だったのかによって、名義変更する範囲が異なります。

もともと共有名義なら亡くなった人の共有持分だけが相続対象になる

もともと共有名義だった不動産では、亡くなった人が所有していた共有持分だけが相続対象です。

たとえば、父と母が自宅をそれぞれ1/2ずつ所有している状態で父が亡くなった場合、相続対象となるのは父の共有持分1/2です。母がもともと所有している1/2まで相続財産になるわけではありません。
父の相続人が母と子ども2人で、父の持分を法定相続分どおりに取得する場合は、以下のようになります。

相続人 父の持分1/2から取得する持分 相続後の最終的な持分
母 1/4 3/4
子どもA 1/8 1/8
子どもB 1/8 1/8

母は相続前から自分の持分1/2を所有しているため、父から取得した1/4と合わせて最終的な持分が3/4になります。

共有持分を法定相続分どおりに相続する場合は、「不動産全体×法定相続分」ではなく、「亡くなった人の持分×法定相続分」で、新たに取得する持分を考えます。

この点を整理しないまま話し合いを進めると、「不動産全体の1/4を取得できると思っていた」「残された共有者の持分も含めて相続人で分けると思っていた」といった認識のずれにつながるため注意しましょう。

株式会社クランピーリアルエステート 大江 剛 代表取締役 宅地建物取引士

専門家のコメント

弊社への相談でも、「共有者が亡くなったのだから、残された共有者がその持分を引き継ぐのではないか」と考えている方がいます。
しかし、不動産を共有していることと、亡くなった人の相続人であることは別です。
たとえば兄と弟で不動産を共有していて兄が亡くなった場合でも、兄に配偶者や子がいれば、弟が共有者であるというだけで兄の持分を優先的に相続できるわけではありません。
誰が共有持分を引き継ぐのかを判断するときは、「現在の共有者が誰か」ではなく、まず亡くなった人の相続人を確認することが重要です。


単独名義の不動産を複数人が取得すると共有名義になる

亡くなった人が単独所有していた不動産でも、複数の相続人が持分を取得すれば、相続をきっかけに共有名義になります。

たとえば、父が単独所有していた自宅を、母と子ども2人が法定相続分どおりに取得する場合は、以下の共有名義になります。

  • 母:1/2
  • 子どもA:1/4
  • 子どもB:1/4

ただし、相続人が3人いるからといって、不動産も必ず3人で共有しなければならないわけではありません。
相続人全員で遺産分割協議を行い、「母が自宅を取得し、子どもは預貯金など別の財産を取得する」と決めることもできます。

そのため、相続人の人数だけで名義を決めるのではなく、相続後に誰が不動産を利用・管理するのかまで考えて取得者を決めることが大切です。

共有名義の相続による名義変更は原則3年以内に必要

共有名義不動産の持分を相続した場合も、相続登記は原則として3年以内に行う必要があります。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った相続人は、原則としてその日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
また、遺産分割によって不動産・共有持分を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を反映した相続登記が必要です。

ケース 原則的な期限
相続によって不動産・共有持分を取得したことを知った場合 取得したことを知った日から3年以内
遺産分割によって取得者が決まった場合 遺産分割成立日から3年以内

正当な理由なく相続登記の申請義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

また、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。義務化前から相続したことを把握しているものの相続登記をしていない場合は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
弊社への相談でも、「売却するときにまとめて名義変更すればよいと思っていた」というケースがあります。しかし、その間に次の相続まで発生すると、過去にさかのぼって誰が相続人だったのかを確認し、現在の所有者まで整理しなければなりません。

将来売却する予定があるかどうかにかかわらず、相続が発生した段階で早めに手続きを進めましょう。

遺産分割が間に合わない場合は相続人申告登記を利用する手もある

3年以内に遺産分割がまとまらない場合でも、相続人申告登記を行うことで相続登記の申請義務に対応できる場合があります。

相続人申告登記とは、登記簿上の所有者について相続が発生したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出る制度です。

通常の相続登記と異なり、申出をする本人が相続人であることを示せばよいため、すべての相続人やそれぞれの持分割合まで確定する必要はありません。

ただし、相続人申告登記は、誰が不動産・共有持分を取得したのかを確定して名義変更する「相続登記」の代わりになる制度ではありません。その後に遺産分割が成立した場合は、原則として成立日から3年以内に、その内容を反映した相続登記を行う必要があります。

