不動産の法定相続分だけを売却したい方必見!売却方法や注意点を解説
不動産の相続が発生した場合、自らの法定相続分だけを売却することができます。
法定相続分は、法律上、法定相続人に認められた相続財産の取り分(割合)です。
一般的な遺産相続の流れは次のとおりです。
- 遺言書の有無の確認
- 相続人ならびに相続人の調査・確認
- 相続人全員による遺産分割協議
- 遺産分割協議書の作成
- 相続登記
遺言書があれば、基本的に遺言の内容に沿って遺産分割は進められます。
一方、遺言書がない場合、通常、相続人全員で遺産分割協議をして相続財産の分割方法を決めます。
そのため、遺産分割協議の結果、法定相続分とは異なる分割方法になる場合もあります。いずれにしても、通常は、遺産分割協議で相続することになった不動産の一部もしくは全部を売却するという流れです。
もっとも、遺産分割前であっても、法定相続分を他の法定相続人や第三者に売却することもできます。
特に、次のようなケースでは、遺産分割前に法定相続分の売却を積極的に検討すべきでしょう。
- 不動産を共有名義にしたくない場合
- 遺産分割で揉め事が起こっている場合
- 相続する不動産の価値が低い場合
- 遺産相続後の手続きや管理に手間をかけたくない場合
ただし、不動産の法定相続分だけを売却する場合、購入者は不動産の権利の一部だけを取得することになり、自由に利用・処分できないため、一般市場で買い手を見つけることは難しくなります。
また、遺産分割前に売却する場合、注意しなければ他の相続人とトラブルとなる可能性もあります。
そのため、不動産の法定相続分の売却では、共有持分専門の買取業者への売却がおすすめです。
共有持分に精通する買取業者であれば、他の相続人とのトラブルも回避しつつ買主を探す必要もないため、現金化までスピーディに進めることが可能です。
この記事では、法定相続分を売却するにあたって、法定相続分の基礎知識から売却方法、売却する際の注意点まで解説します。
目次
相続発生時の法定相続分の前提知識
最初に、法定相続分の売却について理解するうえで、必要な前提知識を紹介します。
- 法定相続分|民法で定められた相続財産の取り分のこと
- 法定相続分は「遺言」「遺産分割協議」の順に優先される
- 法定相続分の決まり方|相続順位とその割合
- 遺産分割協議で合意が取れなければ調停や審判が行われる
法定相続分|民法で定められた相続財産の取り分のこと
法定相続分とは、民法第900条以下で定められた、被相続人(亡くなった方)の一定範囲の親族に与えられた相続権です。法律上定められた相続財産を受け取る権利(割合)といえます。
実際に被相続人と生前どういった関係性であったか、交流があったかなどの事情に関係なく、法定相続人には遺産を受け取る権利があります。
法定相続分は「遺言」「遺産分割協議」の順に優先される
複数の相続人で相続財産を分割する方法として、法定相続分に従って分ける以外に「被相続人の遺言」と「相続人全員の遺産分割協議」により分割する方法があります。
法定相続分はあくまでも法が定めた相続分の目安であり、遺言ならびに遺産分割協議書がある場合はそれが優先されます。
一般的には、遺言書がある場合、被相続人の意思に従って遺言通りに遺産分割をすることが通常です。
このとき、法定相続人には、法律上相続人が最低限相続できる「遺留分」が認められており(民法第1042条)、遺言の内容が、遺留分を無視した内容になっている場合は注意が必要です。
・遺留分:民法で定められた相続人が最低限相続できる財産の割合
遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた権利であり、法定相続人の遺留分を侵害する相続内容については、遺留分侵害請求権が認められています(民法第1046条)。
また、遺言書がない場合、全員の相続人で遺産分割協議を行い、分割方法を決めることが一般的です。
遺産分割協議の結果、法定相続分に従って分割されることも多いですが、必ずしも法定相続分通りに分ける必要はありません。相続人全員が同意すれば、1人の相続人にすべての財産を相続させることも可能です。
また、遺言書がある場合でも、遺産分割協議で全員の合意のもと、遺言内容と異なる分割方法にすることもできます。
法定相続分の決まり方|相続順位とその割合
法定相続分は、被相続人との続柄や相続人の数によって決まります。
相続人が2人以上いる場合の法定相続分について、相続人の組み合せに応じて、民法第900条では以下のように規定しています。
相続人 | 法定相続分 | |
