共有持分買取業者の選び方!選び方のポイントを専門業者が解説

複数人で同一不動産を所有している共有名義不動産において、自分の所有権のことを「共有持分」と呼びます。共有持分は「共有者の親族との関係悪化の原因になる」「維持管理費や税金の負担が重い」など、不動産関係のトラブルの発生源となるケースが非常に多いのが実情です。

共有持分単体の処分は、所有権の自由な処分を認めた民法第206条および共有物に関する規定(民法第249条)に基づき、原則として自由に行えるとされています。

とはいえ、共有持分は権利関係が複雑なため、一般的な不動産会社では取り扱いを断られてしまう特殊な不動産です。そこで、専門の買取業者であれば、他の不動産会社から取り扱いを断られた共有持分であっても、適切に買い取ってくれる可能性があります。

なぜ共有持分の売却を専門の買取業者に依頼すべきなのか、その具体的な理由は次の通りです。

  • 取り扱いに専門知識が必要な共有持分でも、適正な価値を的確に査定できるノウハウがあるから
  • 人間関係や権利関係が複雑化している共有持分でも、その問題に対応したうえで査定・買取対応をしてくれるから
  • 買主を探す手間がなく、早ければ数日~1週間程度でスピーディーに現金化できるから
  • 契約不適合責任免責のおかげで売却後のトラブルを防ぎやすいから
  • 業者が直接の買主となるため、高額な仲介手数料が一切かからないから

ただし、「専門の買取業者ならどこでもいい」とよく考えずに選んでしまうのは危険です。業者の取引実績や専門知識にはそれぞれ違いが存在しており、悪質な業者に捕まれば「不当に買い叩かれる」「後から減額される」といったトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

以下では、共有持分の買取実務に長年精通してきた弊社の経験を基に、「共有持分売却を依頼する買取業者の選び方」のポイントをまとめました。

共有持分の売却を依頼する買取業者の選び方のポイント 概要
買取業者の専門性や実績の確認で見るべきポイント ・共有持分の取引実績が豊富かどうか
・相続関係の知識が豊富かどうか
・弁護士や司法書士などの専門家と提携しているか
・買取スピードはどれくらいか
買取業者の信頼性の確認で見るべきポイント ・宅地建物取引業の免許を公式サイトで確認できるか
・過去に行政処分履歴がないか
・口コミや評判に問題がないか
担当者のコミュニケーション面の確認で見るべきポイント ・無料相談や無料査定利用時に誠実な態度で接してくれるか
・査定後に金額の根拠を示してくれるのか
・持分移転登記と決済を同時に行うフローであるか

本記事では、共有持分売却を専門の買取業者に依頼するメリットや選び方、査定ポイント、依頼前に確認しておきたい注意点などを、実務の裏側を交えて解説します。

目次

共有持分の売却は買取業者がおすすめな理由

不動産の売却を考えたとき、依頼できる会社には大きく分けて「買取業者」と「仲介業者」の2つの種類があります。しかし、共有持分を売却したい場合はどちらを選べばよいかというと、実務上は買取業者への売却が現実的な選択肢になるケースが多いです。

これは、弊社が共有持分専門の買取業者だから勧めているわけではなく、共有持分を取り扱う仲介業者がほとんど存在しないという実情が理由として挙げられます。

前提としてお話ししておきたいのは、仲介業者を利用した場合、買主になるのは仲介を通じて引き合わせてもらった一般の方だということです。自ら買主として不動産を買い取る買取業者とは異なります。

買取業者と仲介業者の違い

そして、共有持分を第三者の一般の方に売却できるケースは実務上ほとんどなく、極めて限定的です。なぜなら、第三者の一般の方にとって共有持分だけを購入するメリットよりデメリットが大きいためです。

一般の人が共有持分の購入を敬遠する具体的な理由を、以下にまとめました。

  • 他の共有者とトラブルになるリスクがある
  • 共有名義不動産全体の売却や取り壊しなどの「変更行為」をするには、共有者全員の同意が必要になる
  • 共有名義不動産のリフォームや共有物のルール策定・変更などの「管理行為」をするには、共有者の持分割合の過半数が必要になる
  • 共有持分の担保価値が低くなりやすいため、金融機関の住宅ローンを利用するのが難しい
  • 購入した後に共有持分を売却したくても、買主が見つかりづらい

