共有名義の解消法6選!解消しないリスクやケースごとの対応を解説

共有名義の解消法6選!解消しないリスクやケースごとの対応を解説

共有名義の不動産を所有していると、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

  • 不動産の売却や賃貸、リフォームが自由にできない
  • 不動産にかかる維持費や税金を負担し続けなければならない
  • 親族以外の第三者が共有者になる可能性がある
  • 自分の子どもや孫に影響が続く

このようなトラブルを回避するためには、不動産の共有名義を解消する必要があります。共有名義を解消する具体的な方法は以下の通りです。

 
不動産の共有状態の解消方法 メリット デメリット
所有者を1人にまとめる ・所有権を得た人は不動産を自由に活用できるようになる
・所有権を手放した人は協議やトラブルから解放される
・所有権を手放す際にまとまった現金を手にできる
・所有権の売買価格の交渉がまとまりにくい
・多額の代償金のやりとりが発生する
共有者全員が第三者に売却する ・不動産市場の相場価格で売却できる
・売却価格を公平に分割できる
・買い手が付きやすくなる
・不動産は手放すことになる
・共有者全員の合意が必要になる
分筆して各共有者の単独名義に変更する ・共有者が自分の土地を自由に活用できるようになる ・建物は対象外となる
・土地を公平に分割するのが難しい
・土地の価値が下がる可能性がある
・分筆後の土地に建物が建てられない可能性がある
・分筆は専門家に依頼する必要がある
自分の共有持分だけを第三者に売却する ・他の共有者と協議する必要がない
・すぐにでも売却できる
・買取価格が相場よりも安くなりやすい
自分の共有持分を放棄する ・共有状態を解消できる
・共有持分の維持費を負担する必要がなくなる
・手元に何も残らない
・他の共有者の協力が必要になる
・みなし贈与と判断され、持分が帰属される共有者に贈与税が課税される
共有物分割請求訴訟を起こす ・共有者同士での意見の相違や対立があった場合でも共有状態を解消できる
・不動産鑑定士による鑑定額に基づき合理的な決定がなされる
・誰も求めていない結果になりかねない
・弁護士費用や訴訟費用、不動産鑑定費用などの費用がかかる
・裁判所の判決が出るまでに時間がかかる

特におすすめするのは、自分の持ち分を専門業者に売却することです。

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年間3,000件以上の豊富な相談実績があるほか、不動産専門の士業と連携して問題の解決にあたるなど、共有持分の処分に関する悩みをサポートします。

今回は不動産の共有名義を解消する方法や解消しない場合のリスクについて解説します。また、特殊な状況下における共有名義の解消方法も紹介します。共有名義の解消を望む方は、参考にしてください。

共有名義不動産の共有状態を解消する方法6選

共有名義の不動産を所有していて、できるだけ早く共有状態の解消を希望する人もいるでしょう。しかし、具体的にどうすれば共有状態から抜け出せるのか、わからないかもしれません。

ここでは、不動産の共有状態の解消方法を紹介します。具体的な方法は以下の6つです。

 
不動産の共有状態の解消方法 メリット デメリット
所有者を1人にまとめる ・所有権を得た人は不動産を自由に活用できるようになる
・所有権を手放した人は協議やトラブルから解放される
・所有権を手放す際にまとまった現金を手にできる
・所有権の売買価格の交渉がまとまりにくい
・多額の代償金のやりとりが発生する
共有者全員が第三者に売却する ・不動産市場の相場価格で売却できる
・売却価格を公平に分割できる
・買い手が付きやすくなる
・不動産は手放すことになる
・共有者全員の合意が必要になる
分筆して各共有者の単独名義に変更する ・共有者が自分の土地を自由に活用できるようになる ・建物は対象外となる
・土地を公平に分割するのが難しい
・土地の価値が下がる可能性がある
・分筆後の土地に建物が建てられない可能性がある
・分筆は専門家に依頼する必要がある
自分の共有持分だけを第三者に売却する ・他の共有者と協議する必要がない
・すぐにでも売却できる
・買取価格が相場よりも安くなりやすい
自分の共有持分を放棄する ・共有状態を解消できる
・共有持分の維持費を負担する必要がなくなる
・手元に何も残らない
・他の共有者の協力が必要になる
・みなし贈与と判断され、持分が帰属される共有者に贈与税が課税される
共有物分割請求訴訟を起こす ・共有者同士での意見の相違や対立があった場合でも共有状態を解消できる
・不動産鑑定士による鑑定額に基づき合理的な決定がなされる
・誰も求めていない結果になりかねない
・弁護士費用や訴訟費用、不動産鑑定費用などの費用がかかる
・裁判所の判決が出るまでに時間がかかる

