兄弟間で共有している土地の名義変更をする3つの方法と必要な費用を解説

兄弟間で共有している土地の名義変更をする3つの方法と必要な費用を解説

兄弟で共有名義になっている土地を名義変更し、単独名義にしたいというケースもあるでしょう。しかし、土地の名義変更は人生で何度も経験するものではなく、「共有名義から単独名義する方法が分からない」「どれくらい費用がかかるのか」など不安になるのではないでしょうか。

結論としては、共有名義になっている土地を単独名義にする方法は、下記の5つがあります。

  • 贈与
  • 売買
  • 相続
  • 共有持分の放棄
  • 共有持分の分割

贈与の場合は贈与税が高額になるため、贈与をするくらいなら売買または相続がおすすめです。相続は兄弟の一方が亡くなったタイミングでなければ選択できないため、すぐに単独名義にしたい場合は売買が無難です。共有持分の放棄では、放棄する側は財産を無償で手放すことになり、共有持分を帰属される側は管理や費用の負担が増えるため、当事者間でよく話し合いが必要です。共有持分の分割でも、金銭で共有状態を解決できるため、話し合いで解決できそうな場合はこの方法も活用できます

贈与・売買・相続・共有持分の放棄・共有持分の分割それぞれのメリット・デメリットや活用が向いているケースについて、本文で詳しく解説します。

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兄弟間の土地を名義変更して単独名義にする3つの方法

兄弟間で共有名義になっている土地を単独名義にする方法には、基本的には下記の3つが挙げられます。

贈与 ・贈与をする人(土地を提供する側)の負担が小さい
・贈与を受けた人に高額の贈与税が発生する可能性がある
売買 ・売主・買主の両方にメリットがある
・適正価格での取引なら贈与税は発生しない
・売買で利益が出た場合、売主に譲渡所得税が発生する
相続 ・相続税は贈与税や譲渡所得税よりも税率が低い
・遺言状によって土地を受け継ぐ人を指定できる
・遺留分を侵害すると遺留分侵害請求される可能性がある
・被相続人が亡くなったタイミングでしか活用できない

それぞれメリット・デメリットがあるため、1つずつ詳細を確認しましょう。

贈与|自分の土地を相手に無償で贈る方法

贈与は、一方が財産を無償で相手に与える意思を示し、相手が受諾する方法です。簡単にいえば「タダであげる」ということになります。

ただし、土地の贈与は、贈与を受けた人に、土地の価値に応じた贈与税が発生する可能性があります。贈与税には、毎年110万円の基礎控除が設けられています。そのため、評価額が110万円以下の土地、または評価額が110万円以下の持分割合のみの贈与であれば原則として贈与税はかかりません。

兄弟間の土地の贈与の場合は、「特例贈与財産」ではなく、「一般贈与財産」の税率が適用されます。特例贈与財産とは、父母や祖父母などの直系尊属から、成人した直系卑属へ贈与される財産です。一方、一般贈与財産とは、特例贈与財産以外の全ての贈与財産を指します。特例贈与財産と一般贈与財産の税率・控除額は、基礎控除110万円を除いた財産額が300万円までは同じですが、それ以上の財産額になると一般贈与財産のほうが税率は高く、控除額は低く設定されています。

贈与税の税金は非常に高く、土地の贈与は譲り受ける側の負担が大きい方法といわれています。

売買|対価を受けとって譲り渡す方法

売買は、有償で土地を譲り渡す方法です。売買契約を結び、一方がもう一方に対して持分割合の土地を売却します。

適正な価格で売買契約が成立すれば、贈与税が発生することはありません。しかし、市場価格よりも大幅に安い金額で取引した場合、「みなし贈与」と判断され、市場価格との差額分が贈与税の対象となることがあります。たとえば、本来1,000万円の価値がある土地を100万円で売買した場合、差額の900万円がみなし贈与となり、贈与税の課税対象となるのです。

また、売買によって利益が出た売主に対しては、譲渡所得税が課税されます。贈与と売買では、土地を譲り渡す側・土地を譲り受ける側の課税され対象が異なるのです。ただし、兄弟で土地を売買する場合、大きな譲渡益が発生しない金額で取引されるのが一般的です。贈与税は非常に高額になることから、支払う税金を抑えたいという場合は、贈与よりも売買したほうが圧倒的にお得といえます。

