共有名義の不動産でも担保にして借入できる!具体的な借入方法と融資額の相場も解説

共有名義の不動産でも担保にして借入できる!具体的な借入方法と融資額の相場も解説

相続や夫婦・親子での共同購入により、共有名義の不動産を所有している人のなかには、「共有名義の不動産でも担保にして借入できないか」などと考えている人もいることでしょう。

結論からいえば、共有名義の不動産でも担保にして借入できます。ただし、ほかの共有名義者との権利関係などが原因で通常物件よりも資産価値が低くなる傾向があるため、一般的な不動産担保ローンでは担保にしづらいと考えられます。

また、共有持分のみであればさらに資産価値は認められづらく、「共有名義の不動産のうち自分の持分だけを担保にしたい」という場合は一般的な不動産担保ローンからの借入が難しいです。

このような場合、共有名義や共有持分を専門としているローンからの借入を検討するのが得策です。共有名義や共有持分を専門としているローンであれば、共有名義の不動産や共有持分を担保にした借入に期待できます。

さらに、「共有者に内緒で借入しやすい」などのメリットもあるため、共有名義の不動産を担保に借入したい場合には、まず専門ローンの利用を検討してみるとよいでしょう。

当記事では、「共有名義の不動産を担保にして借入する方法」をテーマに、共有名義や共有持分を専門としているローンや融資額の相場について解説していきます。共有名義の不動産を担保にした借入を検討している場合には参考にしてみてください。

目次

専門の不動産担保ローンであれば共有名義や共有持分の不動産を担保に借入できる

不動産を担保に借入できるローンのなかには、共有名義や共有持分を専門としているローンもあります。たとえば、丸の内AMS株式会社や、株式会社大手町フィナンシャルが提供しているローンが該当します。

前提として、法律などで制限されているわけではないため、共有名義の不動産も銀行などが提供するローンの担保にできる可能性はあります。

とはいえ、担保にできるのはある程度の資産価値があることが前提となるため、通常物件よりも需要が低くなるのが一般的な共有名義不動産の場合は、融資額が低くなりやすいです。また、共有持分のみを担保にする場合はさらに資産価値が下がるため、一般的なローンではそもそも担保にできないケースもあります。

一方、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンであれば、共有持分のみであっても担保にできるのが一般的です。また、ほかにもメリットがあり、それらをまとめましたので、共有名義不動産を担保に借入したい場合には参考にしてみてください。

  • 共有名義の不動産のうち自分の持分だけで借入できる
  • ほかの不動産担保ローンよりも高い査定額で借入できる可能性がある
  • ほかの共有者に内緒で借入できる可能性がある

ここからは、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンを利用するメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。

共有名義の不動産のうち自分の持分だけで借入できる

不動産担保ローンで担保に設定できるのは、資産価値があると認められる不動産です。共有名義の不動産は権利関係が複雑で、通常物件よりも資産価値が低くなる傾向があります。

さらに、「共有名義の不動産のうち自分の持分だけを担保にしたい」という場合、不動産の一部だけを担保にするため、不動産全体を担保にするよりも資産価値は基本的に低くなります。

通常の不動産よりも資産価値が低くなりやすいため、一般的な不動産担保ローンでは、自分の持分だけを担保にした借入は難しいケースが多いです。

一方、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンであれば、共有持分だけであっても活用するノウハウや経験があると考えられます。そのため、一般的な不動産担保ローンでは認められづらい自分の持分だけを担保にした借入にも期待できます。

共有名義の不動産のうち自分の持分だけを担保にして借入したい場合には、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンの利用を検討してみるとよいでしょう。

ほかの不動産担保ローンよりも高い査定額で借入できる可能性がある

前述したように、共有名義の不動産のうち自分の持分だけを担保にする場合、通常物件よりも借入できる可能性は低いです。「絶対に担保として設定できない」とはいえませんが、仮に担保として認められたとしても、資産価値の低さから借入できる金額は低くなると予測されます。

