底地の査定額はいくら?簡易計算方法と売却先別の相場、高く売却するコツ

相続や資産整理、借地人との関係整理などをきっかけに、底地の売却を検討される方は少なくありません。その際、多くの方が気になるのが「いくらで売れるのか」という査定額でしょう。

底地の査定額は、一般的に更地価格の10〜60%程度が目安とされています。これほど価格に幅があるのは、底地という不動産が「誰に売るか」によって評価が大きく変わる特殊な資産だからです。

  • 借地人:更地価格の40~60%程度
  • 買取業者:更地価格の10〜20%程度
  • 投資家:更地価格の30〜50%程度

価格水準だけを見ると、投資家や借地人への売却が有利に見えるかもしれません。

しかし、実務では、投資家が購入を検討するのは「立地が良く、地代が相場水準で安定している」「将来的な権利整理の可能性がある」といった条件を満たす底地に限られます。そのため、投資家への売却が成立するのは一部の条件が整ったケースに限られるのが実情です。

また、借地人への売却は価格面では有利になりやすいものの、借地人の購入意思や資金状況、これまでの関係性によっては交渉がまとまらないこともあります。地主側が売りたいと思っても、相手の合意が得られなければ成立しない点が特徴です。

そのため、実際の相談現場では、借地人との交渉を試みつつ、並行して底地を専門に取り扱う買取業者への売却を検討する、といった進め方が選ばれることも少なくありません。

ただし、売却先の違いだけが査定額を左右するわけではありません。実際には、同じエリア・同程度の更地価格であっても、契約条件や借地人との関係性、法令上の制限などによって、査定額に倍近い差が生じることもあります。

実務では、次のようなポイントを総合的に確認しながら評価を行います。

項目 評価例
借地権の種類 ・定期借地権(残存期間が短い)や使用貸借は価格が上がりやすい
・普通借地権(更新前提)は価格が下がりやすい
借地契約の条件 ・地代が相場水準で定期的に改定されていると価格は上がりやすい
・地代が低いまま未改定、契約が曖昧な場合は価格が下がりやすい
立地や形状 ・駅近や整形地は価格が安定しやすい
・旗竿地や不整形地は価格が下がりやすい
法令上の制限 ・商業地域や容積率が高い土地は評価が上がりやすい
・再建築不可や市街化調整区域は価格が大きく下がりやすい
借地人との関係 ・滞納やトラブルがなく、交渉が円滑な場合は評価が安定しやすい
・滞納や紛争がある場合は価格が下がりやすい

実務では、これらの要素を一つずつ確認しながら、「どこが強みで、どこが減価要因になるのか」を整理していきます。査定額は、その積み重ねの結果として算出されます。

本記事では、底地の査定額の目安や売却先別の相場に加え、更地価格からおおよその査定額を試算する方法、査定額に影響する主な要因、高く査定・売却するためのコツ、そして査定から売却までの流れまで、専門家の視点でわかりやすく解説していきます。

底地の査定額の目安はいくら?

底地の査定額は、一般的に更地価格の10〜60%程度が1つの目安とされます。更地価格とは、借地権が付いていない土地の価格を指します。

更地より安くなるのは、底地には借地権が設定されており、地主が土地を自由に利用できない制限があるためです。

また、底地は「誰に売るか」で価格が大きく変わります。借地人が買い取る場合は、土地と建物を一体で利用できるため、比較的高値がつきやすい傾向があります。

一方、一般の個人にとっては自由に利用できない土地であることから、売却が成立するケース自体が多くありません。

なお、実際の査定額は一律に割合で決まるわけではなく、契約条件や立地、権利関係などを総合的に判断して算出されます。

底地の査定額は売却先によって変動しやすい

底地の査定額は、更地価格の10〜60%程度が目安です。価格に幅があるのは、次のように売却先によって評価が変わるためです。

  • 借地人:更地価格の40~60%程度
  • 買取業者:更地価格の10〜20%程度
  • 投資家:更地価格の30〜50%程度

なお、これらはあくまで一般的な目安であり、実際の査定額は立地条件、地代水準、借地契約の内容、借地権の種類、市場動向などを総合的に判断して決まります。

借地人:更地価格の40~60%程度

借地人に底地を売却する際の価格は、更地価格の40~60%程度が目安です。

他の売却先よりも価格が高くなるのは、借地人が底地を買うことで借地権と底地が一体化し、完全な所有権となるため、土地全体の価値が上がるためです。この上乗せされた価値を「統合利益」と呼びます。