相続|被相続人の財産を相続させる方法

相続とは、亡くなった人の財産・権利・義務を受け継ぐ方法です。亡くなる前に遺言書を作成しておけば、土地を受け継ぐ相続人や遺産の取り分を指定できます。

ただし、一定の相続人には被相続人の財産を最低限取得できる権利「遺留分」があります。法律上、被相続人の遺言があっても遺留分を侵害することはできないことになっています。遺留分は、配偶者・子供・直系尊属(親・祖父母)に対して認められており、兄弟姉妹には認められていません。よって、遺言書に土地を兄弟に相続させると記載してあっても、遺留分権利者の遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害された相続人から「遺留分侵害額請求」される可能性があります。遺留分侵害額請求をされると、金銭で解決を図ることになります。

■遺留分侵害額請求とは
遺留分侵害額請求とは、被相続人が遺留分権利者以外の相続人に財産を贈与・遺贈したことにより、遺留分権利者の遺留分を侵害された場合に、侵害額の返還を求める行為です。遺留分侵害請求では、本人間での話し合い・調停・訴訟といった手続きが行われます。

いずれにしても親族間の争いとなります。遺産分割協議で遺留分を侵害しないよう土地を分割して相続し、後から有償で譲渡してもらう(売買する)ほうが時間的にも経済的にも肉体的にも負担が少なかったというケースは珍しくありません。死後に単独名義になるよう遺言書を作るのであれば、遺留分権利者の遺留分を侵害しないよう配慮が必要です。

そのほかに兄弟間で共有名義にした土地を単独名義に変更する方法

特定の条件をクリアする場合、下記の2つの方法でも兄弟で共有名義になっている土地を単独名義に変えることができます。

  • 共有持分を放棄する:その他の選択肢が使えない場合
  • 共有物を分割する:兄弟間で争わず、話し合いで解決できそうな場合

どのようなケースで活用できるのか、詳細を確認しましょう。

共有持分を放棄する

他の共有者が自分の持分を放棄することで、共有関係を解消できます。共有持分の放棄は、他の共有者の同意は不要で、自分の意思のみで決断することが可能です。共有持分を放棄すると、自分の持分だった土地は他の共有者に帰属することになります。共有者が複数人いる場合、持分は持分割合に従って帰属します。

共有持分の放棄は自分の意思のみで行えますが、他の共有者に告知せずに行うとトラブルになる可能性があります。土地の所有には、税金や管理費がかかるため、他の共有者の負担が増えるためです。

また、共有持分の放棄は早い者勝ちともいわれており、最後の1人になると、放棄はできなくなります。つまり、土地の所有・管理や売却に関する金銭・手間を全て誰かに負担させることになるのです。そのため、共有持分を放棄する際は、他の共有者に口頭+内容証明郵便など証拠が残る形で意思表示をしてから行うのが一般的です。

土地の一部であっても自身の有する財産の一部なので、通常であれば金銭を得られるため売却したほうがお得です。しかし、不動産業者に共有持分の売却を断られたり、共有者の持分の買取を断られたりと、売却する道がない場合には選択肢の1つとなるでしょう。

共有物を分割する

不動産の共有者は、「共有物分割請求」を行う権利を有しています。共有物分割請求権を利用すれば、共有物を分割することができます。

共有物分割請求では、まず当事者間での話し合いを行い、解決しなければ裁判所で共有物分割請求調停を申し立てます。調停では、裁判所の調停員会のサポートを受けながら当事者同士で話し合いを行います。

共有物を分割する方法としては、「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。

■現物分割
現物分割は、不動産をそのままの形=現物で分割して共有状態を解消する方法です。1つの土地を共有名義で所有するのではなく、土地を切り分けてそれぞれを単独で所有させます。単独名義の土地は手に入りますが、所有する土地は狭くなるため、元々の土地の大きさのまま単独所有したい場合には向きません。

現物分割の図

■代償分割(価格賠償)
代償分割(価格賠償)とは、金銭で共有状態を解消する方法です。共有者の1人が土地を取得し、その他の共有者が土地を譲渡する対価として金銭(代償金)を取得します。お金で解決することで、大きさや形を変えずに土地を取得できるため、誰もが土地を所有し続けたくない場合に有力な手段といえます。
■換価分割
換価分割とは、土地を売却した代金を共有者間で分配する方法です。土地全体を売却できれば共有持分だけ売却するよりも高く売れるため、手に入る金額も大きくなります。ただし、1人でも土地を所有しつづけたいという共有者がいれば、この方法は使えません。

