夫から妻に家の名義変更をする方法!夫の死亡後に必要な手続きや書類など徹底解説

夫が死亡した後、家の名義変更をどのように進めればよいのかわからず、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
夫から妻へ家の名義変更をするためには、「相続登記」と呼ばれる手続きが必要になります。夫が死亡したからといって勝手に妻名義にはならないため、必ず法務局で相続登記の申請を行い、家の名義を変更しましょう。
また、相続登記は不動産登記法により義務化されており、家の所有権の取得を知った日または遺産分割協議が成立した日から原則として3年以内に手続きを行わなければなりません。
夫が死亡してから、妻に家の名義変更をするまでの流れは以下のとおりです。
| 手順 | 概要 |
|---|---|
| 遺言書の有無を確認 | 夫が生前に遺言書を残していないかを確認する |
| 相続人を調査 | 妻以外に誰が相続人に当たるのかを調査する |
| 相続財産を調査 | 家以外にどのような財産が残されているのかを調査する |
| 遺産分割協議を実施 | 相続人全員で遺産の分け方について話し合う |
| 相続登記を申請 | 家を相続する人が法務局で名義変更の手続きをする |
相続登記を申請する際には、登記申請書や夫の戸籍謄本、登記事項証明書、固定資産税評価証明書など複数の書類が必要になります。
相続の進め方によっても必要書類は異なるため、迷ったときは弁護士や司法書士などの専門家に相談してみてください。
本記事では、夫の死亡後に妻から夫への名義変更が必要なケースや、名義変更の手順について詳しく解説します。名義変更の必要書類や税金・費用などについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
夫から妻への家の名義変更は夫の死亡後の3年以内に行わなければならない
夫が死亡した場合、家の名義を妻に変更するためには「相続登記」と呼ばれる手続きが必要になります。
注意したいのは、夫が死亡したからといって、自動的に家の名義が妻へ切り替わるわけではない点です。配偶者は家などの財産を相続する権利を持ちますが、相続登記をしなければ登記簿上の名義は夫のままとなり、法律上は名義変更が未完了となります。
また、相続登記は令和6年4月1日から不動産登記法により義務化されました。
夫が死亡して妻に名義変更をする場合、相続や遺言によって不動産を取得したことを知った日から原則として3年以内に相続登記を申請しなければなりません。遺産分割協議によって不動産の取得者が決まった場合も、協議が成立した日から3年以内に手続きを行う必要があります。
なお、相続登記の義務化は令和6年4月1日以前に相続が発生しているケースも対象となっており、3年の猶予期間内に登記申請が必要です。
正当な理由なく期限内に相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科されるおそれがあります。
夫の死亡後に家の名義を夫から妻へ変更する場合は、上記の期限内に相続登記を済ませましょう。
参照:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)|法務局
夫から妻に家の名義変更が必要なケース
夫から妻に家の名義変更が必要なケースは、主に以下の2つのパターンがあります。
- 夫の単独名義の場合
- 夫婦で共有名義の場合
夫の単独名義の場合
夫の単独名義で家を所有していた場合でも、妻は必ず法定相続人となるため、家を相続する権利があります。
法定相続人とは、民法で定められた財産を相続する権利を持つ人のことです。配偶者は常に相続人となり、同時に相続する人は「子ども」「両親(直系尊属)」「兄弟姉妹」の順番で優先されます。
夫の単独名義の家を妻の名義に変更するためには、妻が単独で家を相続したうえで、相続登記の手続きを行う必要があります。
その前提として、遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、「誰がどの財産を取得するのか」を話し合います。そこで、家を妻が取得することについて相続人全員が合意すれば、妻の単独名義で家を相続することが可能です。
仮に、評価額2,000万円の家と、3,000万円の現預金が残されていたとします。この場合、全体の相続財産は5,000万円となり、法定相続分に基づく妻の取り分は2,500万円、子ども2人はそれぞれ1,250万円ずつです。
家を妻の単独名義にする場合、まず妻が評価額2,000万円の家を取得します。その後、妻が500万円、子ども2人がそれぞれ1,250万円ずつ現預金を取得することで、法定相続分に基づいた公平な分配となります。
なお、妻は必ずしも家を相続しなければならないわけではありません。相続時に「配偶者居住権」と呼ばれる権利を取得すれば、夫が所有していた建物に居住し続けることが可能です。
配偶者居住権の成立要件は以下のとおりです。
- 残された配偶者が、亡くなった人の法律上の配偶者であること
