共有持分に抵当権を設定する際の注意点は?必要な書類や費用・流れを解説

共有持分に抵当権を設定する際の注意点は?必要な書類や費用・流れを解説

銀行の融資を利用したいとき、不動産の共有持分があれば抵当権を設定でき、融資を受けられる可能性があります。

しかし、抵当権を設定する場合にどのような点に注意すべきか、実際に抵当権をどのように設定し、いくらかかるのか知らなくて困っている方もいらっしゃるでしょう。

共有持分を抵当権に設定する場合、以下のような注意点があります。

  • 共有名義の不動産に対しての行為には制限がある
  • 共有持分の一部に抵当権の設定はできない
  • 完済後でも設定した抵当権は自動的に外れない

ただし、自分の共有持分に抵当権を設定するために、他の共有者からの同意を得る必要はないほか、他にも不動産を所有している場合は、複数の不動産を抵当権の対象にすることも可能です。

また、共有持分に抵当権を設定するには、金融機関との融資契約を締結してから、抵当権を設定するための登記を行う必要があります。書類の作成や手続きが複雑なため、司法書士に登記を委託するのが一般的です。

その際にかかる費用は、債権額が4,000万円程度の場合、20万円程度が相場となります。

本記事では、共有持分に抵当権を設定する場合の注意点に加えて、設定に必要な書類や費用、実際の手続きの流れについて解説します。

共有持分を使って融資を受けたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

共有持分に抵当権を設定する際の注意点

共有状態にある不動産の共有持分には、抵当権を設定できます。ただし、抵当権を設定する場合、以下の注意点があります。

  • 共有名義の不動産に対しての行為には制限がある
  • 他の共有者に同意を得る必要はない
  • 抵当権は不動産全体に影響を及ぼすことはない
  • 共有持分の一部だけに抵当権は付けられない
  • 抵当権は複数の不動産に付けられる
  • 抵当権は完済しても自動的に外れない

それぞれ詳しく解説します。

共有名義の不動産に対しての行為には制限がある

共有名義の不動産に対し共有者ができる行為には制限があります。

制限される行為は次の通りです。

 
行為 行為の具体例 行為に必要な条件
変更行為 不動産全体の売却
建物の解体
不動産全体に対しての抵当権設定
共有者全員の合意が必要
管理行為 賃貸借契約の締結や解除、増改築、リフォームなど 共有持分の過半数の合意が必要
保存行為 欠損部分の補修にとどまる工事
無権利者に対する明け渡し請求など
共有者の単独行為が可能

このように、共有不動産に対して何か行う場合、他の共有者の合意が必要になるケースがあります。

ただし、共有持分は共有者の完全な所有物であるため、共有持分のみの売却や抵当権の設定は自由に行えます。

他の共有者に同意を得る必要はない

自分の共有持分だけに抵当権を設定する場合、他の共有者の同意を得る必要はありません。

前述の通り、自分の共有持分は個人の所有物であるためです。

ただし、債務不履行発生して抵当権が付いた不動産が競売となった場合、自分以外の共有者へ影響が及ぶ恐れがあります。

共有持分に対して抵当権を付けるのは、住宅ローンなどの融資を受ける場合です。受けた融資の返済が滞り、債務不履行となった場合、債権者である銀行などの金融機関は、裁判所に申し立てを行い、共有持分を競売で売却します。

共有持分を売却して、その資金を債権の回収に充てるためです。これを抵当権の実行といいます。

共有持分が競売で落札された場合、落札者は他の共有者に対して共有持分を買い取る提案を行う場合があります。

提案される買取金額が、共有者の納得できる金額なら同意できるかもしれません。しかし、納得できずに買い取りを拒否した場合、落札者が共有物分割を請求する可能性があります。

共有者持分請求とは、不動産などの共有状態を解消することを請求することです。

これは、民法によって規定されており、請求できる権利を共有物分割請求権といいます。

請求に対して話し合いで解決できない場合は訴訟に発展し、裁判所によって共有不動産の分割方法が決定されます。そのため、最終的には自分以外の共有者も、それぞれの持分を失う恐れがあるのです。