共有物分割請求話し合いで決着が付かなかった場合は、共有物分割請求訴訟を提起することになります。訴訟なので、裁判所に共有状態の解消方法を決める判決を下してもらいます。共有分割請求訴訟の判決でも「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれかが決まります。なお、裁判となると、どのような判決が出されるかは裁判所が決めることであり、原告(訴訟を提起した人)が希望した通りになるとは限りません。

兄弟間で土地の名義変更をする流れ

続いては、話し合いがまとまった際に、土地の名義を変更するときの流れをみていきましょう。

  1. 必要書類を準備する
  2. 登記申請書を作成する
  3. 法務局へ登記の申請をする
  4. 登記識別情報などの書類を法務局から受領する

土地の名義変更の流れは大きく上記の4ステップです。法的な知識がなくても自分で手続きできますが、手続きの時間が取れない場合は不動産の名義変更を専門とする国家資格者・司法書士に依頼してもよいでしょう。

必要書類を準備する

まずは、手続きに必要な書類を集めます。土地の名義を変更するには、不動産の所有権の変更に至った理由の証明が必要です。そのため、どのように名義変更するのかによって必要な書類が異なるため注意してください。

【贈与の場合】

  • 登記申請書
  • 贈与契約書(贈与の事実を証明する書類)
  • 土地を贈与をする人の印鑑証明書
  • 土地を贈与を受ける人の住民票
  • 土地の登記識別情報または登記済証(従来の権利証)
  • 不動産の固定資産評価証明書

【売買の場合】

  • 登記申請書
  • 売買契約書(売買があったことを証明する書類)
  • 売主の印鑑証明書
  • 買主の住民票
  • 土地の登記識別情報または登記済証
  • 不動産の固定資産評価証明書

【相続の場合】

  • 登記申請書
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票の除票または附票
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図
  • 各相続人の現在の戸籍謄本
  • 各相続人の印鑑証明書・本人確認書類
  • 土地を相続する人の住民票
  • 不動産の固定資産評価証明書

登記申請書を作成する

必要書類が揃ったら、法務局に申請する「登記申請書」を作成します。登記申請書の様式や記載が必要な項目は決まっています。法務省Webサイトに申請書と記載例があるため、参考にしながら作成しましょう。なお、どのような理由で名義変更をするのかによって、申請書が異なるため、理由に合った申請書を選んでください。

参考:法務局「不動産登記の申請書類様式について」

名義変更に際しては、登録免許税の支払いが必要です。登録免許税は申請書やその他必要書類を提出する際に収入印紙で納めるので、事前に法務局や郵便局で購入しておくとスムーズです。収入印紙は、登録免許税納付用台紙に貼り付けて提出しますが、登録免許税納付用台紙には決まった様式がないため、インターネット上にアップされているサンプルでも、自身で用意した白紙でも構いません。

登録免許税納付用台紙は、登記申請書とホッチキスでセットにして契印をします。見開きの場合は両書類にまたがるように上下2ヵ所に押印、1ヵ所止めの場合は登記申請書を半分に谷折りして、登記申請書の裏面と登録免許税納付用台紙にまたがるように1ヵ所押印します。

高額な登録免許税を納付しなければならない場合は、登録免許税分の金額を銀行から納付し、領収書を申請書に貼り付けるという方法も選択できます。

法務局へ登記の申請をする

登録免許税納付用台紙とセットにした申請書の作成ができたら、その他の書類と一緒に土地の所在地を管轄する法務局に申請します。申請方法は、書面申請とオンライン申請から選べます。書面の場合は裁判所に持ち込む、または郵送で申請します。

また、管轄の法務局以外では、登記手続きができないことになっているため、申請する法務局を間違えないよう注意してください。

参考:法務局「オンライン申請のご案内」
参考:法務局「管轄のご案内」

登記識別情報などの書類を法務局から受領する

申請が完了すると、法務局が審査を行います。法務局の審査期間は法務局の混雑状況によって変わるものの、一般的には1〜2週間程度です。書類に不備があったり、補正が必要だったりすると、追加で対応が必要となるため、さらに時間を要します。司法書士に依頼すれば、書類の不備や記入漏れなどによる差し戻しはまず起こらないため、最短で完了させたい場合は依頼して手続きをするとよいでしょう。

また、審査完了時の連絡はありません。法務局ごとに登記完了予定日がインターネット上に公開されているため、日にちを確認しましょう。「登記完了予定日」この登記完了予定日も混雑状況や書類の不備などによって後ろにずれることがあります。

審査が完了すると、新たな名義人に対して「登記識別情報通知」が発行されます。送付される登記識別情報通知書には、登記識別情報が記載されているため、本人確認やその他の手続きの際に使用する非常に大切な書類です。第三者に見られないよう、厳重に管理しましょう。

