共有持分買取業者の目的は?利益を得る仕組みや注意すべき業者の見分け方を専門業者が解説

「なぜ他の共有者と話がまとまっていない共有持分を、わざわざ買い取る業者がいるのだろう」「安く買って、あとで何かするつもりなのでは?」と考える方もいることでしょう。
結論からいうと、共有持分買取業者が共有持分を買い取る事業上の目的は、取得した持分から最終的に利益を得ることです。弊社クランピーリアルエステートも例外ではなく、買取後に権利関係を整理し、売却などによって投下した資金と費用を回収したうえで利益を確保することを前提に事業を行っています。
利益を得ること自体は、一般的な不動産買取や買取再販と同じ事業活動です。共有持分買取で特徴的なのは、買った持分をそのまま転売するだけではなく、他の共有者との協議や共有関係の解消などを経て、持分や不動産全体を換価しやすい状態にしてから資金回収を目指す点にあります。
共有持分買取業者が利益を得るために取る代表的な方法は、次の4つが挙げられます。
買取業者は持分を取得すると新たな共有者になるため、他の共有者へ連絡して持分売買や不動産全体の売却を提案したり、協議で解決できなければ共有物分割を求めたりすることがあります。共有者である以上、このような利益を得るための方法自体に問題はありません。
問題になりやすいのは、その過程で売主に十分な説明をしない、著しく低い価格で契約を急がせる、他の共有者へ威圧的な交渉をするといった不適切な対応が行われる場合です。「共有持分買取業者は悪質」のように言われることがあるのは、このような対応が原因になりやすいです。
一部の業者による不適切な対応があるからといって、共有持分買取業者の目的や利益の出し方が問題というわけではありません。
そこで当記事では、共有持分を実際に買い取っているクランピーリアルエステートが、業者側に都合の悪い点も含めて、利益を得る仕組みや買取後の動き、通常の事業活動と注意すべき対応の違い、売却先となる業者の見分け方まで解説します。
共有持分買取業者の目的は取得した持分から利益を得ること
共有持分買取業者が共有持分を買う事業上の目的は、取得した持分をもとに最終的な回収額を高め、事業として利益を得ることです。
共有持分は、通常の不動産と比べてそのままでは買主が限られます。
たとえば、2人で2分の1ずつ共有している家の「2分の1」だけを買っても、買主が不動産全体を自由に売却したり、単独で好きなように利用したりできるわけではありません。ほかの共有者との関係が残るため、一般の個人が「自分で住む家」として積極的に買うケースは多くありません。
一方、共有持分を専門的に扱う買取業者は、持分を取得した後に他の共有者と協議し、残りの持分を取得したり、不動産全体の売却について合意したりすることで、共有状態の解消を目指します。
共有状態を解消できれば、共有持分のままでは難しかった不動産でも通常物件として価値を回復させられます。
「共有持分を取得する → 権利関係を整理する → 持分や不動産全体を換価する」という過程を経て得られる回収額から、取得費用や保有中の費用、権利調整にかかった費用などを差し引き、利益を残すのが共有持分買取の基本的なビジネスモデルです。
ただし、共有持分を買い取れば必ず利益が出るわけではありません。
他の共有者との話し合いがまとまらない、想定以上に解決まで時間がかかる、測量や専門家への依頼、法的手続きが必要になるなど、買取後にはさまざまな費用や不確実性があります。
そのため、共有持分買取業者は「最終的にいくらで換価できそうか」だけでなく、「そこまでにどの程度の費用・時間・リスクがかかるか」も考慮して買取価格を判断します。
弊社クランピーリアルエステートも、この基本的なビジネスモデルは他の共有持分買取業者と変わりません。共有持分を買い取り、必要な権利調整を行ったうえで資金を回収し、事業として利益を確保することを前提としています。
株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛
代表取締役
宅地建物取引士
共有持分買取業者が利益を得るための手段
共有持分買取業者が利益を得るための手段は一つではありません。持分割合、共有者の人数、誰が物件を使用しているか、他の共有者が売却を希望しているかなどによって、現実的な方法は変わります。
共有持分買取業者が利益を得るための手段としては、主に下記が挙げられます。
- 共有名義不動産を単独所有にしてから売却する
- 共有者全員から同意を得て共有名義不動産全体を売却する
- 他の共有者に取得した共有持分を買い取ってもらう
- 共有物分割請求で共有状態を解消して資金回収を目指す
株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛
代表取締役
宅地建物取引士
専門家のコメント
弊社でも、買取後の対応は一つに決めているわけではありません。
査定時には、単独所有化、全体売却、弊社の持分を他の共有者に買い取っていただく方法など、実現できる可能性のある複数の選択肢を想定します。
そのうえで、買取後に他の共有者の意向を確認し、当初の想定と状況が違えば進め方を切り替えます。どの方法が現実的かという見立ては、買取価格を判断するうえでも重要な要素になります。
手段①:共有名義不動産を単独所有にしてから売却する
共有持分買取業者が利益を得る代表的な方法の一つが、他の共有者から残りの持分も取得し、不動産を単独所有にしたうえで売却する方法です。