これまでの弊社の経験や不動産業界の方から伺った話から見ても、第三者の一般の方相手に共有持分の売却が成立した事例はほとんどありません。極稀に、共有持分をターゲットにした投資家の方と成立するケースが見受けられる程度です。

以上のことから、共有持分の売却は、仲介業者ではなく買取業者への依頼をおすすめします。なお、あくまで「第三者の一般の方」の話であり、同じ共有名義不動産の共有者が買主の場合は、一般の方が相手でも売買取引が成立する事例は多数存在します。

ポイント

「買取保証付き仲介」が利用できる仲介業者であれば、共有持分でも取り扱ってくれる可能性があります。買取保証付き仲介とは、一定期間は通常の不動産仲介と同じように買主を募集し、期間内に買主が見つからなかったら仲介業者が不動産を直接買い取るというサービスです。

とはいえ、共有持分が期間内に仲介で売却できる可能性は低く、仲介業者に買い取ってもらえたとしても、売却相場は買取業者に依頼した場合とほぼ変わりません。そのため、初めから共有持分に強い買取業者に依頼したほうが、売却価格も買取スピードも満足いく結果になりやすいでしょう。

共有持分の売却を専門の買取業者に依頼するメリット

共有持分の売却は、一般的な不動産売買とは大きく異なる性質を有しています。そのため、一般的な買取業者では正しく査定できず、取り扱いを断られる可能性がゼロではありません。

共有持分の売却は、共有持分専門の買取業者へ依頼するのがよいでしょう。共有持分の売却を、専門の買取業者に依頼するメリットは次の通りです。

  • 専門知識が必要な共有持分の査定に適切に対応してくれる
  • 共有者同士の紛争や仲違いが発生していても買取対応してくれる
  • 権利関係が複雑化した共有持分でも買取対応してくれる
  • 数日から1週間程度でスピーディーな現金化ができる
  • 売却後に瑕疵が見つかっても責任を負わずに済む条件で取引できる
  • 仲介手数料が一切かからない

専門知識が必要な共有持分の査定に適切に対応してくれる

前述した通り、共有持分は一般的な不動産とは大きく異なる性質を持ちます。例えば、共有持分を取り扱ったことがない買取業者の場合、査定の時点で以下の混乱が生じるリスクがあります。

  • 買い取った後の活用方法がわからず、将来的に生み出す予想利益を反映できない
  • 共有者と話し合うノウハウと体制が整っていないため、他の共有者からの持分買取や共有物分割請求が進まず収益化できない
  • 問題解決のためにかかる専門家報酬や時間などのコストが見積もれず、不必要な諸経費まで査定額に反映する
  • 相続や権利関係の問題が解決できず、買取自体に消極的になる

共有持分の売買には、他の共有者とのコミュニケーションや持分移転登記、相続登記などが絡みます。仮に一般の買取業者に共有持分の買取を依頼したとしても、「取り扱い経験がないから買取できない」「数十万円程度でしか査定額がつかない」と断られるケースは珍しくありません。

共有持分に関する専門知識や過去の交渉・取引経験、問題解決のノウハウを持つ買取業者であれば、上記の査定ポイントを正しく反映することで、根拠のない買い叩きをせず適切に評価できます。

「共有持分は正しく査定しても、そこまで高値はつかないのでは」と思われるかもしれませんが、しっかり評価すれば数百万円~数千万円以上になることが実務上よく見受けられます。

以下では、弊社「クランピーリアルエステート」による共有持分の買取実績の一部をご紹介します。

【板橋区宮本町の土地共有持分2分の1を1,250万円で買取】
兄弟で相続した古家付き土地の共有持分。「固定資産税・都市計画税の支払いを売主に押し付けていた」「兄弟仲が悪い」といった問題も抱えていましたが、弊社で買取を行い、共有状態解消についての協議のうえで共有者様の持分も買取しました。
【藤沢市本藤沢の土地共有持分2分の1を1,010万円で買取】
建物が母親、土地を母親と売主様で共有していた不動産。建物は賃貸に出しており、賃借人が退去した後に土地を母親に売ろうと打診したものの、断られていました。ご相談を受けた弊社が間に入って調整を行い、持分を買取いたしました。