そのため、抵当権に関しては必要ではないものの、他の共有者に相談したり、話を付けておいたりした方がいいでしょう。

抵当権は不動産全体に影響を及ぼすことはない

共有持分に抵当権を付けている状況で、共有不動産の分割や分筆を行った場合、影響が不動産全体に及ぶことはほとんどありません。

抵当権を付けた影響は、それぞれの共有持分の範囲内に限定されるからです。

分筆とは、1つの土地を複数の部分に分けて登記することです。

土地は筆という単位で数えられるのが一般的で、登記上では1筆ごとに1枚の登記簿を作成します。そのため、土地を分けて登記することを分筆と呼びます。

例えば、OさんとPさんの2人が200坪の土地を共有しており、Oさんが自身の共有持分に抵当権を付けたケースを考えてみましょう。

分筆によって100坪ずつの土地に分けて登記した場合、OさんとPさんが持つ土地は、それぞれ独立した土地となるため、Oさんが付けた抵当権はOさんのもとの持分にだけ影響することになります。

共有持分の一部だけに抵当権は付けられない

共有持分には抵当権を付けられますが、共有持分の一部だけに抵当権は付けられません。

登記記録において、どの部分に抵当権が設定されたのかを特定できないためです。

そのため、共有持分に抵当権を付けたい場合、全体に設定する必要があります。

例えば、単独名義の不動産を持っている場合、不動産の所有権全体に抵当権を付けなければなりません。

なお、自分の持分に抵当権を付けて借入がしたい場合でも金融機関から認められないケースもあります。

抵当権を付けることは問題ないものの、銀行などの金融機関が融資するかは別の話だからです。

一部の金融機関では、共有持分だけを担保に融資することを認めていますが、制限や条件が設定される可能性もあるため、抵当権の設定や融資の可否については、事前に確認した方がいいでしょう。

抵当権は複数の不動産に付けられる

融資を利用する際の抵当権は、複数の不動産に付けられます。

抵当権とは、債務の担保として提供したものに対して、他の債権者に先立ち金融機関が自己の債権の弁済を受けるための権利のことです。

融資を受ける際に、購入する土地・建物に抵当権を付けた場合、住宅ローンの返済ができなくなったときには、土地・建物を売却して、抵当権を行使できる金融機関が優先的に売却金額を融資の返済に利用できます。

例えば、Oさんがある共有持分だけではなく、単独所有の土地と建物を持っていた場合、Oさんは持分・土地・建物に抵当権を付けられます。

ただし、不動産に抵当権を付ける場合は、登記が必要です。まとめて抵当権を設定した場合は、登記申請書の目的欄に「抵当権設定およびO持分抵当権設定」と記入すれば、複数の不動産に対する登記申請をまとめて行えます。

所有する不動産ごとに申請した場合は、申請した分だけ手数料がかかるため、まとめることで手数料コストを抑えられるメリットがあります。

抵当権は完済しても自動的に外れない

共有持分に抵当権を付けた場合、融資を完済しても抵当権は自動的に外れません。

抵当権の設定を外すためには、抵当権抹消登記の申請が必要だからです。

なお、共有状態にある不動産の全体に抵当権が付いている場合、融資の完済後に共有者本人が手続きする場合は、誰でも単独で抹消登記の手続きができます。

抵当権を外すには手続きが必要であることを理解しておきましょう。

共有持分に抵当権を設定する際に知っておくべき権利

自身の共有持分に抵当権を付ける場合、いくつかの権利が関係してきます。いずれも重要な権利のため、知っておくべきでしょう。

具体的な権利は以下の通りです。

 
権利 内容
抵当権 債権者が不動産(土地・建物)を担保に取る権利
地上権 土地所有者と契約を交わし、他人所有の土地を使用できる権利
法定地上権 法律の規定で生じる地上権

それぞれ詳しく解説します。

抵当権とは「債権者が不動産(土地・建物)を担保に取る権利」

繰り返しになりますが、抵当権とは、債務の担保として提供されたものに対して、銀行などの金融機関が優先的に自己の債権の弁済を受けるための権利のことです。

債務者(=借入をした人)に債務不履行が発生した場合、債権者(銀行など)が建物・土地を担保に残った債務を回収できる権利ともいえます。

抵当権は、住宅ローンを利用する場合に関わることが多いです。住宅ローンを契約する場合、金融機関は利用者が購入する建物や土地に抵当権を付けます。

利用者の返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使して、土地や建物を競売で売却し、売却金額で残債務を回収します。