たとえば、兄弟2人が土地を2分の1ずつ所有しており、弟の2分の1を買取業者が取得したとします。この時点では、買取業者と兄が2分の1ずつを所有する共有状態です。
そこで、買取業者が兄に対して残りの2分の1を売却する意思があるか確認し、価格などの条件について合意できれば、業者は兄の持分も取得できます。
すべての持分を取得して単独所有になれば、他の共有者との合意を得ることなく不動産全体を売却できるため、共有持分の状態よりも一般の不動産市場で売却しやすくなります。
つまり、業者にとっては「共有持分の状態で取得する → 他の共有者から残りの持分を取得する → 単独所有の不動産として売却する」という流れで、かかったコストを回収し、利益を得ることを目指しています。
この方法を取りやすいのは、たとえば次のようなケースです。
- 他の共有者にも持分を売却する意思がある
- 共有者の人数が少なく、権利関係をまとめやすい
- 他の共有者が不動産を使用し続ける必要がなく、持分の売却を検討できる
なお、他の共有者には自分の持分を買取業者へ売却する義務はありません。他の共有者が「この家に住み続けたい」「不動産を手放したくない」と考えている場合、買取業者が一方的にその持分を取得することはできません。
そのため、単独所有化が可能かどうかは、他の共有者の意向や売買条件によって決まります。合意できなければ、不動産全体の売却について協議する、業者が取得した持分を他の共有者へ売却するなど、別の方法を検討することになります。
株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛
代表取締役
宅地建物取引士
専門家のコメント
弊社では、共有持分を買い取った後、基本的にはまず他の共有者の持分も取得して単独所有にできないかを検討します。
ただし、こちらから「売ってください」と一方的に進められるものではありません。まず共有者の方が今後その不動産をどうしたいのかを確認し、売却する意思があれば条件を話し合います。
持分を手放す意思がない場合は、単独所有化に固執せず、全体売却や弊社の持分を買い取っていただく方法など、別の選択肢を検討します。
手段②:共有者全員から同意を得て共有名義不動産全体を売却する
買取業者が残りの持分をすべて取得しなくても、共有者全員が不動産全体の売却に同意すれば、第三者へ不動産全体を売却して資金回収することができます。
たとえば、AさんとBさんが2分の1ずつ所有していた不動産について、買取業者がAさんの持分を取得したとします。
このときBさんが「自分の持分を買取業者へ直接売るつもりはないが、不動産全体を市場で売却して現金化することには賛成」と考えているのであれば、買取業者とBさんが共同で売主となり、不動産全体を第三者へ売却する方法が考えられます。
共有不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。(民法第251条)そのため、買取業者が一部の持分を取得したからといって、ほかの共有者の意思を無視して不動産全体を勝手に売却できるわけではありません。
一方で、共有者全員が全体売却には賛成しているものの、共有者同士だけでは条件調整が進んでいないケースでは、この方法が現実的な選択肢になります。
- 他の共有者も最終的には不動産を売却して現金化したいと考えている
- 「いくらで売るか」「いつ売るか」などの条件がまとまらず、売却が止まっている
- 共有者の一部が売却手続きの主導を取りたくない、または調整役がいない
- 買取業者が残りの持分を取得するより、不動産全体を市場で売却する方が合理的と考えられる
共有者全員で売却できれば、買取業者が残りの持分をいったん取得して単独所有にする必要はありません。
買取業者にとっては「持分を取得する → 他の共有者と全体売却について合意する → 不動産全体を第三者へ売却する」という流れで、自身の持分に対応する売却代金を回収し、利益を確保することを目指す方法です。
また、不動産全体として売却できれば、共有持分だけを売却する場合よりも一般の買主を探しやすくなるため、共有者側にとっても売却条件が良くなる可能性があります。
ただし、この方法は共有者全員が不動産全体の売却に合意することが前提です。一人でも「不動産を売りたくない」「住み続けたい」と反対している場合、買取業者が売却を強制することはできません。
その場合は、他の共有者の持分を取得して単独所有化する、買取業者自身の持分を他の共有者に買い取ってもらうなど、別の方法を検討することになります。
手段③:他の共有者に取得した共有持分を買い取ってもらう
買取業者が取得した共有持分を、もともとの共有者に買い取ってもらい、その売却代金から資金回収する方法もあります。
たとえば、兄と弟が自宅を2分の1ずつ共有しており、弟が自分の2分の1持分を買取業者へ売却したとします。この時点では、兄と買取業者がそれぞれ2分の1ずつを所有する共有状態です。
兄が「この家に住み続けたいので、不動産全体を売却したくない」と考えているのであれば、買取業者が取得した2分の1の持分を兄に買い取ってもらう方法が考えられます。
価格などの条件について双方が合意し、兄が業者の持分を取得すれば、兄は不動産を単独所有できるようになります。
買取業者にとっては「共有持分を取得する → 他の共有者へ持分の購入を提案する → 取得時より高い価格で持分を売却する」という流れでかかったコストを回収し、利益を得ることを目指す方法です。