このように、共有持分専門の買取業者であれば、他の不動産会社から扱いを断られる共有持分であっても、将来性を含めた価値を洗い出すことが可能です。

共有者同士の紛争や仲違いが発生していても買取対応してくれる

共有持分が他の不動産と比較してもっとも大きく異なる点として挙げられるのは、共有者同士の争いが発生することでしょう。

「兄弟で同じゲーム機を取り合って喧嘩する」といったイメージのように、同じ不動産の共有者同士で紛争や仲違いが生じるケースが不動産実務上よく見られます。

そして共有者同士のトラブルが存在する不動産の共有持分は、買取業者であっても取り扱いを拒否される可能性があります。トラブルの解決能力を持たない状態で買い取ったとしても、その後の共有者との協議をまとめることができず、不良債権と化すリスクがあるためです。

一方で共有持分専門の買取業者は、共有者の説得や権利調整などを行えるノウハウがあるため、共有者同士のトラブルを抱える持分でも問題なく現金化できます。

また、弁護士や司法書士と業務提携しているところが多く、法律が絡むトラブルに対しても連携して対応してくれます。

「離婚した元夫と話さずに縁を切りたい」「遺産分割で揉めている兄弟と関わりたくない」といった悩みを抱える方にとっても、専門の買取業者は強い味方になってくれるはずです。

権利関係が複雑化した共有持分でも買取対応してくれる

共有持分においては、相続、離婚、登記、借地契約といった権利関係が複雑化し、問題になっているケースも珍しくありません。

権利関係が複雑に絡み合った案件は問題解決までのコストが非常に重く、一般の不動産会社はトラブルや赤字を恐れて手を出さないケースが大半です。

そこで、弁護士などの専門家と提携している専門の買取業者であれば、権利関係が複雑化した共有持分でも買取対応してくれます。

例えば、弁護士や司法書士などの専門家と提携する弊社における、「権利関係が複雑化していた持分の買取事例」を一部紹介します。

  • 相続登記未了のままで相続が続き、祖父の孫・甥姪合わせて16人の共有者が存在していた
  • 離婚後に音信不通だった父親から相続した不動産で、「共有者が亡くなった父の内縁の妻の親族」「空き家と思われた家に第三者が居住」という複雑な状況下にあった
  • 売主様が15年以上前に離婚した元配偶者との共有名義で、元配偶者の居住と住宅ローンの連帯債務がネックでなかなか手放せなかった

このように、士業との提携と専門知識を併せ持つ買取業者であれば、未登記問題、離婚問題、相続トラブルなどが残る訳ありの共有持分でも買取対応が可能です。

ポイント

買取業者と提携している士業の先生は、基本的に「買取業者が売主に紹介し、売主と士業の先生が契約を結ぶ」という形になります。

数日から1週間程度でスピーディーな現金化ができる

買取業者は仲介業者と異なり、売主と直接交渉して売買契約を締結します。そのため、広告戦略や買主探しにかける時間がゼロとなり、金額の条件さえ折り合えば、売買契約を結んだ後、数日から1週間程度で現金が振り込まれます。

そして専門の買取業者は、共有持分の「どこを査定すればよいのか」を理解しているため、査定や条件交渉も非常にスピーディーです。

他の共有者に持分を売却する場合、相手が購入する意思を固めたり、購入資金を準備したりする時間がかかることも珍しくありません。

実際に弊社にも、「兄弟と売買交渉をしていたものの、数か月後に態度を翻されて困っている」「共有持分の評価額がわからず、売買金額が決まらない」といった、共有者との交渉が難航して売却できないというご相談をいただくことが多々あります。

「入学費や学費の足しにしたい」「相続税の支払いが迫っている」など、すぐに現金が必要な場合、共有持分の売却は買取業者に依頼することを検討してみてください。

売却後に瑕疵が見つかっても責任を負わずに済む条件で取引できる

買取業者との取引では、契約不適合責任を免責とする特約が付されるケースが多く見られます。

契約不適合責任とは、簡単に言えば「売却した不動産に後から何かしらの欠陥が見つかったら、売主は損害賠償や契約解除などの責任を負わなければならない」という、民法第562~564条の規定です。

