共有持分を買取業者に売却するトラブルは?トラブル回避のための業者の選び方も解説

共有持分買取業者に売却する場合、トラブルが起こることは珍しいことではありません。実際に、共有持分の買取相談を承るなかで、「業者から持分売却を強引に迫られた」「査定時は高値だったのに契約前に減額された」など、他の業者とトラブルが起きた方からご相談を受けるケースがいくつかあります。

共有持分買取業者とのトラブルが起こりやすい理由の1つは、自社の利益を優先し、売主や他の共有者への説明・配慮が不十分な業者も存在するためです。

買取業者すべてがこのような対応をとるわけではありませんが、トラブルを避けるためには、説明や対応などの面から信頼できる業者を選ぶことが大切です。

とはいえ、トラブルにおいて必ずしも「買取業者が悪い」というわけではありません。

共有状態は法律上認められた所有形態ですが、1つの不動産に複数人の権利が重なるため、単独所有にはない構造上のゆがみが生じやすいものです。そのため、もともと水面下にあった共有者間の不満や対立が、買取業者への売却をきっかけに表面化するケースも少なくありません。

つまり、共有持分買取業者とのトラブルは、一部業者の説明不足・強引な対応だけでなく、潜在していた共有者間の対立も原因になりやすいのです。

起こりやすいタイミング トラブル例
買取業者と売主 査定時・契約前・売買契約時 ・共有持分を安値で売却してしまう
・高額査定を提示されたのに契約前に減額される
・共有持分の売買契約を急かされる
買取業者と他の共有者 買取業者に持分を売却した後 ・他の共有者へ強引に持分買取を迫られる
・共有不動産を単独で使用している共有者に使用料相当額を請求される
・協議がまとまらずに共有物分割請求訴訟を起こされる
売主と他の共有者 買取業者に持分を売却した後 ・買取業者から連絡を受けた共有者から苦情を言われる
・他の共有者から「勝手に売った」と責められる
・他の共有者から「自分が買い取りたかった」と主張される

弊社クランピーリアルエステートには、創業2018年からこれまで累計10,000件超の共有持分に関する相談が寄せられています。当記事では、クランピーリアルエステートに寄せられた相談事例も踏まえながら、共有持分を買取業者に売却した場合にどのようなトラブルが起こり得るのか、またそのトラブルをどのように防ぐべきかを解説していきます。

目次

共有持分買取業者に売却した場合に起こり得るトラブル

共有持分買取業者に売却した場合、トラブルが起きるのは業者と売主の間だけではありません。「共有持分買取業者と他の共有者」「共有持分買取業者と売主」「売主と他の共有者」の3箇所でトラブルは起こる可能性があります。

実際に、弊社にも他の業者とトラブルが起きた方からの買取依頼や、売却によって共有者とトラブルが起きてしまった方からの相談を承ることがあります。

ここからは、実際に弊社へ寄せられた相談事例とともに、共有持分買取業者に売却した場合に起こり得るトラブルについて解説していきます。

共有持分買取業者と他の共有者で起こるトラブル例

共有持分を買取業者に売却した後、買取業者と他の共有者との間でトラブルが起こることがあります。これは、買取業者が持分を取得した後、他の共有者に対して持分買取や不動産全体の売却を提案したり、使用料相当額の支払いを求めたりすることがあるためです。

このような提案自体は共有状態を整理するために行われることは珍しくありませんが、その進め方が強引だと、他の共有者が不信感を抱いてトラブルにつながりやすいです。

実際に当社にも、共有者の1人が買取業者へ持分を売却した後、その業者からの強引な提案や請求に不信感を抱き、「その業者とは話を進めたくない」と相談されるケースもあります。

このような相談内容を整理したところ、買取業者と他の共有者の間では下記のようなトラブルが多く見られる傾向がありました。

  • 買取業者から他の共有者へ強引に持分買取を迫られる
  • 共有不動産を単独で使用している共有者に対して使用料相当額を請求される
  • 協議がまとまらずに共有物分割請求訴訟を起こされる

ここからは、共有持分買取業者と他の共有者で起こりやすいトラブルについて、それぞれ事例とともに解説していきます。

買取業者から他の共有者へ強引に持分買取を迫られる

共有持分を買取業者に売却した後、買取業者が他の共有者に対して、持分売却を強く迫ることでトラブルに発展するケースがあります。

共有持分の買取業者が持分を買い取る目的の一つは、他の共有者との交渉を通じて共有状態を整理し、その不動産を再販・活用しやすい状態にすることです。

共有状態が長く続くほど、固定資産税や管理費、交渉にかかる手間などの負担も続くため、できるだけ早く権利関係を整理したいと考える業者もいます。そのため、買取業者の中には、他の共有者の事情や意向を十分に確認しないまま、持分の買取や売却を強く迫る業者もいます。

実際に当社にも、他の共有者が業者へ持分を売却した後、その業者から何度も連絡を受けたことで相談されたケースがあります。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:兄が共有持分を売却した後、弟が業者対応に不信感を抱いたケース

項目 内容
相談者の立場 持分を売却していない共有者
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で共有していた実家。弟は実家を売却するつもりがなかった
トラブルのきっかけ 兄が自分の共有持分を買取業者へ売却した後、業者から弟へ持分買取や今後の整理について連絡が入った
相談時の不安 売却に応じなければならないのか、話し合いを拒むと法的手続きに進むのか、この業者と協議を続けるしかないのかがわからなかった
◻︎相談内容
弟はもともと実家を売却するつもりはありませんでしたが、業者からは「このまま共有状態を続けるのは現実的ではない」「今なら持分を買い取れるが、対応が遅れると条件が変わる可能性がある」などと説明され、早めの判断を求められていました。


その後も電話や書面で連絡が続き、「話し合いが進まないなら、法的な手続きに進むしかない」といった説明も受けたことで、弟は強い不安を感じていらっしゃいました。


突然知らない業者から急かされるような連絡を受けたことで、「この業者とは話を進めたくない」「売ることになるなら別の買取業者にしたい」と考え、当社へ相談に至ったとのことです。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

