底地相続を徹底解説!知っておくべき基本情報から相続手続きの流れまで解説

弊社では、「相続財産に底地があるが、相続か売却で悩んでいる」「相続した後に借地人とトラブルになってしまった」などのご相談をいただくことがあります。
底地とは、他人に貸している土地(借地権が設定されている土地)のことです。土地の所有者(地主)目線では「底地」、土地を借りている人(借地人)目線では「借地」と呼ばれますが、名称が異なるだけでどちらも同じ土地を指します。
底地を相続する際の流れは以下が基本となります。
- 相続人を確定させる
- 底地以外の遺産を明確にしておく
- 遺言書があるかを確認する
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
まずは相続人調査と相続財産の調査をおこない、相続人と相続財産を確定させます。漏れがあると後から遺産分割協議がやり直しになってしまうため、相続が発生した時点で早めに調査を済ませておきましょう。
次に、被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書があれば原則としてその内容が優先されますが、なければ相続人全員で遺産分割協議をおこない、相続財産の分け方について話し合います。
底地を誰が相続するのかが決まったら、法務局で相続登記をおこない、所有権を正式に相続人へ移転しましょう。相続税申告をし、相続税を支払えば底地の相続は完了です。相続後は、相続人が底地の管理や借地人とのやり取りなどを引き継ぎます。
なお、底地を相続する際にはトラブルが起こることがあります。たとえば「共有名義で相続した後、共有者同士で底地の管理について揉めた」「借地人との地代交渉が上手くいかない」などは弊社でもご相談が多い事例です。
トラブルを解決するのが難しい場合や、底地が不要な場合は、売却して処分することを検討するのも良いでしょう。借地人や底地専門の買取業者に売却するほか、借地人と協力して借地権と底地をセットで売却する方法もあります。
なお、弊社クランピーリアルエステートは、底地の相続や管理に悩む地主様の負担を軽減し、円滑な資産整理をサポートすることを1つの理念として、底地の買取をおこなっています。
底地は地代収入というメリットがある一方で、借地人との交渉や契約管理、相続登記などの手続きが煩雑になりやすい資産です。弊社では、底地特有の問題に対し、借地人との条件調整から契約内容の確認、買取手続きまでをすべてワンストップで対応しています。
また、弁護士と連携し、法的な側面からも支援を行うことで、トラブルを未然に防ぎながらスムーズな取引を実現します。「相続した底地の扱いに困っている」「借地人との関係が難しい」などの悩みをお持ちの方は、ぜひクランピーリアルエステートへご相談ください。
目次
そもそも底地とは?
底地とは、他人に貸している土地のことを指し、法的には「借地権が設定されている土地」を意味します。
地主から見れば貸している土地は「底地」ですが、借地人から見れば借りている土地は「借地」になります。どちらの目線から見るかで呼び方が異なるだけであり、物理的には底地も借地も同じ土地を指します。
底地の所有者である地主は、借地人から地代を受け取る権利や、契約更新時・建て替え時などに承諾料を受け取る権利を持っています。ただし、貸している間は自由に土地活用ができないうえ、土地の固定資産税を負担しなければなりません。
このように、底地は安定した収益が得られる一方、土地の利用や管理に関するデメリットも存在します。そのため、底地が相続財産に含まれる場合、メリットとデメリットの両方を把握したうえで相続すべきかどうかを判断しましょう。
底地を相続することのメリット・デメリット
底地を相続することの主なメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・地代収入が得られる ・管理の手間が通常の土地よりもかからない |
・土地を自由に使えない ・毎年固定資産税を負担しなければならない ・借地人とトラブルが起きることがある |
底地を相続することのメリット
底地を相続することのメリットは以下のとおりです。
- 地代収入が得られる
- 管理の手間が通常の土地よりもかからない
地代収入が得られる
底地を相続すると、借地人から毎月「地代」と呼ばれる賃料を受け取ることができます。