一方、他の共有者にとっても、不動産を第三者へ売却せずに単独所有へ移行できるため、「この家に住み続けたい」「先祖代々の土地を手放したくない」といった希望がある場合には選択肢になります。
この方法を取りやすいのは、たとえば次のようなケースです。
- 他の共有者が不動産を売却せず、そのまま所有・利用したいと考えている
- 他の共有者自身が物件に居住している
- 他の共有者が単独所有にすることを希望している
- 他の共有者に持分を買い取るための資金を用意できる見込みがある
ただし、他の共有者には、買取業者が取得した持分を買い取る義務はありません。
「不動産は手放したくないが、業者の持分を買う資金もない」「提示された価格では買いたくない」といった場合には、交渉は成立しません。
また、他の共有者が不動産を使い続けたいという事情があるからといって、買取業者が希望する価格で必ず買い取ってもらえるわけでもありません。売買を成立させるには、双方が価格や条件について合意する必要があります。
他の共有者による持分買取が難しければ、残りの持分を業者側が取得して単独所有化する、不動産全体の売却について協議する、それでも共有状態を解消できなければ共有物分割請求を検討するなど、別の方法へ切り替えることになります。
手段④:共有物分割請求で共有状態を解消して資金回収を目指す
他の共有者との話し合いで単独所有化や不動産全体の売却などに合意できない場合、共有物分割請求によって共有状態を解消し、資金回収を目指す方法があります。
民法第256条では、原則として各共有者はいつでも共有物の分割を請求できると定められているため、持分を取得した買取業者も他の共有者に対して共有状態の解消を求めることができます。
まずは、共有者同士で「誰かが持分を取得するのか」「不動産を売却するのか」など、共有状態をどのように解消するか協議します。
協議がまとまらない、または協議をすることができない場合には、民法第258条に基づいて裁判所へ共有物分割を請求できます。
この方法が検討されるのは、たとえば次のようなケースです。
- 他の共有者が自分の持分を売却する意思がなく、単独所有化できない
- 不動産全体の売却について共有者全員の合意を得られない
- 買取業者が取得した持分を他の共有者に買い取ってもらう交渉も成立しない
- 共有者間の意見が大きく対立し、話し合いだけでは共有状態を解消できない
裁判所による共有物分割では、必ず不動産が売却されるわけではありません。
裁判所は事情に応じて、土地などを物理的に分ける「現物分割」や、一方の共有者に不動産を取得させ、その代わりに他の共有者へ金銭を支払わせる方法などによって共有状態を解消することを検討します。
これらの方法で分割できない場合や、分割することで不動産の価値が著しく低下するおそれがある場合には、裁判所が競売を命じることがあります。
買取業者にとっては、たとえば他の共有者に持分を取得してもらって金銭を受け取る、あるいは競売によって不動産を換価し、その代金から持分に応じた分配を受けることで、投下した資金の回収を目指すことになります。
つまり、「共有持分を取得する → 他の共有者との協議を試みる → 協議で解決できなければ共有物分割を請求する → 分割や換価によって資金を回収する」という流れが、この方法の基本的な仕組みです。
ただし、共有物分割請求をすれば、買取業者が希望する条件で必ず資金を回収できるわけではありません。
訴訟には時間や弁護士費用などがかかるうえ、どの方法で共有物を分割するかは最終的に裁判所が判断します。競売になった場合も、業者が想定していた価格で売却できるとは限りません。
そのため、共有物分割請求は買取業者にとっても費用や不確実性を伴う方法であり、他の共有者との協議で解決できるのであれば、必ずしも訴訟まで進む必要はありません。
株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛
代表取締役
宅地建物取引士
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共有物分割請求は、弊社でも共有持分を買い取る時点で選択肢の一つとして考えています。
ただし、最初から訴訟を前提に買い取るわけではありません。まずは他の共有者の意向を確認して、残りの持分を売却していただけるのか、不動産全体を売却できるのか、弊社の持分を買い取っていただけるのかなど、話し合いで解決できる方法を検討します。
それでも共有状態を解消できない場合に、最終手段として共有物分割請求を検討します。
共有物分割請求自体は、共有者に認められた法律上の手段なので、それを利用すること自体が悪質ではありません。ただ、「訴訟になりますよ」などと必要以上に不安をあおって売却を迫ったり、相手が怖いと感じるような交渉をしたりするのは別の話です。
共有持分買取業者の動きを把握せずに売却することのリスク
共有持分を買取業者へ売却する場合は、「その業者が買い取った後にどう動くのか」まで理解しておくことが重要です。
前述したように、買取業者は持分を取得した後、単独所有化や不動産全体の売却、他の共有者への持分売却、共有物分割請求などによって利益の獲得を目指します。
そのため、売主自身は持分を手放して共有関係から離れられたとしても、買取後には新たな共有者となった業者から他の共有者へ連絡や売買の提案が行われることがあります。
