訳あり物件の売却をゼロから解説!プロが教える買取業者選びと進め方

一般的に訳あり物件とは、物理的な欠陥、法律的な制限、環境的な問題、心理的な要因など、何らかの理由で通常の物件よりも取引が難しい、または敬遠される物件のことです。たとえば、事故物件、共有・相続トラブル物件、借地(底地)や借地権が絡む物件、再建築不可物件、物理的瑕疵のある物件などが含まれることがあります。
一部法的制限がかかるケースがあるものの、買い手が納得したうえで売買契約を締結すれば、訳あり物件でも売却は可能です。
訳あり物件の主な種類 | 概要 |
---|---|
事故物件 | 過去に他殺・自殺、特殊清掃が必要な死、火事などが発生した不動産 |
共有・相続トラブル物件 | 共有名義や相続関係のトラブルを抱えている物件 |
借地(底地)・借地権 | 土地を借りて建物を建てている借地人と土地を貸している地主が存在する不動産 |
再建築不可物件 | 建築基準法などの法律の規定に合わず建て替えや増築、大幅なリフォームなどが制限されている不動産 |
物理的瑕疵物件 | 雨漏り、ひび割れ、シロアリ発生といった物理的な問題を抱えた物件 |
その他法律や環境的問題がある物件 | ゴミ、立ち退き、境界が曖昧な土地、違法建築などの問題を存在する物件 |
しかし訳あり物件は、権利関係の複雑さや生活面での問題の多さから、マイホームを探す個人や事務所として利用したい事業者などからの需要が低くなる傾向があります。買い手が現れなかったり、売却価格が著しく安くなったりと、通常物件と比較してさまざまな面で不利になりがちです。
そこで、訳あり物件の売却なら訳あり物件専門の買取業者の利用がおすすめです。専門の買取業者なら、訳あり物件であることを前提に査定・買取をしてくれるため、問題を抱えた不動産でもスムーズに売却しやすくなります。
買取業者に訳あり物件を買い取ってもらう具体的なメリットは、次の通りです。
- 訳あり物件の瑕疵や問題などを考慮したうえで適切な査定をしてくれる
- 仲介よりもスピーディーに売却できる
- 修繕・清掃をしない現況のままで売却できる
- 契約不適合責任が免除されて売却後のトラブルを回避しやすい
- 仲介手数料がかからない
買取業者を選ぶときは、訳あり物件の取引実績、取り扱う訳あり物件の種類、対応エリア、行政処分の有無をしっかり確認しましょう。自分が所有する訳あり物件に適した買取業者を見つけられれば、スムーズな買取や高額査定を期待できます。また売却するときには、トラブルを回避するために告知義務や名義・登記関係などの確認を忘れないようにしてください。
本記事では訳あり物件の買取専門業者であるクランピーリアルエステートが、訳あり物件の種類、買取業者をおすすめする理由、買取業者の選び方、訳あり物件売却の流れ・注意点などを、マニュアル形式でわかりやすくご紹介します。
もし訳あり物件の売却についてお悩みであれば、訳あり物件専門の買取業者であるクランピーリアルエステートへぜひご相談ください。1,500以上の士業と提携した当社であれば、複雑な問題を抱える不動産であってもスムーズかつ高額買取いたします。
目次
訳あり物件でも種類によって売却は可能
訳あり物件とは、一般的に購入希望者から敬遠されやすい事情やリスクを抱えた不動産を指します。なお、「訳あり物件」という言葉に法的な定義はなく、その判断基準は不動産会社や購入者の価値観、状況などによって異なります。
こうした物件は、一般の消費者にとってリスクや不安要素が大きいため、通常の不動産に比べて売却が難航するケースが多いのが実情です。ただし、訳ありであることを理由にすべての物件が売却不可能というわけではありません。物件の状態や背景を買主が十分に理解し、納得したうえで売主と合意すれば、取引が成立するケースも多く見られます。中には「価格が安ければ事情は問わない」と考える買主も一定数存在し、また不動産会社や投資家の中には、こうした物件の特性を理解したうえで積極的に購入を検討する層もいます。このように、訳あり物件には一般的な人気は乏しいものの、状況次第では売却の可能性が十分にあるといえます。
一方で、なかには法的に売買が制限されている、または実務上売却が極めて困難な物件も存在します。以下のようなケースでは、問題を解消しない限り、実質的に売却できないと考えるべきです。
法的に売買が制限される不動産 | 概要 |
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相続登記が未了の不動産 | ・名義人が被相続人のままだと、法定相続人自身が所有者であることを登記上主張できない ・被相続人から買い手へ所有権移転登記を直接おこなうことは認められていない |
共有名義不動産全体の売却において一部の共有者が反対 | ・共有名義不動産全体の売却は共有者全員の同意が必要であり、1人でも反対者がいると全体の売却ができない ・自己の共有持分のみの売却なら認められる |
登記名義人が意思能力を喪失している | ・認知症や精神疾患などが原因で登記名義人の意思能力が喪失していると、たとえ本人が契約締結に合意しても契約が無効になる可能性が高い ・売買をおこなうには成年後見人制度や特別代理人などを選任する必要がある |
差し押さえ中の不動産 | 差し押さえ中であっても「任意売却」なら売却が認められる可能性がある |
抵当権付き不動産 | ・売却は可能だが、競売にかけられて購入者が所有者になれないリスクがあるため敬遠される ・一般的には抵当権を抹消しておく、または売却と同時に抹消する |
不法占有物件 | ・不法占有者がいる不動産だと、占有者とのトラブルや明け渡し請求訴訟への発展などのリスクがあるため売却が非常に難しい ・売り手側が引き渡し義務を果たせず、契約違反になる可能性もある |
このように、訳あり物件には多様なケースが存在し、売却の可否は物件の事情によって大きく異なります。売却を検討する際は、法的な制限や実務上の問題を正しく把握したうえで、適切な対応が求められます。
仲介での売却が難しい?訳あり物件の種類と一般個人からの需要が低い理由