また、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりするときにも、相続人申告登記だけでは足りず、別途相続登記が必要です。

下記のような事情がある場合は、そのまま期限を過ぎるのではなく、相続人申告登記を利用できないか司法書士へ相談するとよいでしょう。

  • 相続人の一部と連絡が取れない
  • 遺産分割協議が長期化している
  • 相続人が多く、期限内に通常の相続登記をするのが難しい

共有名義の相続では将来の利用・売却まで考えて誰が不動産・持分を取得するか決めておく

共有名義の相続では、法定相続分どおりに登記することだけを優先せず、「相続後に誰が使い、管理し、将来どうするのか」まで考えて取得者を決めることが重要です。

共有名義そのものが悪いわけではありません。しかし、共有者が複数いると、不動産全体の売却や利用方法、維持費の負担などについて共有者同士で調整する場面が増えます。
実際、弊社がこれまで受けた1万件超の共有持分の買取相談では、「相続トラブル・親族間の確執」が相談理由の26%を占めています。相続直後には問題がなくても、その後、以下のような問題につながることは実務上決して珍しくありません。

相続後の状況 実務で起こり得る問題
売却方針が合わない 売却したい共有者と住み続けたい共有者で意見が分かれる
維持費の負担を決めていない 固定資産税や修繕費を一部の共有者だけが立て替える
特定の共有者だけが利用している 利用方法や費用負担をめぐって不満が生じる
次の相続が発生する 持分が配偶者や子へ引き継がれ、共有者が増える
共有者と疎遠になる 売却や管理について相談したくても連絡・意思確認が難しくなる

さらに、いったん複数人の共有名義で相続登記をした後に「やはり1人へまとめたい」となれば、他の共有者から持分を移すための契約や登記などが改めて必要になる場合があります。

そのため、相続時点ですでに「誰が住むのか」「誰が管理するのか」といった方針がある程度決まっているのであれば、とりあえず法定相続分どおりに共有するのではなく、遺産分割協議の段階で誰が取得するかまで話し合っておくことが大切です。

今後の利用・管理を1人が担うならその人が持分をまとめて取得することを検討する

相続後に特定の1人が不動産を利用・管理する予定であれば、その人が亡くなった人の持分をまとめて取得することを検討しましょう。

たとえば、夫婦が自宅を1/2ずつ所有しており、夫が亡くなったケースで考えます。

妻がそのまま自宅に住み続け、固定資産税や修繕費も妻が負担する予定で、子ども2人は自宅を利用する予定がないとします。夫の持分1/2を法定相続分どおりに分ければ、下記のように3人の共有になります。

  • 妻:3/4
  • 子どもA:1/8
  • 子どもB:1/8

一方、相続人全員が遺産分割協議で合意すれば、妻が夫の持分1/2をすべて取得し、子どもは預貯金など他の相続財産を取得することもできます。

このケースなら、妻はもともとの持分1/2と夫から取得した1/2を合わせて所有するため、自宅を妻の単独名義にできます。
「相続人が複数いる=不動産も複数人で分ける」と考える必要はありません。誰が取得するかは、以下のような点から判断するとよいでしょう。

確認すること 判断するときの考え方
今後その不動産に住む人 1人だけが住み続けるなら、その人がまとめて取得する方法を検討する
管理や維持費を負担する人 所有者と負担者が異なると、後から固定資産税・修繕費などの精算が必要になりやすい
ほかの相続財産 預貯金などを他の相続人に取得してもらい、不動産を共有せずに調整できるか確認する
代償金を支払えるか 不動産を1人が取得する代わりに、他の相続人へ金銭を支払って調整できるか確認する
将来売却する予定 売却時に誰の同意が必要になるのかまで考えて名義を決める

不動産を1人が取得すると、相続人間で取得する財産の価値に差が生じることがあります。その場合には、不動産を取得した人が他の相続人へ金銭を支払って調整する「代償分割」という方法もあります。
なお、父と叔父が1/2ずつ共有している不動産で、父の持分を子1人が相続する場合は、父の持分を子がすべて取得しても、不動産全体では「叔父1/2・子1/2」の共有状態が続きます。

「亡くなった人の持分を1人がまとめて取得すること」と「不動産全体を単独名義にすること」は別なので、現在誰が何分の何を所有しているのか確認したうえで判断しましょう。