それぞれ詳しく解説します。

所有者を1人にまとめる

不動産の共有名義を解消する方法の1つが、所有者を1人にまとめることです。

所有者をまとめるには、以下の方法があります。

  • 所有する共有持分を、自分以外の共有者に売却する
  • 自分以外の共有者が所有する共有持分を、自分がすべて買い取る

代償金の支払いが発生することがわかっていても、共有者を1人にまとめたい事情がある場合や、自分の共有持分を譲りたい場合、まとまった現金を得たい場合などに有効な手段です。

このように、特定の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に対して金銭などを支払って調整する方法を代償分割といいます。

なお、代償金とは、代償分割の際に他の相続人に支払う金銭のことです。

以下の条件での代償分割の例を紹介します。

  • 不動産市場価格4,000万円の不動産を夫婦で共有している
  • 共有持分はそれぞれ2分の1ずつ

上記のケースで、妻側が不動産を取得する場合、妻は夫に対して2,000万円の代償金を支払います。

所有者を1人にまとめる方法のメリットとデメリットは以下の通りです。

 
所有者を1人にまとめるメリット 所有者を1人にまとめるデメリット
・所有権を得た人は不動産を自由に活用できるようになる
・所有権を手放した人は協議やトラブルから解放される
・所有権を手放す際にまとまった現金を手にできる
・所有権の売買価格の交渉がまとまりにくい
・多額の代償金のやりとりが発生する

所有者を1人にまとめられれば、単独名義の不動産と同じように扱えるため、所有権を得た人は不動産を自由に活用できるようになります。

また、所有権を手放す人にとっては、相続での不動産の扱いについての協議や、権利関係のこじれから発生するトラブルから解放されるメリットがあります。また、まとまった現金を手にできるのも魅力です。

一方、価格交渉がまとまりにくいというデメリットがあります。また、不動産の所有者を1人にまとめようとして、その所有者に代償金の支払い能力がない場合は、難しい方法といえます。

さらに、自分がすべての共有持分を得たい場合は、他の所有者に対して多額の代償金を支払う必要があります。事前に資金を準備できなければ、他の共有持分の買い取りは難しいでしょう。

共有者全員が第三者に売却する

共有者が全員で第三者に不動産を売却するのも、共有状態から脱する方法です。

共有者全員の合意を得たうえで共有不動産全体を売却して、売却代金を共有持分の割合に応じて共有者に分配する方法を換価分割といいます。共有者同士で不動産の売却の話が出ている、もしくは話が進んでいる場合や、相場通りの価格での売却を望む場合におすすめの方法です。

換価分割の一例を紹介します。

  • 不動産市場価格4,000万円の共有不動産を夫婦で所有している
  • 共有持分はそれぞれ2分の1ずつ
  • 夫婦で話し合い共有状態にある不動産全体を4,000万円で売却

上記のケースでは、不動産の売却代金である4,000万円を、夫婦の共有持分に応じて分配します。夫婦の共有持分は2分の1ずつのため、夫婦にはそれぞれ2,000万円が分配されることになります。

共有者全員で第三者に売却する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

 
共有者全員で第三者に売却するメリット 共有者全員で第三者に売却するデメリット
・不動産市場の相場価格で売却できる
・売却価格を公平に分割できる
・買い手が付きやすくなる
・不動産は手放すことになる
・共有者全員の合意が必要になる

大きなメリットは、不動産市場での相場通りの価格で売却しやすくなることです。

共有持分は購入者が不動産会社や投資家、投資法人となる場合が多く、一般的な相場の2分の1程度の売却価格となります。共有持分の一部を購入したところで、他の共有者との交渉がまとまらなければ、購入者はその不動産の活用が難しいからです。購入者にとってリスクが大きいため、その分取引価格は下がってしまいます。