訳あり物件は、「不動産にどのような瑕疵や権利関係が存在するのか」で区分できます。一般的には、「物理的瑕疵」「心理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境的瑕疵」「その他の瑕疵」に分けられます。それぞれの瑕疵の種類、概要、該当する不動産の具体例は次の通りです。
概要 | 具体例 | |
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物理的瑕疵 | 建物の構造上の欠陥、土地の汚染、耐震強度不足など物理的な問題 |
・欠陥 ・シロアリや害獣 ・土壌汚染 ・老朽化 |
心理的瑕疵 | 不動産の購入者・賃借人が心理的に抵抗を覚える問題 |
・過去に殺人や自殺が発生 ・特殊清掃(通常の清掃では対応できない遺体状況・事故現場の清掃)が必要な死 ・過去に火事が発生 ・心霊物件 ・周辺に嫌悪施設(生活や心理に重大な問題を生じさせる施設) |
法律的瑕疵 | 法律や条例などの制限により、建築や権利行使が自由にできない問題 |
・共有名義 ・借地契約 ・建築基準法・都市計画法違反 ・相続トラブルが存在 |
環境的瑕疵 | 匂い・音など不動産の周辺環境に存在する問題 |
・騒音・振動 ・悪臭 ・日照 ・景観・眺望問題 ・将来的な道路計画の対象 |
その他の瑕疵 | 大量のゴミや近所トラブルといった上記には該当しないものの無視できない問題 |
・ゴミ屋敷 ・立ち退き物件 ・隣地との境界が不明瞭 ・隣人トラブル |
当社クランピーリアルエステートでは、下記のような種類の訳あり物件についてよくご相談いただいております。今回はそれに沿って種類ごとにご説明させていただきます。
- 事故物件
- 共有・相続トラブル物件
- 借地(底地)・借地権
- 再建築不可物件
- 物理的瑕疵物件
- その他法律や環境的問題がある物件
訳あり物件を売却するには、「所有する訳あり物件にはどのような瑕疵が存在しているのか」「何が理由で売れないのか」を把握することが大切です。
所有する訳あり物件の種類や問題を理解しておけば、売るための対策や売却先の選定の方向性が定まりやすくなります。以下では、それぞれの訳あり物件の詳細や売れない理由について見ていきましょう。
事故物件|過去に自死や他殺・火事などの心理的瑕疵がある
事故物件とは、過去に以下の人死や事件が発生した、心理的瑕疵を伴う不動産と一般的に解釈されます。
- 殺人や自殺が発生した
- 遺体の発見が遅れて特殊清掃が発生した(自然死、病死など告知義務違反に該当しない死も含む)
- 過去に火災が発生した
前提として、事故物件に法的な定義は存在しません。不動産会社や購入者の主観に委ねられることが多いです。物理的瑕疵や法律的瑕疵、過去に凶悪犯罪があった不動産を、事故物件扱いする業者も存在します。
近年では、心理的抵抗が大きな人の死が発生した不動産を、事故物件とする不動産会社や消費者が増えてきました。その背景として、国土交通省が公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の影響が挙げられるでしょう。
ガイドラインには「人の死が発生した不動産に関する告知義務の基準」が明示されており、記された基準を基に事故物件か否かを判断する不動産会社が多く見られます。
事故物件は買い手にとって購入の心理的ハードルが高く、売却・賃貸契約のどちらでも需要が下がる傾向があります。とくに事件性の高い殺人や、大規模な特殊清掃が必要なほど凄惨な死など、心理的抵抗が大きい死因ほど需要および売却価格が大きく下がるのが一般的です。だからといって、重大な人死の事実や事件などを買い手側に隠して売却したときは、売り手側の告知義務違反となります。
このように、事故物件は訳あり物件のなかでも、需要や取扱い面で多くの問題が見られる不動産だと言えるでしょう。
とはいえ、事故物件に需要がないかと言われるとそうではありません。「訳あり物件でも売却は可能(ただし法的制限がかかることも)」で紹介したアンケート結果などを見るに、不動産を安く購入したいという層からは一定の需要が見込めます。
共有・相続トラブル物件|権利関係の整理がされていない
共有問題や相続問題が存在する不動産は、多くの関係者の思惑や権利関係が複雑に絡みやすいことから、売却の際にトラブルとなるリスクが高まります。
そのため、買い手から「所有すると何かしらの争いに巻き込まれる」と判断されやすいことから、訳あり物件に分類されるのが一般的です。
共有・相続それぞれの権利関係で想定されるトラブルの例は、主に次の通りです。
共有名義不動産での想定トラブル | 相続不動産での想定トラブル |
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共有者全員の同意がないと不動産全体の売却ができない | 相続人やその家族との争いに巻き込まれる |
共有者のうち1人でも連絡できない、住所がわからないなどの状態になると不在者財産管理人の選任や所在等不明共有者の共有持分の取得・譲渡の手続きなど経なければ活用に制限がかかる | 遺産分割協議がまとまらず買い手が売却タイミングをつかめない |
共有者同士で不動産の使用方法や売却価格で争いが起こる | 後から不動産に関する遺言書が見つかったり遺言書の不備が発見されたりなどで売買契約に支障が出る |
共有者の1人が共有持分を第三者に売却しその第三者との争いや法的手続きに発展する可能性がある | - |
共有名義と相続トラブルは重複するケースも珍しくなく、複数の問題が重なると権利関係が混乱しやすくなります。
所有する不動産の名義人や相続関係がはっきりしないときは、事前に不動産の権利関係を把握・整理し、後から問題が発覚して慌てないようにしましょう。必要に応じて、弁護士や司法書士などの専門家へ相談しておくことが大切です。
借地(底地)・借地権|所有者と使用者の権利が分かれている
借地契約は、借地人(土地を借りている側)・地主(土地を貸す側)の双方にメリットがある契約です。しかし、借地人と地主の利害の交錯によるトラブルを買い手側から懸念され、売買取引上にて訳あり物件として扱われる傾向があります。
借地とは、第三者から借りた土地の上に建物を建築・所有できる「借地権」と呼ばれる権利が存在する土地です。借地人からの呼び方が借地、地主からの呼び方が底地となるのが一般的です。