この場合、抵当権を付けていれば、利用者に住宅ローン以外の一般債務があったとしても、銀行などの金融機関は優先的に弁済できるのです。

住宅ローンを利用する場合、購入物件に抵当権を設定できることを条件にしているケースが多いため、ほとんどの利用者が抵当権に関わることになります。

地上権とは「土地所有者と契約を交わし、他人所有の土地を使用できる権利」

地上権とは、建物や工作物などを所有する目的で他人の土地を使用できる権利のことです。

建物の所有者が土地を使用する際、土地の所有者に地上権を認めてもらう必要があり、
土地の所有者と契約を交わして、地上権を取得できます。

地上権を持つ人は、所有者の許可を得ることなく第三者に土地を貸したり、建物を売ったり、担保にしたりできます。

参考:民法第265条 地上権の内容|e-GOV 法令検索

法定地上権とは「法律の規定で生じる地上権」

法定地上権とは、法律の規定によって生じる地上権のことをいいます。

法定地上権は基本的に地上権と同じですが、抵当権の行使により、土地と建物の所有者が異なるようになった場合に、建物の所有者に認められるのが法定地上権です。

例えば、土地と建物を所有するOさんという人物が建物に抵当権を設定しており、抵当権の実行により建物が競売にかけられた場合、建物を落札した人は土地の所有者であるOさんの合意がなくても土地を使用できます。

なお、法定地上権が認められるには一定の条件を満たす必要があります。要件の詳細については、次項で解説します。

法定地上権が認められるために必要な4つの要件

前述したように、法定地上権が認められるには一定の要件を満たす必要があります。具体的な要点は以下の通りです。

  • 抵当権の設定当初から、土地上に建物がある
  • 抵当権を設定したときに土地と建物の所有者が同じである
  • 土地建物の一方または双方に抵当権が設定されている
  • 抵当権の実行(競売)によって土地と建物の所有者が別々になったこと

それぞれ詳しく解説します。

抵当権の設定当初から、土地上に建物がある

抵当権を設定した当初から、土地の上に建物が存在していることが、法定地上権の要件の1つです。

抵当権を設定する際に地上権のない更地として融資の審査をした場合、その後に建物を建造して法定地上権が成立してしまうと、金融機関が予期できない不利益を受ける可能性があるためです。

そのため、抵当権を設定してから建物を建てた場合は法定地上権は成立せず、建物を撤去して土地を明け渡さなければなりません。

過去の判例でも、土地に抵当権を設定した際に建物が存在しなかったことで、法定地上権の適用が認められなかったことがあります。

なお、土地と建物の所有権が異なる場合は、もとから地上権や賃借権が設定されている場合がほとんどです。

なお、賃借権とは賃貸借契約に基づいて借りる人が持つ権利のことをいいます。

賃借権には、住むために建物を使用する権利と、賃料を支払う義務が含まれています。

参考: 昭和50(オ)1039|裁判所 裁判例結果詳細

抵当権を設定したときに土地と建物の所有者が同じである

抵当権を設定したときに建物と土地の所有者が同一人物であることが、法定地上権が認められる要件の1つです。

土地と建物の所有者が別々の人物であった場合、土地と建物の所有者の間で、借地権に関する取り決めがあるはずです。

そのため、法定地上権を設定する必要がないと考えられます。

なお、借地権とは第三者から土地を借り、地代を支払って借りた土地の上に建物を建てる権利のことをいいます。

借りる側を借地権者、貸す側を借地権設定者または底地人と呼びます。

土地建物の一方または双方に抵当権が設定されている

土地と建物の一方または両方に抵当権が設定されていることも、法定地上権が認められる要件です。

法定地上権とは、抵当権の実行によって土地と建物の所有者が別になった場合に、土地の所有者となった場合に認められる権利です。

土地や建物に抵当権が設定されていなければ、抵当権が実行されることがなく、法定地上権の設定が必要ありません。

ただし、公売委寄って土地と建物の所有者が異なる状況となった場合、抵当権が設定されていない状態でも法定地上権が認められます。

抵当権の実行(競売)によって土地と建物の所有者が別々になったこと

抵当権が実行されて、土地と建物の所有者が別になったことも、法定地上権が認められる要件です。

土地と建物の所有者が同じ場合、権利を認めなくても、建物の撤去や土地の明け渡しなどを請求されるようなことがないからです。

ただし、抵当権の設定がなくても、土地や建物が競売にかけられるケースがあり、その場合は法定地上権が成立します。

参考:民法第388条 法定地上権|e-GOV 法令検索

共有持分に抵当権を設定する流れ

ここでは、共有持分に抵当権を設定する流れを紹介します。具体的な流れは以下の通りです。

  1. 金融機関と金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を締結する
  2. 抵当権設定登記を実施する
  3. 登記事項証明書を取得し、金融機関に提出