複数人で利用・管理するなら共有名義も選択肢になる

複数人が今後も共同で利用・管理する予定があり、利用方法・費用負担・将来の方針について合意できているのであれば、共有名義で相続することも選択肢です。

たとえば、兄弟で収益物件を引き継いで賃貸経営を続けるケースなどでは、必ずしも1人へ持分をまとめる必要はありません。

ただし、共有名義にするなら「持分割合を決めて相続登記したら終了」としないことが重要です。少なくとも、下記の点については共有者と話し合っておくべきです。

  • 誰が利用・管理するのか
  • 固定資産税や修繕費をどう負担するのか
  • 特定の共有者だけが利用する場合の条件をどうするのか
  • 賃貸する場合、賃料や必要経費をどう分けるのか
  • 将来どのような条件になったら売却を検討するのか

現在は意見が一致していても、転居・介護・住宅購入・資金需要・次の相続などによって共有自体が問題の種になることは実務的にも多いです。費用負担や利用方法など、後から認識が食い違いやすい事項は書面に残しておくことも検討してください。

共有名義不動産の相続で名義変更する手順

共有名義不動産の相続による名義変更は、「現在の名義・持分を確認する→相続人と遺言を確認する→取得者を決める→必要書類をそろえて相続登記する」という順番で進めます。

具体的には以下の6ステップです。

  1. 登記事項証明書で亡くなった人の所有名義と持分を確認する
  2. 戸籍を集めて相続人を確定する
  3. 遺言書の有無を確認する
  4. 誰が亡くなった人の不動産・持分を相続するか決める
  5. 相続登記に必要な書類をそろえる
  6. 登録免許税を計算して法務局へ相続登記を申請する

共有名義では、家族から聞いていた共有関係と登記簿の内容が異なるケースがあります。弊社への相談でも、調査した結果、認識していなかった共有者や、すでに亡くなっている別の共有者が判明することがあります。
そのため、共有名義の相続ではまず登記内容を確認することが重要です。

1. 登記事項証明書で亡くなった人の所有名義と持分を確認する

まず、登記事項証明書を取得し、亡くなった人がどの不動産を何分の何を所有していたのかを確認します。主に確認するのは以下です。

  • 土地・建物の登記名義人
  • 各共有者の持分割合
  • 登記されている氏名・住所
  • 抵当権などが設定されていないか

固定資産税納税通知書や課税明細書が手元にあれば、所在地・地番・家屋番号などを確認し、それをもとに登記事項証明書を取得すると調べやすくなります。

また、2026年2月2日からは「所有不動産記録証明制度」が始まっています。亡くなった人の相続人などが法務局へ請求することで、その人が登記上所有している不動産を一覧で確認できます。
「実家以外に父名義の土地があるか分からない」といった場合には、不動産を探す手掛かりになります。

ただし、氏名・住所などをもとに検索する仕組みのため、検索条件と過去の登記内容が一致していない不動産などは一覧に出ない場合があります。所有不動産記録証明書だけで必ずすべての不動産を把握できるとは限らない点には注意しましょう。

2. 戸籍を集めて相続人を確定する

次に、誰が亡くなった人の不動産・持分を相続する権利を持つのか確認するため、戸籍を集めます。

相続登記では、原則として亡くなった人の出生から死亡までのつながりが確認できる戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍などから相続人を確認します。

主な法定相続人の順位は以下のとおりです。

順位 相続人
常に相続人 配偶者
第1順位 子。子が先に死亡している場合は孫などが代襲相続する場合がある
第2順位 父母などの直系尊属
第3順位 兄弟姉妹。兄弟姉妹が先に死亡している場合は甥・姪が代襲相続する場合がある

実務で注意したいのは、家族が把握している相続人と、戸籍を調べて判明する相続人が一致しないケースです。

たとえば、前婚の子がいたり、子や父母がおらず兄弟姉妹・甥姪まで相続人になったりすることがあります。相続人を1人でも漏らしたまま遺産分割協議を進めると、後から話し合いをやり直さなければならない可能性があります。