この事例では電話や書面による連絡が中心でしたが、共有持分の買取をめぐっては「早朝や深夜に共有者の自宅を訪問する」「断っているにもかかわらず何度も電話をかける」「不安をあおるような内容の手紙を繰り返し送る」といった強引な対応が問題になることもあります。

他の共有者からすれば、突然知らない業者が共有関係に入ってきて、持分の売却や買取を急かしてくる状況は大きな負担です。その結果、買取業者への不信感がつのりトラブルにつながることがあります。

ポイント

筆者からの補足
本来、業者として共有持分を買い取る以上、まずは持分を取得した経緯や今後の選択肢を丁寧に共有者へ説明し、相手の意向を確認しながら協議を進めるべきと考えています。

しかし、利益を優先する業者の中には、買取後の管理コストや交渉期間をできるだけ抑えるために、他の共有者の事情を十分に聞かないまま、早期の持分買取を求めるケースがあります。

弊社の実務感覚としても、初回連絡の時点で強い要求をすると、他の共有者は業者に対して不信感を持ちやすくなります。その不信感が強まると、売主に対して「なぜあの業者に売ったのか」と不満が向き、売却後に親族関係・共有者関係が悪化することもあります。

そのため、契約前の段階で「他の共有者への初回連絡は電話なのか書面なのか」「最初にどこまで事情を説明するのか」「売却を拒まれた場合に訪問や電話を重ねるのか、それとも書面中心で協議を進めるのか」まで説明しない業者には注意が必要です。

共有不動産を単独で使用している共有者に使用料相当額を請求される

共有持分を買取業者に売却した後、共有不動産を単独で使用している他の共有者に対して、買取業者から使用料相当額を請求されることでトラブルになるケースがあります。

たとえば、共有者の1人が実家に住み続けている場合や、共有不動産を事業用・賃貸用として利用している場合、他の共有者がその不動産を自由に使えない状態になっていることがあります。このような場合、新たに共有者となった買取業者が、持分に応じた使用利益を主張し、使用料相当額の支払いを求めることがあります。

共有不動産を単独で使用している共有者に対して、使用料相当額を請求すること自体は、直ちに違法とはいえません。ただし、これまで家族間で使用料を求められてこなかった人が、突然知らない業者から金銭請求を受ければ、強い不安や反発を感じやすくなるでしょう。

特に、請求額の根拠を十分に説明しないまま過去分をまとめて請求したり、短い期限を切って支払いを求めたり、法的手続きをちらつかせたりする業者の場合、トラブルに発展しやすいです。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:実家に住み続けていた弟が、買取業者から使用料相当額を請求されたケース

項目 内容
相談者の立場 実家に居住している共有者
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で相続した実家。弟が長年居住し、兄は遠方に住んでいた
トラブルのきっかけ 兄が自分の共有持分を買取業者へ売却した後、業者から弟へ使用料相当額の請求があった
相談時の不安 請求額をそのまま支払う必要があるのか、今後も実家に住み続けられるのか、法的手続きに進むのかがわからなかった
◻︎相談内容
兄は自分の共有持分を買取業者へ売却し、その後、買取業者から実家に住んでいる弟へ連絡が入りました。弟は、兄の持分が買取業者に売却された後も、これまで通り実家に住み続けられるものと思っていたようです。


しかし、業者からは「こちらにも持分がある以上、無償で住み続けることは認められない」「過去分も含めて使用料相当額を請求する」といった説明を受けたとのことです。


さらに、書面には支払期限のような日付も記載されており、「対応しない場合は法的な手続きも検討する」といった趣旨の文言があったため、弟は強い不安を感じていらっしゃいました。


相談者としては、実家を手放すつもりはなかったものの、突然知らない業者から金銭請求を受けたことで、「この業者の言う金額をそのまま払うしかないのか」「売却するにしても、この業者とは話を進めたくない」と考え、当社へ相談に至ったとのことです。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

この事例のように、家族間では長年あいまいにされていた不動産の利用状況が、買取業者への売却をきっかけに使用料相当額の請求として表面化することがあります。

ポイント

筆者からの補足
共有不動産を特定の共有者が単独で使用している場合、買取業者が使用料相当額について協議を求めること自体は、弊社でも状況に応じて検討する実務対応の一つです。

とはいえ、一方的に金額を請求するのではなく、まずは「なぜ使用料相当額の話が出るのか」「どの期間・どの持分割合を前提にしているのか」「今後も住み続けたい場合にどのような選択肢があるのか」を丁寧に説明するべきだと考えています。

契約前の段階で、居住している共有者がいる場合の対応方針や、使用料相当額を請求する際の説明方法を具体的に話さない業者には注意が必要です。特に、請求対象期間や算定根拠を説明しないまま金銭請求を進める方針の業者は、売却後に他の共有者とのトラブルを招きやすいと考えられます。

協議がまとまらずに共有物分割請求訴訟を起こされる

共有持分を買取業者に売却した後、その業者から共有物分割請求訴訟を起こされることでトラブルに発展するケースがあります。

共有物分割請求とは、共有状態の解消を求める手続きのことです。共有者同士で不動産の売却や持分買取について話し合いがまとまらない場合、最終的に裁判で共有状態の解消を求める流れになることがあります。

共有物分割請求自体は、共有者に認められた法的手段です。そのため、買取業者が共有者として協議を求めたり、話し合いがまとまらない場合に法的手続きを検討したりすること自体が、直ちに問題になるわけではありません。

しかし、一部の業者は、他の共有者との話し合いが十分に進んでいない段階で「訴訟を見据えている」などと伝え、持分の売却を迫ることがあります。突然知らない業者から裁判や競売の話を出されると、他の共有者は強い不安を感じやすくなります。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:業者から共有物分割請求を示唆され、実家を失う不安を感じたケース

項目 内容
相談者の立場 実家に住み続けている他の共有者
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で相続した実家。弟は実家に住み続けたいと考えていた
トラブルのきっかけ 兄が共有持分を買取業者へ売却した後、業者から共有状態の解消や法的手続きの可能性を伝えられた
相談時の不安 裁判になるのか、実家を売却しなければならないのか、家を出ていかなければならないのかがわからなかった
□相談内容
弟は実家にそのまま住み続けたいと考えていました。しかし、業者からは「共有状態のままでは解決できない」「話し合いが進まない場合は、裁判所手続きに進むことになる」などと強く迫られたとのことです。