また、買取業者がどの程度の費用やリスクを見込んでいるのか理解しないまま査定額だけを見て契約すると、その価格が妥当だったのか判断できないまま売却してしまう可能性もあります。
買取業者へ売却すること自体が問題なのではありませんが、「なぜその価格なのか」「売却後にその業者がどう動くのか」を確認せずに契約すると、価格面や他の共有者との関係で想定外が生じることがあります。
ここからは、共有持分買取業者の動きを把握せずに売却することのリスクについて解説していきます。
査定額が妥当か判断できないまま売却してしまう
共有持分の買取価格は、不動産全体の価格に持分割合を掛けただけの金額になるとは限りません。
たとえば、不動産全体の市場価値が5,000万円で持分が2分の1なら、単純計算をすれば2,500万円です。
しかし、その2分の1だけを取得した第三者は、不動産全体を単独で売却・利用できません。買取後に他の共有者との権利調整が必要となり、保有期間中の費用や、案件によっては測量・士業への依頼・法的手続きなどの費用が発生することもあります。
そのため、買取業者の買取価格が2,500万円を下回ること自体は不自然ではありません。問題は曖昧な説明をされて、どのような評価やリスクを踏まえて査定されたのか分からないまま共有持分の売買契約をしてしまうことです。
たとえば、同じ2分の1の持分でも、他の共有者との関係や物件の利用状況、共有状態を解消する難易度などによって、買取後に業者が負担する費用やリスクは変わります。そのため、査定額にも差が生じます。
一方で、売主側がこうした仕組みを知らなければ、「共有持分ならこのくらいの価格なのだろう」と判断してしまい、ほかの業者であればより高く評価された可能性があっても、そのことに気づけません。
一度売買契約を締結して持分を売却すれば、後から「もっと高く売れたかもしれない」と分かっても、簡単に契約を元へ戻せるわけではありません。
そのため、共有持分を売却するときは、査定額の仕組みを理解しないまま一社の提示価格だけで判断しないことが重要です。
買取後に他の共有者へ連絡・買取交渉が行われて関係性の悪化につながる
共有持分を買取業者へ売却すると、業者が新たな共有者となり、他の共有者へ連絡や売買の提案を行うことがあります。
前述したとおり、買取業者が取得した持分から利益を得るためには、他の共有者との協議が必要になるケースが少なくありません。具体的には、次のような提案が行われる可能性があります。
- 他の共有者の持分を買取業者へ売却してもらえないか
- 買取業者が取得した持分を他の共有者に買い取ってもらえないか
- 共有者全員で不動産全体を第三者へ売却できないか
- 共有状態をどのように解消するか協議できないか
これらは、共有者となった買取業者が共有状態を整理し、資金回収を目指すために行う交渉であり、それ自体が問題というわけではありません。
ただし、売却前から共有者同士の関係が悪い場合や、他の共有者に知らせず持分を売却した場合には、業者から連絡が入ったことでトラブルが表面化することがあります。
たとえば、親子や兄弟で共有している不動産であれば、「なぜ事前に相談せず業者へ売ったのか」「知らない会社と不動産を共有することになった」と反発され、売主との親族関係まで悪化する可能性があります。
また、一度持分を売却して所有権が買取業者へ移れば、その後に業者が他の共有者へどのような提案や権利行使をするかを、元の売主が細かくコントロールすることは難しいです。
そのため、他の共有者との関係をできるだけ悪化させたくない場合は、「売却後に買取業者から連絡が入る可能性があること」まで理解したうえで売却することが重要です。
株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛
代表取締役
宅地建物取引士
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実務では、他の共有者に最初にどう連絡するかで、その後の話し合いの進み方がかなり変わります。
弊社では、いきなり売却や買取の話から入るのではなく、まずは持分を取得した経緯と現在の共有状況をお伝えして、共有者様の意向を確認するところから始めます。
実際には、「売りたくない」と思っていた方でも、事情を聞いていくと「自分がこの不動産を取得したい」「条件が合えば全体売却でもいい」など、最初に見えていた選択肢とは違う希望が出てくることもあります。
そのため、最初から一つの解決方法に決めつけず、相手の意向を確認したうえで進めることが大切だと考えています。
説明不足や強引な契約・交渉などの不適切な対応をする共有持分買取業者には注意
「共有持分買取業者は悪質」と言われることもありますが、すべての買取業者が悪質なわけではありません。
これまで説明したとおり、買取業者が共有持分を取得して利益を得ることや、買取後に他の共有者へ連絡して持分の売買や不動産全体の売却を提案することは、共有持分買取という事業の仕組み上行われるものです。
共有物分割請求についても、持分を取得して共有者となった以上、法律上認められている選択肢の一つです。
注意すべきなのは、「利益を得ようとする業者を避けること」ではなく、そのために売主へ十分な説明をしない、著しく不利な条件で契約を急がせる、他の共有者へ威圧的な交渉をするといった不適切な対応をする業者です。
こうした対応によって売主や他の共有者との間でトラブルが起これば、「共有持分買取業者は危険」「業者へ売るとトラブルになる」という印象にもつながります。