たとえば、第三者に売却した場合の底地価格が1,000万円、借地権が1,400万円、そして一体化後の土地の価値が3,000万円なら、統合利益は600万円となります。

借地人への売却価格は、この統合利益の一部を上乗せした「限定価格」で交渉されます。

たとえば、統合利益600万円を折半すると仮定した場合は、「600万円 × 50% = 300万円」となり、「1,000万円 + 300万円 = 1,300万円」が借地人への売却価格の目安になります。

ただし、どれだけ上乗せできるかは、契約内容や地代水準、これまでの経緯などに左右されるため、実務に詳しい専門家に相談することが重要です。

借地人に底地を売却する際の限定価格については、次の記事でも詳しく紹介しています。

買取業者:更地価格の10〜20%程度

買取業者に底地を売却する際の価格は、更地価格の10〜20%程度が一般的です。

底地は第三者が自由に活用できないため、査定額は地代水準に左右されます。そのため、地代水準が低い場合は、収益性が十分でないと判断されやすく、価格は抑えられる傾向にあります。

弊社が実際に買い取った事例の中に、相続で取得した底地の管理に悩まれていたお客様からのご相談がありました。

【底地の買取事例】
東京都内の住宅地にある底地の事例です。更地として評価すると約2,800万円でしたが、土地上には長年居住している借地人の建物があり、地代は月額7,000円程度でした。
当初、売主様は「立地が良いから高く売れるのでは」と期待されていました。しかし、不動産会社に相談したところ、「一般の買い手にそのまま売却するのは現実的ではない」と説明を受けました。
その理由として、借地権の影響で土地を自由に活用できないこと、投資対象としての需要も限定的であることが挙げられました。こうした事情を踏まえ、底地専門の買取業者への売却を検討されました。
最終的に弊社が現地調査と権利関係を確認したうえで査定を行い、買取価格は約420万円(更地価格の約15%)となりました。

このように、底地を買取業者に売却する場合は、更地価格の10〜20%程度に収まるケースが多くみられます。特に地代水準や契約条件によって評価が大きく左右されるため、事前に相場感を把握しておくことが重要です。

投資家:更地価格の30〜50%程度

投資家に底地を売却する際の価格は、更地価格の30〜50%程度が目安です。

ただし、投資家が購入するのは、立地が良く、将来的な収益性が見込める底地に限られます。たとえば、次のような条件であれば、投資家が興味を示す可能性があります。

  • 都市部・駅徒歩圏内など立地が良い
  • 商業地や準商業地など用途の自由度が高い
  • 地代が相場水準で安定している
  • 借地人との関係が良好である
  • 借地契約の残存期間が短い、または更新時期が近い
  • 将来的に借地権の取得や再開発の可能性がある
  • 面積がある程度まとまっている

もっとも、こうした条件を満たす底地は限定的です。また、投資家への売却を検討する場合は、底地の取引実績が豊富で、投資家ネットワークを持つ不動産会社に相談することが重要です。

底地の査定額を簡易的に調べる方法

底地の査定額は、不動産会社に個別事情を伝えたうえで算出してもらうのが最も正確です。

ただし、「まずはおおよその価格感を知りたい」という場合は、路線価と借地権割合を使って概算を出すことができます。

査定額の簡易的な計算の流れは次のとおりです。

  1. 更地価格を求める
  2. 借地権割合を確認する
  3. 底地価格を求める
  4. 実勢価格に調整する

ここでは、次の前提条件でシミュレーションしていきます。

・路線価:15万円/㎡
・土地面積:120㎡
・借地権割合:60%

1.更地価格を求める

まずは、借地権が付いていない状態の更地価格を求めます。更地価格とは、土地を自由に利用できる前提での価格です。

簡易計算では、国税庁が公表している「路線価」をもとに、次の計算式で求めます。

路線価 × 土地面積 = 更地価格

今回の条件では、次のように計算できます。

15万円 × 120㎡ = 1,800万円

したがって、更地価格は1,800万円となります。

2.借地権割合を確認する

次に、その土地に設定されている借地権割合を確認します。借地権割合とは、「更地価格のうち、借地権がどの程度の価値を占めているか」を示す割合です。地域によって30%〜90%程度まで幅があります。