地代の金額は地主と借地人の合意に基づいて定められ、借地契約書に明記されます。借地契約は長期にわたるケースが多く、借地人が解約しない限り継続的に地代収入を得られるのが特徴です。
また、地代のほかにも、契約更新時に更新料や、借地人が建て替え・譲渡をおこなう際に承諾料などの収入が発生する場合もあります。更新料や承諾料は一時的な収入ではありますが、借地契約は長期契約が基本であるため、安定した収入源のひとつとなります。
さらに、底地はアパートやマンション経営のように空室リスクがなく、借地人がいる限り地代が途絶えることはありません。地代は原則として契約時の金額が維持されるため、基本的に値下がりすることはなく、長期的に安定した収入を得られる点が大きなメリットです。
管理の手間が通常の土地よりもかからない
底地を相続した場合、日常的な管理の手間がほぼかからないという利点があります。
底地は他人に貸している土地であるため、実際の利用や維持管理は借地人がおこなうのが基本です。
たとえば、草木の手入れや建物の管理、修繕などはすべて借地人がおこないます。原則として、地主が現地のメンテナンスにかかわる必要はありません。
また、アパートやマンション経営のように、入居者対応や修繕管理などの手間もかかりません。管理負担を抑えつつ資産を保有したい方にとって、底地は効率的な不動産運用の形といえます。
底地を相続することのデメリット
一方で、底地を相続すると以下のようなデメリットがあります。
- 土地を自由に使えない
- 毎年固定資産税を負担しなければならない
- 借地人とトラブルが起きることがある
土地を自由に使えない
底地は土地の所有権こそ地主にありますが、実際に利用する権利は借地人にあります。そのため、底地を相続しても自由に土地を活用することはできません。
たとえば、「土地を相続して駐車場や自宅用地として使いたい」と考えても、借地人がいる限り勝手に用途を変えることはできず、土地を返してもらうためには交渉が必要になります。
また、借地人に立ち退きを求める場合、正当な事由がなければ認められません。正当な事由とは、「借地人の契約違反がある」「再開発するためにどうしても土地を使用する必要がある」などが該当します。単に「土地を使いたいから」という一方的な理由だけで、立ち退きを求めることはできません。
なお、正当な事由があったとしても、借地人の移転費用などを考慮して「立ち退き料」の支払いが必要になるケースもあります。とくに、地主側の都合で借地人に明け渡しを求める場合、立ち退き料の支払いは必須となるのが基本です。
さらに、底地の契約期間は数十年単位に及ぶため、一度貸し出すと長期にわたって土地が返ってきません。とくに更新可能な契約形態になっている場合、借地人が更新を希望する限り地主は拒否することができず、土地の活用が極めて困難になります。
毎年固定資産税を負担しなければならない
底地を相続すると、土地の所有者として固定資産税・都市計画税を毎年支払う義務が生じます。土地にかかる固定資産税・都市計画税は、所有者である地主が負担しなければなりません。
固定資産税の負担がかかる一方、底地から得られる地代収入はそれほど高くないというのもデメリットです。
地代の算出方法は底地によって異なるものの、更地価格の2~3%程度が目安です。たとえば、更地価格が1,200万円の土地であれば、年間で20〜36万円ほどの収入となります。
固定資産税の標準税率は1.4%なので、1,200万円の土地の場合、年間で約16万8,000円の固定資産税がかかります。地代収入から固定資産税を差し引くと、手元に残るお金は年間で7万円~19万円程度となります。
このように、底地は安定した地代収入を得られますが、固定資産税の負担を考慮すると収益性は低くなりがちです。また固定資産税は毎年見直されるため、現状よりさらに収益性が低くなることも有り得ます。
借地人とトラブルが起きることがある
底地を相続すると、借地人との間でトラブルに発展するケースがあります。
弊社でもよくご相談をいただくトラブル事例として、地代の滞納や値上げ交渉・契約更新料の支払いをめぐる対立、無許可での増改築などが挙げられます。
また、借地借家法では借地人の権利が強く保護されているため、地主側の判断で契約を解除したり、立ち退きを求めたりすることは簡単ではありません。