借地人は、賃貸を借りるようなイメージで地主に地代(賃貸契約における家賃のようなもの)を支払い、借地権を得て土地および借地上の建物を活用します。地主は借地人へ土地を貸すことで、地代による収益を得ることが可能です。
借地契約で設定される借地権には、土地の返還時期や条件が異なる「普通借地権」と「定期借地権」が存在します(借地借家法施行前のものは旧借地権と呼ぶことが多い)。
借地権の種類 | 概要 |
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普通借地権 | ・存続期間30年、1回目の更新は20年、2回目以降の更新は10年とする借地契約 ・契約終了時に地主側に土地を返すべき正当な事由がないなら、借地人が希望する限り実質半永久的に継続 |
定期借地権 | ・あらかじめ契約期間に一定の定めを設けて契約満了をもって借地人から地主へ土地が返還される借地契約 ・主に一般定期借地権、事業用借地権、建物譲渡特約付借地権を設定 |
旧借地権 | ・1992年7月以前に契約した借地権 ・旧借地法に基づき非堅固な建物・堅固な建物で契約期間に違いが存在 |
借地と借地の上にある建物(借地権付き建物)は、個別に売却が可能です。「地主だけ交代した」「借地権だけ売却した」という取引も法的に認められており、実務上も実施されています。
とはいえ、借地契約においては土地と建物で権利者が異なることから、交渉や関係維持の負担、契約トラブルのリスクが想定されるため、訳あり物件として扱われるケースが多いです。
借地や借地権の所有によって想定されるトラブルの例は、主に次の通りです。
借地(底地)を所有 | 借地権を所有 |
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借地人が立ち退かない限り更地にできない | 建物の増改築・譲渡・更新などに関して地主の承諾が必要になる |
借地契約が普通借地権や長期の定期借地権となっており土地を購入してもいつまでも返還されない可能性がある | 急な地代・更新料の増加など地主に不誠実な対応をされる |
借地人の地代滞納や死亡、行方不明などが原因で管理するのが難しくなる | 借地権の更新を地主が不当に拒否して言い合いになる |
借地人との交渉や関係維持の労力が継続的に発生する可能性がある | 地主との交渉や関係維持の労力が継続的に発生する可能性がある |
上記に加え、「建物や土地が共有名義だった」「地主が亡くなって相続が発生した」など、借地契約以外の権利関係の問題が加わるとより複雑なトラブルのリスクが想定されます。
再建築不可物件|法律の規定に合わず建て替え・増築などができない
再建築不可物件とは、現行法である建築基準法や都市計画法の規定に合わず、新しく建て替えや大規模な増築・リフォームなどができない建物・土地のことです。再建築不可となる理由で多いものとして、接道義務違反が挙げられます。
接道義務違反の多くは法律違反ではなく、現行法施行前からの建物で現行法施行後に法律に適合しなくなった「既存不適格物件」です。
不動産において「新しく建物が建てられない」「建物を広くできない」というのは、将来性を考えると居住用・事業用のいずれにおいても厳しい制限と言えます。
再建築不可物件が訳あり物件に分類される具体的な理由は、主に次の通りです。
- 建て替えや増築ができないので既存の建物に魅力がないと買い手から興味を持たれない
- 資産価値の低さが原因で住宅ローンを組むのが難しく自己資金で購入するしかないケースが多い
- 現行法施行以前の建物で老朽化が進んでいても大規模なリフォームや修繕ができないため、建物の劣化がさらに進行するリスクがある
- 建物を取り壊して更地するとその後に新築ができず更地のまま保有することになる
ただし、再建築不可物件はセットバックや43条但し書き許可の取得などの方法で、再建築可能状態にできる可能性があります。詳細は「訳あり物件の「訳あり部分」を解消できれば通常物件と同じ相場になる可能性がある」の見出しにて解説しています。
物理的瑕疵物件|建物の欠陥や老朽化などの物理的な問題がある
物理的瑕疵が存在する不動産も、訳あり物件に分類されます。物理的瑕疵とは、不動産の構造・設備の不備、建物の欠陥・損傷など、不動産に存在する物理的な問題です。不動産の機能性、安全性、快適性に悪影響を及ぼすため、買い手側からは敬遠される傾向にあります。
物理的瑕疵の具体例を、建物と土地に分けて見ていきましょう。
建物の物理的瑕疵 | 土地の物理的瑕疵 |
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・屋根、壁、床のひび割れ ・床の傾き ・雨漏り ・建物の基礎部分の沈下 ・耐震強度の不足 ・アスベスト含有建材使用 ・断熱性能の不足によるカビ・結露の頻発 ・シロアリや害獣・害虫の被害 ・残置物などが原因の悪臭の残存 ・電気設備や水道管の老朽化や破損などインフラ関係のトラブル |
・地盤沈下や液状化のリスクがある地盤 ・土壌汚染 ・コンクリート片や井戸、巨大な岩などの地中埋設物 ・敷地が崖に近い |
物理的瑕疵によるリスクの例は、主に次の通りです。
物理的瑕疵によるリスク | 概要 |
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建物が倒壊する | 耐震強度の不足や物理的な欠陥、シロアリなどが原因で建物そのものが倒壊する可能性がある |
後から瑕疵が発生すると契約違反になる可能性がある | 告知義務のある物理的瑕疵を隠すと契約解除や損害賠償請求になる可能性が高い |
建物使用者の身体・精神状態に影響が出る | 傾いた床、土壌汚染、カビなどの影響で建物利用者がケガや病気、その他健康状態の不調につながるリスクがある |
修繕・補修費用が発生する | 物理的欠陥を直すのに余計な修繕・補修費用が発生する |
物理的瑕疵が発生しやすい不動産1つとして、長期間放置されている空き家が挙げられます。放置されている空き家は手入れが行き届いている不動産よりも雨漏り、老朽化、害獣・害虫などが発生するリスクや、倒壊のリスクが懸念されます。