ただし、共有持分をまとめて第三者に売却すれば、購入者は不動産を自由に活用できるため、一般的な不動産と同じような価格で売却できるわけです。

また、売却できれば手元には現金が残るため、不動産の共有割合で公平に分割しやすくなるのもメリットです。一般的な不動産売買のコストがかかるだけで、不動産の大部分を現金化できるため、共有者全員にメリットがある方法といえます。

一方、この方法では不動産を手放すことになるため、不動産に対しての思い入れが強い場合や、その不動産に住んでいる場合では、承諾しにくい方法となります。

また、共有状態にある不動産全体を売却する場合は、共有者全員の合意が必要です。共有者の1人でも反対されれば売却はできません。

特に、その不動産に親族の誰かが住んでいる場合、その人を説得するのに時間や手間がかかるほか、最終的には売却に同意してもらえない恐れもあります。

分筆して各共有者の単独名義に変更する

不動産の共有状態を解消するには、分筆によって各共有者の単独名義にする方法もあります。

不動産における分筆とは、登記簿上の1つの土地を複数の土地に分けて登記する手続きのことです。

土地は1筆、2筆と数えることから、土地を分けることを分筆と呼びます。

共有者同士で不動産の共有名義の解消法が決まらない場合や、分筆したとしても建物を建築できるほど広い土地となる場合に有効な手段です。

分筆によって各共有者の単独名義にするメリットとデメリットは以下の通りです。

 
分筆によって各共有者の単独名義にするメリット 分筆によって各共有者の単独名義にするデメリット
・共有者が自分の土地を自由に活用できるようになる ・建物は対象外となる
・土地を公平に分割するのが難しい
・土地の価値が下がる可能性がある
・分筆後の土地に建物が建てられない可能性がある
・分筆は専門家に依頼する必要がある

それぞれの共有者が土地を自由に活用できるようになるのが、分筆による土地の単独名義化のメリットです。

例えば、その土地に住居などの建物を建築できるほか、土地を第三者に売却して現金化することも可能です。分筆された土地は不動産市場の相場価格で売却できるため、土地に見合った現金を入手できるでしょう。

一方、分筆の対象となるのは土地だけとなります。その土地に建築物が建っている場合、建物を物理的に分けられないためです。

建造物は解体する必要があり、解体コストが発生するため、共有名義となっている不動産が土地の場合のみ選択しやすい方法といえるでしょう。

また、土地の分筆には共有者全員の同意が必要です。さらに、仮に同意を得られたとしても、土地を公平に分割するのが現実的に難しい問題が発生します。

土地は、方角や形状、高低、日当たり、道路に接しているかどうかで価値が変動するためです。

完全に公平な分割ができない場合、土地としての価値が下がる可能性があり、条件が悪くなる共有者に対して金銭を補填する方法もあります。

ただし、金銭による補填を行う場合でも共有者同士でも話し合いが必要になり、時間や手間がかかりやすくなるほか、合理的に分割するには至らない恐れもあります。

さらに、土地を分筆したにもかかわらず、その土地が狭すぎるために建物が建てられない可能性もあります。また、分筆した土地に建物を建てる場合は、建築基準法で規定された接道義務を満たす必要があることを理解しておくべきです。

他にも、土地を分筆する場合は、土地の境界を確定したり、測量を行ったりする必要があり、土地家屋調査士に依頼しなければなりません。調査費用は立地などによって異なるものの、50万円から100万円程度の費用がかかると考えておきましょう。

境界確定の際には、隣地所有者の立ち合いも必要になるため、日程調整が必要です。

自分の共有持分だけを第三者に売却する

共有状態の解消するためには、自分の共有持分だけを第三者に売却してしまう方法があります。

一般的に、共有名義となっている不動産全体の売却には、共有者全員が同意しなければなりません。ただし、自分の共有持分に限れば、売却に他の共有者の同意が不要であることが民法206条によって定められています。

他の共有者と話し合うことなく共有名義から抜けたい場合や、共有名義をすぐに解消したい場合に有効な手段です。

自分の共有持分だけを第三者に売却する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

 
自分の共有持分だけを第三者に売却する場合のメリット 自分の共有持分だけを第三者に売却する場合のデメリット
・他の共有者と協議する必要がない
・すぐにでも売却できる
・買取価格が相場よりも安くなりやすい