- 配偶者が亡くなった人が所有していた建物に、亡くなったときに居住していたこと
- 遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得
したこと
配偶者居住権は不動産よりも評価額が低く設定されるため、建物に居住する権利を得つつ、他の財産を多めに取得することができます。配偶者居住権は登記しなくても効力は発生しますが、第三者に権利を主張するためには登記が必要となります。
夫の単独名義の家を取得すべきか、配偶者居住権のみを取得すべきか、迷ったときは司法書士や弁護士などの専門家にも相談してみましょう。
参照:配偶者居住権とは|法務局
夫婦で共有名義の場合
家が夫婦の共有名義になっている場合、夫が夫が所有していた共有持分のみが相続の対象になります。たとえば、持分割合が夫婦それぞれ2分の1ずつであれば、家の評価額の半分の部分が相続の対象となります。
家を妻の単独名義にしたい場合は「夫の共有持分を誰が相続するのか」を確定させる必要があります。遺言書が残されていないときは、相続人全員で遺産分割協議を行い、夫の持分を妻が取得することについて全員が合意しなければなりません。
評価額2,000万円の家と、3,000万円の現預金が残されており、家の持分は夫婦それぞれ2分の1ずつとします。この場合、相続財産の内訳は、夫の共有持分1,000万円と現預金3,000万円の合計4,000万円です。法定相続分に基づく取得額は、妻が2,000万円、子ども2人がそれぞれ1,000万円ずつとなります。
妻が家を単独名義にするため、夫の共有持分1,000万円をすべて取得するとします。この時点で、妻は持分1,000万円を取得していますが、法定相続分は2,000万円であるため、残り1,000万円分を現預金から受け取ることで調整します。
残った現預金2,000万円を子ども2人で1,000万円ずつ取得することで、法定相続分に基づいた公平な分配となります。
このように、夫婦で共有名義だった場合は、妻が夫の共有持分を相続するという形で単独名義にすることが可能です。
なお、共有名義の場合であっても、妻は配偶者居住権を取得することができます。「持分を取得するか、配偶者居住権を取得するか」のどちらが良いのかは状況によって異なるため、迷ったときは司法書士などの専門家に相談してみてください。
夫の死亡から家の名義を妻に変更するための手続きの流れ
夫の死亡から家の名義を妻に変更するための手続きの流れは、以下が基本となります。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人を確定する
- 相続財産を調査する
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
1.遺言書の有無を確認する
夫が死亡した後、妻から夫へ家の名義変更をする際は、まず「夫が遺言書を残していないか」を確認する必要があります。遺言書があるかないかで、名義変更の進め方や必要な手続きが大きく変わるため、最初の段階で確認しておく必要があります。
遺言書が存在する場合、原則としてその内容に沿って相続手続きを進めることになります。
たとえば、「家は妻に相続させる」等の遺言がある場合、原則として遺言内容に沿って相続登記が可能です。ただし、自筆証書遺言(法務局保管を除く)などは家庭裁判所の検認が必要になるため、先に確認・手続きを行います。
一方、遺言書がなければ相続人全員で遺産分割協議を行い、家を誰が引き継ぐのかを決めなければなりません。
遺言書は夫の金庫や書斎などに保管されていることがあるため、相続手続きを進める前に確認をしておきましょう。また、公正証書遺言を作成している可能性も考慮し、公証役場への問い合わせも必要です。
なお、遺産分割協議を終えたあとに夫の遺言書が見つかると、すでに決めた内容を見直さなければならない場合があります。家の名義変更がやり直しになるおそれもあるため、まずは遺言書の有無を確認するところから相続手続きを始めましょう。
2.相続人を確定する
次に、被相続人である夫の相続人が誰になるのかを確定するための調査を行います。
配偶者は常に相続人となるため、夫が死亡した時点で法律上の配偶者なのであれば、妻には家などの財産を相続する権利があります。妻と同時に相続する人については、以下の順番で優先されます。
- 夫の子ども(死亡している場合は孫)
- 夫の両親(死亡している場合は祖父母)
- 夫の兄弟姉妹(死亡している場合は甥姪)
夫との間に子どもがいる場合は「妻と子ども」が相続人となります。子どもがいなければ「妻と夫の両親(または祖父母)」、両親や祖父母がいなければ「妻と兄弟姉妹」のように、相続権が移っていきます。
相続人を調査する際には、役所で夫の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得し、親族関係を順番に確認していきましょう。もしも相続人調査を飛ばしてしまうと、後から新たな相続人が発覚し、遺産分割協議がやり直しになるといったトラブルが生じるおそれがあります。
家の名義変更をスムーズに進めるためにも、戸籍謄本を取得したうえで丁寧に相続人調査をすることが大切です。