これまでの弊社の買取事例を見ても、「買取業者に買い取ってほしい」と売主が希望する共有持分の多くは、「権利関係が複雑になっている」「建物の老朽化が進んでいる」といった、何かしらの問題を抱えているケースが少なくありません。

もしここで契約不適合責任を負う売買契約しか結べない場合、売主側としても「後で問題が発覚して法的なトラブルになるのが怖い」と、売却を躊躇してしまうことも想定されるでしょう。

そのため買取業者としても、売主が安心して取引できるように、見えないリスクは承知のうえで買取を実施します。

「売った後で文句を言われる心配がない」という安心感は、古い実家や長年放置していた土地の持分を手放す際に、非常に大きなメリットになるでしょう。

ただし、問題があることを知っていながらわざと隠して売却したといったケースでは、免責の特約が無効になり、売主が責任を負うことになります。買取業者を利用する際には、欠陥などを故意に隠して売却することは必ず避けてください。

仲介手数料が一切かからない

仲介業者を通じて不動産を売却した場合、「売却価格の3% + 6万円 + 消費税(売買価格が400万円を超える場合)」という高額な仲介手数料を支払う必要があります。例えば、不動産が1,000万円で売れた場合、約40万円もの手数料が差し引かれてしまいます。

しかし、買取業者は自らが買主となるため、そもそも仲介という行為が発生しません。そのため、売買契約に際して仲介手数料は一切かからないというメリットがあります。

共有持分の売却を依頼する買取業者の選び方のポイント

共有持分を取り扱う買取業者は、全国各地に存在しています。その一方で、「自分が所有する共有持分を適切に評価してくれる買取業者」となると、どこに注目して選べばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、共有持分の専門家として長年実務に携わってきた弊社が、「共有持分の売却を依頼する買取業者の選び方のポイント」を、専門性・信頼性・コミュニケーションの3つの視点から解説します。

共有持分の売却を依頼する買取業者の選び方のポイント 概要
買取業者の専門性や実績の確認で見るべきポイント ・共有持分の取引実績が豊富かどうか
・相続関係の知識が豊富かどうか
・弁護士や司法書士などの専門家と提携しているか
・買取スピードはどれくらいか
買取業者の信頼性の確認で見るべきポイント ・宅地建物取引業の免許を公式サイトで確認できるか
・過去に行政処分履歴がないか
・口コミや評判に問題がないか
担当者のコミュニケーション面の確認で見るべきポイント ・無料相談や無料査定利用時に誠実な態度で接してくれるか
・査定後に金額の根拠を示してくれるのか
・持分移転登記と決済を同時に行うフローであるか

買取業者の専門性や実績の確認で見るべきポイント

共有持分の売却を依頼する買取業者選びのなかでも重要なのは、専門性や実績です。いくら知名度や歴史を持つ買取業者であっても、共有持分を取り扱った実績がないところだと納得のいく売却は難しくなります。

買取業者の専門性や実績の確認で見るべきポイントは、以下の4つです。

  1. 共有持分の取引実績が豊富かどうか
  2. 相続関係の知識が豊富かどうか
  3. 弁護士や司法書士などの専門家と提携しているか
  4. 買取スピードはどれくらいか

共有持分の取引実績が豊富かどうか

共有持分に関する専門性をもっとも確認しやすいポイントは、取引実績が豊富かどうかです。公式サイトの「共有持分取り扱い」「訳あり物件に強い」という言葉の有無も大事ですが、実際に共有持分の取引実績を掲載しているかどうかも確認しましょう。