ここからは、トラブルの原因となりやすい共有持分買取業者の見分け方について解説していきます。
十分な根拠を示さず著しく低い査定額で契約を迫る
前述のとおり、買取業者が持分を買い取る価格が「不動産全体の市場価格×持分割合」より低くなること自体は珍しくありません。そのため、「市場価格より安いから悪質」と単純に判断できるわけではないのが前提となります。
問題なのは、価格が低い理由を説明しないまま、「共有持分なんて普通は売れません」「今日決めるならこの金額です」などと契約を迫るケースです。
適切に査定している業者であれば、少なくとも「不動産全体をどの程度と評価しているのか」「なぜ持分の買取額がこの水準になるのか」について説明できるはずです。具体的な社内原価や利益率まで開示する会社は多くありませんが、査定価格の考え方すら説明できない場合は、その場で契約せず一度持ち帰ることをおすすめします。
また、最初だけ高い査定額を提示し、契約直前や契約後に理由の乏しい減額を行うケースにも注意が必要です。査定額を比較するときは「最初に提示された金額」だけでなく、「その金額が最終的な買取価格なのか」まで確認しましょう。
「今すぐ売らないと損をする」などと不安をあおって契約を急かす
「今決めなければこの価格では買えない」「すぐ契約しないともっと価値が下がる」などと不安をあおり、十分に検討する時間を与えず契約を迫る業者にも注意が必要です。
不動産売買は金額が大きく、一度締結してから契約を破棄するのは簡単ではありません。
特に、消費者が所有する不動産を宅地建物取引業者へ売却する場合、売主側には宅建業法上のクーリング・オフ制度は適用されません。
もちろん、相続税の納付期限や競売などの事情があり、本当に早期売却が必要な案件もあります。また、調査が済んでいて売主自身も条件を理解・納得しているなら、短期間で売買契約を結ぶこと自体に問題はありません。
見るべきなのは「考える時間を与えず、恐怖や焦りによって即決させようとしていないか」です。不明点が残っているなら、その場で署名・押印せず、契約書や条件を確認してから判断するようにしましょう。
他の共有者へ威圧的・強引な交渉を行う
買取後に他の共有者へ連絡すること自体が悪質ではありません。一方で、その連絡や交渉の方法は別問題です。
たとえば、他の共有者が断っているにもかかわらず何度も訪問する、恐怖を感じさせるような言い方で売却を迫る、法的手続きを必要以上に強調して判断を迫る、といった行為をしてくる業者は悪質と考えてよいでしょう。
共有持分の買取業者であれば、「買取後に誰が他の共有者へ連絡するのか」「どのような方針で協議するのか」などを質問すれば基本的には方針を伝えてもらえます。「売った後のことなので答えられない」「今後の対応が曖昧」といった買取業者には注意が必要です。
共有持分買取業者を選ぶときのポイント
共有持分買取業者を選ぶときは、「査定額が一番高かった」「サイトに専門業者と書いてあった」という理由だけで決めない方が安全です。
悪質・不適切な業者を完全に見分けるのは難しいですが、契約前に確認できる情報と、査定・契約時の説明内容をチェックすることで、少なくとも判断材料は増やせます。
特に確認したいのは、次の5点です。
- 宅建業免許の有無と行政処分歴を公的データベースで確認する
- 査定額だけでなく「なぜその金額になるのか」を詳しく説明してもらう
- 最終の手取り額と後から金額が変わる条件を契約前に書面で確認する
- 契約前に他の共有者へ連絡しないことを確認する
- 持分買取以外の方法も含めて提案してくれるか確認する
宅建業免許の有無と行政処分歴を公的データベースで確認する
共有持分買取業者を選ぶときには、まず宅地建物取引業の免許を確認しましょう。
会社の公式サイトに免許番号が記載されているかを見るだけでなく、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を使えば、商号や所在地、免許番号などを確認できます。
また、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」では、宅地建物取引業者に対する免許取消、業務停止、指示といった行政処分等を検索できます。
これらを確認しておくことで、少なくとも公表されている範囲で、過去に行政処分を受けた業者を事前に把握し、売却先の候補から外す判断できます。
なお、行政処分歴が確認できないことだけで、その業者に問題がないと断定できるわけではありません。公的データベースで明らかな懸念材料がないかを確認したうえで、査定根拠や契約条件、買取後の対応方針などもあわせて確認するのが良いでしょう。
査定額だけでなく「なぜその金額になるのか」を詳しく説明してもらう
共有持分の査定では、提示された金額だけを見るのではなく、「なぜその金額になるのか」を確認することが重要です。
共有持分には、「市場価格の○%で買い取る」といった一律の価格基準があるわけではありません。同じ2分の1持分でも、物件の価値や共有者の人数、利用状況、他の共有者との関係、買取後にどのような方法で共有状態を解消できそうかによって、業者が負担する費用やリスクは変わります。
そのため、査定額が高い・安いという数字だけでは、その金額が妥当なのか判断できません。
共有持分の価格を考える出発点の一つが、「不動産全体の市場価値 × 持分割合」です。たとえば、不動産全体が5,000万円、持分が2分の1なら持分相当額は2,500万円です。