3.相続財産を調査する
相続人が確定した後は、夫の死亡時点でどのような財産が残されていたのかを調査します。家の名義変更を夫から妻へ行う場合でも、遺産分割協議は相続財産の全体像を把握したうえで進める必要があります。
相続財産には、家などの不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借入金などの負債も含まれます。夫名義の財産と負債がどの程度残っているのかを一つひとつ丁寧に確認しましょう。
調査がひととおり終わったら、不動産、現預金、負債などを一覧にした「財産目録」を作成しておくと、その後の遺産分割協議や相続登記を進めやすくなります。
もしも財産よりも負債のほうが上回る場合は、相続放棄を検討するケースもあります。相続放棄とは、夫の財産を一切相続せずに手放す権利のことです。ただし、相続放棄をすると家も手放すことになるため、司法書士などの専門家にも相談のうえ、慎重に判断しましょう。
4.遺産分割協議を行う
次に、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産について「誰がどの財産を、どのような割合で取得するのか」を具体的に決めていきます。
たとえば、家が夫の単独名義だった場合は「不動産全体を誰が相続するのか」、夫婦の共有名義だった場合は「夫の共有持分を誰が引き継ぐのか」などを遺産分割協議で確定させます。協議の内容に相続人全員が合意しなければ、家の名義変更をすることはできません。
相続人が複数人いる場合、「誰が家を相続するのか」をめぐって相続人同士でトラブルに発展するケースもみられます。どうしても話し合いがまとまらないときは、弁護士などの第三者に仲介してもらうことも検討してみてください。
協議の内容に相続人全員が合意すれば、話し合った内容を遺産分割協議書として書面に残し、署名捺印をします。遺産分割協議書は、夫から妻に家の名義変更をする際にも必要となるため、大切に保管しておきましょう。
5.相続登記を行う
家を誰が取得するのかが決まった後は、正式に名義を変更するための相続登記を行います。夫の死亡後に家の名義を夫から妻へ変更する場合、相続登記を完了させることで、登記簿上の名義が妻のものになります。
相続登記では、遺言書や遺産分割協議の内容に基づき、妻など家の取得者が法務局へ申請を行います。夫婦で共有名義だったケースでは、夫が持っていた共有持分について、誰が引き継ぐのかを反映させる形で登記を行うことになります。
相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。提出した書類に問題がなければ、申請をしてから約1週間~2週間で登記が完了し、法務局から登記識別情報が交付されます。
なお、相続登記の申請は自分でもできますが、書類の収集や申請方法など複雑な手順が多々あるため、実際には司法書士に依頼するケースが多いです。スムーズに家の名義変更を完了させたい場合、相続関係の経験が豊富な司法書士に相談してみてください。
夫から妻に家の名義を変更する際に必要な書類
夫から妻に家の名義を変更する際には、主に以下のような書類が必要となります。
- 登記申請書
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 固定資産評価証明書
- 贈与契約書
- 登記識別情報通知
- 印鑑登録証明書
なお、以下で紹介するテンプレートはあくまでもサンプルであるため、実際に作成する際には司法書士などの専門家に相談してください。
登記申請書
登記申請書は、土地や建物など不動産の名義変更をする際に、必ず法務局に提出する書類です。相続により、夫から妻へ家の名義変更をする際にも、登記申請書の提出が必要です。
登記申請書には、相続による名義変更であることを示す登記の目的や原因のほか、不動産の所在地や地番、家屋番号などの物件情報、申請人となる相続人の情報を記載します。一例として、夫の単独名義の家を妻に名義変更する際の書き方は、以下のとおりです。
登記の目的 所有権移転
原因 令和○年○月○日 相続
相続人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 山田 花子
被相続人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 山田 太郎
令和○年○月○日死亡
不動産の表示 所 在 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
家屋番号 〇番〇
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階〇㎡ 2階〇㎡
添付情報 ・登記原因証明情報(被相続人の戸籍一式、相続人の戸籍、遺産分割協議書 等)
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・相続関係説明図(任意)
・固定資産税評価証明書
・代理人による申請の場合は委任状
課税価格 金〇〇円