なお、2024年3月から戸籍証明書等の広域交付が始まり、一定の戸籍は本籍地以外の市区町村窓口でも取得できるようになっています。

3. 遺言書の有無を確認する

相続人を確認したら、遺産分割協議を始める前に遺言書の有無を確認します。有効な遺言書に「自宅の持分は妻に相続させる」などと記載されていれば、原則としてその内容を前提に手続きを進めるためです。

遺言書がないと思って遺産分割協議をした後で遺言書が見つかると、話し合った内容を見直さなければならないケースがあります。

自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所で検認が必要です。一方、公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されていた遺言書は検認不要です。

内容が曖昧な場合や、有効性・遺留分などをめぐって相続人同士の意見が分かれている場合は、専門家へ相談しましょう。

4. 誰が亡くなった人の不動産・持分を相続するか決める

相続人と遺言書を確認したら、誰が亡くなった人の不動産・共有持分を取得するのか決めます。

主な決まり方は以下のとおりです。

  • 遺言書に基づいて取得する
  • 遺産分割協議で取得者を決める
  • 法定相続分に応じて相続する

法定相続分の主な割合は以下のとおりです。

相続人の構成 法定相続分
配偶者・子 配偶者1/2、子全体で1/2
配偶者・父母 配偶者2/3、父母全体で1/3
配偶者・兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹全体で1/4

共有名義不動産では、この割合を亡くなった人の共有持分に掛けて、新たに取得する持分を考えます。

遺言書で取得者が指定されている場合

有効な遺言書で不動産・共有持分の取得者が指定されている場合は、原則としてその内容に基づいて相続手続きを進めます。

遺言書に基づいて登記する場合は、遺産分割協議書は原則として必要ありません。一方、遺言書の内容や種類によって必要な戸籍などは異なります。

内容が不明確な場合や相続人同士で争いがある場合は、司法書士や弁護士へ確認しましょう。

遺産分割協議で取得者を決める場合

遺言書がない場合などは、相続人全員で遺産分割協議を行います。

相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる分け方も可能です。

たとえば、妻と子ども2人が相続人で、「不動産が2,000万円」「預貯金が2,000万円」という場合であれば、「妻が不動産2,000万円を取得し、子ども2人が預貯金を1,000万円ずつ取得する」といった分け方も考えられます。

不動産を法定相続分どおりに細かく共有しなくても、他の相続財産を組み合わせて調整できる場合があるということです。

協議がまとまったら、内容を遺産分割協議書にまとめます。共有持分を取得する人や持分割合の書き方については下記の記事で詳しく解説しています。

5. 相続登記に必要な書類をそろえる

誰が不動産・持分を取得するのか決まったら、相続方法に応じた必要書類を準備します。

遺産分割協議をした場合と遺言書に基づく場合などで必要書類が異なるため、次章の一覧を確認してください。

6. 登録免許税を計算して法務局へ相続登記を申請する

必要書類がそろったら登録免許税を計算し、不動産所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。
相続登記の申請は、法務局の窓口・郵送・オンラインで行えます。相続人本人が申請することも可能です。

共有名義不動産では、亡くなった人が持っていた持分だけを移すため、単独名義不動産の相続とは登記申請書の「登記の目的」や持分の記載が異なる場合があります。
たとえば、亡くなった人の持分1/2だけを相続したのに不動産全体を取得したように記載したり、取得する持分を間違えたりすると、法務局から補正を求められる可能性があります。

登記完了後は、登記事項証明書で名義・持分が正しく反映されているか確認しましょう。

また、登記完了後に通知される登記識別情報は、従来の「権利証」に相当する重要な情報です。将来の売却などで必要になるため、紛失しないよう保管してください。

なお、申請書の具体的な記載方法については、下記の記事で記入例を紹介しています。

共有名義の相続における名義変更で必要な書類一覧

共有名義不動産の相続登記では、戸籍関係書類や住民票などに加え、遺産分割協議・遺言の有無に応じた書類を準備します。

主な必要書類は以下のとおりです。

必要書類・資料 主に必要となるケース・役割
登記申請書 相続登記を申請するために必要
亡くなった人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍など 相続人を確認するために必要
亡くなった人の住民票の除票・戸籍の附票など 登記名義人と亡くなった人が同一人物であることを確認するために必要
新たに名義人となる相続人の住民票 新しい登記名義人の住所を証明するために必要
相続人の戸籍謄本 相続人であることを証明するために必要
固定資産税評価額が分かる資料 登録免許税を計算するために使用
遺産分割協議書・印鑑証明書 遺産分割協議で取得者を決めた場合
遺言書 遺言書に基づいて相続登記する場合