その後も書面で連絡が続き、「売却に応じられない場合は、共有物分割請求を検討する」「裁判になれば不動産全体の売却が必要になる可能性がある」といった内容を伝えられたことで、弟は強い不安を感じていらっしゃいました。


「このまま放置すると本当に裁判になるのか」「家を出ていかなければならないのか」「この業者の言う条件で売るしかないのか」と不安になり、当社へ相談に至ったとのことです。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

この事例のように、「共有物分割請求」という言葉が出ると、他の共有者からすれば裁判や不動産全体の売却を意識せざるを得なくなります。

特に、実家に住んでいる共有者や、思い入れのある不動産を残したい共有者にとっては、「自分の意思とは関係なく不動産を手放すことになるかもしれない」という不安が大きくなります。

ポイント

筆者からの補足
協議がどうしてもまとまらない場合、弊社の実務対応でも状況によっては共有物分割請求を視野に入れることもあります。

ただし、買取業者は最初から訴訟を前提に圧力をかけるのではなく、まずは他の共有者の意向や不動産の利用状況を確認し、持分買取・全体売却・使用継続の可否など、現実的な解決策を整理したうえで協議を進めるべきだと考えています。

契約前の段階で、共有者との協議がまとまらない場合の対応方針や、共有物分割請求をどの段階で検討するのかを具体的に説明しない業者には注意が必要です。共有持分を売却する際は、訴訟を交渉材料として強く使う業者ではなく、協議による解決を優先し、法的手続きの可能性も冷静に説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

共有持分買取業者と売主で起こるトラブル例

共有持分買取業者とのトラブルは、売主本人と業者の間でも起こることがあります。この理由は、共有持分の価格や契約条件がわかりにくく、売主が妥当性を判断しづらいことが挙げられます。

共有持分は、共有者との関係性・利用状況・権利整理の難しさによって価格が変わるため、専門外の不動産会社では査定や取り扱いを断られることもあります。

それほど価格の判断が難しい不動産だからこそ、売主が売主が契約条件の妥当性を判断できないまま契約を進められてしまうケースがあります。

実際に弊社にも、他の買取業者に不信感を抱き、共有持分の買取相談が寄せられることがあります。このような相談内容を整理したところ、買取業者と売主の間では下記のようなトラブルが多く見られる傾向がありました。

  • 共有持分を安値で売却するよう迫られる
  • 高額査定を提示されたのに契約前に減額される
  • 共有持分の売買契約を急かされる

ここからは、共有持分買取業者と売主で起こりやすいトラブルについて、それぞれ事例とともに解説していきます。

共有持分を安値で買い叩かれてしまう

共有持分買取業者と売主の間では、共有持分を安値で買い叩かれてしまうことがあります。

買取業者としては、仕入れ価格を抑えられれば、その分だけ再販時や権利整理後の利益を確保しやすくなります。もちろん、不動産の価値をベースにした適正の査定額を提示したとしても、売主が希望する価格よりも低くなることは実務上ありますが、売主に判断材料を与えないまま安値で契約を進めるのは別問題です。

たとえば、「共有持分だから価値はほとんどない」「他社では買い取れないから」「今日決めないとこの金額では買えない」などと説明し、比較検討する時間を与えずに契約を進めようとする業者には注意が必要です。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:査定額の根拠を説明されないまま、安値で契約を迫られたケース

項目 内容
相談者の立場 共有持分を売却したい売主
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で相続した実家。相談者は他の共有者と話し合いができない状態だった
トラブルのきっかけ 最初に相談した買取業者から、具体的な査定根拠を示されないまま低い金額を提示された
相談時の不安 共有持分だからこの金額でも仕方ないのか、本当に他社では買い取れないのか、安く買い叩かれていないかがわからなかった
□相談内容
相談者は、共有者である兄と話し合いができない関係で、早く共有関係から抜け出したいと考えていました。最初に相談した買取業者からは、「共有持分だけではほとんど価値がない」「他の共有者と揉めているなら、この金額でも買い取れるだけ良い方」と説明され、かなり低い査定額を提示されたようです。


相談者が査定額の理由を尋ねても、具体的な計算根拠や減額理由の説明はなく、「他社に聞いても断られると思う」「早く決めないと条件が変わる」と契約を急かされていました。


不安になって当社へ相談されたため内容を確認したところ、権利整理の難しさはあるものの、最初の提示額は実務感覚から見てもかなり低い水準でした。相談者も「共有持分だから仕方ないと思っていたが、本当にこの金額で売るしかないのか不安だった」と話していました。

※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

このように、売主が共有持分の価格感をつかめない状態で契約を急かされると、安値で手放してしまうおそれがあります。

特に、売主が「早く売りたい」「他の共有者と関わりたくない」と考えているケースでは、冷静に比較できないまま契約してしまい、後から「買い叩かれたのではないか」とトラブルになることがあります。

ポイント

筆者からの補足
弊社では、共有持分だからといって一律に大きく減額するのではなく、まずは物件本来の価値を踏まえたうえで、適正な買取価格を提示するように査定を行っています。

大切な資産を買い取る以上、たとえ売主様の希望額とは離れた査定額になる場合でも、業者は「なぜこの価格になるのか」を納得いただけるまで説明するべきと考えているためです。

一方で、利益を優先する業者の中には、共有持分の価格がわかりにくいことを利用し、十分な説明をしないまま安値で契約を進めようとするケースがあります。

このような業者を避けるためにも、契約前には「不動産全体の価格をどのように見ているのか」「持分割合をどのように反映しているのか」「どのリスクやコストを理由に、どれだけ減額しているのか」まで説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

高額査定を提示されたのに契約前に減額される

共有持分買取業者と売主の間では、最初に高額な査定額を提示されたにもかかわらず、契約前になって大きく減額されることがあります。

共有持分の査定では、登記内容や共有者の利用状況、他の共有者との関係性などを確認した結果、当初の査定額から変わること自体は実務上でも起こります。問題なのは、最初に現実的ではない高額査定を出して売主を引きつけ、契約直前になって十分な説明もなく金額を下げるケースです。