「空き家は訳あり物件だからどうせ売れない」と考えて放置する選択をする人もいますが、物理面や衛生面で問題のある空き家を放置していると、「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されるかもしれません。
特定空き家や管理不全空き家に指定されると、住宅用地の特例の適用が外れて固定資産税が6倍になってしまいます。訳あり物件であっても、利用する予定のない空き家は売却などで手放すことを検討するのがよいでしょう。
参考:NPO法人 空家・空地管理センター「特定空き家とは」
参考:NPO法人 空家・空地管理センター「新たに定義された、「管理不全空家」とは?」
その他法律や環境的な問題がある物件
上記で紹介した不動産以外にも、訳あり物件に分類される法律や環境的な問題がある物件がいくつか存在します。具体例と訳あり物件に該当する理由は、次の通りです。
その他法律や環境的な問題がある物件 | 訳あり物件に該当する理由 |
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ゴミ屋敷 | 建物や敷地内に大量のゴミ・不要物が散乱し、悪臭、害虫、火災、隣人トラブルなどのリスクが存在している |
立ち退き物件 | 物件の入居者やテナントとの立ち退き交渉や明け渡し請求が必要なリスクが存在している |
土地の境界が不明瞭 | 敷地の広さや活用方法について隣地の所有者と揉める可能性が懸念される |
土地の形状・状態が特殊 | 傾斜地、崖地、不整形、土壌汚染などがある土地は建築コストが高い傾向がある |
騒音・異臭トラブル | 強烈な騒音・異臭によって生活や事業が難しい |
周辺に嫌悪施設 | 不動産周辺に暴力団事務所、下水処理場、風俗店、養豚場、墓地など買い手側に不快感や不安を与える嫌悪施設が存在する |
違法建築 | 建ぺい率・容積率の制限オーバーや斜線規制などの法律違反で建て替えや売買に制限がかかる |
訳あり物件の売却価格は通常より下がる?買取相場の目安
訳あり物件は一般的に資産価値が低くなりやすく、買い手が見つかりにくくなるうえに、売却価格も通常物件より下がります。当社クランピーリアルエステートでも、瑕疵の分や権利問題の複雑さなどの訳あり物件特有の評価ポイントを踏まえたうえで、買取価格を提示させていただいています。
あくまでも目安ですが、訳あり物件の売却価格がどの程度下がるかを表にまとめました。
事故物件 | 自然死・不慮の事故 | 通常物件と同じ |
特殊清掃が必要な自然死・不慮の事故 | 通常物件より10~20%減少 | |
自殺 | 通常物件より10~40%減少 | |
他殺 | 通常物件より30~90%減少 | |
その他さまざまな訳あり物件 | 共有名義不動産における共有持分のみ売却 | 通常物件の売却価格✕共有持分割合✕30~50% |
再建築不可物件 | 通常物件より30~70%減少 | |
借地権 | 更地価格の50~70% | |
借地(底地) | 更地価格の10~50% | |
物理的瑕疵のある不動産 | 通常物件より20~30%減少 | |
土地の形状・状態が特殊な物件 | 通常物件より30~40%減少 | |
周辺に嫌悪施設 | 通常物件より20~50% |
先述の通り、上記で紹介した売却価格の下落割合は、あくまで目安です。そのため、実際の売却価格は、不動産の状態・立地・築年数、買い手からの提示条件、交渉内容などによって大きく変動します。たとえば借地を地主に売却するケースだと、地主が「借地をなくして完全に自分だけの不動産にしたい」と考えている場合に、上記の相場よりも高額で買い取ってもらえる可能性もあります。
訳あり物件の売却価格が知りたいなら複数業者への査定依頼がおすすめ
「所有する訳あり物件の売却価格の目安をあらかじめ知っておきたい」と考えるときは、不動産の売買や評価を取り扱う業者に査定を依頼するのがよいでしょう。査定を依頼する際は、1社だけに絞らず複数の業者に相談してみるのがおすすめです。
訳あり物件の査定を複数業者へ依頼する理由・メリットは、次の通りです。
- 複数の査定額を見て適正な市場価格を把握できる
- 査定金額を比較してもっとも納得できる業者を選べる
- サービス内容、担当者の能力・態度、法律問題への対応力など査定額以外のところも比較できる
- 「理由を付けて後から買取価格を下げる」「売却を強引に迫る」など悪質な業者の見分けがつく
- 他社の査定額を交渉時の材料として活用できる
査定の依頼先としては、不動産鑑定士、不動産仲介会社、不動産買取業者などが挙げられます。不動産鑑定士は、費用が高額な代わりに精密な査定が可能です。ただし、買取業者も不動産の専門家であり、正確な査定を十分に期待できます。
訳あり物件の売却価格の目安を知りたいときは、専門の買取業者の査定を利用するのがよいでしょう。
訳あり物件の「訳あり部分」を解消できれば通常物件と近い価格で売れる可能性がある
もし訳あり物件における「訳あり部分」を解消できれば、通常物件の状態で売るときと近い価格で売却できる可能性も高まります。訳あり物件の問題を解消する方法の例は、次の通りです。
訳あり物件の種類 | 訳あり部分をなくす方法の例 |
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共有名義不動産 | 共有者全員の同意を得て不動産全体を一括で売却し実質的に単独名義として手放す |
借地(底地)や借地権 | 借地(底地)は借地人に、借地権は地主に売却することで購入者の単独名義にする |
物理的瑕疵 | 欠陥部分の修繕やリフォームを実施する |
境界が不明瞭な土地 | 土地家屋調査士などの専門家に境界確定を依頼する |
接道義務違反による再建築不可 | 敷地と道路の境界線を後退させて前面道路の幅を広げるセットバック工事や、接する道路を建築基準法の道路として認定してもらうための「43条但し書き道路」の申請などをおこなう |
一方で、殺人や自殺があった事故物件や、周辺に移転予定のない公害施設がある場合など、訳あり部分の解消が難しいケースもあります。
訳あり物件の売却なら専門の買取業者がおすすめ!