この場合のメリットは、他の共有者と話し合ったり、同意を得たりしなくても良いことです。

共有持分を買い取ってもらった後は、買い取った業者が他の共有者と交渉を行うため、売却前や売却後に他の共有者と関わることはありません。

また、スピーディに売却できるのもメリットです。自分の共有持分の売却では、共有持分の買い取りを専門的に行う業者を利用します。業者が提示した売却金額に納得できればすぐに売却でき、共有状態から抜け出せるほか、まとまった現金を手にできます。

一方、共有持分の売却は買取価格が相場よりも安くなりやすいデメリットがあります。共有持分の売却後、買取業者と他の共有者との買取交渉が長くなる傾向にあります。人件費コストがかかりやすく、すべての共有持分を買い取った後にリフォームを行うケースが多いため、買取価格が低くなるのです。

また、共有持分のみを購入しようとする人は少なく、一般的な不動産会社でも買い取りを断られる場合があることも、買取価格が安くなる理由です。共有持分の買取価格は、通常の不動産の半分程度となることを把握しておきましょう。

当サイトを運営するクランピーエステートは、共有名義の不動産買取の専門業者です。売却が難しい共有持分の高額買取が可能です。最短12時間で買取価格を査定するため、共有持分を早期に現金化したい方にもおすすめです。弁護士とも提携しているため、共有者間や不動産の扱いについてのトラブルを抱えている場合でも、安心してご利用いただけます。

自分の共有持分を放棄する

共有状態の解消法として、自分の共有持分を放棄する方法もあります。

これも民法によって規定されており、共有者の誰かが共有持分の放棄を選択したり、死亡したりした際に相続人がいない場合は、その共有持分は共有割合に応じて他の共有者に帰属することになります。

他の共有者との協議ができる関係性ではあるものの、不動産の処分方法でどうしても合意できない場合や、金銭的な余裕がある場合などに有効な方法です。

自分の共有持分を放棄する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

 
自分の共有持分を放棄する場合のメリット 自分の共有持分を放棄する場合のデメリット
・共有状態を解消できる
・共有持分の維持費を負担する必要がなくなる
・手元に何も残らない
・他の共有者の協力が必要になる
・みなし贈与と判断され、持分が帰属される共有者に贈与税が課税される

共有状態から解消される点に加え、不動産の維持・管理コストの負担から解放されることがメリットです。

一方、自分の手元には不動産も金銭も何も残らないのが大きなデメリットです。不動産を換金したい場合や、資産運用などに生かしたい場合には向かない方法といえます。

また、放棄には登記申請が必要になり、他の共有者に協力してもらわなければならないのもデメリットです。共有者同士の関係性が良くない場合は、登記の手続きが難しいため、放棄できない場合もあるでしょう。

さらに、共有持分の放棄はみなし贈与に該当しかねないため、持分を取得する共有者に対して贈与税が課税される可能性がある点もデメリットです。

贈与税には年間110万円の基礎控除が儲けられており、共有持分の評価額がその金額を超える場合は、共有持分の放棄によって取得した相続財産であっても相続税の課税対象となります。

例えば、ある不動産を3名で33%ずつ共有しており、そのうち1人が共有持分の放棄を選択した場合、共有持分の33%の評価額に対する贈与税の納税が求められる場合があります。なお、贈与税額は放棄された共有持分の分配の割合に応じて他の共有者に課せられます。

共有物分割請求訴訟を起こす

不動産の共有状態を解消したい場合は、共有物分割請求訴訟を起こすのも1つの方法です。

共有物分解請求訴訟とは、共有状態を解消するための裁判のことです。

以下に挙げるような状況では、他の共有者に共有状態の解消を請求できるほか、当事者同士での解決が望めない場合は裁判による共有状態の解消が可能です。

  • 共有している不動産が土地ではないため現物での分割ができない場合
  • 代償分割のための資金が準備できない場合
  • 売却に反対する共有者がいるために売却ごとの分割ができない場合 など

共有持分を持つ共有者全員が当事者となり、裁判所が適切な分割方法を決めます。裁判でありがちなどちらが正しいか、勝つか負けるかではなく、裁判所に力を借りて合理的な最低を仰ぐのが特徴です。