それぞれ詳しく解説します。

金融機関と金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を締結する

共有持分に抵当権を付ける場合、金融機関と金銭消費賃借契約を結びます。

金銭消費賃借契約(住宅ローン契約)とは、利用者(債務者)が金融機関(債権者)から金銭を借り、その借入額と利息を債権者に返済するという契約を指します。

抵当権はお金を借りる契約ではなく、融資契約を締結して契約内容を履行できない場合に実行されるものです。そのため、抵当権を結ぶための融資契約を締結します。

金銭消費賃借契約を締結した後、同時に抵当権設定契約を結びます。

抵当権設定契約とは、不動産や共有持分に抵当権を設定するための契約です。

抵当権設定契約には、契約者の返済が滞り、融資が回収できなくなったら、債権者が抵当権を設定した不動産・共有持分を売却できること、売却した代金を返済に充てることなどが記載されています。

そのため、実際に借り入れの弁済が行われない場合は、担保となる不動産は債権者が処分し、その弁済に充てられます。

抵当権設定登記を実施する

金融機関との契約締結が完了すれば、抵当権設定登記を行います。

抵当権設定契約を締結したからといって、自動的に抵当権の設定が完了するわけではありません。

抵当権を設定するためには、不動産の所在地を管轄する法務局での登記手続きが必要です。また、抵当権設定登記には、不動産所有者の印鑑証明書や実印、抵当権設定契約書などが必要になります。

なお、登記書類の作成や申請手続きは個人でも可能ですが、司法書士に依頼するのが一般的です。

登記事項証明書を取得し、金融機関に提出

抵当権設定登記が完了したら、登記事項証明書を取得して金融機関(債権者)に提出します。

登記事項証明書の提出によって、抵当権設定登記が完了したことが証明されます。

抵当権設定登記に必要な書類

抵当権設定登記には、さまざまな書類が必要になります。手続きに必要な書類は以下の通りです。

  • 抵当件設定契約書(金融機関が用意)
  • 不動産所有者の実印
  • 権利証(登記済証または登記識別情報通知)
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
  • 身分証明書(運転免許証など)

※権利証は購入と同時に抵当権設定登記を行う場合は不要。

なお、不動産所有者の登記簿に記載されている住所・氏名と現在の住所・氏名が異なる場合、抵当権設定登記の際に住所氏名変更登記が必要になります。

住所変更登記には住所変更証明書として住民票や戸籍の附票が、氏名変更登記には戸籍謄本と本籍地入りの住民票の提出が必要です。

抵当権設定登記に必要な費用|20万円程度

抵当権設定登記のための書類作成や申請手続きは、司法書士に委託するのが一般的です。

委託する場合にかかる費用の項目は以下の通りです。

  • 登録免許税
  • 司法書士費用
  • その他の費用(必要書類の発行手数料が発生した場合など)

一例として、債権額4,000万円で登録免許税の税率が0.4%、司法書士費用が4万円、必要書類の発行手数料が発生した場合、合計費用は以下のようになります。

 
費用項目 金額
登録免許税 16万円
司法書士費用 4万円
その他の費用 2,000円
費用合計 20万2,000円

ここでは、抵当権設定登記に必要な費用の項目について詳しく解説します。

登録免許税|債権額に対して税率は0.4%

抵当権設定登記を司法書士に委託する場合に発生する費用の1つが、登録免許税です。

登録免許税とは、登記手続きの際に国に納める税金のことです。

抵当権設定登記の場合、登録免許税は一律ではなく、債権額に対して0.4%の税率が課せられます。そのため、債権額が4,000万円の場合、登録免許税額は16万円になります。

ただし、抵当権設定登記にかかる登録免許税については軽減措置が取られており、令和9年3月31日までの措置として、特例税率として登録免許税率が0.1%となります。

軽減税率の対象となるのは、抵当権設定登記を行う不動産が以下のいずれかに該当するケースです。

  • 個人の住宅として使用される床面積が50㎡以上の家屋
  • 昭和57年1月1日以降に建築された中古住宅
  • 一定の耐震基準などに適合する中古住宅

軽減措置に該当する場合、債権額が4,000万円のケースでは、登録免許税額が4万円になります。

なお、登録免許税の税率は、登記内容によって異なります。

例えば、土地の所有権の移転登記を行う場合の税率は以下の通りです。

 
登記内容 課税標準 税率
売買 不動産の価額 2%
相続、法人の合併または共有物の分割 不動産の価額 0.4%
その他贈与、交換、収容、競売など 不動産の価額 2%