900条第1項 | 子と配偶者 | 配偶者と子、それぞれ二分の一 |
900条第2項 | 配偶者および直系尊属(親、祖父母) | 配偶者三分の二、直系尊属三分の一 |
900条第3項 | 配偶者および兄弟姉妹 | 配偶者四分の三、直系尊属四分の一 |
900条第4項 | 子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合 | 原則:各人の相続分は同じ 例外:父母の一方のみが同じ兄弟姉妹は、父母双方が同じ兄弟姉妹の二分の一 |
被相続人が亡くなった際の配偶者は、常に相続人となります。ただし、離婚した配偶者はもとより、婚姻届けを出していない内縁関係や事実婚では相続権は認められません。
例えば、配偶者と3人の子どもが相続人の場合、それぞれの法定相続分は次のようになります。
子:それぞれ1/6(子ども3人の相続分1/2×1/3)
また、被相続人に子どもや直系尊属がなく、配偶者と3人の兄弟姉妹が相続する場合の相続分は次の通りです。
兄弟姉妹:それぞれ1/12(子ども3人の相続分1/4×1/3)
また、配偶者以外の親族には相続順位が定められています。
第1順位 | 子(もしくは代襲相続人) |
---|---|
第2順位 | 直系尊属(最も親等が近い) |
第3順位 | 兄弟姉妹(もしくは代襲相続人) |
第2順位の相続人は、第1順位の相続人がいない場合、第3順位の相続人は、第1,第2順位の相続人がいない場合に、相続権が発生します。
なお、子どもと兄弟姉妹には、代襲相続が認められています。
代襲相続とは、被相続人が亡くなった時点で、その子どもも亡くなっている場合に、被相続人の孫が相続することです。孫が亡くなっている場合、その子ども(被相続人のひ孫)が代襲相続します(再代襲)。
また、兄弟姉妹にも代襲相続は認められ、すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子ども(被相続人の甥・姪)が代襲相続します。もっとも、兄弟姉妹には、子どものように再代襲は認められません。
遺産分割協議で合意が取れなければ調停や審判が行われる
遺産分割協議では、相続人間の意見が対立し揉めることもあります。
遺産分割協議での合意が難しい場合、遺産分割調停あるいは審判手続きで解決を図ることができます。
遺産分割調停は、家庭裁判所に申し立て、調停委員が相続人間の話し合いに入り合意形成を模索する手続きです。
相続権のある当事者全員が、裁判官の示す調停案に合意すれば調停は成立し、その通りに遺産分割します。
もっとも、遺産分割調停は、調停委員を交えて相続人間の合意形成を目的とする手続きであり、一人でも反対者がいると成立しません。
その場合、自動的に「遺産分割審判」に移行します。
遺産分割審判は、相続人の主張や証拠をもとに、裁判所が客観的な立場から問題の解決を図る手続きです。
遺産分割調停とは異なり、反対者がいる場合でも、審判が確定すると当事者はそれに従わなければなりません。
不動産の法定相続分を売却する3つの方法
不動産の法定相続分を売却する方法について解説します。
- 相続手続きを終わらせてから自分の持分だけを売却する
- 相続する前に法定相続分を他の法定相続人に売却する
- 相続する前に法定相続分を第三者に売却する
相続手続きを終わらせてから自分の持分だけを売却する
相続した不動産について、遺言あるいは遺産分割協議に従って、相続手続きを終わらせて、自分の持分を売却する方法です。
前提として、相続した不動産を売却するためには、基本的に被相続人から相続人に名義変更(相続登記)しなければなりません。
被相続人の名義から相続人へ名義を変更したのち、「不動産全体を売却する」もしくは「法定相続分のみ売却する」方法があります。
不動産全体を売却するのに他共有者全員の合意が必要となるので注意
複数人で不動産を所有する状態を「共有」といい、各相続人は、それぞれの相続分に応じて「共有持分」を持つことになります。
共有不動産に対しては、共有者全員に持分割合に応じた権利があるため、不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。
そのため、一人でも反対者がいれば売却できません。また、相続人(共有者)が多い場合も、売却に向けての話し合いや手続きに時間を要することが考えられます。
自分の法定相続分を売却する方法
他の共有者の同意を得られず、不動産全体で売却することが難しい場合、自分の持分(法定相続分)のみを売却できます。