共有者との関係性が悪化してスムーズな協議が難しい場合や、公的機関による適切な判断を求めたい場合などに有効な手段です。

ただし、共有名義の解消を実現するための最終手段ともいえる方法のため、他の方法でも解消ができない場合のみ、選択するようにしましょう。

共有物分割請求訴訟を起こすメリットとデメリットは以下の通りです。

 
共有物分割請求訴訟を起こすメリット 共有物分割請求訴訟を起こすデメリット
・共有者同士での意見の相違や対立があった場合でも共有状態を解消できる
・不動産鑑定士による鑑定額に基づき合理的な決定がなされる
・誰も求めていない結果になりかねない
・弁護士費用や訴訟費用、不動産鑑定費用などの費用がかかる
・裁判所の判決が出るまでに時間がかかる

共有物分割請求訴訟を起こすメリットは、裁判所が強制的に共有状態の解消方法を決めてくれる点にあります。他の共有者との意見の相違や対立があったり、関係性が悪化したりしている場合でも、共有状態を解消できます。

なお、裁判所が示す具体的な共有状態の解消方法は以下の通りです。

 
裁判所が示す共有状態の解消方法 内容
換価分割 ・前述した共有者全員が第三者に売却する方法
代償分割 ・前述した所有者を1人にまとめる方法(他の共有者が所有する持分の買い取り、または他の強者への持分の売却)
現物分割 ・前述した分筆による各共有者の単独名義にする方法

また、不動産鑑定士による適正な鑑定額に基づいて裁判所が判断を下すため、納得感のある結果になることが多いのもメリットです。

例えば、共有状態にある不動産の所有者を1人にまとめる場合、共有持分の査定額が適切かどうかを判断する術がありません。

共有物分割請求訴訟では、裁判所が選任した国家資格者の不動産鑑定士が鑑定を行うため、共有者間での公平さが保たれやすくなります。

一方、共有物分割請求訴訟を選択した場合でも、自分の思い通りの結果になるとは限りません。

裁判所は各共有者の希望や持分、不動産の利用状況や土地の形状、経済的な価値などを総合的に判断して、最適な解消方法を決めます。裁判所の判断次第では、不動産が競売に出されて安値で売却されるケースもあります。

また、弁護士費用や訴訟費用、不動産鑑定費用などの費用が発生するのもデメリットです。

共有物分割請求訴訟を1人の個人が進めるのは難しく、手続きや対応を弁護士に依頼するのが一般的です。この際、着手金や成功報酬を含めて30万円から100万円程度の弁護士費用が必要になります。

また、共有物分割請求訴訟を提起する場合、訴訟費用(印紙代と郵便切手代)も必要です。印紙代は土地と建物で異なり、以下のように算出されます。

  • 土地:固定資産評価額の6分の1に持分割合を乗じた金額
  • 建物:固定示唆評価額の3分の1に持分割合を乗じた金額

一般的には、3万円から5万円程度の印紙代が必要になると把握しておきましょう。

郵便切手代は、訴訟の相手が1人なら6,000円から8,000円程度、2人以上いる場合は人数が増えるごとに2,000円程度の追加が必要です。

さらに、共有物分割請求訴訟では不動産鑑定士に鑑定料の支払いが必要になります。不動産の性質によって金額は変動するものの、一般的には20万円から30万円程度になるケースが多いといえます。

最後に、裁判所の判決が出るまでに時間がかかるというのも、共有物分割請求訴訟を選択するデメリットです。

訴訟を提起してから第1審の判決が出るまで、半年程度はかかります。そのうえで控訴や上告に移行する場合、判決が出るまで数年かかる場合もあります。物理的な時間や手間のほか、精神的なストレスにつながる場合もあることを理解しておきましょう。

共有名義を解消しないことによるリスク

ここまで、共有名義の解消方法について解説してきました。さまざまな解消方法について紹介したのは、共有名義を解消しないことにいくつかのリスクがあるためです。

ここでは、共有名義を解消しないことに伴うリスクについて解説します。具体的なリスクは以下の通りです。

  • 売却や貸出、リフォームが自由にできない
  • 維持費や税金を負担し続ける必要がある
  • 親族以外が共有者になる可能性がある
  • 子どもや孫にも影響が続く