売主からすれば、他社への相談を止めた後や、売却する気持ちが固まった後に金額を下げられるため、「最初からその金額で買うつもりがなかったのではないか」「他社と比較する機会を失った」と不信感を抱きやすくなり、トラブルに発展することがあるのです。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:高額査定を信じて話を進めた後、契約前に大きく減額されたケース

項目 内容
相談者の立場 共有持分を売却したい売主
共有者の関係 相続により共有状態になった親族
物件の状況 相続した実家の共有持分を売却したいと考え、複数の買取業者に相談していた
トラブルのきっかけ 最初に高額な査定額を提示されたが、契約日が近づいた段階で大きく減額された
相談時の不安 当初の査定額で買うつもりがなかったのではないか、他社と比較する機会を失ったのではないか、このまま減額後の金額で契約すべきか迷っていた
□相談内容
最初に問い合わせた業者からは、希望していた金額に近い査定額を提示され、「この金額なら早めに売却したい」と考えて話を進めていました。


ところが、契約日が近づいた段階で、業者から「社内審査の結果、当初の金額では買い取れない」「他の共有者との交渉が難しそうなので、価格を下げる必要がある」と説明され、提示額を大きく下げられたとのことです。


相談者は、すでに他社への相談を止めており、親族にも売却する方向で話をしていました。そのため、「今さら他社に戻るのも気まずい」「早く共有関係から抜け出したい」という気持ちもあり、減額後の金額で契約すべきか迷っていました。


しかし、減額理由について具体的な資料や計算根拠は示されず、「この条件でなければ買い取れない」「契約日を延ばすなら再査定になる」と言われたことで不信感を抱き、当社へ相談に至ったとのことです。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

このように、最初の査定額だけを見て業者を選ぶと、契約前の減額によって売主が不利な立場に置かれることがあります。特に、他社への相談を止めた後や、親族との話し合いを進めた後に金額を下げられると、売主は冷静に比較し直しにくくなります。

ポイント

筆者からの補足
共有持分の査定では、登記内容、現地状況、他の共有者の利用状況、権利関係の整理しやすさなどを確認した結果、金額が変わること自体はあります。だからこそ、簡易査定の段階で「どのような事情が判明すると減額の可能性があるのか」も売主様に説明しておくべきだと考えています。

初回査定の時点で「減額があり得るとすれば、どのような場合か」「契約前に追加調査や社内審査で金額が変わる可能性はあるのか」を具体的に説明しない業者には注意が必要です。

共有持分の売買契約を急かされる

共有持分買取業者と売主の間では、十分に検討する時間がないまま売買契約を急かされることで、トラブルになるケースがあります。

共有持分を売却したい人の多くは、「他の共有者と関わりたくない」「早く共有状態から抜け出したい」「できるだけ早く現金化したい」といった事情を抱えています。悪質な業者の中には、こうした売主の焦りにつけ込み、契約内容を十分に確認させないまま契約を進めようとする業者もいます。

「今日中に契約しないと金額が下がる」「他社に相談すると買い取れなくなる」「今決めないと法的に不利になる」などと不安をあおり、冷静に判断する時間を与えない進め方はトラブルにつながりやすいです。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:契約を急かされ、内容を十分に確認できないまま進めそうになったケース

項目 内容
相談者の立場 共有持分を売却したい売主
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で共有していた土地。相談者は他の共有者と長年連絡を取っていなかった
トラブルのきっかけ 買取業者から「今月中に契約できるならこの金額で買い取れる」と言われ、早めの契約を促された
相談時の不安 査定額や契約条件を十分に理解できていないまま契約してよいのか、他社にも相談すべきか迷っていた
□相談内容
相談者は他の共有者と長年連絡を取っておらず、できるだけ早く共有関係から抜け出したいと考えていました。最初に相談した買取業者からは、「今月中に契約できるならこの金額で買い取れる」「時間が空くと再査定になる可能性がある」と説明され、早めに契約日を決めるよう促されたとのことです。


その後も、必要書類の提出や契約日の調整を急ぐ連絡が続き、相談者が「他社にも確認したい」と伝えると、「他社では取り扱いが難しいと思う」「条件が変わる前に進めた方がいい」と言われたそうです。


相談者は一度はそのまま契約するつもりでしたが、査定額の根拠や契約後の流れについて十分に理解できていないことが気になり、「このまま契約してよいのか不安」と感じて当社へ相談に至ったとのことです。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

このように、売買契約を急かされると、売主は査定額や契約条件、売却後の流れを十分に確認できないまま判断してしまうことがあります。

特に、共有者との関係が悪化している場合や、早く現金化したい事情がある場合は、「今すぐ決めた方がよい」と言われると冷静に比較検討しづらくなります。

ポイント

筆者からの補足
共有持分の買取業者は、売却を検討している売主様に対して、査定額・契約条件・売却後の流れを十分に理解したうえで「この業者に売るべきか」を判断していただきたいと考えています。

共有持分を売却する方の中には、「早く共有関係から抜け出したい」「他の共有者とこれ以上関わりたくない」という切実な事情を抱えている方もいます。だからこそ、業者側はその焦りにつけ込むのではなく、契約前に十分な検討時間を確保するべきです。

契約前には「契約書の内容を事前に確認できるか」「査定額・入金時期・売却後の共有者対応について説明があるか」「他社比較や家族への相談の時間を取れるか」を確認することが大切です。

買取業者に売却したことで売主と他の共有者で起こるトラブル例

共有持分を買取業者に売却した後、売主と他の共有者との間でトラブルが起こることがあります。

売主が共有持分を売却すると、他の共有者の意思とは関係なく、新たな共有者として買取業者が入ることになります。突然知らない業者と共有関係になると、他の共有者が不信感を抱きやすく、売主とのトラブルにつながることがあります。

ここまで紹介したトラブルは、買取業者の強引な対応や説明不足が原因になるケースが中心でした。一方で、売主と他の共有者のトラブルは、共有者間にもともとあった不満が売却をきっかけに表面化するケースも多いです。