一方、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンの場合、共有持分を活用するノウハウや経験があると考えられます。利用者からの返済が滞った場合に担保とした共有持分の所有権が移っても、その不動産を活用し融資額を回収できる体制が取られていると予測されます。

そのため、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンであれば、自分の持分だけを担保にする場合でもほかのローンより高い査定額で借入できる可能性があるのです。

「なるべく融資額が高いローンから借入したい」という場合、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンの利用を検討してみるとよいでしょう。

ほかの共有者に内緒で借入できる可能性がある

詳しくは「物上保証人が必要になるケースが多いためほかの共有者に内緒にしづらい」の見出しで解説しますが、共有名義不動産を担保に借入する場合、ほかの共有名義者からの同意や協力が必要になるケースが多いです。

そのため、借入することをほかの共有名義者に内緒にするのは難しいと考えられます。

一方、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンの場合、共有持分のみを担保にして借入することも可能です。共有持分を活用する際には共有名義者の同意などが不要であるため、そのようなローンであれば共有者に内緒で借入できる可能性があります。

「借入することを共有者に知られたくない」という場合、共有名義や共有持分を専門としている不動産担保ローンの利用を検討してみてもよいでしょう。

一般的な不動産担保ローンで共有名義の不動産を担保にする場合にはさまざまなリスクがある

銀行などの金融機関で用意されている一般的な不動産担保ローンでも、共有名義の不動産を担保に借入できる可能性はあります。ただし、専門のローンとは異なり、一般的な不動産担保ローンで共有名義の不動産を担保にする場合、下記のようなリスクがあるため注意が必要です。

  • そもそも自分の持分だけを担保に融資を受けるのは難しい
  • 物上保証人が必要になるケースが多いためほかの共有者に内緒にしづらい
  • 共有名義者全員からの同意がなければ不動産を担保にできない
  • 共有名義者全員が連帯保証人にならなければならないケースもある

簡単にまとめると、一般的な不動産担保ローンでは、自分の持分だけを担保にするのが難しいうえに共有名義者全員からの協力が必要になります。そのため、「自分の持分だけを担保にしたい」「共有名義者に内緒で借入したい」といった場合、一般的な不動産担保ローンの利用は向かないケースがあります。

ここからは、一般的な不動産担保ローンで共有名義の不動産を担保にする場合のリスクについて、それぞれ解説していきます。「銀行などのローンで共有名義不動産を担保に借入したい」という場合には、利用が向いているかを検討してみてください。

そもそも自分の持分だけを担保に融資を受けるのは難しい

そもそもですが、一般的な不動産担保ローンから自分の持分のみを担保にして融資を受けるのは難しいです。

不動産担保ローンから融資を受けるには、当然担保として認められる不動産が必要です。担保として認められるのは、融資額以上の資産価値がある不動産のみとなります。

不動産の一部のみである自分の持分だけの場合、不動産すべてよりも資産価値は低いとみなされるのが一般的です。そのため、「担保に設定できるほどの資産価値がない」と判断されやすく、共有持分だけで一般的な不動産担保ローンから融資を受けるのは難しいと考えられるのです。

また、共有名義不動産の場合、ほかの共有者との権利関係があるため、通常の不動産よりも扱いが難しく、需要も低くなるのが一般的です。

一般的な不動産担保ローンからの借入を検討している場合、そもそも自分の所有する物件を担保にできない可能性があることを考えておきましょう。

物上保証人が必要になるケースが多いためほかの共有者に内緒にしづらい

共有名義の不動産を担保に借入する場合、物上保証人が必要になるのが一般的です。

物上保証人とは、ほかの人が借入をする際に、自分の財産を担保として提供する人のことです。ローンの契約者からの返済が滞った場合、物上保証人から提供された財産を処分するなどして債務が補填されます。

一般的に物上保証人は、契約者本人に「担保として設定できるものがない」「借入金額に対して担保の価値が低い」といった場合に必要とされています。

共有名義の不動産の場合、前述したように通常の物件よりも資産価値が低くなりがちです。そのため、不動産担保ローンから借入したくても、「借入金額に対して担保の価値が低い」と判断される可能性があり、その場合には物上保証人が必要になります。