それぞれ詳しく解説します。

売却や貸出、リフォームが自由にできない

不動産の共有状態を解消しない場合、不動産の売却や賃貸、リフォームなどを自由に行うことはできません。

そもそも共有とは、複数人が1つのものの所有権を有する状態を指します。

共有者が持つ権利は、単独で所有する際の権利の内容と同じで、共有部分に関しては共有者が自由に処分できます。

しかし、共有物全体に関しては、少々事情が異なります。

共有物全体の処分や変更、管理、保存行為については、それぞれ以下のような決まりがあります。

 
共有物全体の取り扱い 内容と決まり
共有物の処分 ・共有物の処分とは、共有物の譲渡や担保設定、物理的な破壊などを指す
・共有物全体の処分については、共有者全員の同意がなければ行えない
共有物の変更 ・共有物の変更とは、建物の増改築や建替え、畑の宅地造成などを指す
・各共有者は他の共有者の同意が得なければ、共有物に変更を加えられない
共有物の管理 ・共有物の管理とは、共有物の利用や改良に関連する行為を指す
・管理できる範囲は、財産の性質を変えない範囲内の利用もしくは改良
・共有物の管理行為には、共有者の持分における過半数の同意が必要
・ただし、共有状態にある不動産で賃貸借契約を締結する場合は、共有者全員の同意が必要
共有物の保存行為 ・共有物の保存行為とは、共有物の修繕行為や不法占有している人への明け渡し請求など、現状を維持するための行為を指す
・共有物の保存行為は各共有者が単独で行える

上記のように、共有物の処分や変更、管理には、他の共有者の同意が必要になります。共有者の1人でも反対している場合は、共有状態にある不動産の売却や貸出、リフォームなどは行えません。

そのため、不動産の有効活用が難しくなるほか、不動産の取り扱いについて将来的にトラブルに発展する恐れがあります。

維持費や税金を負担し続ける必要がある

不動産の共有状態を解消しなければ、不動産にかかる維持費や税金を負担し続けなければなりません。

仮にその建物に居住していない場合でも、不動産を所有している限りは固定資産税や維持費がかかり続けるためです。

共有している不動産にかかる固定資産税は、すべての共有者や共有持分の割合に応じて納税しなければならないことが、地方税法第10条に明記されています。

また、固定資産税は代表者が一括して支払えますが、納税後に他の共有者に対して持分割合に応じた金額を請求できます。

さらに、不動産を維持するための修繕費も、所有者である以上は負担しなければなりません。

固定資産税や維持費の支払い負担から逃れたい場合は、共有者から離脱したり、不動産の共有状態を解消するいずれの手段を取ったりする必要があるでしょう。

親族以外が共有者になる可能性がある

不動産の共有状態を解消しなければ、親族以外が共有者になる可能性があります。

共有状態の解消方法でも紹介した通り、共有持分のみの売却は他の共有者の同意がなくても行えます。

共有者の1人が共有持分を買取業者や個人などに売却した場合、その業者や個人とその後の不動産の取り扱いについて協議しなければなりません。

親族と比較して意思の疎通が取りにくくなるほか、不動産の売却や有効活用が難しくなる恐れがあるでしょう。

また、共有状態にある物件に居住していて、共有者の1人が共有持分を売却した場合、共有持分を購入した第三者から家賃を請求される可能性もあります。

状況が複雑化するのを避けるためにも、共有状態からの早期解消が必要です。

子どもや孫にも影響が続く

不動産の共有状態を解消しない場合、自分の子どもや孫に影響する恐れがあります。

共有者の誰かが死亡した場合、所有していた共有持分は相続人に引き継がれるためです。なお、相続人は子どもや孫だけではなく、死亡した共有者の配偶者も含まれます。

死亡した共有者や晩年に再婚していた場合、会ったこともない親族が相続人となる可能性があるほか、自分の子どもや孫に不動産の共有状態を引き継いでしまうこともあるでしょう。