例えば、弊社の買取実績紹介ページで実際に掲載している例を以下で見ていきます。

【東京都目黒区の共有持分(土地)1/4を買取】
買取価格1,500万円
被相続人の死去により、義弟と不動産を共有することになった売主様。過去に親族間で裁判を行っており、共有者との関係は極めて悪化していました。また、売主様は遠方に住んでおり、土地利用も特に考えておられなかったため、弊社が持分を買取らせていただきました。
【愛知県豊明市の共有持分(土地)1/2を買取】
買取価格3,100万円
売主様は、ご自宅として利用している土地を弟と相続し共有状態にありました。当初、弟から持分売却の相談を受けたものの、その後の対応を見送っていたところ、弟の持分が第三者に売却されてしまったとのことです。新たな共有者からの売却打診にも応じるつもりはなく、不動産会社を通じて持分売却をご希望されました。土地は不整形かつセットバックが必要なエリアに位置しており活用も難しいものでしたが、弊社にて適切に調査・対応を行い、売主様の持分を買取いたしました。

「共有持分の買取価格」「売主の悩みや状況」「具体的な対応方法」など、取引の詳細が明確に確認できる買取業者であるほど、専門性の高さを確認しやすくなります。

相続関係の知識が豊富かどうか

共有持分のトラブルにおいて、相続手続きや相続税が関わるケースが多数見られます。「相続登記を放置したことで共有者が数十人以上いる」「共有名義で不動産を相続したことで、相続人同士で揉めている」といったケースは、弊社がお受けする相談事例としてよく挙げられます。

共有持分売買の実務において、相続関係の知識と経験の有無は取引の成立や買取価格の決定に大きく関わってくるのが実情です。

相続に強い買取業者であれば、相続問題を抱える共有持分であっても、相談・査定の段階で適切なヒアリングや相続に強い専門家の紹介を期待できます。

買取実績に相続関連のものがあるのか」「担当者が相続に関して的確に話を聞いてくれるのか」などを確認しておくとよいでしょう。

弁護士や司法書士などの専門家と提携しているか

共有持分は、相続、離婚、登記、借地契約といった、法律関連の手続きやトラブルと密接に絡むケースが非常に多いです。いくら買取業者が共有持分の専門知識を持っていたとしても、業者だけで相続登記、代理交渉、訴訟手続きなどを進めることは法的に認められていません。

弁護士や司法書士などの専門家と提携している買取業者であれば、買取業者側が共有持分に強い専門家を紹介してくれます。そのため売主側が、自分で専門家を探して契約する手間を省けます。

なお、すでにお付き合いのある専門家がいる場合は、無理に紹介を受ける必要はありません。しかし、実際に士業と提携する買取業者の立場からすると、提携先の専門家に依頼していただくほうが買取はスムーズに進みやすくなります。

また、自社の買取実務に精通している分だけコミュニケーションコストなどを削減できるため、その分だけ査定額に上乗せしやすくなります。

ポイント

【非弁行為を推奨する買取業者には要注意!】
共有者同士の争いが法律上の紛争に発展している場合、この紛争の代理交渉を業として行うことを許されているのは、弁護士や認定司法書士(140万円以下の民事トラブルに限る)のみです。

もし弁護士や認定司法書士を挟まず、「自社で立ち退き交渉や示談交渉をしてから買い取ります」と買取業者が提案してきた場合は、高確率で非弁行為に該当します。そのため、法的争いが存在する共有持分の売却は、買取業者が士業と提携しているかを必ず確認しましょう。

なお、「共有持分を売却した後」であれば、買取業者と共有者の協議は当事者同士の話し合いになるため、非弁行為に該当しません。あくまで、「買取前で所有権がまだ売主にある状態」での買取業者と共有者の話し合いは、非弁行為に該当するリスクがあります。

買取スピードはどれくらいか

買取業者に共有持分を売却した場合、平均して数日~1週間程度での現金化が可能です。しかし、買取業者のなかでも査定スピードや決済までの時間に差があるため、買取スピードがどれくらいになりそうかを確認しておくと、資金計画が立てやすくなります。

公式サイトに「最短◯日で現金化」といった記載があるか、実際に問い合わせた際のレスポンスが早いかを確認してみてください。

ポイント

公式サイトに記載されているスピードは、あくまで最短の場合を例に挙げています。実際に買取にかかる時間は、トラブルの有無や権利関係などによって左右されます。

例えば弊社であれば、「最短12時間で買取金額査定」「最短48時間の現金化」が可能です。一方で、「相続登記が未了だった」「共有者同士の紛争を解決してほしい」といった事案の場合は、1週間から1か月程度のお時間をいただく場合もあります。