登録免許税 金〇〇円
(※課税価格 × 0.004(相続登記の税率0.4%)で計算)
申請日 令和○年○月○日
申請人(相続人)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 山田 花子 ㊞
電話番号 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇法務局 御中
※テンプレートはあくまで例であるため、そのまま使うのではなく、司法書士に相談して正式に作成してください。
なお、相続する家が夫婦の共有名義の場合、相続人の欄に「持分〇分の〇」といった形で、相続する共有持分の割合を記載します。
登記申請書は、法務局の窓口や公式サイトなどで収取することが可能です。記載例も公開されているため、参考にしながら登記申請書を作成しましょう。
被相続人の戸籍謄本
被相続人の戸籍謄本は、死亡した夫の身分関係を公的に証明するための書類です。氏名や生年月日、婚姻の有無、子どもの有無などが記載されており、相続手続きを進めるうえで欠かせません。
出生から死亡までの戸籍謄本のサンプルは以下のとおりです。
氏名 山田 太郎
戸籍事項 【改製日】平成〇年〇月〇日
戸籍改製 【改製事由】平成〇年法務省令第51号附則第2条第1項による改製
戸籍に記録
されている者 【名】太郎
(除籍) 【生年月日】昭和〇年〇月〇日
【父】山田 一郎
【母】山田 光子
【続柄】長男
身分事項
出生 【出生日】昭和〇年〇月〇日
【出生地】〇〇県〇〇市
【届出日】昭和〇年〇月〇日
【届出人】父
婚姻 【婚姻日】昭和〇年〇月〇日
【配偶者】山田 花子
【従前戸籍】〇〇県〇〇市
死亡 【死亡日】令和〇年〇月〇日
【死亡時分】午後〇時〇分
【死亡地】〇〇県〇〇市
【届出日】令和〇年〇月〇日
【届出人】親族 山田 花子
—-以下、配偶者や子どもなど戸籍に記録されている者の情報が記載—-
家の名義変更を行う際には、夫の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本を一式そろえ、妻との相続関係を明らかにすることが求められます。戸籍謄本を提出することにより、妻が配偶者であること(家を取得する権利があること)を法務局が確認できます。
戸籍謄本の取得先は本籍地の市区町村役場で、自治体によっては郵送請求やオンライン申請に対応しています。最新の戸籍だけでなく、必ず出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得しましょう。
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本は、夫の死亡後に家の名義変更を行う際、「被相続人との相続関係があるか」「相続人全員が現在も存命であるか」を確認するために提出を求められる書類です。
家を妻が取得する場合であっても、他の相続人が存在する場合には、全員分の戸籍謄本が必要になります。これは、遺産分割協議が相続人全員の合意によって成立していることを確認する目的があります。
ただし、遺言書に基づいて相続登記をする場合は、不動産を新たに取得する人の戸籍謄本のみで問題ありません。遺産分割協議で家の取得者を決めた場合のみ、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
戸籍謄本は、それぞれの相続人の本籍地がある市区町村役場で取得します。郵送請求やオンライン申請、代理取得などを活用し、全員分の戸籍謄本をそろえましょう。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、家や土地などの不動産について、評価額がいくらであるかを公的に証明する書類です。
夫の死亡後に家の名義変更を行う際には「登録免許税」と呼ばれる税金が発生するのですが、課税額は固定資産評価証明書に記載された評価額をもとに算出されます。具体的には、「固定資産評価額 × 税率」という計算式で税額が決まるため、固定資産税評価額を証明する書類がなければ正確な税額を計算することができません。
固定資産評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場で取得します。毎年更新される「固定資産課税台帳」をもとに作成されるため、相続登記を行う際には最新の年度のものを用意しましょう。
贈与契約書
贈与契約書は、夫の生前に家を妻へ贈与した場合に、その事実を証明するための書類です。家の名義変更を「相続」ではなく「贈与」を原因として行うときに、法務局へ提出する必要があります。
たとえば、夫が生前に「自宅を妻に無償で譲る」という意思表示を行い、その内容に基づいて名義変更をする場合、贈与が成立していることを客観的に証明しなければなりません。贈与契約書は、贈与者と受贈者の合意内容を書面に残したものであり、法務局が登記原因を確認するための資料となります。
一例として、夫から妻に家を贈与する場合の贈与契約書の書き方は以下のとおりです。
贈与者 山田太郎(以下、甲という)と受贈者 山田花子(以下、乙という)は、以下のとおり甲の財産について贈与契約を締結した。