実際に共有者に相続が発生した場合、共有者が増加するケースが多く、共有者が増えれば増えるほど、不動産に取り扱いに対する合意形成が難しくなります。

特殊な状況で共有名義を解消する方法

これまで、不動産の共有状態を解消する方法を解説してきましたが、共有者の状況によってはそれらの方法が使用できないケースがあります。

ここからは、以下に挙げる特殊な状況下における共有名義の解消方法を紹介します。

  • 共有者同士で離婚した場合
  • 他の共有者が認知症になった場合
  • 他の共有者が行方不明になった場合
  • 他の共有者が音信不通になった場合
  • 第三者と共有関係になった場合

それぞれ詳しく解説します。

共有者同士で離婚した場合

不動産を共有していた夫婦が離婚した場合、財産分与によって共有していた不動産を分割することになります。

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた共有財産を、離婚時に分配する制度のことです。

婚姻中に築いた財産はすべて財産分与の対象となり、配偶者の片方が専業主婦(主夫)や共働きでも、基本的には2分の1ずつ財産を分け合います。

ただし、財産分与の割合は夫婦間で自由に決められるため、一方の配偶者に多めに財産を渡すことも可能です。

共有者だった夫婦が離婚する場合は、以下の方法で財産分与を行います。

  • 共有財産の価値を2分の1に折半する(現物分割)
  • 均等に分割できない場合に代償金を支払う(代償分割)
  • 不動産全体を売却して得たお金を均等に折半する(換価分割)

共有財産の価値を2分の1に折半する方法(現物分割)では、共有不動産を含めたすべての共有財産を均等に分けます。

離婚した夫婦の共有財産が以下のケースを考えてみます。

  • 2,000万円の共有不動産
  • 1,500万円の預貯金
  • 500万円の自動車

この場合、片方が2,000万円の共有不動産、もう片方が1,500万円の預貯金と500万円の自動車を受け取ると、共有財産を同じ価値で分けられます。

ただし、共有財産の価値によっては、均等に分けられないケースがあります。その場合は、代償金を支払って清算する方法(代償分割)があります。

共有財産が以下のケースで考えてみます。

  • 2,000万円の共有不動産
  • 1,500万円の預貯金

片方の配偶者が共有不動産を単独で所有する場合、分割する財産の価値に500万円の差が生まれます。

そこで、不動産を所有する配偶者がもう片方の配偶者に250万円の代償金を支払うことで、夫婦同士が所有する財産の価値を均等に折半できます。

もう1つの方法が、不動産全体を売却して得たお金を均等に折半する(換価分割)方法です。

市場価格が2,000万円の共有不動産全体を売却し、売却によって得た2,000万円のお金を夫婦で均等に分け合います。

不動産を現金化したうえで財産分与ができるため、わかりやすく、トラブルにもなりにくい方法といえます。

なお、こちらの記事では離婚時に共有不動産の住宅ローンが残っていた場合の対策について解説していますので是非合わせてご覧ください。

他の共有者が認知症になった場合

不動産を共有している状態で、他の共有者が認知症を発症した場合、その共有者は法律行為を行えなくなるため、共有関係の解消ができなくなります。

このようなケースでは、成年後見制度を利用して、法律行為を代行してもらう必要があります。

成年後見制度とは、認知症などのさまざまな理由から判断能力が不十分な人を、支援したり、保護したりするための制度です。

成年後見制度の利用によって選任された成年後見人は、被後見人の法律行為の代行が可能になるため、共有関係の解消が可能になります。

なお、成年後見制度には以下の2種類があります。

  • 任意後見制度
  • 法定後見制度

任意後見制度とは、判断能力があるうちに本人が後見人を決めておく制度のことをいいます。一方、法定後見制度とは、本人の判断能力の低下が見られる場合に、裁判所に後見人を決めてもらうよう、その家族や親族が申請する制度です。

任意後見制度を利用する場合は、以下の手順で申請を行います。

  1. 本人と任意後見人を引き受けた人が後見人契約を結ぶことを確認する
  2. 任意後見契約書の内容を確認し、公正役場で任意後見契約公正証書を作成する
  3. 作成された公正証書に署名すれば、任意後見契約が成立する
  4. 本人の判断能力が低下してから、本人の同意のもと本人・家族・親族・後見人の誰かが本人の居住地を管轄する家庭裁判所に、任意後見監督人選任の申し立てを行う
  5. 家庭裁判所が適性と判断した場合は任意後見監督人を選任し決定通知が行われる
  6. 任意後見人として正式に選任された時点から、任意後見人は契約書の内容に従って後見人としての仕事を始める