共有名義の不動産においては、共有名義者が物上保証人となるのが一般的です。その際には、物上保証人になってもらうための説明や同意が必要となるため、内緒で借入することは難しいです。

共有名義者全員からの同意がなければ不動産を担保にできない

共有持分は自身だけが所有するものであるため、自由に売却や借入の担保などを行えます。

しかし、共有名義の不動産は、共有名義者全員で所有する不動産です。そのため、共有名義の不動産全体を担保にして借入するには、事前に共有名義者全員からの同意を得る必要があります。

たとえば、配偶者と2人で共有名義の不動産を所有している場合、不動産担保ローンを利用するにあたって配偶者からその同意を得なければなりません。

共有者のうち1人でも同意が得られなかった場合、共有名義の不動産全体を担保にすることはできません。その場合には、自分の持分のみを担保に借入するか、ほかの借入方法を検討することを考えてみるとよいでしょう。

共有名義者全員が連帯保証人にならなければならないケースもある

一般的な不動産担保ローンによっては、共有名義の不動産を担保とする場合、共有者全員が連帯保証人になることが条件と定められているローンもあります。連帯保証人とは、契約者本人が返済できなくなった場合、代わりに返済義務を負う人のことです。

連帯保証人が必要な不動産担保ローンであれば、「全員から同意を得る必要がある」「共有名義人全員が連帯保証人となれるほどの返済能力がある」の条件をクリアしなければなりません。

そのため、仮に全員から同意を得られたとしても、共有名義人のうちに1人でも返済能力が認められない人がいれば、そのローンから借入することはできません。あくまで一例ですが、連帯保証人になれない可能性がある人には下記が挙げられます。

  • 給料や年金などの安定した収入がない
  • 過去に債務整理の経験がある

なお、すべての不動産担保ローンで連帯保証人が必要になるわけではありません。共有名義不動産を担保に借入したい場合、利用を検討しているローンで共有名義者全員が連帯保証人となる必要があるかをまずは確かめておくとよいでしょう。

共有名義の不動産を担保にする場合は通常物件よりも融資額が低くなる傾向がある

前提として、不動産担保ローンから借入できる金額は、担保とした不動産の資産価値などによって変わります。金融機関は万が一契約者からの返済が滞った際、貸した金額を回収するために担保をとるため、不動産の資産価値を超えるほどの金額は原則借りられません。

そして、前述しましたが共有名義の不動産は、通常の不動産よりも資産価値が低くなるのが一般的です。また、共有持分のみとなれば、共有名義不動産のうちの一部であるため、さらに資産価値は低くなります。

つまり、共有名義の不動産を担保にする場合は、通常の物件よりも借入できる金額が低くなる傾向があるのです。そのため、「融資額が借りたい金額に届かない」となる可能性もあります。

なお、不動産の資産価値は、立地や広さなどの条件によって変動するため、「共有名義の不動産の場合は融資額が〇〇円になる」のように断言することはできません。あくまで一般的な目安ですが、担保となる不動産評価額の6割~8割程度が借入可能額になるともいわれています。

自身の持分のみを担保にする場合は持分割合によって融資額が決まる

共有名義の不動産を担保に借入したい場合、「共有持分のみを担保にすると融資額はいくらくらいになるのか」などと考える人もいることでしょう。

自身の持分のみを担保にする場合は、原則持分割合によって融資額が決まります。たとえば、相続によって共有名義不動産を所有している場合、法定相続分によって分配された共有持分をもとに不動産担保ローンの融資額が決定されるのが一般的です。

自身の持分のみを担保にする場合、自身の持分割合をもとに不動産担保ローンから借入できる金額の目安を把握しておくとよいでしょう。

とはいえ、夫婦で出資して購入した共有名義不動産の場合など、「自分の持分割合がわからない」というケースもあることでしょう。夫婦で出資して購入した共有名義不動産の場合、主に下記の2パターンで不動産を購入したと想定されます。