今回の前提では、借地権割合は60%とします。これは、「土地全体の価値のうち60%は借地人側の権利価値」と考えるという意味です。裏を返せば、残りの40%が地主側(底地)の価値にあたります。

路線価・借地権割合の確認方法

ここまでの計算に必要な路線価と借地権割合は、国税庁が公表している「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認できます。都道府県・市区町村・町名を順に選択すると、該当エリアの路線価図が表示されます。

画像引用:国税庁|財産評価基準書路線価図・評価倍率表
※画像は一例です。

路線価とは、道路に面する宅地1㎡あたりの価格を千円単位で示したものです。地図上には「300D」のように、数字とアルファベットを組み合わせた表示があり、それぞれ次の内容を表しています。

  • 数字:1㎡あたりの価格(千円単位)
  • アルファベット:借地権割合

アルファベットごとの借地権割合は次のとおりです。

  • A:90%
  • B:80%
  • C:70%
  • D:60%
  • E:50%
  • F:40%
  • G:30%

たとえば「300D」と表示されている場合は、1㎡あたり30万円、借地権割合は60%を意味します。

3.底地価格を求める

続いて、底地価格を求めます。底地価格とは、土地全体の価値(更地価格)から、借地人側の権利価値を差し引いた地主側の価値です。

計算式は次のとおりです。

更地価格 ×(100% − 借地権割合) = 底地価格

今回の条件では、次のように計算できます。

1,800万円 ×(100% − 60%) = 720万円

したがって、底地の評価額は720万円となります。これは、相続税評価などの基準となる税務評価ベースの「理論上の底地価格」です。

4.実勢価格に調整する

ここまでで求めた底地価格は、あくまで路線価をもとに算出した「税務上の評価額」です。実勢価格(売却価格)とはズレが生じる点に注意が必要です。

一般に、路線価は実勢価格のおおむね8割程度を目安に設定されているといわれています。そのため、評価額を実勢価格に近づけるには、次のように0.8で割り戻す方法が用いられます。

底地の評価額 ÷ 0.8 = 底地の実勢価格

今回の条件では、次のように計算できます。

720万円 ÷ 0.8 = 900万円

理論上は、約900万円が実勢価格の1つの目安となります。

ただし、これは更地取引の考え方を準用した計算方法です。底地は買い手が限られる不動産であるため、割り戻しどおりの価格で売却できるとは限りません。

「底地の査定額に影響する主な要因」で詳しく解説しますが、底地の場合は、借地契約の内容、地代水準、立地条件、借地人との関係性、市場動向などを総合的に判断して、最終的な査定額が決まります。

まずは簡易計算で大まかな価格帯をつかみ、そのうえで底地の取扱実績がある不動産会社に具体的な査定を依頼することが、現実的で安全な進め方といえるでしょう。

底地査定にはどのような方法がある?専門家が行う評価方法

路線価を用いた底地の簡易計算は、あくまで「目安」をつかむための方法です。実際に不動産会社が査定を行う際は、土地の立地や形状、借地契約の内容、地代水準、将来の交渉リスクなども踏まえながら、複数の評価手法を組み合わせて価格を検討します。

底地の査定で用いられる主な評価方法は、次の3つです。

  • 取引事例比較法
  • 収益還元法
  • 原価法

取引事例比較法

取引事例比較法は、近いエリア・似た条件の底地が「いくらで取引されたか」を参考にして価格を算出する方法です。

マンションや通常の土地売買でも広く使われる評価手法で、底地の場合も基本的な考え方は同じです。ただし、借地契約の内容や地代水準など、底地特有の事情を加味する必要があります。