そして、この持分相当額から、買取後の権利調整や保有にかかる費用、解決までのリスク、事業として必要な利益などを考慮して実際の買取価格が決まります。
これは業界共通の公的な査定式ではなく、実際に何をどの程度考慮するかは業者や物件によって異なります。
だからこそ重要なのが、「持分相当額から何を考慮して、この査定額になったのか」を確認することです。買取後に想定される費用・リスクとしては、たとえば次のようなものがあります。
たとえば、「共有者との協議に時間がかかるため査定額が下がります」と説明されたのであれば、なぜ時間がかかると判断したのか、どの程度の期間を想定しているのかまで確認すると、その説明に具体性があるか判断しやすくなります。
反対に、「共有持分だから安くなります」「トラブルになる可能性があるのでこの価格です」といった抽象的な説明だけでは、持分相当額から大きく価格が下がっていたとしても、その差額が妥当なのか判断できません。
契約前に他の共有者へ連絡しないことを確認する
他の共有者にまだ売却の相談を知られたくない場合は、査定を依頼する段階で「自分の許可なく他の共有者へ連絡しないでほしい」と明確に伝え、業者の方針を確認しておきましょう。
共有持分の査定では、共有者の人数、利用状況、他の共有者との関係などを確認する必要があります。しかし、査定のために他の共有者へ無断で連絡しなければならないわけではありません。
もし契約前の段階で買取業者から他の共有者へ突然連絡が入れば、「なぜ業者に相談しているのか」と問い詰められ、まだ売却していない段階から関係が悪化するおそれがあります。
「契約前は自分の同意なく連絡しないか」「買取後はどのような方針で連絡するか」の2段階に分けて聞くのが実務的です。
持分買取以外の方法も含めて提案してくれるか確認する
自社での持分買取だけを唯一の解決方法のように説明し、ほかの選択肢をほとんど説明しない業者には注意が必要です。
共有持分の問題を解決する方法は、専門業者への売却だけではありません。状況によっては、下記のような方法が売主にとって有利になることがあります。
- 他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう
- 共有者全員で不動産全体を売却する
- 共有者同士で話し合って共有状態を解消する
- 仲介による売却を検討する
- 話し合いで解決できない場合に共有物分割請求を検討する
たとえば、他の共有者が適正な価格で持分を買い取る意思があるのであれば、買取業者へ売却するより高く売れる可能性があります。また、共有者全員が不動産全体の売却に同意できるのであれば、持分だけを売却するより高い金額で現金化できる可能性があります。
それにもかかわらず、こうした状況をほとんど確認せず、「共有持分なら弊社に売るしかありません」「他の共有者と話しても意味がありません」などと自社買取だけを強く勧めてくる場合は、その理由を確認した方がよいでしょう。
買取業者自身が買主になる取引では、業者にはできるだけ有利な条件で仕入れたいという事業上の利益があります。そのため、売主にとってほかに有利な方法がないかまで説明してくれるかは、業者の姿勢を判断する材料の一つになります。
もちろん、共有者との協議が難しい、早く共有関係から離れたいなどの事情があり、専門業者への直接売却が適しているケースもあります。
重要なのは「買取を提案されたこと」ではなく、売主の状況を十分に確認しないまま、自社買取だけを唯一の選択肢として契約を進めようとしていないかを見ることです。
共有持分買取業者を利用するメリット

共有持分の売却には不安やリスクもありますが、適切な業者を選ぶことができれば、共有状態を早期に解消する手段となり得ます。
共有持分は、通常の不動産と比べて流通性が低く、個人間での売却は容易ではありません。一方、専門業者に依頼すればトラブルを抱えている案件でも、不要な持分を早期に現金化できる可能性があります。
共有持分買取の専門家として、以下4つのメリットについて詳しく解説します。
- トラブルが起きていても共有状態から抜け出せる
- 市場では買主がつきづらい共有持分でも売却できる
- 最短数日で共有持分を現金化できる
- 仲介手数料がかからない
トラブルが起きていても共有状態から抜け出せる
共有名義の不動産において、最も深刻な悩みとなりやすいのが共有者間での人間関係のトラブルです。
弊社がご相談をいただく案件では、「意見の食い違いから感情的な対立に発展し、まともな話し合いすら困難になっている」「一部の共有者と連絡が取れず、共有名義を解消できない」などの事例が非常に多いです。
本来、共有名義の不動産全体を売却するためには全員の同意が必要ですが、こうしたトラブルを抱えている状態では、解決の糸口さえ見つからないのが実情です。
そこで専門の買取業者に依頼すれば、売主様が所有する持分のみを買い取る形となるため、他の共有者の同意を得ずに共有状態から抜け出すことができます。専門の買取業者は、上記のような複雑な背景を前提に持分を取得するため、共有者間の関係が悪化している場合や協議が困難な状況でも、取引を成立させられます。
共有状態から抜け出すことで、固定資産税の負担や将来的な責任から解放されるだけでなく、共有者間でトラブルが起きている状況からも距離を置くことができます。共有状態そのものが負担となっている場合は、持分の売却が現実的な解決手段となります。
市場では買主がつきづらい共有持分でも売却できる