たとえ地代が数ヶ月滞納されていたとしても、信頼関係が完全に壊れたと判断されない限り、裁判でも契約解除が認められないことが多いです。
借地人とのトラブルは、金銭的負担だけでなく精神的なストレスにもつながります。とくに、相続によって初めて地主になった方の場合、法的な知識が乏しいまま対応を迫られるケースも少なくありません。
底地は相続するべき?相続を検討する際の判断ポイント
底地は安定した収入が得られる一方、自由な利用が難しく、維持コストもかかるため、利益と負担を総合的に考慮して判断する必要があります。相続を検討する際の主な判断ポイントは以下のとおりです。
- 地代収入が固定資産税や都市計画税の負担を上回っているか
- 借地人との関係が良好で、今後の契約更新や地代交渉に不安がないか
- 土地の返還予定までに長期的な運用計画が立てられるか
- 相続後の管理や税金の支払いを継続できる経済状況か
- 底地以外にマイナスの財産が多く、相続放棄を検討すべき状況ではないか
たとえば、地代収入が安定しており借地人との関係も良好であれば、底地を相続して継続保有するメリットが大きいでしょう。将来的に地代を見直したり、契約満了後に土地を返還してもらうことで土地活用の幅を広げることもできます。
一方、代が低く設定されており税負担のほうが大きい場合や、借地人との関係が悪化している場合には、相続後に維持管理の手間やトラブルが増える可能性があります。地
そのような場合は、底地を相続せずに売却や相続放棄を検討するのも一つの選択です。ただし、相続放棄をすると底地以外のすべての財産を手放すことになるため、プラスの財産とマイナスの財産の状況を踏まえて総合的に判断する必要があります。
底地を相続するときの流れ
底地を相続するときの大まかな流れは以下が基本となります。
- 相続人を確定させる
- 底地以外の遺産を明確にしておく
- 遺言書があるかを確認する
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
1. 相続人を確定させる
底地を相続する際は、まず誰が法的に相続人となるのかを確定することから始めます。
相続人の範囲は民法で定められており、配偶者は常に相続人となります。そのうえで、血縁関係にある親族(血族相続人)が以下の順位で相続権を持ちます。
- 第1順位:子ども
- 第2順位:両親など直系尊属
- 第3順位:兄弟姉妹
上位の順位者がいる場合、下位の人は相続人にはなりません。たとえば、配偶者と子がいる場合には、親や兄弟姉妹は相続権を持たないということになります。
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得し、家族関係を時系列で確認する必要があります。戸籍の確認を怠ると、家族も知らない相続人が後から判明し、手続きが最初からやり直しになる可能性があります。
家族構成が複雑な場合や、相続人が誰になるのかわからない場合、弁護士や司法書士などの専門家のサポートを受けながら慎重に進めましょう。
2. 底地以外の遺産を明確にしておく
底地を相続する際には、相続財産の調査をおこない、すべての遺産の内容を明確にしておく必要があります。相続財産の調査を怠ると、後の遺産分割協議で「財産の把握漏れ」や「負債の発覚」によるトラブルにつながる恐れがあります。
具体的には、不動産、預貯金、有価証券、車や貴金属などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや未払い金などのマイナスの財産も漏れなく調査しましょう。
どのような財産があるのかがわかったら、それぞれの財産がいくらの価値を持つのかを調査していきます。
底地などの不動産は、不動産登記簿謄本や固定資産税の納税通知書などをもとに、評価額を確認しましょう。金融資産は通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵送物などをもとに照会し、負債がある場合は信用情報機関などで残債の有無を確認します。
財産調査がすべて完了したら、調査結果を一覧にまとめた「財産目録」を作成し、次の手続きに進みます。
3. 遺言書があるかを確認する
遺産の分割方法を決める前に、被相続人が遺言書を残しているかどうかを必ず確認しましょう。