とはいえ、現金化までの最短日数が早い買取業者は、人間関係や権利関係が複雑な共有持分であってもスピード対応を期待できます。

買取業者の信頼性を確認する際に見るべきポイント

依頼先の買取業者が信頼できるかどうかは、共有持分の売買を成功させるうえでの重要なファクターです。悪質な買取業者と契約してしまうと、不当な買い叩きをされたり、売却後に他の共有者とトラブルになったりといった、さまざまな問題が生じるリスクがあります。

買取業者の信頼性を確認するには、以下3つのポイントに注目するのがよいでしょう。

  1. 宅地建物取引業の免許を公式サイトで確認できるか
  2. 過去に行政処分履歴がないか
  3. 口コミや評判に問題がないか

宅地建物取引業の免許を公式サイトで確認できるか

不動産の買取業務を行うには、「宅地建物取引業」の免許が必須です。公式サイトの会社概要ページに、「東京都知事(◯)第◯◯◯号」や「国土交通大臣(◯)第◯◯◯号」といった免許番号が記載されているかを、必ず確認してください。

免許番号が記載されていない業者は、無免許で取引をしている可能性があります。

無免許での取引が違法であることは当然のことながら、「違法行為をしてもよいという倫理観の業者」と判断できます。

また、免許番号を記載している場合でも、「本当に実在する番号なのか」「期限は切れていないか」の確認も忘れないようにしましょう。国土交通省の宅地建物取引業者検索を利用すれば、免許番号の有無や有効性をすぐに調べられます。

なお、弊社「クランピーリアルエステート」の2026年時点における宅地建物取引業の免許は、「国土交通大臣(1)第10446号」です。

過去に行政処分履歴がないか

免許番号を掲載している買取業者であっても、過去に悪質な取引をして国や自治体から行政処分を受けているところは避けたほうが無難です。

国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで事業者名を入力すれば、過去の行政処分歴を誰でも確認できます。

口コミや評判に問題がないか

Googleの口コミや不動産会社の評判サイトなどでは、実際に買取業者を利用した方の生の声が確認できます。

ネットの口コミがすべて真実とは限りませんが、「強引に契約を迫られた」「査定額から不当に減額された」といった具体的な悪評が複数書き込まれている場合は、利用を警戒したほうがよいでしょう。

例として、弊社が相談者様からいただいたGoogleの口コミのうち、良い評判と悪い評判を1つずつ紹介します。

父が亡くなってから、姉妹で相続した土地をずっとそのままにしていたが、ダメ元でクランピーさんに相談してみたら、このままの状態で売れました。担当の方が手続きの際も丁寧に説明してくれて、もっと早く相談すればよかったと思ってます。
姉と共有中だった実家を売却。スピード感は良いけど、金額が思ってたより低くて迷いました。でも他のところはもっと安かったから、まあ妥当なのかなって感じです。

担当者のコミュニケーション面を確認する際に見るべきポイント

共有持分の売買契約をスムーズに進めるには、取引の窓口となる担当者のコミュニケーション面も非常に重要です。うまくやり取りできない買取業者は顧客に対して誠実とは言えず、売買取引でトラブルを起こすリスクがあります。

以下では、担当者のコミュニケーション面を確認する際に見るべきポイントを3つ解説します。

  1. 無料相談や無料査定利用時に誠実な態度で接してくれるか
  2. 査定後に金額の根拠を示してくれるのか
  3. 持分移転登記と決済を同時に行うフローであるか

無料相談や無料査定利用時に誠実な態度で接してくれるか

不動産売買の現場におけるヒアリング、査定、売買交渉、決済までの一連の流れは、基本的に人と人との取引です。担当者とコミュニケーションを取るうえで、相手が誠実な態度で接してくれるかどうかは、買取業者の良し悪しを判断する重要なポイントになります。

とくに共有持分の売却では、「兄弟と長年絶縁状態である」「離婚した元夫の借金が絡んでいる」など、親族間のデリケートな事情を打ち明けなければならない場面も少なくありません。