不動産の一部である持分だけを取得しても、不動産全体を単独で売却したり、自由に建て替えたりできるわけではありません。利用や管理についても、内容によっては他の共有者との調整が必要になるため、一般の買主にとっては扱いにくい資産です。
一般の買主や投資家にとって、購入後に自由に使用できず、かつトラブルに巻き込まれるリスクが高い持分は、購入対象として敬遠されやすいのが実情です。そのため、一般的な仲介会社に依頼しても持分のみは取り扱ってもらえないケースも多いものです。
実際、弊社でも「不動産会社に仲介を頼んだが断られた」「購入希望者が見つからない」といった内容のご相談を受けたことがあります。
一方、共有持分を専門とする買取業者であれば、こうした流動性の低い物件であっても積極的に買い取ることが可能です。なぜなら、買取業者は持分を取得した後に、他の共有者との協議や調整を経て不動産全体の権利関係を整理し、価値ある資産へと再生させる専門知識とノウハウを有しているからです。
個人では解決が困難で、市場では価値が低いと評価される持分でも、専門業者に依頼すれば柔軟に買い取ってもらうことができます。
最短数日で共有持分を現金化できる
共有持分を専門の買取業者に売却するメリットとして、現金化までのスピードが早い点が挙げられます。
一般的な不動産仲介のように、広告を出して不特定多数の中から買主を探す必要がないため、査定から契約、決済までの期間を大幅に短縮することが可能です。
仲介による持分の売却では、購入希望者を見つけるだけでも数ヶ月以上の期間を要することも珍しくありません。価格交渉や内覧などの手間もあるため、よほど立地条件や建物の状態が良い物件でない限り、売買契約が成立するまでに長期間を要するのが基本となります。
その点、買取業者への売却は、業者が直接の買主となるため、提示された査定額に納得いただければ、すぐにでも契約手続きへと移行できます。買取業者によって対応スピードに差はありますが、弊社では最短数日で持分を現金化した実績もあります。
急な資金調達が必要になった場合や、共有状態からすぐにでも抜け出したいと考えている場合、買取業者への売却が大きなメリットとなります。
仲介手数料がかからない
共有持分を買取業者に直接売却する場合、仲介手数料がかからないのもメリットのひとつです。
一般的な不動産仲介を利用して売却が成立した場合、売主様は成功報酬として仲介手数料を支払うことになります。仲介手数料の割合は法律によって上限が決まっているものの、売却価格に基づいて計算されるため、高く売れるほど手数料も高額になります。
一方、買取業者に直接持分を売却する場合は、仲介業者を介さず直接取引を行うことになるため、仲介手数料を支払う必要はありません。余計なコストを削減できるのは、直接買取ならではの大きなメリットです。
実際にクランピーリアルエステートが共有持分を買い取った事例
クランピーリアルエステートでは、共有持分を買い取った後、物件や他の共有者の状況に応じて、単独所有化や不動産全体の売却、共有物分割請求などによって共有状態の解消を図っています。
ここでは、弊社が共有持分を買い取った後にどのような対応を行ったのか、3つの事例を紹介します。
事例①:他の共有者の持分も買い取り、単独所有化した事例
本件では、兄弟2人が2分の1ずつ所有していた戸建てについて、物件を利用していなかった共有者から「自分の持分だけを売却したい」とご相談いただき、弊社がその持分を買い取りました。
売主様は今後この不動産を利用する予定がなく、他の共有者との間で不動産全体の売却について話をまとめることも難しい状況でした。
そこで弊社が2分の1持分を買い取った後、もう一方の共有者へ連絡し、今後この不動産をどうしたいと考えているのかを確認しました。
話を進めるなかで、もう一方の共有者も物件を利用し続ける予定はなく、条件が合えば自身の持分を売却したいという意向であることが分かりました。
そこで、弊社から残りの2分の1持分について買取条件を提示し、双方で条件を調整した結果、残りの持分についても売買が成立しました。
これにより弊社が不動産を単独所有することになり、その後は通常の不動産として第三者へ売却しました。
本件では、買取当初から残りの持分を必ず取得できると決まっていたわけではありません。買取後にもう一方の共有者の意向を確認した結果、持分を手放す意思があったため、単独所有化による解決を選択しました。
事例②:他の共有者との協議によって不動産全体を売却した事例
本件では、親族3人で共有していた不動産について、共有者の1人から「自分は売却したいが、他の共有者との話が進まない」とご相談いただき、その方の共有持分を弊社が買い取りました。
買取後、弊社から残る共有者へ連絡し、不動産を今後どうしたいと考えているのか確認しました。
すると、他の共有者も不動産を所有し続けることに強くこだわっていたわけではなく、「条件が合えば不動産全体を売却してもよい」という意向であることが分かりました。
一方、それまでは親族間だけで話し合っていたため、売却価格や売却時期などの条件がまとまらず、具体的な売却手続きまで進められていませんでした。
そこで弊社が残りの持分をすべて買い取るのではなく、共有者全員で不動産全体を売却する方向で話を進めました。
売却価格や手続きについて条件を整理し、共有者全員の合意を得たうえで、最終的に不動産全体を第三者へ売却しました。
弊社は、自社が取得した持分に対応する売却代金を回収する形となり、他の共有者もそれぞれの持分に応じた売却代金を受け取ることができました。