この方法で算出された価格を「比準価格」といいます。

1.類似する取引事例を集める 次のような条件が似た取引事例を参考に、価格の目安を組み立てる。

・周辺エリア(駅距離、用途地域、地価動向)
・土地条件(面積、形状、接道状況)
・借地契約の内容(借地権の種類、残存期間、更新状況)
・地代水準(相場との比較、滞納の有無)

2.事情補正を行う 早期売却、親族間売買などの特殊な事情がある場合は、その影響を取り除くように価格を調整する。
3.時点補正を行う 不動産価格は市場動向の影響を受けるため、数年前の成約事例をそのまま使うのではなく、現在の価格水準に合わせて修正する。
4.比準価格を算出する 補正後の価格をもとに、評価対象の底地の比準価格を求める。

底地は、同じ地域であっても契約条件や地代の違いによって価格が大きく変わります。そのため、「どの事例を採用するか」「どのように補正するか」によって査定額に差が生じることがあります。

不動産会社によって提示価格に開きが出るのは、比較対象や補正の考え方が異なるためです。底地の取引実績が豊富な会社ほど、適切な事例を収集し、現実に近い比準価格を導きやすい傾向があります。

収益還元法

収益還元法は、将来得られる収益をもとに、投資家や不動産買取業者が価格を判断する際に重視する考え方の1つです。

底地は「安定した収益が見込める」と判断されれば評価は上がりやすくなります。一方で、地代が低く、将来の収益が見込みにくい場合は、査定額は伸びにくくなります。

収益還元法には、主に次の2つの手法があります。

  • 直接還元法
  • DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)

直接還元法

直接還元法は、1年間の純収益を還元利回りで割って価格を求める方法です。

還元利回りは固定の数値ではなく、市場相場や契約内容、リスクの程度を踏まえて不動産会社や投資家が設定します。

リスクが低いと判断されれば利回りは低くなり、価格は高くなります。反対に、リスクが高いと判断されれば利回りは高くなり、価格は低くなります。

計算式は次のとおりです。

年間純収益(地代収入-経費) ÷ 還元利回り = 収益還元価格

たとえば、次のように計算します。

■条件
年間地代:180万円
年間経費(固定資産税など):20万円
還元利回り:8%

■計算式
(180万円-20万円)÷0.08=2,000万円

この2,000万円が、収益面から見た理論上の価格になります。

底地の場合は、地代水準や契約の安定性、将来の交渉リスクなどが利回り設定に大きく影響します。そのため、同じ地代収入であっても、条件次第で査定額が大きく変わることがあります。

実務では、取引事例比較法と併せて、収益面を確認するために直接還元法が用いられることが多いです。

DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)

DCF法は、将来得られる毎年の収益と、将来売却すると仮定した価格を現在価値に割り引いて合計する方法です。

たとえば、5年間保有すると仮定し、その間の毎年の純収益と、5年後の想定売却価格を見積もり、それぞれを割引率で現在価値に換算して合計します。

DCF法では、毎年の収益だけでなく、将来売却時の価格(復帰価格)も織り込み、各年の収益を割引率で現在価値に換算して合計します。より精緻な評価が可能ですが、前提条件の設定によって結果が大きく変わるため、専門的な知識が必要です。

将来の売却価格まで織り込める点が直接還元法との違いですが、前提条件の設定が複雑なため、底地の査定では案件の規模や目的に応じて用いられる評価手法です。一般的な査定では、直接還元法や取引事例比較法を中心に評価することが多い傾向があります。

原価法

原価法とは、 不動産を今あらためて取得すると仮定した場合の再調達原価をもとにし、そこから経年による劣化や価値の減少分(減価修正額)を差し引いて、現在の価格を算出する手法です。

再調達原価 - 減価修正額 = 不動産価格

建物評価でよく用いられる方法で、土地の場合も「再取得するのにいくらかかるか」という観点から検討します。たとえば、造成費や整地費、インフラ整備費などが再調達原価の考え方に含まれることがあります。