遺言書があるにもかかわらず、相続人同士で話し合いを先に進めてしまうと、後から遺言の存在が発覚した際に協議をやり直す必要が生じます。そのため、相続の際には遺言書の確認が必要です。
なお、遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれで開封方法が異なります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所での検認手続きを経て内容を正式に確認します。公正証書遺言の場合は、公証役場に保管されているため、相続人が開封しても問題ありません。
遺言書は自宅の金庫や遺品の中、公証役場などに保管されていることが多いです。見つからない場合は、公証役場で「遺言書検索システム」を利用して確認してみましょう。
4. 遺産分割協議を行う
遺言書が見つからなかった場合、相続人全員で遺産分割協議をおこない、相続財産の分け方を話し合います。
遺産分割協議書には、各相続人がどの財産をどのような割合で引き継ぐのかを明記のうえ、全員が署名・実印で押印し、印鑑証明書を添付して完成させます。
遺産分割協議は相続人全員の参加が原則であり、疎遠な相続人や連絡の取れない相続人を除外しておこなった協議は無効となります。全員の意見を調整するのが難しい場合は、弁護士など専門家のサポートを受けて進めましょう。
注意点として、相続人の意見がまとまらないからといって、法定相続分などの割合で底地を共有するのはできるだけ避けてください。
共有名義で相続した場合、底地の売却や契約更新、地代の改定といった場面で、共有者全員の同意が必要になります。共有者のうち1人でも反対すると手続きが進まないため、共有名義にすると底地の活用がしづらくなってしまいます。
とくに、底地は借地人との関係性も絡むことから、通常の不動産よりも権利関係が複雑です。そのため「誰が底地を相続するのか」を早い段階で明確にしておくようにしましょう。
5. 相続登記を行う
底地を誰が相続するのかが決まったら、法務局で相続登記(所有権移転登記)の手続きをおこなう必要があります。
相続登記をせず放置すると、登記簿上の所有者が亡くなったままになり、実際の所有者が誰なのかわからなくなります。その結果、将来的に底地を売却したい場合や、次の世代に相続が発生した際に権利関係が複雑化し、手続きが煩雑になってしまいます。
また、2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、相続によって底地の所有権を取得した日、またはその事実を知った日から3年以内に登記申請を済ませる必要があります。正当な理由なく登記を怠った場合は、10万円以下の過料が科されます。
なお、相続登記の手続き自体は自分で行うことも可能ですが、必要書類の収集や申請内容の確認など手間が多く、誤りがあると手続きが差し戻されることもあります。そのため、スムーズに手続きを終えたい場合は、司法書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
参照:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)|法務局
底地を相続することのトラブル!相続時・相続後のタイミング別に紹介
底地は他人に土地を貸している状態であるため、通常の土地と比べて相続することでトラブルが生じるケースも少なくありません。
実際、弊社にも底地の相続に関する相談が多数寄せられており、なかにはトラブルに発展した事例もあります。
ここでは、底地の相続時・相続後のタイミング別に、実際にあったトラブル事例を紹介します。
底地の相続時のトラブル
底地の相続時に起こりやすいトラブル事例は以下のとおりです。
- 遺産分割協議で「誰が底地を引き継ぐか」で揉めるトラブル
- 底地を共有名義で相続したことで管理・承諾が煩雑になるトラブル
遺産分割協議で「誰が底地を引き継ぐか」で揉めるトラブル
底地の相続をめぐって、相続人の兄弟同士が対立した事例です。
最終的には、ご相談者様が底地を相続し、弟に代償金を支払う形で合意しましたが、協議の過程で兄弟の関係が悪化してしまいました。
底地は資産価値の高い財産である一方、相続人同士で物理的に分けにくい財産でもあります。そのため、今回のケースのように「相続人が複数いる」「主な財産が底地のみ」といった状況では、意見の対立が起きやすい傾向があります。