訳あり物件を売却する場合は、訳あり物件専門の買取業者を利用するのがおすすめです。買取業者とは、業者自身が不動産を直接買い取るサービスです。
買取業者 | 仲介業者 | |
---|---|---|
提供するサービス | 依頼者から直接不動産を買い取る | 媒介契約を結んで依頼者の不動産を広告し依頼者と購入希望者の売買契約を仲介する |
基本のビジネスモデル | 買い取った不動産を修繕やリフォーム、解体した後、転売や賃貸などで活用する | 売買契約で成立した金額に応じた仲介手数料を得る |
訳あり物件は一般の人からは敬遠されやすいため、売却するのがなかなか難しい不動産です。たとえば、不動産仲介会社を利用するにしても、購入希望者が見つからずいつまでも売れない事態も想定されるでしょう。そもそも、訳あり物件の取り扱いを受け付けていない不動産会社も珍しくありません。
一方で買取業者は、訳あり物件だと業者自身が認識したうえで直接買い取りを行います。また、一般的に訳あり物件買取後のリフォームや転売のノウハウを持っているため、個人からの需要がない不動産でも取り扱ってくれる可能性が高いです。
なかでも、訳あり物件を専門に取り扱う買取業者へ売却すればスムーズな売却が期待できます。訳あり物件の売却で専門の買取業者をおすすめする理由・メリットは、次の5つです。
- 訳あり物件に強い業者なら的確に査定してくれる
- スピード重視なら仲介より買取が有利
- 修繕・清掃不要で「現況のまま」売却可能
- 契約不適合責任の免除で、売った後のトラブルを防げる
- 仲介手数料がかからず費用を抑えられる
訳あり物件に強い業者なら的確に査定してくれる
訳あり物件は通常物件とは異なり、査定時に物理的・心理的な瑕疵、立地・構造、周辺施設といった部分の影響を強く受ける不動産です。
訳あり物件に関する査定経験や専門知識がない買取業者の場合、正確な査定が難しくなります。訳あり物件に関する経験が薄い業者だと、買取後の活用や将来性の読みなどを考慮できず、瑕疵のある物件として大幅な値引き額を提示する可能性も否定できません。
そこで訳あり物件に強い買取業者なら、訳あり物件に関する経験・知識や社内で蓄積した事例・統計などに基づいた、的確な査定を期待できます。専門業者だからこそわかる、訳あり物件の不動産としての価値を評価してくれるでしょう。
スピード重視なら仲介より買取が有利
買取業者への売却は、仲介と比べてスピーディーに成立する可能性が高いです。
不動産仲介での売買取引は、不動産仲介業者との媒介契約を結んだうえで、購入希望者が見つかるまで探したり応募を待ったりする必要があります。また、購入希望者が現れても交渉がうまくいかなければ、契約が不成立となって再度希望者を募らなければなりません。
仲介の場合は、通常物件であっても売却まで平均3~6か月程度かかると言われています。ましてや需要の低い訳あり物件の場合は、売却までさらに時間がかかるリスクも考えられるでしょう。
一方、買取業者であれば、不動産の瑕疵や事情をいち早く理解・査定したうえで直接買い取るため、こちらが買取業者の提示条件に納得できればすぐに売買契約が成立します。媒介契約、希望者の募集、購入希望者との交渉などが発生しません。
そのため、買取の場合は、早ければ査定から数日~1週間で現金化できます。スピードを重視する買取業者であれば、契約成立後、即日~数日で入金される場合もあります。
「空家を早く売却して固定資産税や維持管理費を削りたい」「相続時の財産整理で早めに現金化しておきたい」といったケースでも、専門の買取業者なら迅速な売却を期待できるでしょう。
修繕・清掃不要で「現況のまま」売却可能
訳あり物件専門の買取業者のなかには、修繕・リフォーム、清掃などをせずともそのままの状態で売却できる「現況有姿買取」に対応しているところがあります。物理的瑕疵、設備の不具合、特殊清掃、残置物などを放置したままで査定・引き渡しをした後、買取業者のほうで各種の対応を進めます。
「こちらである程度対応したほうが喜ばれるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、買取業者は一般的に独自の活用方針や原状回復ノウハウを持っており、むしろそのまま渡してくれたほうが都合のよいことが多いです。
現況有姿買取なら、修繕・リフォーム、家具・遺品処理、特殊清掃などに必要な処理費用や時間がかからなくなり、売却時のこちら側の負担が非常に軽くなるメリットがあります。現況のままでもすべてを織り込んだうえで査定するので、現況有姿だからといって売却が低くなる心配もありません。
契約不適合責任の免除で、売った後のトラブルを防げる
訳あり物件専門の買取業者へ売却する場合、買取条件に契約不適合責任免責の特約を入れるところが多く見られます。
契約不適合責任とは、不動産を始めとする売買契約などで引き渡された目的物の種類、品質、数量に関して契約内容と適合しないとき、売り手側に対して買い手が損害賠償請求、契約解除、履行の追完請求、代金の減額請求をおこなう権利を認める制度です(民法第562条、563条、564条)。
要するに、「契約で聞いていた話と違う物件を引き渡された」という買い手の指摘が認められれば、売買契約がなしになったり追加でお金を支払う必要が出たりなど、さまざまな対応を迫られます。
訳あり物件は通常物件よりも瑕疵が多いことから、売却後に隠れた不具合が見つかるリスクが懸念される不動産です。そのため、個人間の売買や仲介での売却だと、後から瑕疵が見つかってトラブルに発展する可能性があります。
しかし、買取業者との取引は、契約不適合責任の免除を前提としているのが通例です。契約不適合責任免責での取引なら、売却後に瑕疵が発覚しても原則として責任を問われずに済みます。後から追加費用の支払いや訴訟となるリスクを心配する必要はないでしょう。売却後の法的リスクを回避できるのは、訳あり物件を買取業者へ売却する大きなメリットの1つです。
参考:国土交通省「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント」
参考:e-Gov法令検索「民法」
仲介手数料がかからず費用を抑えられる
不動産仲介での売却だと、売買契約が成立したときに、売却価格に応じた「仲介手数料」が発生します。仲介手数料の金額の上限は、宅地建物取引業法にて定められています。
売買価格 | 仲介手数料の上限(税抜) |
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200万円以下の部分 | 売買価格✕5% |
200万円超~400万円以下の部分 | 売買価格✕4% |
400万円超の部分 | 売買価格✕3% |
たとえば、不動産仲介での売却価格が1,000万円だった場合、仲介手数料は以下の通りです。
- 200万円以下の部分:200万円✕5%+消費税=11万円
- 200万円超~400万円以下の部分:200万円✕4%+消費税=8万8,000円