ただし、実際に必要な書類は相続関係によって異なります。

たとえば、相続登記をしないまま次の相続が発生している場合や、代襲相続が発生している場合、登記簿上の住所と死亡時の住所がつながらない場合などは、追加書類が必要になることがあります。

また、「法定相続情報一覧図の写し」を取得しておけば、相続登記だけでなく、預貯金の解約など複数の相続手続きで戸籍一式を繰り返し提出する負担を減らせる場合があります。

必要書類を自分で判断できない場合は、法務局または司法書士へ確認しておくのが良いでしょう。

共有名義の相続で名義変更にかかる費用

共有名義の相続で名義変更するときの主な費用は、「登録免許税」「書類取得費」「司法書士へ依頼する場合の報酬」です。

費用 目安
登録免許税 相続する不動産・共有持分に対応する固定資産税評価額×0.4%
戸籍謄本などの書類取得費 必要な書類・相続人の人数によって異なる
司法書士報酬 5万〜15万円程度が一つの目安。依頼内容によって異なる

なお、これらはあくまで相続による名義変更で発生する費用と税金です。相続財産の金額などによっては、別途相続税の申告・納税が必要になる場合があります。

登録免許税

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の0.4%です。

共有持分だけを相続する場合は、亡くなった人から相続人へ移る持分に対応する評価額をもとに計算します。

たとえば、下記の状況を想定して登録免許税のシミュレーションをします。

  • 不動産全体の固定資産税評価額:2,000万円
  • 亡くなった人の持分:1/2
  • その持分1/2をすべて相続する

この場合、持分に対応する評価額は1,000万円であり、登録免許税は「1,000万円×0.4%=4万円」と計算できます。
なお、2027年3月31日まで、一定の土地の相続登記について登録免許税の免税措置があります。対象になるか分からない場合は法務局や司法書士へ確認しましょう。

戸籍謄本などの書類取得費

戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍、住民票、印鑑証明書などの取得にも費用がかかります。

1通ごとの費用は数百円程度ですが、相続人が多い場合や複数世代の相続を整理する場合は、必要な書類が増えます。

特に相続登記をしないまま次の相続まで発生しているケースでは、費用よりも「どの戸籍が必要なのかを特定して集める手間」のほうが大きくなりやすいです。

司法書士へ依頼する場合の報酬

相続登記を司法書士へ依頼する場合は、登録免許税・書類取得費とは別に司法書士報酬がかかります。

5万〜15万円程度が一つの目安ですが、相続人の人数、戸籍収集の有無、不動産の数、過去の未登記相続の有無などによって変わります。

依頼するときは司法書士報酬だけでなく、登録免許税・書類取得費を含めた総額を確認しておきましょう。

共有名義の相続で名義変更をしないまま放置するリスク

共有名義不動産の相続登記を放置すると、10万円以下の過料の対象になる可能性があるほか、次の相続によって手続きが複雑になったり、売却時に相続登記から始めなければならなくなったりします。

このようなリスクがあることからも、共有名義の相続で名義変更をしないまま放置するのは避けてください。

10万円以下の過料の対象になる可能性がある

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。正当な理由なく期限内に申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
「今すぐ売る予定がない」「共有者間で問題が起きていない」という理由だけで、相続登記が不要になるわけではありません。

遺産分割がまとまらず期限内の相続登記が難しい場合は、前述した相続人申告登記も含めて対応しましょう。

次の相続で共有者や相続手続きに関わる人が増える可能性がある

共有持分を複数人が相続し、その共有者の誰かが亡くなると、その持分についてさらに相続が発生します。

たとえばAとBが1/2ずつ所有する不動産でBが亡くなり、Bの持分1/2を3人が均等に取得すると、下記のように共有者は2人から4人になります。

  • A:1/2
  • Bの相続人1:1/6
  • Bの相続人2:1/6
  • Bの相続人3:1/6

相続登記をしなかったこと自体で相続人が増えるわけではありません。問題なのは、未登記のまま次の相続まで発生すると、過去の相続から現在の所有者までさかのぼって確認しなければならなくなることです。
その結果、収集する戸籍や連絡する相続人が増え、名義変更の負担も大きくなります。