実際に当社にも、他の共有者が買取業者へ持分を売却したことで関係が悪化し、「自分の持分も売却したい」と相談されるケースがあります。また、共有持分を売却した方から、売却後に他の共有者から苦情を言われたという相談を受けることもあります。

このような相談内容を整理したところ、売主と他の共有者の間では下記のようなトラブルが多く見られる傾向がありました。

  • 買取業者から連絡を受けた共有者から苦情を言われる
  • 他の共有者から「勝手に売った」と責められる
  • 他の共有者から「自分が買い取りたかった」と主張される

ここからは、買取業者への売却をきっかけに売主と他の共有者で起こりやすいトラブルについて、それぞれ事例とともに解説していきます。

買取業者から連絡を受けた共有者から苦情を言われる

共有持分を買取業者に売却した後、買取業者から連絡を受けた他の共有者から苦情を言われてしまうケースがあります。

共有持分を売却した後はその業者が共有者となるため、他の共有者からすれば突然知らない業者から連絡を受けることになります。とくに、事前に売却の話を聞いていなかった場合、「なぜ先に言ってくれなかったのか」「急に業者から連絡が来て困っている」と不満を持たれやすいです。

買取業者からの連絡内容が悪質なものではなかったとしても、受け取る側が事情を知らなければ、強い警戒心を持つことがあります。その結果、買取業者ではなく、持分を売却した売主へ怒りが向いてしまうことがあります。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:弟が共有持分を売却した後、業者から連絡を受けた姉が不信感を抱いたケース

項目 内容
相談者の立場 持分を売却していない共有者
共有者の関係 兄弟姉妹
物件の状況 兄弟姉妹で相続した実家。姉が実家を管理していた
トラブルのきっかけ 弟が自分の共有持分を買取業者へ売却した後、姉に事前説明がないまま業者から連絡が入った
相談時の不安 知らない業者と今後の話し合いを進める必要があるのか、実家の扱いを一方的に変えられるのではないかと不安だった
□相談内容
姉は、弟が共有持分を売却したことを事前に知らされておらず、突然知らない買取業者から連絡を受けました。業者からは、今後の実家の利用状況や持分の取り扱いについて話し合いたいと伝えられたとのことです。


姉としては、何の相談もないまま弟が売却をしてしまい、知らない業者が共有者になったことに強い不信感を抱いていました。その後、弟に対して「どうして先に言わなかったのか」「実家のことを勝手に進めないでほしい」と苦情を伝えたそうです。


相談者である姉は、「この業者と今後の話し合いを進めるのは不安」「弟が売ったことで、実家の扱いまで一方的に変えられてしまうのではないか」と感じ、当社へ相談に至りました。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

このように、買取業者からの連絡をきっかけに、他の共有者が売主へ不満を向けることがあります。

ポイント

筆者からの補足
弊社では、売却後に他の共有者へ連絡する際、売主と他の共有者の関係性にも十分配慮して進めるべきだと考えています。

特に初回連絡では、持分を取得した事実だけを一方的に伝えるのではなく、今後の協議の目的、連絡窓口、売主に直接連絡が入った場合の対応方針まで整理して伝えることが重要です。

売主への配慮や説明範囲を十分に考えないまま連絡を進める業者の場合、他の共有者の不満が業者だけでなく、持分を売却した売主にも向いてしまうことがあります。

そのようなトラブルを避けるためにも、契約前には「他の共有者へどのような文面・口調で連絡するのか」「売主の売却理由をどこまで伝えるのか」「共有者から売主へ苦情が入った場合にどうフォローするのか」まで説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

他の共有者から「勝手に売却された」と責められる

共有持分を買取業者に売却した後、他の共有者から「勝手に売った」と責められるトラブルもあります。

特に、相続した実家や親族で共有している土地では、「家族で話し合って決めるべきもの」という意識が残りやすいです。そのため、他の共有者からは「家族の不動産を外部の業者へ勝手に渡した」と受け取られることがあります。

また、売却前から共有者間で固定資産税の負担、管理方法、実家を残すか売るかといった不満があった場合、買取業者への売却をきっかけに、それまで抑えていた感情が一気に表面化することがあります。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:弟が共有持分を売却した後、兄が「勝手に売られた」と感じて相談したケース

項目 内容
相談者の立場 持分を売却していない共有者
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で相続した実家。兄が固定資産税や管理費を負担しながら管理していた
トラブルのきっかけ 弟が事前に相談せず、共有持分を買取業者へ売却した
相談時の不安 家族の実家を外部の業者に勝手に売られたように感じ、今後の実家の扱いや業者対応に不安を抱いた
□相談内容
兄は実家をすぐに売却するつもりはなく、固定資産税や管理費を負担しながら、将来的に弟の持分を買い取ることも考えていたようです。

しかし、弟から事前に相談はなく、ある日突然、買取業者から「弟様の持分を取得しました」と連絡が入ったとのことです。業者からは、今後の実家の扱いや持分の整理について話し合いたいと伝えられましたが、兄としては、弟ではなく知らない業者から連絡が来たことに強い不信感を抱いていました。


その後、兄は弟に対して「なぜ先に相談してくれなかったのか」「家族の実家を勝手に業者へ売るなんて納得できない」と伝えたものの、弟との話し合いは進まず、兄弟関係も悪化してしまったとのことです。


相談者である兄は、「このまま業者と話を進めるしかないのか」「弟の持分を買い戻す方法はないのか」と不安を感じ、当社へ相談に至りました。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

ポイント

筆者からの補足
弊社では、共有持分の売却前に他の共有者へ伝えるべきかどうかは、共有者同士の関係性や過去の経緯を踏まえて慎重に判断するべきだと考えています。

関係が比較的良好であれば、売却前に「自分の持分を整理したい」という意向だけでも伝えておくことで、売却後の反発を抑えられる場合があります。一方で、すでに関係が悪化している場合や、連絡することで感情的な対立が大きくなりそうな場合は、無理に売主本人から連絡しない方がよいケースもあります。