※課税標準となる不動産の価額は、原則市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格。
※固定資産課税台帳に登録価格がない場合は、登記官が設定した価額となり、その不動産を管轄する登記所への問い合わせが必要
※売買における土地所有権の移転登記の税率は、令和8年3月31日までに登記する場合は、軽減措置として1.5%となる

また、建物の登記に関する登録免許税は以下の通りです。

 
登記内容 課税標準 税率
所有権の保存 不動産の価額 0.4%
売買または競売による所有権の移転 不動産の価額 2%
相続または法人の合併による所有権の移転 不動産の価額 0.4%
贈与、交換、収用など、その他の所有権の移転 不動産の価額 2%

※不動産の価額については土地の所有権移転の場合と同じ。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

参考:登録免許税に関する資料|財務省

司法書士への報酬相場|3〜5万円位

抵当権設定登記を司法書士に委託する場合、司法書士への報酬が発生します。

繰り返しになりますが、抵当権設定登記は司法書士に委託するのが一般的です。そのため、抵当権設定登記を行う際の必要経費と考えておきましょう。

一般的な報酬相場は、3万円から5万円程度です。

ただし、司法書士への報酬は事務所によって異なり、債権額や抵当権を設定する不動産の物件数によって決められます。そのため、事前に確認しておくことをおすすめします。

その他費用|2,000円程度

抵当権設定登記を司法書士に委託する場合、他にも以下の費用がかかります。

 
内容 金額
印鑑証明書の発行手数料 300円程度(市区町村の役場で発行)
登記事項証明書の発行手数料 ・窓口申請:600円
・オンライン申請、郵送受け取り:500円
・オンライン申請、登記所または法務局証明サービスセンター受け取り:480円

共有持分が競売で落札された際に法定地上権が認められるパターン

共有持分が競売で落札されたときに、法定地上権が認められるパターンを紹介します。

なお、法定地上権が認められることで、建物の所有者に不都合は生じません。

なぜなら、所有する建物に対して地上権という強力な権利が付随することになり、建物だけではなく土地も利用できるようになるからです。

法定地上権が成立した場合、原則として最低でも30年間は建物の所有者に対して、土地の明け渡しまたは建物の撤去を請求できなくなります。

また、法定地上権が成立してから30年が経過しても、正当な理由がない限りは借地権が自動更新されます。

そのため、建物の所有者に対して、一回でも法定地上権が認められると、土地の所有者は自分の土地を自由に活用できなくなり、建物の所有者は建物と土地を自由に利用できるのです。