第1条 甲は、所有する不動産(以下、本件不動産という)のすべてを乙に贈与し、乙はこれを承諾した。
<建物>
所 在 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
家屋番号 〇番〇号
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階〇㎡ 2階〇㎡
第2条 甲は、令和〇年〇月〇日までに、本件不動産を乙に引き渡し、かつその所有権移転登記を行う。当該登記に必要な一切の費用は乙の負担とする。
第3条 本件不動産に係る公租公課は、所有権移転登記の日までに相当する部分は甲の負担とし、手続き完了以降は乙の負担とする。
以上の合意が成立した証として、甲及び乙は本書を2部作成し、署名押印のうえ、各1通を保有するものとする。
令和〇年〇月〇日
贈与者(甲)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町
氏名 山田太郎 ㊞
受贈者(乙)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町
氏名 山田花子 ㊞
贈与契約書には、決まった様式があるわけではありませんが、当事者の署名や押印、贈与の内容が明確に記載されていることが求められます。
登記識別情報通知
登記識別情報通知は、家を購入したときや過去に名義変更を行った際に、法務局から交付される書類です。不動産の所有者であることを確認するための情報が記載されています。
あくまでもサンプルですが、登記識別情報通知には以下のような内容が記載されています。
次の登記の登記識別情報について、下記のとおり通知します。
【不動産】
〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
【不動産番号】
1234567890123
【登記の目的】
所有権移転
【登記名義人】
〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
山田太郎
記
登記識別情報
123 456 ABC DEF
夫の死亡後に家の名義変更を行う際には、登記識別情報通知の提出が求められます。書類を紛失している場合、再発行はできないため、管轄の法務局に代わりの手続きについて相談しましょう。
印鑑登録証明書
印鑑登録証明書は、遺産分割協議によって相続内容を決めた場合に、相続人全員分の提出が求められる書類です。家の名義変更を夫から妻へ行う際、遺産分割協議書に記載された合意内容が「相続人本人の意思によるものであるか」を確認する目的で使用されます。
遺産分割協議書には相続人全員が署名と押印を行いますが、その押印が実印であることを証明するために、印鑑登録証明書が必要になります。第三者によるなりすましや、無断で作成された書類ではないことを法務局が確認します。
印鑑登録証明書は、各相続人の住所地がある市区町村役場で取得できます。自治体によっては、マイナンバーカードを利用してコンビニ交付に対応している場合もあります。
家の名義変更をスムーズに進めるためにも、遺産分割協議書の作成とあわせて、必要人数分の印鑑登録証明書を早めに準備しておきましょう。
夫の死亡から家の名義を妻に変更するまでにかかる費用や税金の一覧
夫の死亡から家の名義を妻に変更するまでには、以下の費用や税金が発生する場合があります。
| 費用・税金 | かかるタイミング |
|---|---|
| 相続税 | 基礎控除額を超える遺産を取得したとき |
| 登録免許税 | 法務局に相続登記の申請をするとき |
| 司法書士報酬 | 司法書士に書類収集や登記の依頼をするとき |
| 戸籍・証明書取得費用 | 相続登記に必要な書類を取得するとき |
相続税
相続税とは、夫の死亡によって家や現預金などの財産を相続した場合に課される税金です。
家の名義変更を夫から妻へ行うケースでも、基礎控除額を超える遺産を取得する場合には、相続税の申告や納税が必要になります。
ただし、妻が遺産を取得する場合は「配偶者控除」が適用され、遺産額が1億6,000万円、または法定相続分相当額のいずれか高い方までであれば、相続税はかかりません。なお、子どもや夫の両親など、配偶者以外の相続人が遺産を取得する際には、通常どおりに相続税が課されます。
相続税を計算する大まかな手順は以下のとおりです。
- 遺産の課税価格を算出する
- 課税価格から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を算出する
- 各相続人の相続割合に応じて課税遺産総額を按分する
- 相続税率をかけて相続税を算出する
たとえば、遺産総額が合計8,000万円(家5,000万円+その他の財産3,000万円)、非課税財産・マイナスの財産・葬儀費用の合計が450万円、相続人が妻と子どもの2人だったケースでシミュレーションしてみます。
まずは「遺産総額-非課税財産-マイナスの財産-葬儀費用」の計算式で、遺産の課税価格を算出します。