この事例では、他の共有者にも売却意思があったため、弊社が残りの持分まで取得する必要はありませんでした。
共有者全員が全体売却に同意できるのであれば、必ずしも買取業者がすべての持分を取得して単独所有化する必要はありません。買取後に共有者の意向を確認したうえで、全体売却の方が合理的と判断した事例です。
事例③:協議で解決できず、共有物分割請求訴訟で換価分割に至った事例
本件では、親族2人で共有していた不動産について、もう一方の共有者が売却や共有状態の解消を強く拒否しており、売主様自身では話し合いを進めることができない状況で弊社へご相談いただきました。
売主様は不動産を利用する予定がなく、共有関係から離れることを希望していたため、弊社がその共有持分を買い取りました。
買取後、弊社から他の共有者へ連絡し、まずは話し合いによる解決を試みました。
具体的には、他の共有者の持分を弊社が買い取る方法、弊社が取得した持分を他の共有者に買い取ってもらう方法、不動産全体を第三者へ売却する方法などを検討するため、協議を申し入れました。
しかし、他の共有者は共有状態を変えること自体に強く反対しており、持分の売買や不動産全体の売却にも応じない意向でした。具体的な条件交渉に入る以前に、共有状態の解消について話し合うこと自体が難しい状況でした。
そのため、任意の協議によって単独所有化や全体売却などを実現することは難しいと判断し、最終手段として共有物分割請求訴訟を行いました。
訴訟では共有状態をどのように解消するかについて手続きが進められ、最終的には不動産を換価し、その代金を分配する換価分割によって共有状態を解消しました。
弊社では、共有持分を買い取ったからといって最初から共有物分割請求訴訟を前提にしているわけではありません。
本件でも、まずは任意の話し合いによる解決を試みましたが、相手方が共有状態の解消そのものを拒否し、協議を進めることができなかったため、法的手続きによる解決を選択しました。
このように、他の共有者が話し合いそのものに応じず、任意の方法では共有状態を解消できない場合には、共有物分割請求が現実的な解決手段になるケースがあります。
よくある質問
共有持分買取業者はなぜ共有持分を安く買い取るのですか?
共有持分買取業者の買取価格が「不動産全体の市場価格×持分割合」より低くなりやすいのは、持分だけを取得しても不動産全体を自由に利用・売却できず、買取後の権利調整や保有に費用・時間・リスクが生じるためです。
たとえば5,000万円の不動産の2分の1の持分なら、単純な持分相当額は2,500万円です。しかし、第三者がその持分だけを買っても、不動産全体を5,000万円で売ってすぐ2,500万円を回収できるわけではありません。
他の共有者との協議が必要になり、解決までの保有コストや、案件によっては測量・専門家・法的手続きなどの費用が発生します。また、最終的にどの程度で換価できるか分からないリスクもあります。
買取業者はこれらと利益を考慮して買取価格を決めるため、持分相当額より低くなり安いのです。
ただし、「共有持分だから安くて当然」と考えて、根拠の分からない査定額をそのまま受け入れる必要はありません。不動産全体の評価額と、そこから価格が下がる理由を確認し、納得できなければほかの業者にも査定を依頼して比較しましょう。
共有物分割請求をする買取業者は悪質ですか?
共有物分割請求を行うことだけを理由に、その買取業者を悪質と判断することはできません。
民法256条では、原則として共有者はいつでも共有物の分割を請求できるとされています。共有持分買取業者も持分を取得すれば共有者になるため、協議で共有状態を解消できない場合に共有物分割を求めることは、法律上予定されている手段の一つです。
見るべきなのは「共有物分割請求という制度を使うかどうか」ではなく、それまでの対応です。
まとめ
共有持分買取業者が共有持分を買い取る事業上の目的は、取得した持分から最終的に利益を得ることです。クランピーリアルエステートも含め、営利企業が利益を前提として買取を行っていますが、これ自体に問題があるわけではありません。
利益を得る代表的な方法には、他の共有者の持分を取得して単独所有化する、共有者全員で不動産全体を売却する、業者が取得した持分を他の共有者に買い取ってもらう、共有物分割請求によって共有状態を解消するといった方法があります。
重要なのは、これらの方法を取ること自体ではなく、「売主や他の共有者にどのような説明・交渉をする業者なのか」です。
なお、クランピーリアルエステートでも、買取後に利益を確保することを前提として共有持分を買い取っています。その点を隠したうえで「問題をすべて解決します」とお伝えするのではなく、査定の考え方や買取後に想定される動きも含めてご説明したうえで、売却するかどうかをご判断いただくことが重要だと考えています。
共有持分を売るべきか自体を迷っている段階でも、まず現在の共有状況と希望を整理し、「持分だけを売る方法が本当に自分に合っているか」から検討してみてください。

専門家のコメント
実際のご相談では、「できるだけ高く売りたい」「早く共有関係から離れたい」「家族への影響はできるだけ抑えたい」など、売主様が優先したいことはそれぞれ違います。
弊社では、まず何を一番解決したいのかを確認したうえで、買取条件や買取後の進め方を考えています。
事業として利益を確保することは前提ですが、こちらの都合だけで出口を決めるのではなく、売主様の目的も踏まえて進めることが大切だと考えています。