土地の名義変更する際にかかる費用

最後は、土地の名義変更にかかる費用と金額を紹介します。

  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 専門家への報酬
  • 不動産取得税
  • 譲渡取得税
  • 贈与税

名義変更をする方法によってかかる費用や金額は異なるため、あくまでも目安としてご確認ください。

登録免許税||登記をする際にかかる税

登録免許税は、不動産の名義変更(登記申請)の手続きにかかる税金です。法務局へ申請する際に収入印紙の購入、または銀行への振込で納付します。登録免許税の税率は、贈与・売買・相続で異なり、不動産の評価額が高いほど高額になるよう設定されています。

■贈与・売買・相続の登録免許税の税率

内容 税率
贈与 固定資産評価額の2%(1,000分の20)
売買 固定資産評価額の2%(1,000分の20)
※2026年3月31日までに登記を受ける場合は(1,000分の15)
相続 固定資産評価額の0.4%(1,000分の4)

参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

■贈与・売買・相続の登録免許税の目安金額

固定資産評価額 贈与・売買 相続
500万円 10万円 2万円
1,000万円 20万円 4万円
3,000万円 60万円 12万円
5,000万円 100万円 20万円
1億円 200万円 40万円

 

印紙税|売買契約書に貼付する印紙代

印紙税は、経済的な取引に伴って契約書・領収書などの文書を作成する場合に課税される税金です。贈与契約書や売買契約書を作成した場合に課税されることになります。課税対象の書類に収入印紙を貼付し、消印を押すことで納付します。

■贈与契約書・売買契約書の印紙税の税額

契約金額 贈与契約書 税額
10万円超・50万円以下 一律200円 200円
50万円超・100万円以下 500円
100万円超・500万円以下 1,000円
500万円超・1,000万円以下 5,000円
1,000万円超・5,000万円以下 1万円
5,000万円超・1億万円以下 3万円

2027年年3月31日まで

専門家への報酬|司法書士などに支払う報酬

不動産の名義変更手続きを司法書士に依頼する場合、報酬の支払いも必要です。司法書士の報酬の相場は10万円前後ですが、先述の通り名義変更には書類を集めたり、申請書を作成したりと手間がかかります。手続きする時間が取れない場合は、依頼するとよいでしょう。なお、報酬は法律で一律に決まっているわけではないので、依頼する事務所や内容によって案件ごとに変わります。

なお、司法書士に依頼する場合でも、書類集めに必要な実費はかかります。たとえば、役所で各種証明書を取得する際や、法務局で登記簿謄本を取得する場合の手数料です。書類の発行にかかる手数料は自治体によって異なるため、ここでは目安金額を紹介します。

■各種書類の取得にかかる費用目安

印鑑証明書 300円
住民票 300円
戸籍謄本 450円
除籍謄本 750円
登記簿謄本(全部事項証明書) 500円
固定資産評価証明書 300円

なお、登記識別情報を紛失した場合、再発行はできません。そのため、登記識別情報の代わりとなる書類を司法書士に作成してもらって手続きを進める必要があります。

不動産取得税|売買によって不動産を取得した際に課される税金

不動産取得税とは、不動産を購入したときに課される地方税です。売買によって他の共有者の持分を購入した際には、自治体に対して取得を申告することで6ヵ月~1年の間に納税通知書が送付されます。

■不動産取得税の税額
固定資産税評価額 × 税率4%

不動産取得税の支払いでは、都道府県の税事務所・金融機関・郵便局の窓口のほか、クレジットカードやスマートフォン決済アプリが使えるところもあります。期日までに納税が行われないと、延滞税が発生したり財産を差し押さえたりといったペナルティが科されるため要注意です。

譲渡所得税|譲渡により利益が出た際に課される税金

譲渡所得税とは、不動産を売却によって発生した売却益に対して課される税金です。譲渡所得税の税額は、譲渡所得金額に、所得税・住民税・復興特別所得税を合算した税額を乗じて計算します。譲渡取得税の税額は不動産を所有していた期間によって異なり、売却した不動産の所有期間が5年以内であれば39.63%に、売却した不動産の所有期間が5年超なら20.315%になります。