遺産分割協議で揉めると後々の関係悪化にもつながるため、意見が割れそうなときは弁護士や不動産会社などの専門家に依頼し、仲介してもらいながら協議を進めましょう。
底地を共有名義で相続したことで管理・承諾が煩雑になるトラブル
底地を共有名義で相続したことで、売却や管理の手続きが複雑化した事例です。
共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要なため、話し合いは進まず、固定資産税や管理負担だけが増えている状況が続いていました。最終的に、ご相談者様の持分を弊社が買い取る形で問題を解決いたしました。
このように、底地を共有名義で相続すると、売却など重要な決定をおこない際に共有者全員の同意が必要になります。1人でも反対する共有者がいると売却の手続きが進まず、底地を管理する負担だけが続くという状況になりかねません。
底地を相続する際は、安易に共有名義にせず、早い段階で「誰が引き継ぐのか」を明確に決めておくことが大切です。
なお、自分が所有する共有持分のみの売却であれば、他の共有者の同意は必要ありません。そのため、すでに共有名義で底地を相続している場合、自分の持分のみを売却するのも一つの手段です。
底地を相続した後のトラブル
底地を相続した後に起こりやすいトラブル事例は以下のとおりです。
- 借地人との地代・更新・承諾料交渉がうまくいかないトラブル
- 固定資産税の負担や管理コストをめぐって相続人同士が対立するトラブル
借地人との地代・更新・承諾料交渉がうまくいかないトラブル
借地人との地代交渉がうまくいかず、関係が悪化してしまった事例です。
しかし、借地人は「これまでの金額で問題なく続けてきたのに、急に値上げされても困る」と反発します。交渉は平行線をたどり、最終的には弁護士を介して話し合うことになりました。
借地契約は数十年以上の長期にわたるため、同じ条件で契約が続いていることも多く、地代が実勢価格とかけ離れているケースもあります。
固定資産税や土地価格の上昇など、正当な理由があれば地代の値上げは認められますが、借地人の生活にも直結するため、拒否されるケースも少なくありません。
また、地代のほかにも更新料や承諾料などの支払いを求める際に、借地人と揉めてしまい、トラブルに発展するケースもあります。このような問題が発生した場合には、不動産会社や弁護士など専門家のサポートを受けながら、慎重に交渉を進めましょう。
固定資産税の負担や管理コストをめぐって相続人同士が対立するトラブル
底地の固定資産税や管理コストをめぐり、兄弟間に対立が生じた事例です。
話し合いは平行線をたどり、税金と管理負担だけが増え続けていたことから、弊社でご相談者様の共有持分を買い取る形で問題を解決いたしました。
底地を共有名義で相続すると、税金や管理の分担をめぐって対立する場合があります。とくに、今回のケースのように代表者が一時的に税金を立て替えて支払うケースでは、相手が身内であることから滞納が起こりやすくなります。
共有者同士のトラブルを防ぐためには、あらかじめ費用分担や管理コストのルールを明確にしておきましょう。もしも長期的な管理が難しい場合は、早めに底地の売却を検討することが大切です。
相続した底地を処分する方法
相続した底地を処分する方法には、主に以下の3つがあります。
- 借地人に売却する
- 底地専門の買取業者に売却する
- 借地と底地を同時に売却する
借地人に売却する
借地人への売却は、底地を高額で売却できる可能性のある方法です。
借地人にとっては、土地の所有権を取得することで地代の支払い義務がなくなり、建物と土地を一体として自由に活用できるようになるため、大きなメリットがあります。そのため、関係性が良好であれば、スムーズに取引が進むケースも少なくありません。
ただし、借地人に購入資金がない場合や、売却価格に納得してもらえない場合は、実現が難しい方法です。
とくに売却価格については、地主が「高く売りたい」と考える一方、借地人は「安く買いたい」と考えるため、交渉が難航しやすいです。結果的に交渉が決裂し、関係性が悪化してしまうケースもあります。
このように、借地人への売却はスムーズに進めばメリットが大きいですが、タイミングや関係性によってはトラブルに発展するリスクも抱えています。借地人に売却を持ちかけるかどうかは、相手との関係性や資金力などから総合的に判断しましょう。