次に「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で基礎控除を計算し、課税価格から差し引いて課税遺産総額を求めましょう。
課税遺産総額:7,550万円-4,200万円=3,350万円
これで、相続税の対象となる金額は3,350万円であることがわかりました。では次に、実際の相続割合に応じてこの金額を按分します。今回は、妻が家を単独で、子どもがその他の財産をすべて取得したものと仮定します。
妻:5,000万円 ÷ 8,000万円 = 62.5%
子ども:3,000万円 ÷ 8,000万円 = 37.5%
【課税遺産総額を按分】
妻:3,350万円 × 62.5% = 約2,094万円
子ども:3,350万円 × 37.5% = 約1,256万円
最後に、以下の相続税率をもとに、最終的な税額を求めます。
| 遺産の取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参照:相続税の税率|国税庁
子ども:1,256万円×15%-50万円=約138万円
ただし、前述したとおり妻には配偶者控除が適用されます。今回のシミュレーションで妻が取得した遺産額は5,000万円だったため、実際の課税額は0円となります。
相続税を計算した結果、税金を納める必要がある場合は、夫が死亡したことを知った日から10ヶ月以内に相続税申告と納付を行いましょう。期限を過ぎると加算税や延滞税などのペナルティを受けるおそれがあるため、注意が必要です。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更などの登記申請を行う際に国へ納める税金です。夫の死亡により家の名義を夫から妻へ変更する場合も、相続登記を申請するタイミングで登録免許税が発生します。
相続を原因とする名義変更では、登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」で計算します。夫と妻が家を共有名義で所有していた場合には、家全体ではなく夫の持分のみが課税対象になります。この場合の計算式は「固定資産税評価額×夫の持分割合×0.4%」となります。
一例として、固定資産税評価額が5,000万円の家を想定してシミュレーションしてみます。
夫の単独名義の家の名義変更をする場合、登録免許税は以下のとおりです。
一方、夫婦で2分の1ずつの共有名義だった場合、相続の対象となるのは夫の持分である2,500万円分です。この場合の登録免許税は以下のように計算します。
このように、家の名義が単独名義か共有名義かによって、登録免許税の金額が変わります。夫の死亡後に家の名義変更を行う際は、固定資産税評価額と持分割合をもとに登録免許税を事前に計算しておきましょう。
司法書士に支払う報酬
夫の死亡に伴い、家の名義変更を夫から妻へ行う際、相続登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬が発生します。
相続登記は自分で申請することも可能ですが、必要書類の収集や申請書の作成に不安がある場合、専門家に依頼することで手続きを進めやすくなります。
日本司法書士会連合会のアンケートによると、相続登記にかかる司法書士報酬は5万円〜8万円台に設定されているケースが多く、平均額は74,888円程度とされています。
ただし、相続関係が複雑な場合や、取得する不動産が複数ある場合などは、報酬が相場より高くなることもあります。費用の内訳や金額は司法書士事務所ごとに異なるため、家の名義変更を依頼する前に、まずは無料相談で見積もりを確認しておきましょう。
戸籍・証明書取得費用
相続登記を申請する際には、戸籍謄本や印鑑証明書などの書類を取得する必要があります。取得費用の一覧は以下のとおりです。
| 書類 | 取得費用 |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 1通450円 |
| 除籍謄本 | 1通750円 |
| 住民票の写し | 1通300円 |
| 固定資産評価証明書 | 1通200~400円 ※自治体によって異なる |
| 印鑑登録証明書 | 1通300円 |
| 登記事項証明書 | 1通600円 |
相続の方法によっても必要書類の種類は異なるため、事前に法務局や司法書士などに確認のうえ、書類を集めましょう。
家の名義を夫から妻に変更できないケースもある
妻は夫の財産を相続する権利を持ちますが、家の名義を変更できないケースもあります。具体的な事例は以下のとおりです。
- 法定相続人が妻だけではない場合
- 遺言書がなく遺産分割協議が成立していない場合
- 住宅ローンが残っており名義変更が制限される場合
- 夫以外に共有者がいる場合
法定相続人が妻だけではない場合
夫が死亡した場合、配偶者である妻は必ず法定相続人になりますが、相続人は妻だけとは限りません。夫に子どもがいる場合は子どもが相続人となり、子どもがいない場合は、夫の両親や兄弟姉妹が繰り上げで相続人になります。