このとき、まずは不動産に関して利害関係のある、他の共有者に売却することがおすすめです。
他の共有者は、共有持分を買い取ることで不動産の持分割合が増え、不動産全体に対して行使できる権限が大きくなるため、売却に応じてもらえる可能性があります。
とはいえ、他の法定相続人へ売却できない場合もあります。その場合、他の共有者以外の第三者への売却を検討しなければなりません。
ただし、不動産の共有持分のみの売却は、購入しても不動産を自由に利用したり、処分したりする権利がないため、一般の不動産市場で買主を見つけることは難しくなります。
そのため、共有持分の売却では、共有持分専門の買取業者への売却が現実的な選択肢となります。
買取業者へ売却する場合、不動産全体の市場価格と比べ、買取価格が下がる可能性がありますが、金額さえ合意できれば、買主を探す必要もなく、スピーディに売却が可能です。
相続する前に法定相続分を他の法定相続人に売却する
相続する前、具体的には、遺産分割協議の前に法定相続分を他の相続人に売却することができます。
自分の法定相続分を他人に譲り渡すことを「相続分の譲渡」といいます。
民法のなかに相続分の譲渡を直接規定する条文はありませんが、譲渡した相続分を取り戻す権利についての規定があり(民法第905条)、相続分の譲渡も可能です。
すべての相続分を譲渡すると遺産分割協議に参加する必要もないため、「相続トラブルに巻き込まれたくない」、あるいは「被相続人の配偶者に財産を相続させたい」などの場合に有効な方法です。
また、遺産分割協議には、相続人の数や住んでいる場所によって、また、相続人同士の意見が食い違うと、相続分が決まるまで長い時間を要する可能性もあります。
そのため、早期に自分の相続分を現金化したい場合も、相続分の譲渡は有効な方法といえるでしょう。
相続分の譲渡には、特別な手続きは必要なく、法的には口頭でも成立します。ただし、譲り受けた相続人以外の相続人も含めて、のちのちトラブルにならないためにも、「相続分譲渡証明書」などの書面を作成すべきです。
譲り受けた相続人がのちのち持分を登記する際、登記原因証明書類として必要となるため、実印と印鑑証明書を添付しておきましょう。
また、特定の相続人に相続分の譲渡を行った後に、他の相続人に「相続分譲渡通知書」を送ることがおすすめです。
相続分譲渡通知書は、「相続人の〇〇に自分の法定相続分を譲渡した」という事実を他の相続人に知らせるための文書です。
他の相続人は、相続分譲渡通知書を受け取ることで、遺産分割協議に参加する相続人を特定できます。
相続する前に法定相続分を第三者に売却する
遺産分割協議の前に、法定相続分を他の相続人以外の第三者に売却することも可能です。
一般的には、法定相続人以外の親族に売却するケースが多いですが、被相続人の負債を清算するために、不動産買取業者などに売却するケースもあります。
不動産の持分を第三者に売却するためには、法定相続分について相続登記(亡くなった人から相続人へ名義を変更する登記)が必要です。
相続登記していなければ、基本的に第三者と売買契約を締結することは難しくなります。
法定相続分通りなら遺産分割が終わっていなくても登記が可能
不動産の法定相続分を第三者に売却するには、相続登記が必要ですが、通常、相続登記は、遺産分割協議ですべての相続人が合意した後に行われます。
もっとも、遺産分割協議の前であっても、法定相続分通りであれば不動産登記は可能です。
すべての法定相続人が確定している必要はありますが、単独で相続人全員の分をまとめて、法定相続分の割合に応じて登記することができます。
自分は相続した持分を早く処分したいと思っても、他の相続人が遺産分割協議に協力的でない場合もあります。
このようなケースでは、法定相続分に従って相続登記を申請し、その後、自分の法定相続分だけを第三者に売却することも可能です。
ただし、第三者に法定相続分を売却した場合、他の法定相続人には、法定相続分の取戻権が認められています。
共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。前項の権利は、1箇月以内に行使しなければならない。(民法第905条)
つまり、自らの法定相続分を売却した相続人以外の相続人は、第三者への譲渡に要した費用や価格を支払うことで、法定相続分を譲り受けることができます。
例えば、自分の法定相続分を自らの配偶者に売却した場合でも、他の法定相続人から取戻権を行使される可能性があるというわけです。
法定相続分と異なる割合に決まったら登記の修正が必要