ただし、底地の査定においては、こうした費用の積み上げよりも、「もし更地として自由に利用できる状態であればいくらか」という価格を基準に考えるケースが一般的です。そのうえで、借地権が付いていることによる制限やリスク分を減価要因として調整します。

実務では、単純に割合を掛けるだけでなく、借地権の種類や契約条件、立地条件などを踏まえて調整します。

なお、底地は契約内容や収益性が価格に大きく影響するため、原価法が単独で用いられることは多くありません。取引事例比較法や収益還元法と併せて、補助的に活用されることが一般的です。

底地の査定額に影響する主な要因

これまで更地価格に対する一定の割合を目安として紹介してきましたが、実際の査定額はその割合どおりに決まるとは限りません。実務では、次のような複数の要素を総合的に見て評価します。

  • 借地権の種類
  • 借地契約の条件
  • 立地や形状
  • 法令上の制限
  • 借地人との関係

同じエリア・同程度の更地価格であっても、条件次第では査定額に倍近い差が生じるケースもあります。弊社の買取事例をまじえながら、査定額に影響する要因を解説していきます。

借地権の種類

底地の査定額に大きく影響するのが、設定されている借地権の種類です。借地権の内容によって、地主が将来どれだけ土地を自由に使えるかが変わるため、評価に直結します。

主な種類は次のとおりです。

普通借地権 普通借地権は、契約期間が満了しても原則として更新される権利です。借地借家法により借地人の権利が強く保護されているため、地主側から自由に契約を終了させることは容易ではありません。
そのため、将来的に更地として活用できる見通しが立ちにくく、底地の査定額は低くなりやすい傾向があります。
定期借地権 定期借地権は、契約期間が満了すれば更新されることなく終了し、原則として更地で土地が返還されます。
満了時期が明確であるため、将来的な土地活用の見通しが立てやすく、普通借地権よりも高く評価されやすいのが特徴です。特に、残存期間が短いほど査定額は高くなる傾向があります。
使用貸借 使用貸借は、地代を受け取らず無償で土地を貸している状態です。借地借家法の保護は及ばず、借主の権利は借地権に比べて弱くなります。
原則として返還請求が可能なため、実質的な制限が小さいと判断されれば、更地価格に近い評価となるケースもあります。

弊社が、同じエリアで土地の広さもほぼ同じ(更地価格約3,000万円)の底地を査定した際も、借地権の違いだけで評価額に大きな差が生じました。

【査定額の事例】
普通借地権(更新あり): 査定額 約420万円(更地価格の約14%)
定期借地権(残存期間18年): 査定額 約980万円(更地価格の約33%)

このように、借地権の種類だけで査定額に500万円以上の差が生じることもあります。

借地契約の条件

地代や契約期間、更新料の有無など、借地契約の内容は実際の収益に直結するため、査定額を大きく左右します。

特に重要なのは次のポイントです。

  • 地代が近隣相場と比べて適正か
  • 定期的な地代改定が行われているか
  • 契約期間や残存期間はどれくらいか
  • 更新料や承諾料の取り決めが明確か
  • 売却や借地権譲渡に関する特約があるか
  • 契約書や合意書、支払履歴が整理されているか

契約条件の中でも、査定で特に重視されるのは「安定した収益が見込めるか」という点です。

地代が相場水準で、定期的に改定が行われている場合や、更新料・譲渡承諾料の取り決めが明確な場合は、将来も安定した収益が期待できると評価され、査定額は上がりやすくなります。

一方で、地代が相場より低いまま長年改定されていない場合や、契約内容が曖昧で紛争リスクがある場合は、そのリスクや収益の弱さが価格に織り込まれ、査定額は下がりやすくなります。