そのため、共有持分を売却する際は、他の共有者との関係性を踏まえて、売却前後の進め方を一緒に整理してくれる業者を選ぶことが大切です。

たとえば、時間がかかる可能性があっても「先に意向だけ伝えた方がよいかもしれない」「この関係性なら無理に連絡しない方がよいかもしれない」と、状況に応じた進め方を提案してくれる業者であれば、売却後のトラブルを抑えやすくなります。

他の共有者から「自分が買い取りたかった」と主張される

共有持分を買取業者に売却した後、他の共有者から「自分が買い取りたかった」と主張され、トラブルになるケースがあります。

共有者によっては、「将来的に不動産を単独所有にしたい」「実家を親族内に残したい」などと考えている人もいる可能性があります。そのため、売却後に買取業者から連絡を受けて初めて持分売却を知ると、「先に声をかけてくれれば自分が買ったのに」と不満を抱くことがあります。

特に、過去に共有者間で「いつか単独所有したい」「いずれ話し合う」といった曖昧な会話があった場合、他の共有者から「買い取る意思を伝えていたのに」と捉えられてしまうケースがあるのです。

◻︎弊社に寄せられた相談事例:弟が共有持分を売却した後、兄から「自分が買い取りたかった」と言われたケース

項目 内容
相談者の立場 持分を売却していない共有者
共有者の関係 兄弟
物件の状況 兄弟で相続した実家。兄は固定資産税や修繕費を負担しながら管理を続けていた
トラブルのきっかけ 弟が共有持分を買取業者へ売却した後、兄が「先に言ってくれれば自分が買い取った」と不満を抱いた
相談時の不安 業者から持分を買い戻せるのか、このまま業者と共有関係を続けるしかないのか、実家を残せるのかがわからなかった
□相談内容
兄は、実家をすぐに売却するつもりはなく、固定資産税や修繕費を負担しながら管理を続けていました。弟との間で正式な買取条件までは決まっていなかったものの、兄としては「いずれ自分の単独名義にしたい」と考えていたようです。


しかし、ある日突然、買取業者から「弟様の持分を取得しました。今後の実家の扱いについてお話ししたい」と連絡が入りました。


兄はその連絡で初めて弟の持分売却を知り、「先に言ってくれれば自分が買い取った」「実家を守るために管理してきたのに、なぜ知らない業者へ売ったのか」と強い不満を抱いたとのことです。


その後、兄は弟に連絡しましたが、弟からは「話し合っても進まないと思った」「自分の持分を売っただけ」と言われ、兄弟間の関係も悪化してしまいました。相談者である兄は、「業者から持分を買い戻せるのか」「このまま業者と共有関係を続けるしかないのか」と不安を感じ、当社へ相談に至りました。


※相談事例は、当社へ寄せられた相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

このように、他の共有者に買取意思があった場合、共有持分を買取業者へ売却したこと自体が強い反発を招くことがあります。

売主からすれば、具体的な買取金額や時期が決まっていなければ「買い取る話は進んでいなかった」と考えるかもしれません。一方で、他の共有者からすれば「買い取るつもりがあったのに、先に業者へ売られた」と感じるため、売却後に感情的なトラブルへ発展することがあります。

ポイント

◻︎筆者からの補足
弊社では、共有持分の買取を行う会社ではありますが、売主様にとって最適な形を考えたときに、必ずしも弊社が買い取ることだけが正解ではないと考えています。たとえば、他の共有者に明確な買取意思があり、条件面でも売主様にとって納得できる内容になりそうな場合は、先に他の共有者との買取協議を進めた方がよいケースもあります。

このようなケースでは、買取業者の立場であっても、売主様の利益を考えて無理に自社で買い取ろうとせず、共有者間での持分売買を進める選択肢も提案することが重要だと考えています。

共有持分を売却する際は、他の共有者に買取意思があるのか、その協議が現実的に進みそうかまで整理してくれる業者を選ぶことも大切です。

共有持分買取業者へ売却した後にトラブルが起こりやすいタイミング

共有持分を買取業者へ売却した後は、買取業者が新たな共有者として他の共有者と接触し、共有状態の整理に向けた協議を進められるのが基本です。

その過程で、他の共有者への連絡、持分買取や全体売却の提案、使用料相当額の請求、共有物分割請求の検討などが行われることがあります。これらの対応自体がすべて問題になるわけではありませんが、業者の進め方や伝え方によっては、他の共有者や売主とのトラブルにつながることがあります。

共有持分を買取業者へ売却した後の主な流れと、トラブルが起こりやすいタイミングは下記のとおりです。

売却後の流れ 買取業者・共有者の動き 起こりやすいトラブル
1. 売買契約を締結する 売主が自分の共有持分を買取業者へ売却する 売主が契約内容や査定額を十分に確認しないまま契約してしまう
2. 売主から買取業者に持分を移転するための手続き(持分移転登記)が行われる 買取業者が新たな共有者になる 他の共有者が、知らない業者が共有関係に入ったことを知って不信感を抱く
3. 買取業者が他の共有者へ連絡する 持分取得の報告や、今後の協議の連絡が入る 他の共有者から売主へ「なぜ勝手に売ったのか」と苦情が入る
4. 共有状態の整理に向けた協議が始まる 持分買取、不動産全体の売却、利用状況の確認などが行われる 他の共有者が「売却を迫られている」と感じ、買取業者と揉める
5. 使用状況や費用負担の話が出る 単独使用している共有者へ使用料相当額や費用負担の話が出る 「突然金銭請求された」と反発される
6. 協議がまとまらない 買取業者が共有物分割請求などの法的手続きを検討する 他の共有者が「裁判になるのではないか」と不安を感じる
7. 他の共有者から売主へ不満が向く 業者対応への不満が、持分を売却した売主へ向く 親族関係・共有者間の関係が悪化する

共有持分の売却後は、買取業者が他の共有者と接触し始める段階からトラブルが起こりやすくなります。

共有持分買取業者とのトラブルが起こりやすいケース

弊社に寄せられる相談や実務経験をもとにしても、共有持分買取業者とのトラブルは、共有者との関係や不動産の利用状況が整理されていないほど起こりやすくなります。

特に、「他の共有者に売却の意向を伝えていない」「共有者の1人が不動産を単独で使用している」「費用負担があいまい」といった場合は、買取業者への売却をきっかけに不満が表面化しやすいです。