法定相続分に従って登記し、自分の法定相続分を第三者に売却した後、遺産分割協議で法定相続分とは異なる分割方法になる場合もあります。
このとき、遺産分割協議を登記原因として、登記を修正しなければなりません。
登記手続きの手間や費用が二重にかかってしまうため、相続前の法定相続分の登記は慎重に行う必要があります。
法定相続分を売却する際の4つの注意点
ここでは、法定相続分を売却する際の注意点を4つ紹介します。
- 相続する前に特定の財産を売却できない
- 不動産の売却価格は相場よりも低くなりやすい
- 法定相続分すべてを手放したい場合は相続放棄という方法もある
- 他の相続人に無断で売却するとトラブルになる場合もある
相続する前に特定の財産を売却できない
遺産分割協議の前に、自分の相続分だけを譲渡できますが、相続財産のうち、特定の財産だけを売却することはできません。
これは、相続分の譲渡は、「自らの相続分である権利義務を総括して割合的に譲渡すること」であるためです。
例えば、相続財産にA不動産とB不動産がある場合、A不動産の法定相続分のみを売却することはできません。あくまでも、A不動産とB不動産の法定相続分を売却しなければなりません。
もっとも、相続分の持分割合の一部だけを譲渡することは可能であり、複数人に譲渡することもできます。そのため、例えば、自分の相続分のうち、1/2を配偶者へ、残りの1/2を子どもに売却することも可能です。
不動産の売却価格は相場よりも低くなりやすい
相続分の譲渡は、不動産の一部を売却することになるため、売却価格は相場よりも低くなりやすいといえます。
特に、法定相続人以外の第三者へ売却する場合は、不動産の一部のみを購入しても、利用できる権利は制限されるため買い手を見つけることは困難です。
そのため、法定相続分のみの売却は、どうしても売却価格が低くなります。
法定相続分すべてを手放したい場合は相続放棄という方法もある
法定相続分のすべてを手放したい場合は、相続放棄という方法もあります。
被相続人が亡くなったことを知ってから、3カ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
相続放棄すると、その相続人は初めから相続人ではなかったものとみなされます(民法第938条・939条)。
相続分の譲渡と異なり、有償で譲渡することはできないため利益は得ることはできません。また、自分の相続分を放棄するだけですので、譲渡する相手を選ぶことはできません。
そのため、相続に関わりたくない場合には相続放棄にもメリットもありますが、慎重な判断が必要です。
他の相続人に無断で売却するとトラブルになる場合もある
自らの法定相続分を第三者に売却した場合、譲り受けた第三者は遺産分割協議に参加する権利があります。
そのため、売却する相手によっては、他の相続人がまったく知らない人と遺産分割協議をすることになり、トラブルとなる可能性がある点に注意が必要です。
そもそも、生前の被相続人との関係性などを知らない第三者が遺産分割協議に参加することで、話し合いがまとまりにくくなることが考えられます。
また、協議の結果、相続分に従って不動産を共有するとなった場合も、知らない人と共有関係になることに納得しづらい場合もあるでしょう。
そのため、第三者に自分の相続分を売却する場合でも、他の法定相続人に連絡し相談しておくことが大切です。
法定相続分の売却を考えるべき4つのケース
ここでは法定相続分の売却を考えるべきケースについて解説します。
- 不動産を共有名義にしたくない場合
- 遺産分割で揉め事が起こっている場合
- 相続する不動産の価値が低い場合
- 遺産相続後の手続きや管理に手間をかけたくない場合
不動産を共有名義にしたくない場合
不動産は現金とは異なり物理的に分割することが難しい財産です。
そのため、複数の相続人が不動産を相続する場合、遺産分割協議の内容によっては、複数人で共有する状態になることもあります。
このような不動産の共有関係になりたくない場合、法定相続分の売却を検討すべきでしょう。
なぜなら、不動産の共有持分を保有し続ける場合、次のようなリスクやデメリットがあるためです。
- 不動産を自由に売却したり賃貸したりできない
- 他の共有者と利用・処分方法でトラブルとなる可能性がある
- 共有者に相続が発生すると権利関係が複雑になる
- 自分の子どもや配偶者に迷惑をかける可能性がある
不動産全体を売却したり、賃貸するにしても、他の共有者の同意が必要となり自由に行えません。利用方法で他の共有者と意見が合わず揉める可能性もあります。
また、相続が発生すると、共有者の配偶者や子どもが共有持分を相続し、権利関係がますます複雑になります。