  • 出資のみで購入した:出資金額で共有持分が決まる
  • ローンも利用して購入した:契約者の共有持分に借入額が加算される

「出資した金額」「不動産の購入時にローンを利用したかどうか」の2つは、共有名義不動産の持分割合を決定する際に重要なポイントとなります。

ここからは、上記の2パターンごとに共有名義不動産の持分割合の決定方法について解説していきます。「自身の持分割合がわからない」という場合には参考にしてみてください。

ポイント

⚪︎共有名義不動産の持分割合については登記事項証明書で確認できる
共有名義の不動産を所有している場合、自身の持分割合がわからない人もいることでしょう。そのような場合、所有する不動産の登記事項証明書を確認してみるのもよいでしょう。

登記事項証明書とは、不動産の所有者など、その不動産についての情報が記載された証明書のことで、法務局で保管されています。登記事項証明書には「権利部」という欄があり、そこには各共有者の持分割合が記載されています。

最寄りの法務局の窓口、または郵送を請求することで、所有する不動産の登記事項証明書を請求できます。請求方法については、法務局の公式サイト「各種証明書請求手続」のページで確認できるので参考にしてみてください。

出資のみで購入した共有名義不動産は出資金額で持分割合が決まる

「ローンは使わず夫婦で共同出資して購入した」のように、出資のみで購入した共有名義不動産の場合、出資した金額によって持分割合が決まります。

たとえば、5,000万円の不動産を夫婦で共同出資して購入したケースを想定します。夫が3,000万円、妻が2,000万円を出資した場合、それぞれの持分割合は「夫:5分の3」「妻:5分の2」となります。

このケースで夫が自分の持分のみを担保に不動産担保ローンから借入する場合、不動産評価額の5分の3をもとに融資額が決定される仕組みです。

ローンも利用して購入した共有名義不動産は契約者の持分割合に借入額が加算される

住宅ローンを利用して共有名義不動産を購入した場合、ローンの契約者には出資した金額に借入額が加算されて持分割合が算出されます。

たとえば、5,000万円の不動産を夫婦で出資しつつ、夫が住宅ローンの契約者であるケースを想定します。

お互い頭金として2,000万円ずつ出資し、住宅ローンから1,000万円を借りた場合、夫の負担額は3,000万円、妻の負担額は2,000万円となります。そのため、それぞれの持分割合は「夫:5分の3」「妻:5分の2」となります。

このケースで夫が自分の持分のみを担保に不動産担保ローンから借入する場合、不動産評価額の5分の3をもとに融資額が決定されます。

共有名義の不動産を担保に借入する際にはさまざまな書類が必要

共有名義の不動産を担保に借入する場合、さまざまな書類の提出が必要になります。所有する不動産や利用するローンなどによって書類は変わりますが、一般的には下記のような書類の提出が求められます。

  • 身分証明書
  • 印鑑証明書と実印
  • 権利書などの共有名義不動産に関する書類
  • 収入があることを証明できる書類
  • 登記簿の住所氏名が異なる場合は追加書類の提出も必要

ここからは、共有名義の不動産を担保に借入する際に提出する書類について解説していきます。共有名義の不動産を担保にして借入を検討している場合、提出が必要な書類を事前に把握しておくとよいでしょう。

身分証明書

共有名義の不動産を担保に借入する際は、契約者の身分証明書が必須です。身分証明書として認められる書類は金融機関によって変わる可能性はありますが、下記であればいずれも身分証明書として認められます。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 特別永住者証明書
  • 在留カード

なお、連帯保証人や物上保証人が必要な不動産担保ローンの場合、その人の身分証明書の提出も求められる可能性があります。

印鑑証明書と実印

不動産担保ローンを契約する際には、契約書への押印が求められます。そのため、共有名義の不動産を担保に借入する際は印鑑証明書と実印を用意しておきましょう。

印鑑証明書については、発行から3か月以内であるものを求められるのが一般的です。市区町村の役所で発行可能なため、共有名義の不動産を担保に借入する前には準備しておくようにしましょう。

権利書などの共有名義不動産に関する書類

共有名義の不動産を担保に借入する際には、権利書などの共有名義不動産に関する書類の提出も求められます。一般的には下記のような書類が必要です。

  • 登記事項証明書
  • 登記済権利証
  • 登記識別情報
  • 固定資産評価証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 建物図面