- 400万円超の部分:600万円✕3%+消費税=19万8,000円
- 11万円+8万8,000円+19万8,000円=39万6,000円
※なお金額が400万円を超えているときは速算式(売買価格✕3%+6万円+消費税)で算出可能です。
しかし買取業者への売却は仲介ではないため、上記の仲介手数料が一切発生しません。同じ売却価格で売却できたときは、仲介よりも買取のほうが手元に残るお金が多くなります。コストを抑えて確実に売却したいときは、仲介よりも買取のほうが向いていると言えるでしょう。
訳あり物件の買取業者を選ぶ際に見るポイント
訳あり物件の買取業者の利用を検討する際に、「買取業者ならどこでもいい」という考えは避けましょう。自分が所有する訳あり物件を適切に取り扱ってくれる買取業者を選定できれば、売却をスムーズに進めやすくなります。
訳あり物件に豊富な実績を持つ当社クランピーリアルエステートによる、プロの目線から見た訳あり物件の買取業者を選ぶ際のポイントは次の通りです。
- 訳あり物件の買取実績が豊富か
- 対象とする訳あり物件の種類に対応しているか
- 売却予定エリアでの取引実績・対応力があるか
- 過去に行政処分を受けていないか
訳あり物件の買取実績が豊富か
訳あり物件の買取実績が豊富か否かは、買取業者を選定するうえでもっとも重視したいポイントです。
買取業者のなかには、「通常物件は取り扱っているが訳あり物件はほとんど取引実績がない」「訳あり物件も扱っているが特化しているわけではない」といった会社も少なくありません。
訳あり物件の買取実績が少ない買取業者だと、訳あり物件ならではの査定ポイントや買取後の活用方法などを見極められず、適切な評価ができないことが懸念されます。
一方で訳あり物件の買取に特化しているところなら、瑕疵を考慮した適切な査定や、訳あり物件の状態に応じた柔軟な対応などが期待できます。
訳あり物件の買取実績は、公式サイトの事業紹介(どのような訳あり物件を取り扱っているのかなど)、買取事例、相談件数、取引数などで確認できます。可能であれば、電話問い合わせや無料相談を利用し、インターネットでは出回っていない事例・実績を聞いてみるのがおすすめです。
また、Googleの口コミなどで第三者の評価を見てみるのも、買取業者の評判を確認するのに効果的です。全国展開している買取業者だと支店ごとに口コミが掲載されているので、利用予定の支店の口コミを中心に確認してください。
対象とする訳あり物件の種類に対応しているか
訳あり物件と一言に言っても瑕疵の種類や状態によって不動産ごとにまったく性質が異なります。
買取業者を選ぶときは、「訳あり物件を取り扱っているのか」に加えて、「自分が持っている訳あり物件に対応しているのか」も確認しておきましょう。
買取業者のなかには、「事故物件に特化」「再建築不可物件に強い」など特定の訳あり物件の実績が豊富なところも少なくありません。「訳あり物件全般的に強い」と紹介があっても、実績を見ると特定の訳あり物件に特化しているパターンも存在します。
たとえば当社クランピーリアルエステートは、訳あり物件のなかでも「共有名義不動産(共有持分)」「事故物件」「再建築不可物件」「借地(底地)」を主に取り扱っています。
自分が所有する訳あり物件の種類については、本記事「【種類別】訳あり物件の特徴と売却が難しい理由」にてぜひご確認ください。
売却予定エリアでの取引実績・対応力があるか
買取業者を始めとする不動産会社は、全国対応している大手だけではなく、一定の地域にのみ強みを持つところが存在します。買取業者を選ぶ際は、訳あり物件の所在するエリアでの取引実績や対応力があるかの確認もおすすめです。
地域情報に詳しい買取業者なら、地元の人しか知らない交通網、地域ならではの人気や将来性、都市計画など、ローカル情報を踏まえた正確な査定を期待できます。
大手だと評価してもらえない部分が査定に反映され、大手だと断られた訳あり物件を売却できたり、大手より査定額が高額になったりなどパターンも考えられます。
過去に行政処分を受けていないか
依頼したい買取業者が見つかったときは、過去に行政処分を受けていないかもチェックしておきましょう。行政処分とは、法律に基づいて不動産業者の違法行為・不当行為に対し、何かしらの制裁措置をおこなうことです。
不動産買取における行政処分には、行政指導、業務停止、免許取り消しなどが挙げられます。
いくら訳あり物件の取引実績や対応エリアに問題がなかったとしても、過去に法律違反や不当行為をしている買取業者だと、信頼性や誠実さの面で不安が残ります。行政処分を受けたからといって反省しているとは限らず、再び違法行為・不当行為に手を染めている可能性も否定できません。過去に処分対象となったトラブルと、同様の問題に巻き込まれるリスクが想定されます。
以上のことから、無用なトラブルを避ける意味でも、過去に行政処分を受けた買取業者への依頼は止めておくのが無難です。
業者の行政処分の履歴は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトや都道府県のWebサイトにて確認できます。サイト内では処分の理由も明確に記載されており、どのような違反・不正があったのかを確認可能です。
参考:国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」
訳あり物件を買取業者へ売却する際の流れ
訳あり物件を買取業者へ売却する際の流れは、以下の通りです。
- 売却予定の訳あり物件の状態を確認する
- 買取業者へ査定を依頼する
- 査定結果や契約内容に問題がないかを確認し契約を締結する
- 訳あり物件を引き渡す
なお、売却前の前提として「本当に売却しても問題ないか」をしっかり検討しておいてください。
活用が難しい訳あり物件と言えども、自分が所有する不動産を手放すというのは、動く金額を考えると大きなイベントです。そのため、「売らなければよかった」と後悔する前に、周囲の人と相談しながら進めることを推奨します。
1.売却予定の訳あり物件の状態を確認する
売却予定の訳あり物件について、「どのような瑕疵があるのか」「劣化や権利関係はどうなっているか」などの状態を確認しましょう。事前に訳あり物件の状態を確認するメリットは、次の通りです。
- 売却によって解決できる問題が明確になり売却後の生活の展望が開ける
- 瑕疵やその他の状態が明確になれば依頼先の買取業者選びの方向性が決まりやすい
- 伝えるべき瑕疵を整理でき買取業者から告知義務違反が疑われないようになる
- 状態を確認するなかで売却以外の解決方法が出てくる可能性がある
よりスムーズな売却とするためにも、状態の確認はある程度時間をとって実施するのがおすすめです。
2.買取業者へ査定を依頼する
買取業者へ売却することを決めたら、売却先候補となる買取業者へ査定を依頼します。