法定相続人が妻以外にもいる場合、家の名義を妻の単独名義に変更できないことがあります。
たとえば、他の相続人が家の取得を希望していたり、売却して現金で分けたいと考えていたりし、遺産分割協議で合意が得られないケースです。相続人全員の合意がなければ、妻の単独名義に変更することはできません。
このような場合、対処法として配偶者居住権の取得が考えられます。配偶者居住権を取得すれば、妻が家の所有権を相続しなくても、一定期間または終身にわたってその家に住み続けることができます。所有権は他の相続人が取得し、居住権のみを妻が持つ形にすることで、相続人の納得も得やすくなるでしょう。
家の名義を夫から妻へ変更したいと考えていても、相続人との関係性によっては単独名義にするのが難しい場合があります。話し合いが難航しそうなときは単独名義にこだわらず、配偶者居住権の取得を検討してみてください。
遺言書がなく遺産分割協議が成立していない場合
夫の死亡後に遺言書が見つからなかった場合、家の名義変更を夫から妻へ行うためには、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分け方について合意する必要があります。前述したとおり、相続人全員の合意が得られなければ家の名義変更は進められません。
ただし、相続登記の申請に必要となる遺産分割協議書は、家のみの記載でも問題ないとされています。遺産全体の協議がまとまっていなくても、まずは家について「妻が取得する」と相続人全員が合意すれば、合意内容を遺産分割協議書としてまとめ、先に家の名義を妻へ変更することが可能です。
一方で、家を含めた財産の分け方そのものについて意見が対立している場合は、弁護士に遺産分割協議に同席してもらい、相続人同士の意見を調整してもらう方法がおすすめです。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、最終的には審判により遺産分割の内容を決定してもらうのも選択肢の一つです。
住宅ローンが残っており名義変更が制限される場合
住宅ローンが設定されている不動産は、金融機関にとって担保となっているため、名義を夫から妻へ変更する際には原則として金融機関の承諾が必要になります。
金融機関は、名義変更によって返済能力や契約内容に影響が出ないかを審査します。その結果、妻単独での返済が難しいと判断された場合や、契約条件に合わないと判断された場合には、名義変更が認められず、妻の単独名義に変更できないケースもあります。
このような場合、まず考えられる対処法が住宅ローンの借り換えです。他の金融機関にローンを借り換えて現在のローン残債を返済すれば、妻の名義に変更することができます。
ほかにも、預貯金や保険金などの相続財産を使ってローンを一括返済できれば担保が外れるため、名義変更が可能になります。住宅ローンの借り換えや一括返済が難しい場合には、金融機関の同意を得て抵当権がついたまま任意売却するという方法があります。
夫の死亡後に家の名義変更を進める際は、住宅ローンの有無や残債の状況を確認しておき、早めに金融機関に相談のうえ、対処法を考えておきましょう。
夫以外に共有者がいる場合
家が夫の単独名義ではなく、夫以外にも共有者がいる場合、妻の単独名義に変更することが難しくなります。相続によって取得できるのは、あくまでも「夫が所有している持分」に限られるためです。
夫以外に共有者がいるケースの事例は以下のとおりです。
- 夫が両親と共同で資金を出し合って家を購入しており、両親も共有者として名義に含まれている
- 夫が相続によって家を取得しており、その際に兄弟姉妹と共有名義になっている
- 夫が再婚で、前婚の際に購入した家を元配偶者や子どもと共有名義のままにしている
このようなケースでは、夫の死亡後、妻は相続人として夫の持分を引き継ぐことはできますが、他の共有者が所有する持分まで取得できるわけではありません。
家を完全に妻の単独名義にするためには、夫以外の共有者が所有する持分についても取得する必要があります。そのためには、共有者と話し合いを行い、売買や贈与といった形で持分を譲ってもらう交渉をしなければなりません。しかし、実際には共有者が譲渡に応じなかったり、条件面で折り合いがつかなかったりするケースも多いです。
他の共有者との関係性が薄く、将来的なトラブルが懸念される場合には、相続によって取得した持分のみを売却して共有名義から抜け出すという選択肢もあります。夫以外にも共有者がいる場合、家に住み続けるかどうかも含めて今後の対応を考えましょう。
夫から妻に家の名義変更をしないことのリスク
夫から妻に家の名義変更をしない場合、以下のようなリスクが生じます。
- 名義を変更するまで家を売却できない
- 将来相続があった際にさらに権利関係が複雑になる
- 他の相続人とトラブルが起こる可能性がある
名義を変更するまで家を売却できない
家の名義が夫のままになっている状態では、不動産を売却することはできません。不動産の売買契約は、原則として登記簿上の名義人しか締結できないためです。