なお、不動産の条件や借入する人の状況などによって、共有名義の不動産を担保に借入する際に必要な書類は異なります。

そのため、共有名義の不動産を担保に借入したい場合、利用予定の金融機関の担当者に提出が必要な書類を事前に尋ねたうえで書類を集めるようにするとよいでしょう。

収入があることを証明できる書類

不動産担保ローンに限りませんが、ローンを利用した場合、原則毎月返済が必要となります。返済できない人に融資をしてしまうと貸し倒れとなってしまうため、「返済能力があること」が不動産担保ローンを利用する条件となります。

返済能力を判断する材料はさまざまありますが、「安定した収入があるかどうか」は要因の1つです。そのため、共有名義の不動産を担保に借入するには、収入があることを証明できる書類の提出が必要となります。

収入があることを証明できる書類は金融機関によって変わりますが、一般的には下記のような書類が該当します。

  • 源泉徴収票
  • 給与明細書
  • 特別徴収税額通知書<
  • 登記識別情報
  • 確定申告書
  • 税額通知書

なお、収入があることを証明できる書類は、いずれも最新年度のものに原則限られます。また、状況によっては複数の書類の提出が必要なケースもあるため、共有名義の不動産を担保に借入したい場合は収入を証明できる書類を複数用意しておくのもよいでしょう。

登記簿の住所氏名が異なる場合は追加書類の提出も必要

共有名義不動産を所有している場合、登記簿に記載されている住所や氏名などの情報が現在と異なるケースもあることでしょう。その場合、住所氏名などを変更する登記が必須なため、下記の追加書類の提出も必要となります。

  • 住民票
  • 戸籍謄本

たとえば、登記簿の情報と不動産所有者の氏名が異なる場合、戸籍謄本と住民票が必要になるのが一般的です。住所のみが異なる場合であれば、住民票のみの提出で問題ないケースもあります。

共有名義の不動産を担保にできない際はほかの借入方法も検討する

共有名義の不動産は、ほかの共有者の権利関係などが原因で通常の物件よりも資産価値が低くなりやすいです。そのため、場合によっては共有名義の不動産を担保にできず、借入が難しいケースもあることでしょう。

このような場合、ほかの借入方法を利用することも検討してみましょう。不動産担保ローン以外に借入できる方法の一例をまとめましたので参考にしてみてください。

  • フリーローンなどの無担保ローン
  • 国が用意する公的融資制度
  • 【事業資金の場合】日本政策金融公庫の融資制度

ここからは、不動産担保ローン以外に借入できる方法の例について、それぞれ解説していきます。

フリーローンなどの無担保ローン

銀行などの金融機関は、担保を必要としない無担保ローンも提供しています。無担保ローンは利用者の信用によって融資が行われるため、共有名義の不動産を担保にせず借入が可能です。

無担保ローンの例には、下記が挙げられます。

無担保ローンの例 概要
フリーローン 主に銀行が提供している資金使途が原則自由のローン。必要な資金を一括で借りられ、契約時に定められた返済計画通りに返済をしていくローン。追加借入は原則不可。
カードローン 主に銀行や消費者金融が提供している資金使途が原則自由のローン。利用者の返済能力などに応じて利用限度額が定められ、その金額の範囲内であれば何度も借入が可能。
クレジットカードのキャッシング 主にクレジットカード会社が提供している資金使途が原則自由のローンサービス。クレジットカードの利用限度額の範囲内であれば、何度も借入が可能。

無担保ローンは、主に銀行や消費者金融、クレジットカード会社が提供しています。個人の信用によって借りられる金額が決定されるため、不動産担保ローンのような有担保ローンよりも借りられる金額は低くなると予測されます。

あくまで目安にすぎませんが、数十万円程度の金額を借りたい場合には無担保ローンの利用を検討してみてもよいでしょう。

ただし、無担保ローンの資金使途は原則自由と定められているのが一般的ですが、「事業制資金を除く」とされている傾向があります。そのため、事業資金を借りたい場合には無担保ローンの利用は向かないといえます。