弊社で査定した2件の底地では、立地条件がほぼ同じにもかかわらず、地代条件の違いによって評価額に大きな差が生じました。

【査定額の事例】
旧契約のまま地代月8,000円(改定履歴なし):査定額 約360万円
定期的に地代改定あり(月32,000円):査定額 約720万円

立地がほぼ同じでも、契約内容次第で査定額に倍近い差が生じることがあります。

立地や形状

底地も一般の不動産と同様に、立地や形状、面積の影響を受けます。特に査定で見られる主なポイントは次のとおりです。

  • 駅からの距離や交通利便性
  • 周辺の地価動向や再開発の有無
  • 土地の形状
  • 接道状況
  • 面積のバランス

駅に近く、需要の高いエリアにある底地は評価が高くなりやすい傾向があります。また、正方形や長方形など整った形の土地は活用しやすいため、価格が安定しやすいです。

一方で、 旗竿地や不整形地は使い勝手が悪く、査定額が下がる要因になります。面積が極端に広い場合や狭小地の場合も、買い手が限定されるため、価格に影響が出やすくなります。

底地はもともと流動性が高い資産ではないため、こうした「売りにくい条件」が重なると価格が大きく下がりやすいのが特徴です。

弊社が同一市内で査定した事例でも、立地や形状の違いによって大きな差が生じました。

【査定額の事例】
駅徒歩12分・整形地(間口広い): 査定額 約540万円
駅徒歩15分・旗竿地(再建築制限リスクあり: 査定額 約260万円

立地と形状の違いだけで、査定額が半分程度まで下がるケースもあります。

法令上の制限

土地には、都市計画法や建築基準法などに基づく法令上の制限があります。これらの規制は、その土地で建てられる建物の種類や規模を決めるルールであり、底地の査定額にも大きく影響します。

特に確認すべきポイントは次のとおりです。

  • 用途地域
  • 建ぺい率
  • 容積率
  • 接道義務
  • 市街化調整区域

用途地域によっては、建てられる建物の種類が制限されます。たとえば、商業地域のように収益性の高い建物を建てられるエリアは評価が高くなりやすい傾向があります。

また、再開発エリアやインフラ整備が進んでいる地域では、将来的な土地利用の拡大が見込まれるため、相対的に高い評価となるケースもあります。

建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」、容積率は「敷地面積に対する延床面積の割合」です。これらの数値が高いほど、より大きな建物を建てることができるため、土地の利用価値は高く評価されやすくなります。

一方で、建築基準法上の接道義務(原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たしていない土地や、市街化調整区域にある土地は、建て替えができない、または大きく制限される可能性があります。

いわゆる「再建築不可」のリスクがある場合、査定額は著しく低くなることがあります。

借地人との関係

借地人との関係性は、数字には直接表れにくいものの、将来の交渉難易度や法的リスクに直結するため、査定額に大きく影響します。

底地は、借地人との関係を前提とした資産です。そのため、次のような点が慎重に確認されます。

  • 地代の滞納や遅延がないか
  • 契約内容をめぐる対立やトラブルがないか
  • 地主変更に対する理解があるか
  • 将来的な売却や借地権整理に前向きか

地代の未払いがある場合や、契約内容をめぐって対立が生じている場合、買主にとっては将来的な訴訟リスクや弁護士費用などのコストが想定されます。その分、リスクが価格に織り込まれ、査定額は低くなりやすくなります。

一方で、借地人が地主変更に理解を示しており、将来的な交渉にも前向きな姿勢が見られる場合は、権利整理の可能性が高まると判断され、評価は上がりやすくなります。

弊社の買取実務でも、物件条件がほぼ同じであっても、借地人との関係性によって査定額が大きく変わったケースがあります。

【査定額の事例】
地主変更に理解があり、過去に購入意思を示している借地人: 査定額 約650万円
地主交代に強い拒否感があり、交渉困難な借地人:査定額 約310万円

同じ立地・同じ規模であっても、交渉可能性の違いだけで査定額が倍近く変わることもあります。

底地の価格の決まり方については、次の記事でも詳しく解説しています。

底地を高く査定・売却するためのコツ

底地を手放すなら、できるだけ高い条件で売却したいと考える方が多いでしょう。

ただし、利用に制限のある底地は、一般的な更地と比べて「買い手が限られやすい不動産」です。そのため、売却先の選び方や事前準備によって、査定額や最終的な売却額に差が出やすい傾向があります。