法定地上権が認められるのは以下の3つのケースです。

  • 建物の共有持分に抵当権が設定|土地は単独名義
  • 土地に抵当権が設定|建物は共有名義
  • 共有名義の土地全体に抵当権が設定|建物は単独名義

それぞれ詳しく解説します。

建物の共有持分に抵当権が設定|土地は単独名義

共有持分が競売で落札されたとき、建物の共有持分に抵当権が付いていて、土地は単独名義となっているケースでは、法定地上権を認める判断が下されます。

例えば、以下のようなケースです。

  • 建物:共有者OさんとPさんの共有名義
  • 土地:Oさんの単独名義

この場合、建物のOさんの持分に付いた抵当権が行使されると、法定地上権が認められます。

この場合、競売の落札者と、Pさんの建物の持分に法定地上権が付くことになり、Pさんに大きな影響が出ることはありません。

むしろ地上権が認められれば、Pさんの保護にもつながります。

土地に抵当権が設定|建物は共有名義

共有持分が競売で落札されたとき、土地に抵当権が付いており、建物が共有状態の場合、法定地上権が認められます。

例えば、以下のようなケースです。

  • 建物:OさんとPさんの共有名義
  • 土地:Oさんの単独名義

このケースでは、Oさん単独所有の土地に付けた抵当権が行使され、法定地上権が認められることになります。

OさんとPさんの建物に法定地上権が成立し、Oさんの抵当権には関係ないPさんにも、かえって有利に働くことになります。

共有名義の土地全体に抵当権が設定|建物は単独名義

共有持分が競売で落札されたときに、共有状態の土地の全体に抵当権が付いており、建物が単独名義の場合も、法定地上権は認められます。

例えば、以下のようなケースです。

  • 土地:OさんとPさんの共有状態
  • 建物:Oさんの単独名義

Oさんの土地の所有権に付いた抵当権が行使されると、Oさんが所有する建物に法定地上権が付きます。

この場合、土地の落札者は取得した土地を自由に使用することができません。

法定地上権が成立した後でも地代は請求できる

共有持分が競売で落札され法定地上権が認められた場合でも、土地の所有者は他建物の所有者に対して地代、つまり土地の利用料を請求できます。

金額は各所有者の協議によって取り決めます。ただし、決まらない場合は地代請求訴訟という裁判によって取り決めることになります。

地代請求訴訟とは、法定地上権において地代の金額設定だけを裁判所が行う手続きのことです。

これは民法第388条に以下のように明記されています。

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

出典:民法第388条 法定地上権|e-GOV 法令検索

なお、一定の条件を満たす場合、土地の所有者は建物の所有者に対して、建物の明け渡しを請求できます。詳しくは時効で解説します。

法定地上権が成立しても建物の明け渡しが請求できるケース

法定地上権が認められた場合、権利の効力が続くのは不動産を落札した時点から30年間と、借地借家法第3条によって定められています。

なお、30年が経過した後、法定地上権の効力は自動更新となり、初回更新後は20年後、2回目以降の更新では10年後が更新のタイミングとなります。

ただし、以下のケースに該当する場合、法定地上権が成立していても、建物の明け渡し請求を行えます。

  • 合意のもとに法定地上権の解消した場合
  • 法定地上権が満了になったとき更新しなかった場合
  • 長期間、地代を滞納している
  • 建物が顕著に老朽化している場合

それぞれのケースについて詳しく解説します。

参考:借地借家法第3条 借地権の存続期間

合意のもとに法定地上権の解消した場合

土地の所有者と建物の所有者が合意した場合、存続期間内でも法定地上権は解消でき、建物の明け渡し請求ができます。

法定地上権の解消は、当事者間で自由に決められるためです。

例えば、土地の所有者か建物を買い取ったり、建物の撤去費用を一部負担したりすることを条件にしたりして、法定地上権の解消を持ちかけるケースなどが考えられます。

また、法定地上権だけではなく、地代についても所有者間の協議によって変更可能です。

法定地上権が満了になったとき更新しなかった場合

法定地上権の期間満了時に更新しなかった場合も、法定地上権は解消され、建物の明け渡し請求が可能になります。

ただし、更新をしない場合には正当な理由が必要になり、理由がない場合は法定地上権が自動更新されます。

理由として認められるのは、以下のようなケースです。

  • 建物の老朽化が進んでいる場合
  • 建物の所有者が建物の使用を必要としていない場合
  • 土地の所有者が土地を利用する必要がある場合
  • 土地の所有者が建物の所有者に対して立ち退き料を支払える場合 など

上記のいずれかの条件を満たしている場合、法定地上権の更新を拒絶できる可能性があります。

長期間、地代を滞納している

建物の所有者が地代を長期間滞納している場合も、土地の所有者は建物の明け渡し請求ができます。

一般的に3ヶ月以上の滞納があれば、契約の解除と明け渡し請求が認められる可能性が高くなるといわれています。

ただし、単純に判断するのは難しく、裁判となった場合には所有者間の信頼関係が破綻しているかどうか、慎重に判断されることになります。

なお、共有持分の家賃の未払い問題について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

共有者に対しても家賃請求は可能?共有持分の家賃未払い問題について解説!

建物が顕著に老朽化している場合

建物の老朽化が著しい場合も、建物の所有者に対して建物の撤去と明け渡し請求が可能です。

この場合、存続期間内であっても、解除を請求できる正当な事由として判断され、法定地上権の解除が認められます。

特に、建物の所有者の管理が行き届いておらず、倒壊寸前であれば地上権が解除される可能性が高いといえます。

また、建物が滅失した場合、地上権は自動的に消滅します。建物の残骸が残っている場合は、建物の所有者に対して撤去を請求でき、土地の明け渡しを受けられます。

まとめ

共有持分を抵当権に設定する場合は、注意点と権利について正しく理解しておく必要があります。また、実際に抵当権を設定する場合は、司法書士などの専門家のサポートを受けるべきでしょう。

自分の共有持分に抵当権を設定して、金融機関から融資を受けたい場合は、本記事を参考に手続きを進めていきましょう。

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