このようなリスクがある共有関係を避けたい場合には、法定相続分の売却を積極的に検討すべきです。
遺産分割で揉め事が起こっている場合
法定相続分をすべて売却すると、遺産分割協議にも参加する必要はなくなります。
そのため、遺産分割で揉めている場合、あるいは遺産分割協議をしたとしても長い時間がかかりそうな場合、法定相続分の売却を考えましょう。
相続人間の遺産分割協議がまとまらず、遺産分割調停あるいは遺産分割審判手続きに移行した場合、相続財産が確定するまでに長い時間を要します。
遺産分割調停・審判の期間は、平均でもおよそ1年程度、長ければ3年以上かかる場合もあります。
遺産分割が長期化して無駄な時間を過ごすより、法定相続分を売却して早めに自分の取り分を確保するのも一つの選択肢といえるでしょう。
相続する不動産の価値が低い場合
相続する不動産の価値が低い場合も、法定相続分の売却を検討すべきでしょう。
遺産分割協議に時間をかけたうえ、登記費用や相続税を支払ったとしても、不動産の価値が低ければ意味がありません。
また、不動産を相続したとしても、その持分に応じて固定資産税・都市計画税などの維持費がかかります。価値が低い不動産の場合、賃貸して収益化することも難しいケースが多くなるため、早めに売却するのもよいでしょう。
遺産相続後の手続きや管理に手間をかけたくない場合
不動産を相続する手続き、相続後の管理の手間をかけたくない場合も、法定相続分の売却を検討してもよいでしょう。
法定相続分のすべてを売却することで、遺産分割協議に参加する必要もなく、相続人同士で揉めた場合も巻き込まれることがありません。
また、相続した不動産を維持する場合、日々の管理や定期的なメンテナンスが必要になります。誰も住まず、老朽化した建物を放置した場合、自治体から指導や勧告が入る可能性もあります。
不動産を利用するにしても、売却するにしても、他の共有者と話し合って決めなければなりません。
相続する不動産について、このような手間や時間をかけたくない場合は、法定相続分の売却を考えましょう。
法定相続分を売却したいなら専門の買取業者に相談がおすすめな理由
法定相続分を売却する場合、専門の買取業者に相談することがおすすめです。その理由を紹介します。
- 法定相続分をほぼ確実に売却できる
- スピーディに売却できる
法定相続分をほぼ確実に売却できる
不動産全体を売却する場合と異なり、法定相続分のみの売却は、一般の不動産市場での売却は難しくなります。
その点、共有持分買取の専門業者であれば、ほぼ確実に法定相続分を買い取ってもらえるでしょう。
また、なかには、第三者へ自分の持分を売却することで、他の相続人と揉めるのではないかと心配な方もいるでしょう。
この点についても、共有持分の取扱いに慣れている買取業者であれば、面倒なトラブルを避けながら買取を進めることもできるため相談してみてもよいでしょう。
スピーディに売却できる
不動産の持分専門の買取業者であれば、早ければ数日で売却し、現金化することができます。
買取業者へ依頼する場合、まず、買取業者が買取金額を査定します。
一般の仲介を通じて売却する場合と異なり、買い手を探す手間もないため、査定金額や契約条件で合意できれば、スピーディーに売却が可能です。
もっとも、全体の不動産を売却する場合(全体の不動産の売却価格×持分)と比べ、買取金額は低くなってしまいます。
まとめ
不動産を相続する場合、相続人には、法定相続分に応じた割合を相続する権利があります。
一般的な相続手続きでは、遺言書や遺産分割協議の内容に従って遺産分割され、自らが相続した不動産の持分を売却することになります。
もっとも、自分の相続分を早く現金化したい、あるいは遺産分割協議などの面倒な手続きは避けたいなどの場合、法定相続分を遺産分割協議の前に売却することも可能です。
特に、遺産分割で揉めるケースや相続財産の価値が高くないケースでは、法定相続分を他の法定相続人もしくは第三者に売却することで遺産分割協議に参加する必要もなくなります。
ただし、不動産の法定相続分の売却は、不動産全体を売却する場合と比べ、一般市場で買い手を見つけることは簡単ではありません。
そのため、法定相続分の売却は、共有持分専門の買取業者への売却が現実的な選択肢となります。
買取業者への売却であれば、買い手を探す手間がかからないため、買取金額で合意できれば早期に現金化することが可能です。
法定相続分の売却について、他の共有者との関係が気になるという方も、共有持分の取扱いになれた買取業者に相談してみるとよいでしょう。