国が用意する公的融資制度

国が用意している公的制度には、生活や事業のための資金を融資する制度もあります。あくまで一例ですが、国が用意する公的融資制度には下記が挙げられます。

公的融資制度の例 概要
生活福祉資金貸付制度 生活が困窮している世帯に生活や福祉、教育にかかる費用の貸付を行うための制度
教育一般貸付(国の教育ローン) 保護者を対象に子どもの教育にかかる費用を貸付するための制度
母子父子寡婦福祉資金貸付金 20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦などを対象にした貸付制度。事業資金や修学にかかる費用などを借りられる。
求職者支援資金融資制度 ハローワークで職業訓練を受講しており、給付金だけでは生活費が足りない人を対象にした貸付制度

※各公的制度名をタップ・クリックすることで、公式サイトを確認できます。

公的融資制度は、さまざまな状況下で経済的に苦しい場合を想定して用意されています。自身の状況に合った制度が用意されている可能性もあるため、共有名義の不動産を担保にして借入できない場合には、公的融資制度の利用も視野に入れてみてください。

なお、市区町村の役所では、自身の状況で利用できる公的融資制度を紹介してもらえます。利用できる公的融資制度を探したい場合には、最寄りの役所に出向いてみるのもよいでしょう。

【事業資金の場合】日本政策金融公庫の融資制度

共有名義の不動産を担保にした借入を検討していた場合、事業資金の融資を希望している人もいることでしょう。その場合、日本政策金融公庫の融資制度も視野に入れてみてください。

日本政策金融公庫とは、主に中小企業や小規模事業者に向けて事業資金の貸付を行っている政府系金融機関のことです。日本政策金融公庫はさまざまな融資制度を用意しています。

「共有名義の不動産を担保にした借入は難しかったが、日本政策金融公庫の融資制度なら事業資金を借りられそう」という場合も考えられるため、事業資金の融資を希望している場合は、日本政策金融公庫の公式サイトから融資制度を探してみるのもよいでしょう。

まとめ

共有名義の不動産の場合、一般的な不動産担保ローンからの借入が難しくなるケースがあります。さらに、共有持分のみを担保にすることは難しいため、共有名義の不動産を担保にした借入を検討しているのであれば、専門の不動産担保ローンの利用を検討するとよいでしょう。

ただし、共有名義の不動産は、通常物件よりも資産価値が認められづらく、不動産担保ローンからの融資額も低くなりやすいです。借入を検討しているのであれば、事前に不動産担保ローンの担当者に相談して、どの程度の融資額を期待できるのかを尋ねておくことが大切です。

なお、公的融資制度や無担保ローンなど、不動産担保ローン以外にも借入方法はあります。「所有する物件を担保にできなかった」「借りたい金額に融資額が届かなかった」といった場合、不動産担保ローン以外の借入方法を検討してみるのもよいでしょう。

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共有名義の不動産を担保にした借入でよくある質問

夫婦で共有名義不動産を購入した際、土地の贈与があった場合は持分割合はどうなりますか?

贈与を受けた人が土地の単独所有となります。建物については出資額によって持分割合が決定されます。

共有名義の土地を勝手に売却できますか?

共有持分のみであれば自由に売却できますが、全体を売却する場合は共有名義者全員からの同意が必要です。

共有名義の不動産を担保にしたローンで返済できない場合はどうなりますか?

担保にした不動産の所有権が債権者に移ります。そのため、担保にした共有名義の不動産を手放す必要があります。

共有名義の不動産を担保に借入する場合、自分の状況でどのような書類が必要でしょうか?

状況によって提出が必要な書類は変わります。そのため、一概に「〇〇が必要」ということはできません。不動産担保ローンの担当者に相談しておくとよいでしょう。

共有持分を専門とするローンでも共有名義の不動産全体を担保に借入できますか?

金融機関にもよりますが、基本的には共有名義の不動産全体を担保にすることは可能です。審査に通過すれば借入も可能なため、まずは金融機関に相談してみるとよいでしょう。

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