底地専門の買取業者に売却する
借地人への売却が難しい場合は、底地を専門とする不動産業者に売却する方法がおすすめです。
専門の買取業者に依頼すれば、仲介業者を介さずに直接取引がおこなえるため、仲介手数料が必要なく短期間で現金化できる点が大きなメリットです。また、借地人への対応は買取業者に引き継いでもらえるため、煩雑な手続きや人間関係のトラブルを避けられます。
底地を専門に取り扱う業者は、借地人との交渉や再販などを事業としておこなっており、権利関係が複雑な土地でも買取に対応していることが特徴です。底地に関して豊富なノウハウを有していることから、スムーズな取引が期待できます。
ただし、買取業者のなかには、実績が乏しかったり相場よりも極端に低い価格を提示したりする業者も存在します。信頼できる買取業者を選ぶためには、買取実績の豊富さや対応の丁寧さを確認し、複数社から見積もりを取って比較してみてください。
なお、弊社クランピーリアルエステートでは、底地をはじめとする訳あり不動産の買取を専門におこなっています。
底地の売却では、借地人への説明や条件交渉など、専門的な対応が求められる場面が多くあります。弊社では、>借地人との交渉などについてもワンストップで対応し、地主様がスムーズに取引を進められるよう体制を整えています。</span
また、弁護士などの専門家とも連携しており、法的な確認や契約内容の整理にも対応可能です。「借地人との話し合いが進まない」「複雑な手続きを一括で進めたい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度クランピーリアルエステートへご相談ください。
借地と底地を同時に売却する
借地人との関係が良好である場合、お互いに協力して借地(建物)と底地(土地)を同時に売却する方法もあります。
底地を単独で売却する場合、土地を自由に活用できないことから、買い手が見つかりにくく価格も市場相場より低くなる傾向があります。一方、底地と借地をセットで売却すれば、購入者は完全な所有権を得られ、土地や建物を自由に活用できます。底地よりも格段に需要が高まることから、相場に近い価格で売却できる可能性があります。
ただし、借地と底地の同時売却を成立させるためには、借地人にも売却の意思があることが前提です。また、売却代金の分配をめぐってトラブルが生じやすいため、あらかじめ借地人との間で取り分を明確に決めておく必要があります。
地域によって異なりますが、借地人が保有する権利割合(借地権割合)は30〜90%程度であるため、これを参考に公平な割合を検討してみましょう。借地権割合は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」から確認できます。
なお、借地人との意思が一致しない場合や交渉が難航している場合は、無理に同時売却を進めず、底地のみを専門の買取業者に売却する方法を検討してみてください。
底地の相続税評価額の調べ方
底地を相続する場合、相続税が発生する可能性があります。相続税評価額を調べる際の手順は以下のとおりです。
- 路線価図から自用地評価額を計算する
- 借地権割合相当の評価額を差し引く
- 評価額に税率を乗算する
土地を貸して収益を得ている場合、底地は「貸付事業用宅地等」として扱われ、一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」を適用できます。特例が適用されると、相続税評価額を最大で50%減額できるため、結果として相続税の負担を大幅に軽くすることが可能です。
ただし、親族に無償または極端に安い地代で貸している場合などは、事業としての実態が認められず、特例の対象外となるケースもあります。適用には細かな要件があるため、事前に税理士などの専門家へ確認しておきましょう。
路線価図から自用地評価額を計算する
底地の相続税評価額を調べるためには、まず国税庁が公開している「路線価図」を使って、土地の自用地評価額を計算します。
路線価とは、道路に面する宅地1㎡あたりの価格を千円単位で示したもので、地図上には「200C」や「180D」などのように数字とアルファベットで表示されます。数字が路線価、アルファベットが借地権割合を表しています。