■譲渡所得の算出
課税譲渡所得金額=土地の売却価格 -(取得費+譲渡費用)
※土地の売却価格は、固定資産税・都市計画税を清算した金額

取得費は、土地の購入代金と購入に直接かかった費用の合計金額です。購入に直接かかった費用には、土地を購入した際の登録免許税や不動産取得税、印紙税、測量費、整地費用などが含まれます。建物がある場合は、建物の購入代金と購入に要した費用の合計金額から減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費になります。

譲渡費用は、土地を売るために直接かかった費用の合計金額です。不動産仲介手数料や測量費・売買契約書の印紙代、建物の上に建っている建物の取り壊し費用などが含まれます。

■土地の売却における譲渡所得税の税額
短期譲渡所得(売却した不動産の所有期間が5年以内)=課税短期譲渡所得金額 × (所得税30% + 住民税9% + 復興特別所得税0.63%)
長期譲渡所得(売却した不動産の所有期間が5年超)=課税短期譲渡所得金額 × (所得税15% + 住民税9% + 復興特別所得税0.315%)
※2037年までは復興特別所得税は2.1%

参考:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」

贈与税|贈与された不動産の時価をもとに課される

贈与税とは、個人から無償で財産を受け取ったときに、財産を受け取った人に対して課される税金です。「1月1日から12月31日までの間に受け取った金額」を基準に計算されます。

贈与税の課税方法は、原則として「暦年課税」ですが、一定の要件をクリアする場合は「相続時清算課税」が選択できます。

■暦年課税とは
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額に応じて課税される方法。贈与をする人・贈与を受ける人は誰であっても適用される。
■相続時精算課税とは
相続時精算課税は、生前贈与された財産の贈与税を仮払いしておき、贈与した人が亡くなったときに仮払いした贈与税を相続税と清算する方法。相続時精算課税の適用を受けるためには、最初の贈与を受けた年の翌年の指定期間内に、贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付する必要がある。また、贈与した人が贈与した年に60歳以上の父母・祖父母である・贈与を受けた人が18歳以上の推定相続人および孫であるなど、様々な要件が設けられている。

■一般贈与財産の税率

財産額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
4,500万円以下 55% 400万円
4,500万円以上 55% 400万円
■贈与税の税額(暦年課税)
(財産額-基礎控除110万円) × 税率 – 控除額

まとめ

今回は、兄弟で共有名義になっている土地を単独名義にする方法について詳しく解説しました。単独名義にするには、贈与・売買・相続・共有持分の放棄・共有持分の分割という5つの方法があります。活用が向いているシーンやメリット・デメリットが異なるため、状況に応じた方法を検討しましょう。

土地の名義変更をする場合、司法書士に依頼するのが一般的ですが、親族間でトラブルになっている場合は弁護士に相談することをおすすめします。司法書士は登記手続きを専門としており、共有不動産の問題解決は専門外となるためです。話し合いで解決できない場合は、どのように共有状態を解消するかも含めて弁護士に相談しましょう。

兄弟間の土地の名義変更でよくある質問

相続時に長男名義にした土地を次男名義に変更できる?

法律上、遺産分割協議のやり直しによって故人の財産を再分配することは当事者間の合意があれば可能です。しかし、名目上は遺産分割のやり直しであっても、税務上は単に長男名義の土地を次男に贈与するとみなされるため、贈与税が発生します。税務上は、通常の贈与による土地の名義変更と変わらないのです。

相続時の遺産分割行儀が無効になるような事情がある場合を除き、贈与税の支払いは避けられません。共有名義の不動産は親族間のトラブルにもなりやすいため、できるだけ相続時に共有状態にしないほうが無難でしょう。

相続時に兄弟名義にした土地を単独名義に変更できる?

土地を法定相続分の割合で共有名義にした場合、遺産分割は行われていません。そのため、相続時に法定相続分の割合で相続した共有名義の土地は、その後に遺産分割協議を行い、単独名義に変更することが可能です。この場合、初めての遺産分割協議になるので贈与税は課税されません。

しかし、相続時に法定相続分とは異なる割合・方法で遺産を相続していると、遺産分割協議を行ったとみなされます。一般的には遺産分割をするケースが多いため、すでに遺産分割をしてしまっているという状況であれば、名義変更をすると贈与とみなされて贈与税がかかります。

兄弟間で土地を相続する場合の相続税はどうなる?

土地を相続するときの相続税は、固定資産税評価額に基づいて計算されますが、遺産の総額や相続人の数、被相続人との関係によって税額・金額が変動します。

相続税の計算は、国税庁のWebサイトでも掲載されていますが、計算が複雑なので、税務署や税理士に相談するのがおすすめです。

参考:国税庁「No.4152 相続税の計算」

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