一般的な依頼の仕方として、まず査定をお願いしたい買取業者と連絡を取ります。公式サイトからの応募フォーム、指定アドレスへのメール・LINE、電話などの方法が指定されているため、買取業者が対応する方法で連絡してみてください。
買取業者によっては、無料相談を受け付けている場合があります。査定前に売買に関する疑問点や買取業者の実績などを確認したいときは、無料相談から利用するのがよいでしょう。
たとえば当社クランピーリアルエステートは、不動産査定フォームやLINE、お電話での無料査定・無料相談を受け付けています。
買取業者の査定は、簡易的な「机上査定」をおこなった後、本格的な買取依頼を検討する際に「現地調査」をお願いして詳細をチェックする流れが一般的です。
査定方法 | 概要・特徴 |
---|---|
机上査定 | 査定依頼者から送られてきた訳あり物件の所在地、面積、築年数、接道状況などの公的データと、周辺の取引事例をもとに算出する簡易的な査定方法。細かい瑕疵など現地でしか確認できない要素は考慮されておらず、本格的な査定をおこなうか否かの判断材料とされるのが基本。 |
現地調査 | 査定担当者が実際に物件を訪問し、担当者自身の足や目で建物の状態、瑕疵の有無、周辺環境、現況(残置物や傾き、においなど)を確認したうえで査定をおこなう方法。実態に沿った査定額を算出することから、現地調査を反映した結果を最終的な売却価格となるケースが一般的。 |
なお、査定をお願いしたからといってその買取業者に買取を依頼する必要はありません。よりよい買取業者選定のために、「机上査定の内容に納得がいかないから他に頼む」「現地調査の結果を見つつ他の買取業者と比較検討する」といった行為も可能です。
3.査定結果や契約内容に問題がないかを確認し契約を締結する
査定結果や売買契約の内容に問題がないかを確認したら、実際に買取業者と売買契約を結びます。契約締結時には、以下の点に注意しておきましょう。
- 売買契約書の内容をしっかりと読み込み売買条件の再確認や交渉内容との齟齬などを確認する
- 登記済権利証や固定資産税評価証明書などの必要書類や、相続関係の書類・境界確認書・土地賃貸借契約書など物件の種類に応じた書類を準備する
- 現況有姿買取で問題ないか、把握している瑕疵はすべて伝えたかなどを確認する
- 相続物件なら相続登記が終了しているかを見る
4.訳あり物件を引き渡す
売買契約を締結したら、後は訳あり物件の引き渡し作業に入ります。具体的には、売却代金の入金、所有権移転登記、鍵の引き渡しなどです。
買取業者によっては、登記手続きやその他準備・手続きもサポートしてくれる場合があります。
訳あり物件を引き渡す際には、登記するタイミングに注意しましょう。入金前に登記を変更させてお金を支払わないという、悪質な業者も存在します。
訳あり物件を買取業者に売却するときの注意点
訳あり物件の売却には、通常物件とは異なる視点での注意点がいくつか存在します。訳あり物件を買取業者に売却するときの注意点は、次の通りです。
- 現況のまま売れる可能性があるため、安易な修繕や解体はNG
- 心理的瑕疵などを隠したまま売却するのは告知義務違反になる
- 売却前に名義・登記情報の確認をする
- 原則として売却時に住宅ローンを完済しておく必要がある
- 登記関係の費用や税金がかかると知っておく
現況のまま売れる可能性があるため、安易な修繕や解体はNG
訳あり物件は老朽化や不具合を抱えていることが多く、「いっそのことすべて修繕・解体してしまえば瑕疵がなくなるのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、買取業者へ訳あり物件を売却するなら、安易な修繕や解体はおすすめできません。訳あり物件の買取業者は、瑕疵や問題が存在することを承知のうえで訳あり物件を買い取っています。先述した現況有姿買取ならリフォームや修繕の対応をする必要がないことから、こちらが支払ったリフォーム代や修繕費などの費用が無駄になってしまいます。
何より、買取業者側は訳あり物件を買い取った後の活用方法やリフォーム計画をすでに決定していることも多く、こちら側で余計な手を加えるのは内心避けてほしいと思っているケースも少なくありません。
なかでも注意したいのが、再建築不可物件の取り扱いです。再建築不可物件は建て替えや増築を法的に制限されている不動産であるため、再建築不可の状態で建物を解体してしまうと、その後の更地に何も建築できない土地になってしまいます。建築できない土地のままだと、買い手からの需要がさらに低下する恐れがあります。
心理的瑕疵などを隠したまま売却するのは告知義務違反になる
不動産を売却する際には、売り手側に「告知義務」が課される場合があります。告知義務とは、不動産に存在する瑕疵など、買い手側にとって取引前から知っておきたかった物件情報について、契約締結前に伝えなければならないという決まりです。宅地建物取引業法47条にて定められています。
(業務に関する禁止事項)
第四十七条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
イ 第三十五条第一項各号又は第二項各号に掲げる事項
ロ 第三十五条の二各号に掲げる事項
ハ 第三十七条第一項各号又は第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
二 不当に高額の報酬を要求する行為
三 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
e-Gov法令検索 宅地建物取引業法第47条
訳あり物件においては、心理的瑕疵、物理的瑕疵、法律的瑕疵といった瑕疵は、基本的に告知義務の対象と思っておきましょう。もし告知義務に違反し買い手側が責任を追求する姿勢を見せたときは、契約解除や損害賠償請求などのトラブルに発展するリスクがあります。
訳あり物件の告知義務でとくに注意したいのは、事故物件の心理的瑕疵です。人死が発生した事故物件に関して、国土交通省が公表する「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にて一定の基準が示されています。
発生した事案 | 告知義務の基準 |
---|---|
基本要綱 | ・告知義務が発生する事案の場合、売買契約においてはいくら時間が経過しても事案の存在を買い手に告げる義務は原則消えない ・賃貸借契約の場合だと、概ね3年経過したときに告知義務は消える(事件性が高いといった事案は除く) |
老衰・持病による病死といった自然死、日常生活中の不慮の事故 | ・原則として告知義務なし ・遺体発見が遅れて特殊清掃が必要になったときはあり |
他殺・自殺 | 告知義務あり |
火災による死 | 告知義務あり |
その他留意事項 | 社会的な影響の大きさなどによっては告知が必要なケースあり |