たとえば、地図上に「180D」と表示されている場合、路線価は1㎡あたり18万円、借地権割合は60%となります。
自用地評価額を計算する際には、上記の路線価の部分を使用します。具体的な計算式は以下のとおりです。
たとえば、路線価が1㎡あたり18万円、土地面積が90㎡であれば、自用地評価額は以下のように計算できます。
なお、角地や奥行きのある土地では補正率が加味されることもあります。実際に計算する際には、国税庁の「路線価図」で最新の情報を確認しておきましょう。
借地権割合相当の評価額を差し引く
自用地評価額を求めたら、次に借地権割合を差し引いて底地の評価額を計算します。
借地権割合とは、土地の価格のうち借地人が持つ権利の割合を示すもので、地域によって30〜90%の範囲で設定されています。路線価図に表示されているA〜Gまでのアルファベットが借地権割合を表しています。
| 記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
土地の借地権割合がわかったら、次に借地権割合相当の評価額を差し引きます。計算式は以下のとおりです。
たとえば、自用地評価額が1,800万円、借地権割合が60%(D地域)の場合、底地の相続税評価額は以下のように計算できます。
借地権割合を差し引いて相続税評価額が計算できたら、次にステップに進みましょう。
評価額に税率を乗算する
底地の相続税評価額を求めたあとは、該当する税率を掛け合わせて納税額を算出します。
相続税は「累進課税方式」が採用されており、取得金額が大きくなるほど税率も高くなる仕組みです。具体的な税率は以下のとおりです。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参照:相続税の税率|国税庁
たとえば、相続税評価額が1,800万円の場合、相続税は以下のように計算できます。
なお、実際の税額を計算する際は、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いたうえで、各相続人の取得分に応じて課税されます。そのため、正確な相続税額を知りたい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
まとめ
底地は他人に貸している土地であり、地代収入が得られる一方、自由に活用できず固定資産税などの負担が伴う資産です。
相続するかどうかを検討する際は、地代収入と税負担のバランス、借地人との関係、今後の土地活用の見通しを総合的に考慮することが大切です。地価や契約内容を確認し、本当に底地が必要かどうかを慎重に判断しましょう。
また、底地の相続では、遺産分割協議での意見の食い違いが起きたり、借地人と揉めたりなどのトラブルに発展するケースも少なくありません。トラブルに自力で対応するのが難しい場合、底地取引に詳しい不動産会社や弁護士などの専門家に相談しましょう。
弊社クランピーリアルエステートでは、底地をはじめとする複雑な権利関係を伴う不動産の買取を専門としています。借地人への説明や条件交渉をはじめ、契約内容の整理や手続きのサポートまで、底地特有の煩雑な問題にワンストップで対応しています。
「借地人との交渉がうまくいかない」「相続した底地をどう扱えばいいかわからない」「共有名義で管理が難しい」などのご相談にも、弁護士と連携し、リスクを抑えた最適な解決策をご提案します。
底地の相続でお悩みの方は、ぜひ一度クランピーリアルエステートまでご相談ください。
よくある質問
底地を相続放棄することはできますか?
底地が不要な場合、相続放棄をすることは可能です。
ただし、相続放棄をする場合、底地だけでなくすべての財産を放棄することになります。そのため、相続財産の状況を踏まえて相続放棄をするかどうかを判断しましょう。
なお、相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要で、原則として相続開始から3ヶ月以内に申立てをする必要があります。
借地人には相続したことを伝えるべきですか?
底地を相続した場合、借地人には相続したことを早めに伝え、今後の連絡先や振込先などを共有しておきましょう。土地の管理人が変わったことを早めに知らせることで、地代の支払い先や契約更新の行き違いを防げます。