実務では、次のポイントを押さえておくと、価格面でも手続き面でも有利に進められることが多いです。

  • 借地人への売却を検討する
  • 複数の不動産会社に査定依頼する
  • 地代を見直しておく
  • 借地契約の内容を明確にしておく
  • 借地人との関係を良好に保つ

借地人への売却を検討する

底地を高く売却しやすい相手は、まず借地人です。借地人が底地を取得すると、土地と建物を一体で活用できるようになり、資産価値が高まる可能性があります。

そのため、借地人への売却では、第三者に売却する場合よりも高い「限定価格」が適用され、結果として有利な条件でまとまりやすい傾向があります。

一方で、価格の提示方法や交渉の進め方を誤ると、関係がこじれるおそれがあります。

売却を急がない段階でも、専門の不動産会社に相談し、相場感や適切な進め方を整理したうえで交渉に入ると安心です。

借地人に売却する際の価格や交渉については、次の記事で詳しく解説しています。

複数の不動産会社に査定依頼する

底地は、会社によって査定額に差が出やすい不動産です。収益の見方や将来リスクの捉え方といった評価の前提、底地の取扱経験、想定する買い手層などが異なるため、提示される金額に開きが生じることがあります。

実務では、まず机上査定で複数社の見立てを比較し、説明に納得できる会社に絞って訪問査定へ進むのが一般的です。

ただし、机上査定で高い金額が提示されても、訪問査定で詳細を確認した結果、価格が下がるケースもあります。

そのため、「金額が高い=良い会社」とは限りません。査定額の根拠を具体的に説明できるか、底地の取扱実績があるか、問い合わせへの対応が迅速かなどを総合的に判断して、不動産会社を選ぶことが大切です。

なお、借地人に売却する場合であっても、価格を決める前に査定を依頼し、第三者目線の相場を把握しておくことが重要です。底地の取扱いに慣れた不動産会社に相談することで、統合利益を踏まえた適切な価格水準を検討できます。

地代を見直しておく

借地人に売却できない場合、主な売却先は不動産買取業者になります。立地や地代水準によっては投資家が購入するケースもありますが、いずれの買い手も重視するのが「どれくらい安定した地代収入が見込めるか」という収益性です。

底地は地主が自由に利用できない土地であるため、買い手は将来の地代収入を前提に価格を判断します。そのため、周辺相場と比べて地代が極端に低い場合は、収益性が低いと評価され、査定額や売却価格が伸びにくくなる傾向があります。