マンションの専有部分(部屋や庭、ベランダなど)で飛び降り自殺や殺人などが発生したときは、告知義務の対象です。一方で、共用部分で発生したときは原則として告知義務はありません。
もし所有する訳あり物件で何かしらの告知義務が発生する事案があったときは、買取業者に隠さず素直に伝えましょう。一般の人なら契約を再考されることも想定されますが、事故物件に強い買取業者なら問題なく買い取ってくれるはずです。
売却前に名義・登記情報の確認をする
買取業者へ売却する前に、売却予定の訳あり物件の名義・登記情報を確認しておきましょう。
仮に売却手続きを進める人と訳あり物件の名義人が異なると、原則として売買契約を締結できません(成年後見人などは除く)。名義人ではない人が、他人の財産を勝手に売却することになるからです。
また、訳あり物件が共有名義不動産だったときは、自分以外にも複数の共有者が存在します。共有名義不動産は、共有者全員の同意がないと全体売却ができません。
そこで売却前に名義・登録情報を確認しておけば、他共有者とのトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
「手続き者と名義人が異なる」「名義人が複数になる」といった事態になる主な理由は、次の通りです。
- 夫婦の共同出資でマイホーム購入
- 親の土地に子どもが住宅を建築
- 複数の相続人への相続
- 相続登記の未完了
- 親からの贈与
上記の手続きや契約にて不動産を手に入れたときは、必ず一度は名義・登記情報の確認を推奨します。手続き者と名義人が異なるときは、直ちに名義変更の手続きをおこないましょう。登記関係は、司法書士に相談・依頼するのが一般的です。
原則として売却時に住宅ローンを完済しておく必要がある
住宅ローンが残っている不動産は、原則として売却できません。住宅ローンには抵当権が設定されており、その不動産が住宅ローンの借入先の担保になっているからです。一般的に、買い手が抵当権を引き継ぐことはありません。
訳あり物件を売却するときは、住宅ローンが完済されているか確認しておきましょう。
ただし現時点で住宅ローンが残っていても抵当権を抹消、つまり住宅ローンを完済または完済できる見込みができれば売却できます。具体的な例は次の通りです。
- 自己資金で残りの住宅ローンを一括返済できる
- 訳あり物件の売却益で残債を一括返済できる
登記関係の費用や税金がかかると知っておく
買取業者への不動産売却には、仲介手数料はかかりません。一方で、登記関係の費用や、売却に関する税金は発生します。
主な費用と税金は以下の通りです。
費目 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
抵当権抹消登記費用 | 不動産に設定された抵当権抹消に必要な登記手続きの費用 | 1件あたり司法書士への依頼料1万~2万円+登録免許税1,000円 |
住宅ローン一括返済手数料 | 住宅ローンを繰り上げで一括返済するときにかかる費用で金融機関ごとに金額が異なる | 1万~6万円程度 |
譲渡所得税 | 訳あり物件を売って得た利益に対して発生する税金で給料や事業所得とは別途計算する | 訳あり物件の売却益(課税譲渡所得)✕税率20.315%または39.63% |
印紙税 | 日常の経済取引にともなって作成する契約書や金銭の受取書などに課税される税金 | ・取引金額に応じて0円~60万円 ・売却価格1,000万円なら1万円、2,000万円なら2万円 |
上記以外にも、買取業者への別途手数料、共有持分の所有権移転登記、相続登記費用、交通費などがかかる可能性があります。
参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」
参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
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<クランピーリアルエステートを利用したお客様の声>
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企業情報 | 概要 |
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代表者名 | 1億円 |
支店住所 |
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連絡先 |
【東京本社】 TEL:03-6226-2566 FAX:03-6226-3184 【名古屋支店】 TEL:052-990-3558 FAX:052-228-3902 |
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<クランピーリアルエステートの買取実績>
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実際に当社では、「話がこじれている共有者様同士の協議を仲介しスムーズな解決のサポートをした」「相続登記までの一貫対応」といった、専門家の知見や経験を活かした法的な対応を実施してきました。
特徴3.最短12時間査定・全国対応などの充実のサービス
クランピーリアルエステートは、依頼者様のニーズに合わせたさまざまなサービスを提供しています。具体例は次の通りです。
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- 100万円以下~6億円超まで案件の大きさにかかわらず買取
- 契約不適合責任免責で売却後もトラブルの心配なし
- 無料相談でご依頼前の疑問点や不安を解消
上記以外にも、依頼者様の状況に合わせた柔軟なサービスや対応を提供いたします。
まとめ
心理的・物理的・法律的などの瑕疵を抱える訳あり物件は、一般的な買い手から敬遠されやすい不動産です。種類としては事故物件、共有・相続トラブル物件、再建築不可物件、借地権物件などがあり、価格は通常物件に比べて大幅に下落する傾向があります。
とはいえ、欠陥があっても法律上の売却は原則として可能であり、近年では低価格を理由に一部需要も見られます。訳あり物件を売却したいときは、「自分が所有する訳あり物件にはどのような問題や需要があるのか」を分析・把握し、結果を基に売却の方向性を考えることが重要です。
訳あり物件の売却先は、仲介よりも専門の買取業者の利用を推奨します。訳あり物件専門の買取業者ならスムーズかつ安全に売却を進めやすく、契約不適合責任の免除や現況のまま売却できるといったメリットがあります。
確実な売却とリスク回避のためには、実績と専門性を備えた信頼できる業者選びが重要です。公式ホームページでの実績・取扱分野や口コミを確認しつつ、無料相談などで担当者から直接情報を収集するのがよいでしょう。依頼先を選ぶ際は、早々に1社に絞るのではなく、複数の業者に査定をお願いして査定額や対応力の比較検討をおすすめします。