夫が死亡した後、家の所有権は妻などの相続人に承継されますが、相続登記を行わない限り、その権利を第三者に対して主張することはできません。そのため、名義を変更しないまま売却を進めようとしても、買主側からすると所有権の所在が不明確な状態となります。
仮に相続登記をしないまま売買契約を結んだとしても、最終的に所有権移転登記ができないため、売買契約が履行できません。この場合、契約解除を求められたり、損害賠償を請求されたりするおそれもあります。
トラブルを避けるためにも、家の売却を検討している場合は夫の死亡後できるだけ早い段階で相続登記を済ませましょう。
将来相続があった際にさらに権利関係が複雑になる
夫の死亡後、家の名義変更をしないまま放置していると、将来新たな相続が発生した際に、権利関係が複雑になるおそれがあります。
たとえば、夫が死亡した後も相続登記を行わず、相続人が「妻と子ども3人」の状態で家の名義が夫のままになっていたとします。その後に妻が亡くなった場合、残された子ども3人には夫と妻の2人分の相続が重なっている状態となり、戸籍調査や相続登記の手続きが複雑化してしまいます。
また、子どもの1人が亡くなると、その子どもの相続が新たに発生し、配偶者や子ども(孫)が相続人となります。このような場合、もともとの相続人に新たな相続人が加わることになるため、家の名義変更をするためには、より多くの人の合意が必要になります。
結果として、遺産分割協議がまとまりにくくなったり、そもそも連絡先がわからなかったりなどのトラブルに発展する可能性が高くなります。
将来的なトラブルを防ぐためにも、夫が死亡した後は現在の相続人同士で速やかに遺産分割協議を行い、家の名義変更を完了させましょう。
他の相続人とトラブルが起こる可能性がある
家の名義を夫のままにして放置していると、時間の経過とともに、他の相続人との間でトラブルが生じるおそれがあります。
たとえば、妻がそのまま家に住み続けている場合、他の相続人から「妻だけが家を使い続けるのは不公平だ」と指摘されるケースがあります。とくに、夫の両親や兄弟姉妹など、関係性が薄い人と相続関係にある場合に起こりやすいトラブルです。
また、名義変更を先延ばしにしている間に、相続人の一部と連絡が取れなくなったり、相続手続きに協力しない人が出てくることもあります。相続登記は相続人全員の合意が必要であるため、1人でも非協力的な相続人がいると、名義変更が困難になります。
さらに、固定資産税の負担をめぐって相続人同士の意見が対立することも多いです。名義が夫のままの場合、誰がどの割合で税金を負担するのかが曖昧になり、「なぜ自分も負担しなければならないのか」という不満が生じやすくなります。
このようなトラブルを避けるためにも、夫の死亡後はできるだけ早めに夫から妻に家の名義変更を行い、権利関係を明確にしておくことが大切です。
まとめ
夫が死亡したあと、家の名義を妻へ変更するためには、法務局へ相続登記を申請する必要があります。家が夫の単独名義であった場合はもちろん、夫婦の共有名義で所有していた場合も、相続登記を行わなければ法律上の所有者は妻にはなりません。
名義変更を進めるためには、遺言書がある場合はその内容に従い、遺言書がない場合は遺産分割協議によって家を誰が承継するのかを決めたうえで、相続登記を行う流れになります。
相続登記は不動産登記法によって義務化されており、夫の死亡を知った日から原則として3年以内に手続きを行う必要があります。
また、相続人の構成や共有関係、住宅ローンの状況などによっては、妻の単独名義にすることが難しいケースもあります。そのような場合は、所有権の取得にこだわらず、配偶者居住権を取得して住み続けるという方法も検討してみてください。
よくある質問
夫が死亡した後、家の名義変更は自分でもできますか?
夫が死亡した後、夫から妻への名義変更は自分でも行うことができます。
ただし、相続登記では戸籍の収集や相続関係の確認、登記申請書の作成など複雑な手続きが多く、実際には司法書士に依頼するケースが多いです。手続きを確実に進めたい場合や、書類作成に不安がある場合は、司法書士に相談しましょう。
固定資産税は夫が支払っていたのですが、死亡後は誰が支払いますか?
夫が死亡した後は、家を相続する立場にある相続人全員が固定資産税の支払い義務を負うことになります。
ただし、固定資産税の請求書は相続人全員に届くわけではなく、代表者1人のもとに届きます。そのため、代表者がまとめて固定資産税を支払い、他の相続人から法定相続分に応じた金額を回収する形が取られることが多いです。
夫が死亡した場合、一緒に住んでいた妻のもとへ固定資産税の請求書が届くことが考えられるため、一旦は代表して立て替える必要があることを押さえておきましょう。
配偶者居住権を取得した場合、将来的に家を売却することは可能ですか?
配偶者居住権を取得した場合、家を売却することはできません。配偶者居住権は、あくまで「住み続けるための権利」であり、家の所有権ではないためです。
家を売却したい場合には、家の所有者と配偶者との間で合意をし、配偶者居住権を合意消滅させる必要があります。将来的に家を売却する可能性がある場合は、配偶者居住権を取得する前に、所有権との違いや売却方法について理解しておきましょう。