また、悪質な買取業者の場合は「安値で買い叩かれる」といったことが原因で、買取業者とのトラブルにつながりやすいです。

共有持分買取業者とのトラブルが起こりやすいケースをまとめましたので参考にしてみてください。

トラブルが起こりやすいケース 起こりやすい理由
他の共有者に売却の意向を伝えていない 突然買取業者が共有関係に入るため、他の共有者から「勝手に売った」と不満を持たれやすい
他の共有者が共有不動産に住んでいる 買取業者から使用料相当額の請求や今後の利用方法の協議を求められ、住んでいる共有者が不安を感じやすい
固定資産税・管理費・修繕費の負担が整理されていない 売却後に費用負担や精算の話が出て、これまであいまいだった不満が表面化しやすい
共有者同士で過去に揉めている 買取業者への売却をきっかけに、過去の対立や不信感が再燃しやすい
他の共有者と長年連絡を取っていない 他の共有者が売却の経緯を知らないまま業者から連絡を受けるため、不信感を抱きやすい

このようなケースいずれかでも当てはまる場合、共有持分の売却後に他の共有者や買取業者との間でトラブルが起こるリスクが高くなります。

ポイント

筆者からの補足
売却後に強く反発されやすいのは、他の共有者が「自分が管理してきた」「自分が費用を払ってきた」「自分が住み続ける場所だ」と考えているケースです。

このような場合、「自分が関わってきた不動産を、相談なく外部の業者に売られた」という受け止め方になりやすいです。そのため、法律上は共有持分を自由に売却できるといえども、売却後に感情的な反発が起こることがあるため注意が必要です。

共有持分売却でトラブルを起こさないための買取業者の選び方

前提として、共有持分を買取業者へ売却する場合、どれだけ慎重に進めてもトラブルを完全に防げるとは限りません。特に、共有者間に以前から不満や対立がある場合は、買取業者への売却そのものというより、もともと抱えていた問題が売却をきっかけに表面化しやすいです。

とはいえ、共有持分買取業者の選び方を工夫すれば、悪質な業者を避けやすくなり、少なくとも業者側の対応が原因で起こるトラブルの対策にはなります。

共有持分の買取業者を選ぶ際は、下記のような点を確認しておくと良いでしょう。

  • 査定額の根拠を丁寧に説明してくれる業者を選ぶ
  • 売却後に他の共有者へどのように連絡するのか説明してくれる業者を選ぶ
  • 契約を急かさず、他社比較や家族への確認の時間をくれる業者を選ぶ
ポイント

◻︎筆者からのひとこと
共有持分の買取業者を選ぶときは、専門性・口コミ・会社の実績なども大切ですが、最終的には実際に相談したときの説明内容で判断することが大切です。

相談や査定だけであれば、その場で必ず契約しなければならないわけではありません。査定額の根拠、売却後の共有者対応、契約を急かさない姿勢などを確認したうえで、「この業者なら任せてもよい」と思えるかを見極めるようにしてみてください。

査定額の根拠を丁寧に説明してくれる業者を選ぶ

共有持分の買取業者を選ぶ際は、査定額の根拠を丁寧に説明してくれるかを確認しましょう。

共有持分は、通常物件のように明確な相場があるわけではないうえに、「不動産全体の価格×持分割合」で単純に価格が決まるわけではありません。他の共有者との関係性、不動産の利用状況、持分割合、売却後の権利整理の難しさなどによって、買取価格は変わります。

そのため、査定額の根拠がわからないまま契約すると、売却後に「もっと高く売れたのではないか」「安く買い叩かれたのではないか」と不信感につながりやすいです。

注意すべきなのは、「共有持分だからこの金額です」「他社では買い取れません」などとだけ説明し、具体的な査定理由を示さない業者です。共有持分の価格がなぜその金額になるのかを説明しないまま契約を進める業者は避けた方がよいでしょう。

注意したい買取業者の説明とその理由についてまとめましたので参考にしてみてください。

業者の説明 注意すべき理由
「共有持分だから価値はほとんどありません」 査定根拠を示さず安値で進められる可能性がある
「今日決めないと金額が下がります」 比較検討する時間を奪われる可能性がある
「他社ではほぼ買い取ってもらえません」 不安をあおって契約を急かしている可能性がある

共有持分買取業者を探す際には、「なぜその価格になるのか」「どのリスクを見込んでいるのか」まで丁寧に説明してくれる業者を選ぶことが重要です。

売却後の共有者対応の進め方を説明してくれる業者を選ぶ

共有持分の買取業者を選ぶ際は、売却後の共有者対応について、契約前にどこまで説明してくれるかを確認しましょう。

共有者とのトラブルを避けるために重要なのは、買取後の業者の動き方によって、他の共有者からの反発が向く可能性がある点です。だからこそ、「売った後のことは業者に任せればよい」と考えるのではなく、買取後にどのような方針で他の共有者と接触するのかを確認しておくのが大切です。

注意すべきなのは、「売却後はこちらで対応します」「共有者との交渉は任せてください」とだけ説明し、具体的な対応方針を話さない業者です。悪質な業者ほど、契約前は丁寧に対応すると説明しながら、買取後は他の共有者に強い姿勢で交渉することがあります。

そのため、契約前には、下記のような点を確認しておくとよいでしょう。

  • 他の共有者へ最初にどのような内容を伝えるのか
  • 他の共有者に売主の売却理由をどこまで伝えるのか
  • 他の共有者が反発した場合、売主へ苦情が向かないようにどう対応するのか
  • 話し合いが進まない場合、どの段階で法的手続きを検討するのか
  • 売却後に売主へ連絡が来た場合、どのように対応すればよいのか

共有持分を専門に扱う業者であれば、単に「こちらで対応します」と言うだけでなく、買取後に起こり得る共有者の反応まで想定して説明するのが基本です。

反対に、売却後の共有者対応について曖昧な説明しかしない業者は、買取後の進め方も見えにくく、他の共有者とのトラブルが売主に波及するおそれがあります。

契約を急かさず、他社比較や家族への確認の時間をくれる業者を選ぶ

共有持分の買取業者を選ぶ際は、契約を急かさず、他社比較や家族への確認の時間をくれる業者を選びましょう。

共有持分を売却したい人は、「他の共有者と関わりたくない」「早く共有状態から抜け出したい」「すぐに現金化したい」など、切実な事情を抱えていることが少なくありません。そのため、業者から契約を急かされると、査定額や契約条件を十分に確認しないまま売却してしまうおそれがあります。