また、法定後見制度を利用する場合は、以下の手順で申請を行います。

  1. 本人に判断能力の低下が見られる場合、家族・四親等内の親族の誰かを申立人として、家庭裁判所に後見開始申し立てを申請する
  2. 家庭裁判所の調査官によって申立人と後見人候補者への面談調査が行われる
  3. 家庭裁判所の裁判官が申し立てについての審判を行い、申立人と後見人に決定内容が通知される
  4. 選任された後見人が仕事を始める

他の共有者が行方不明になった場合

他の共有者が行方不明の場合は、その共有者以外の共有者全員の同意があれば、共有不動産の売却ができます。

例えば、共有者の相続が相次いで発生して、面識のない人が共有者となってしまい、所在がわからないケースなどが該当します。

このような場合、以前は成す術がありませんでしたが、2023年の民法改正によって以下のようにルールが変更になりました。

  • 行方不明となった共有者以外の共有者全員の同意があれば、共有名義の不動産を売却できる
  • 行方不明となった共有者以外の共有者が所有する持分の過半数の同意があれば、賃貸などの管理行為も決定できる

共有名義の不動産がある地域を管轄する地方裁判所への申し立てを行い、裁判所の決定を受けてから不動産の処分や管理などを行います。

ただし、申し立てには行方不明の共有者が登記簿上や住民票調査など必要な調査を尽くしても氏名・所在が不明であることを証明する必要があります。

改正前の民法では、行方不明の共有者が存在する場合、不在者財産管理制度の手続きを裁判所で行わなければ、共有状態の不動産の変更や管理ができませんでした。

行方不明者の数が多いほど、支払う予納金が高額になって手続きも複雑になることから、制度を利用する人が少なく、不動産が放置される問題につながっていました。

民法改正によって、行方不明の共有者がいる場合の共有不動産は取り扱いやすくなっています。

参考:民法第251条 共有物の変更、民法第252条 共有物の管理

他の共有者が音信不通になった場合

他の共有者が所在不明となった場合は、失踪宣告をすれば不動産の共有状態を解消できます。

失踪宣告とは、生死がわからない人に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせるための制度・手続きのことです。

失踪宣告ができるのは、以下に該当する場合です。

  • 登録された従来の住所や居所を去り、簡単には帰ってこない人について、その生死が7年間明らかではない場合(普通失踪)
  • 戦争・船舶の沈没・震災といった死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去ってからも1年間生死が明らかではない場合(危難失踪)

失踪宣告の申し立てが認められた場合、音信不通の共有者は法律上死亡したことになるため、相続での遺産分割という形式で共有名義の解消が可能になります。

失踪宣告は、不在者の配偶者や相続人、財産管理人、受遺者など、法律上の利害関係者が申し立てます。申立先は不在者の従来の住所地または居住地の家庭裁判所です。

申し立てには収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手代、官報公告料4,816円が必要です。また、以下の書類の提出も求められます。

  • 失踪宣告の申立書
  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 失踪を証明する資料
  • 申立人の利害関係を証明する資料

参考:失踪宣告

第三者と共有関係になった場合

親族ではない第三者と不動産を共有する状況になった場合、できるだけ早く共有状態を解消することをおすすめします。

前述のとおり、共有状態にある不動産に居住している場合、第三者の共有者から家賃請求される恐れがあるためです。

また、顔も名前も知らない共有者と協力して円滑に共有状態を解消するのは難しいでしょう。

共有持分の買い取りを専門に行う業者に相談して、共有持分の売却を検討した方がいいでしょう。共有持分のみの売却は、他の共有者に相談しなくても行えます。

大きなトラブルに発展する前に行動することが大切です。

まとめ

不動産の共有状態が続くと、将来的に権利が複雑化したり、トラブルに発展したりする可能性が大いにあります。そのため、できるだけ早く共有状態を解消するための手段を講じることが大切です。

また、共有者同士の離婚や共有者が認知症を発症した場合など、特殊な状況下でも共有状態を解消する方法があることを理解しておきましょう。

本記事を参考にして、どのような方法で不動産の共有状態を解消するか、検討してみてください。

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