反対に、適正水準以上の地代が設定されていれば、安定収益が見込める底地として評価されやすくなります。

現在の地代が相場より低い場合は、借地人と協議のうえ適正水準へ見直すことで、底地の収益性が改善し、結果として査定額や売却価格の向上につながる可能性があります。

ただし、地代の改定には借地人との合意が必要です。一方的に引き上げることはできず、進め方を誤ると関係悪化や紛争につながるおそれもあります。

見直しを検討する場合は、契約内容や地域の相場を確認したうえで、底地の取扱いに慣れた不動産会社に相談しながら慎重に進めることが大切です。

地代の相場

地代の目安は、次の計算式で求められることが一般的です。

地代 = 更地価格 ×(100%-借地権割合)× 5~6%

ここでいう「更地価格」とは、借地権が付いていない状態の土地価格を指します。更地価格は、次の計算式で求められます。

更地価格 = 路線価 × 土地面積

路線価については、国税庁が公表している「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

具体例でみてみましょう。

■条件
路線価:12万円
土地面積:100㎡
借地権割合:40%

■更地価格の計算
12万円 × 100㎡ = 1,200万円

■地代の計算(5%の場合)
1,200万円 ×(100%-40%)× 5% = 36万円

このケースでは、年間の地代収入は約36万円が1つの目安になります。仮に6%で計算すると43万2,000円となり、設定する利回りによって水準は変わります。

なお、地代の算出方法はこれだけではありません。固定資産税・都市計画税の合計額の3~5倍を基準にする方法や、近隣の地代水準と比較して決める方法もあります。

実際の売却を見据える場合は、周辺相場や買い手の評価目線も踏まえて、不動産会社に相談しながら適正水準を判断することをおすすめします。

借地契約の内容を明確にしておく

借地契約書、地代改定の合意書、更新に関する書面、更新料の支払い記録などが整理されていると、「契約が安定して継続している」ことを客観的に示せます。

買い手にとっては将来のトラブルリスクを把握しやすくなり、安心材料となるため、査定の場面でも評価が安定しやすくなります。

契約書が見当たらない、内容が古いままといった場合でも、手元にある資料を整理して相談すれば、現状に応じた対応方法を提案してもらえることがあります。

借地人との関係を良好に保つ

底地は、借地人との関係性が売却の進めやすさに直結します。現地確認の調整や契約内容の確認、将来的な条件交渉など、売却の過程では借地人の協力が必要になる場面が少なくありません。

日頃から連絡が取れている、地代の支払いが安定しているといった状態は、買い手にとっても安心材料になります。関係が安定している底地はリスクが低いと評価されやすく、結果として査定面にもプラスに働くことがあります。

売却を急がない場合でも、必要な連絡が取れる状態を保ち、無理のないコミュニケーションを心がけることが大切です。

底地査定から売却までの流れ

底地を売却する際は、まず現状を整理し、査定で価格の目安を把握したうえで売却方針を決めるのが基本的な流れです。

実務では、借地契約書の有無や地代の履歴、名義の状況などによって、必要書類や進め方が変わることがあります。そのため、早い段階で不動産会社に相談し、進め方を確認しておくとスムーズです。

1.現状整理 ・登記情報や借地契約書、地代の金額・更新状況などを確認する
・共有名義の場合は、共有者間で売却方針を話し合っておく
2.査定を依頼 ・不動産会社に査定を依頼し、価格の目安を把握する
・まずは机上査定で概算を出し、必要に応じて訪問査定を行う
3.売却方針の決定 ・借地人への売却、買取業者への売却、仲介で投資家を探すなど方法を検討する
・価格だけでなく、スピードや手間も踏まえて判断する
4.売買契約の締結 ・価格や引き渡し時期などの条件に合意できたら売買契約を結ぶ
・契約書の作成や重要事項の説明は専門家がサポートする
5.決済・登記 ・売買代金の受け取りと所有権移転登記を行う
・売却で利益が出た場合は、翌年に確定申告を行って譲渡所得税を納める

売却先別の底地売却の流れや、共有名義の底地については、次の記事で詳しく解説しています。

まとめ

底地の査定額は、更地価格の10〜60%程度が目安です。売却先や契約条件によって価格は変動し、借地人に売却する場合は統合利益が加味され、比較的高くなる傾向があります。

自分で概算を知りたい場合は、路線価から更地価格を算出し、借地権割合をもとに底地価格を求める方法が有効です。

ただし、底地は一般の土地と比べて権利関係が複雑で、価格差が生じやすい資産です。適正な査定額を把握するには、複数の不動産会社に相談し、条件を比較しながら進めることが大切です。

よくある質問

底地とはどのような土地?

底地とは、借地人が建物を建てて利用している土地のうち、地主が所有している土地部分のことをいいます。

土地の所有権は地主にありますが、借地権が設定されているため、地主はその土地を自由に使用することはできません。その代わりに、借地人から地代を受け取ることができます。

このように、所有していても自由に使えない点が、通常の更地との大きな違いです。

借地人に知られずに査定を依頼できる?

基本的には可能です。訪問査定ではなく、資料や周辺相場をもとに価格を算出する「机上査定(簡易査定)」を選べば、借地人に知られにくい形で依頼できます。

ただし、実際に売却を進める段階では、現地確認や契約内容の確認が必要になります。

底地が相続トラブルになりやすいのは本当?

ケースによりますが、底地は相続トラブルになりやすい傾向があります。相続人が複数いる場合に共有名義になることが多く、地代の分配方法や借地人への対応方針をめぐって意見が分かれやすいためです。

また、売却や地代の改定など重要な判断には共有者全員の合意が必要になるので、話し合いがまとまらずトラブルに発展するケースもあります。

底地の相続トラブルや手続きについては、次の記事も参考にしてみてください。

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