注意すべきなのは、「今日中に決めないと金額が下がる」「他社に相談すると買い取れなくなる」「この条件で進められるのは今だけ」などと伝え、冷静に考える時間を与えない業者です。

もちろん、買取業者がスピーディーに対応できること自体はメリットですが、早く買い取れることと、契約を急かすことは別です。売主が納得して判断できるだけの説明や確認時間を与えずに契約へ進めようとする業者は、避けた方がよいでしょう。

共有持分を専門に扱う業者であれば、売主が不安を抱えやすいことを理解したうえで、下記のような確認時間を取ってくれます。

  • 査定額や契約条件を持ち帰って検討する時間
  • 他の買取業者と比較する時間
  • 家族や信頼できる人へ相談する時間
  • 売却後に他の共有者へどのような影響があるか確認する時間
  • 契約書の内容を確認する時間

特に、共有持分の売却では、売主本人だけでなく、他の共有者や家族との関係に影響が出ることもあります。そのため、契約前に一度立ち止まり、価格・契約条件・売却後の流れを確認することが重要です。

共有持分買取業者に売却する前に確認したいトラブル防止チェックリスト

最後に、共有持分買取業者に売却することでトラブルを起こさないため要点をチェックリストとしてまとめました。共有持分を買取業者へ売却する前には、下記の項目を確認してみてください。

チェック項目 契約前に確認すること
査定額の根拠を説明してもらったか なぜその買取価格になるのか、減額要因を含めて説明を受ける
契約金額が最終的な買取価格か確認したか 契約直前や契約後に金額が変わる可能性がないか確認する
契約を急かされていないか 他社比較や家族への確認をする時間を取れるか確認する
売却後に他の共有者へ連絡されるか確認したか 誰に、どのタイミングで、どのような内容を伝えるのか確認する
他の共有者から苦情が来る可能性を想定したか 売却後に連絡が来た場合、どのように対応するか事前に整理する
他の共有者へ事前に伝えるべきか検討したか 関係性や不動産の利用状況を踏まえて、伝えるかどうかを判断する
共有不動産を誰が使用しているか整理したか 居住者・利用者・賃貸利用の有無を買取業者に伝える
固定資産税や管理費の負担状況を整理したか 誰がどの費用を負担してきたのか、未精算分があるか確認する
契約書の内容を確認したか 売買代金、支払日、必要書類、契約解除、違約金の有無を確認する

上記の項目に不安が残る場合は、その場で契約せず、買取業者に追加で説明を求めるのが得策です。相談や査定だけであれば、納得できない段階で断ることも可能です。

まとめ

共有持分を買取業者へ売却すると、売主・買取業者・他の共有者の間でトラブルが起こるケースがあります。

特に、査定額の根拠が不明確なまま契約した場合や、契約を急かされた場合、売却後に買取業者が他の共有者へ強引に対応した場合は、売主本人にも不満や苦情が向く可能性があります。

共有持分の売却でトラブルを避けるには、買取価格の高さだけで業者を選ばないことが大切です。査定額の根拠を説明してくれるか、契約を急かさないか、売却後の共有者対応について事前に説明してくれるかを確認したうえで、信頼できる業者を選びましょう。

相談や査定だけであれば、提示内容に納得できない段階で断ることも可能です。共有持分の売却に不安がある場合は、複数の業者に相談し、対応内容を比較したうえで判断することをおすすめします。

共有持分や共有持分買取業者に関するよくある質問

共有持分は共有者の同意なしで売却できるのでしょうか?

共有持分の売却は、他の共有者の同意がなくても可能です。そのため、事前通知なしで買取業者などの第三者へ売却しても、売買契約自体が無効になるわけではありません。

しかし、事前に何も伝えずに売却すると、他の共有者から「勝手に売った」と反発され、関係が悪化することがあります。また、共有者間の取り決めや売却前の経緯によっては、感情面だけでなく法的なトラブルに発展することもあります。

事前に伝えるべきかどうかは、共有者との関係性や過去の話し合いの経緯によって異なります。迷う場合は、売却前に買取業者へ共有者対応の方針を確認しておくとよいでしょう。

共有持分買取業者の目的は何でしょうか?

共有持分買取業者の主な目的は、買い取った共有持分をもとに共有状態を整理し、不動産を売却・活用しやすい状態にすることです。

共有持分だけでは自由に不動産全体を売却したり活用したりすることはできないため、買取業者は持分を取得した後、他の共有者との協議を進めることがあります。

つまり、共有持分買取業者は、単に持分を買い取るだけでなく、その後の権利調整によって不動産の価値を引き出すことを目的としています。そのため、売却前には、買取後に他の共有者へどのような対応をするのかも確認しておくと安心です。

共有持分の買取業者に査定を依頼しただけで、他の共有者に連絡されますか?

査定を依頼しただけで他の共有者へ連絡されることは多くありません。

通常、査定段階では売主から聞き取った情報や登記情報、物件の状況などをもとに買取価格を算出します。ただし、業者によって対応方針は異なるため、相談前に「査定や契約前に他の共有者へ連絡することはあるのか」を確認しておくことが大切です。

共有持分の買取業者に売却すると、他の共有者は退去させられるのですか?

共有持分を買取業者に売却しただけで、共有不動産に住んでいる他の共有者が直ちに退去させられるわけではありません。

共有者は、共有不動産全体について持分に応じて使用する権利があります。そのため、買取業者が新たな共有者になったとしても、それだけで居住している共有者へ当然に明渡しを求められるわけではありません。

ただし、買取業者が持分を取得した後、他の共有者に対して使用料相当額の支払いを求めたり、不動産全体の売却や共有物分割請求を検討したりすることはあります。その結果、話し合いや裁判手続きの中で、最終的に不動産を売却する流れになる可能性はあります。

こんな記事も読まれています