共有名義不動産を売却・担保設定するには相続登記が必要になる

亡くなった共有者の持分が故人名義のままだと、売却や担保設定をする段階で相続登記が必要になります。

実務では、「共有者間で売却の話がまとまる → 登記簿を確認すると共有者の1人が故人名義のまま → 売却前に相続人の調査・相続登記が必要になる」ということがあります。

亡くなってから長期間経過し、その間に次の相続まで発生していれば、誰が現在の相続人なのかを調べるところから始めなければなりません。

「売ることになってから名義変更すればよい」と考えるのではなく、将来の売却・活用を止めないためにも、相続が発生した段階で名義を整理しておくことが大切です。

共有名義の相続登記が複雑な場合は司法書士へ相談する

共有名義不動産の相続登記は自分でも申請できますが、相続人が多い場合や過去の相続登記が終わっていない場合などは、司法書士への相談を検討しましょう。

実務的には、下記のようなケースでは相続登記の手続きが複雑になりやすいです。

  • 亡くなった人の持分が分からない
  • 登記簿上のほかの共有者も亡くなっている
  • 相続登記をしないまま次の相続が発生している
  • 相続人が多い
  • 遺産分割協議に基づく登記が必要
  • 親と未成年の子がともに相続人になっている
  • 認知症などにより遺産分割について本人の意思確認が難しい相続人がいる

司法書士には、戸籍収集、必要書類の確認、遺産分割協議書・登記申請書の作成、相続登記申請の代理などを依頼できます。

「共有名義の相続で名義変更が必要でもやり方がわからない」などで悩んだ際には、司法書士に相談することも検討してみてください。

共有名義の相続の名義変更に関するよくある質問

共有持分は相続人全員で相続しなければなりませんか?

相続人が複数いても、亡くなった人の共有持分を必ず全員で分ける必要はありません。

遺産分割協議で相続人全員が合意すれば、1人が共有持分を取得し、他の相続人は預貯金など別の財産を取得することもできます。

法定相続分は遺産を分ける際の基準ですが、「相続人が3人だから不動産も3人共有にする」という意味ではありません。

共有持分の相続登記に他の共有者の同意や協力は必要ですか?

亡くなった人の相続人ではない既存の共有者から、相続登記のために同意や押印をもらう必要は原則ありません。

たとえば父と叔父が共有する不動産で父が亡くなり、父の持分を子が相続する場合、叔父が父の相続人でなければ、父の遺産分割協議に参加して取得者を決める立場ではありません。

一方、父の相続人が複数いて遺産分割協議によって取得者を決める場合には、父の相続人全員による合意が必要です。

共有名義の相続で名義変更をする前に持分だけを売却できますか?

相続した共有持分の売却を完了するには、原則として先に相続登記を行う必要があります。

実務では、下記のような順番で進めます。

  1. 誰が共有持分を取得するか決める
  2. 相続登記を行う
  3. 相続人名義になった共有持分を売却する

相続登記後であれば、自分が取得した共有持分のみを売却すること自体は、原則として他の共有者の同意がなくても可能です。

なお、弊社クランピーリアルエステートは司法書士などの士業と連携して共有持分の買取をしています。相続登記が済んでいない状態でも持分買取の相談を承りますので、共有持分の買取を検討している場合にはお気軽にご相談ください。

まとめ

共有名義不動産で共有者が亡くなった場合、原則として相続対象になるのは亡くなった人の共有持分です。残された共有者へ自動的に移るわけではなく、誰が持分を引き継ぐのかを決め、相続登記で名義変更します。

相続登記は原則3年以内に行う必要があります。遺産分割が期限までにまとまらない場合には、相続人申告登記で申請義務に対応できるケースもあります。

ただし、共有名義不動産の相続では、「名義変更を済ませること」だけでなく、「その名義にした後、誰が不動産を使い、管理し、将来どうするのか」まで考えることが重要です。
今後1人が利用・管理する予定なら、その人が亡くなった人の持分をまとめて取得することを検討し、複数人で共有を続けるなら、管理方法・費用負担・将来の売却方針まで話し合っておきましょう。

相続登記については司法書士、相続後の共有持分の売却や共有状態の整理については共有持分の取扱実績がある不動産会社へ相談し、名義変更後まで見据えて進めることが大切です。

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