共有持分の買取実務に長年携わっているからこそ断言しますが、「質問に答えてくれない」「不安点に対して面倒くさそうに接する」「連絡が遅い」といった不誠実な態度を取る担当者が、複雑な人間関係・権利関係を持つ共有持分を適切に買い取れるわけがありません。

そのため、買取業者選びの際には、売主のプライバシーや心情に配慮し、話に親身になって耳を傾けてくれるかどうかを見極めてください。

査定後に金額の根拠を示してくれるのか

共有持分専門の買取業者を選ぶ際には、「なぜその査定額になったのか」がわかる根拠を示してくれるかどうかを確認してください。根拠を示さない買取業者は、不当に安い金額を提示したり、後から理由を付けて減額したりといった悪質な行為を行うリスクが考えられます。

周辺の相場が〇〇円で、そこから法的な解決コストを〇〇円と見積もり、この査定額になりました」と、素人にも納得できる論理的な根拠を提示してくれる業者を選びましょう。

持分移転登記と決済を同時に行うフローであるか

不動産売買の実務はトラブル防止の観点から、不動産の所有権移転と売却代金の決済を、担当者や司法書士などの関係者同席の下で同日に行うケースが一般的です。なぜなら、同日でなければ「所有権を買取業者に移したのに、売却代金がいつまでも振り込まれない」といったトラブルが想定されるためです。

買取業者に共有持分の売却を依頼する際には、必ず持分移転登記と売却代金の決済を同日に行うフローであるかを確認しましょう。

共有持分専門の買取業者を選ぶ際には複数の業者に査定を依頼することが重要

共有持分専門の買取業者を選ぶ際には、最初から1社に絞るのではなく、複数の業者に査定を依頼するのがよいでしょう。

1社にだけ査定を依頼してしまうと、相手が提示した査定額が「相場から大きく離れていないか」「査定額の根拠は適切か」などの判断が難しくなるデメリットがあります。

複数の業者の査定結果があれば、大まかな相場価格や相場から著しく低い査定額などを見極めやすくなります。査定結果のほかにも、担当者の専門知識やコミュニケーション面の比較検討が可能です。

また、複数社に査定を依頼すべき理由として挙げられるのが、買取業者ごとの査定ポイントの違いです。

買取業者は「首都圏に強い」「賃貸物件の査定が得意」など、各社がそれぞれ独自の評価基準を持っています。まったく同じ共有持分の査定であっても、A社は300万円、B社は500万円と、査定額に数百万円以上の差が出るケースは日常茶飯事です。

複数社に依頼すれば、自分の持分をもっとも高く評価してくれる、相性のよい業者を見つけやすくなります。

ポイント

「複数社に査定を依頼するのは、倫理的に大丈夫なのか」と思われるかもしれませんが、結論を言えば問題ありません。

不動産会社にとって、無料査定は営業活動の一種です。売主が複数社に査定を依頼することや、他の買取業者と契約を結ぶことなどは織り込み済みでサービスを提供しています。少なくとも、共有持分の専門家である弊社においても、売主様が1社のみに査定を依頼して即決することは推奨しておりません。

買取業者が重視する共有持分の査定ポイント

買取業者ごとに独自の評価点があるとは前述したものの、共有持分の査定ポイントの基本的な部分は共通しています。

まず、買取業者による共有持分の査定は、以下の手法を組み合わせて行われます。

共有持分を評価する方法 概要
取引事例比較法 不動産の周辺地域で過去に取引された類似物件の売買価格を参考に評価する手法
収益還元法 その不動産が将来的に生み出すと予想される収益を、適切な利回りで割り戻して算出する手法
原価法 査定対象の不動産と同等の建物を現在の建設費などで新築すると想定し、そこから経年劣化による価値減少分を差し引いて評価する手法

そして、上記の手法における計算の基礎となる査定ポイントとして、以下の要素が挙げられます。

  • 共有者の人数
  • 共有持分割合
  • 他の共有者とのトラブルの有無
  • 不動産に住んでいる人の有無
  • 不動産の立地条件
  • 建物の築年数や土地の形状など不動産の状態
  • 共有名義不動産の住宅ローンの有無
  • 隣地との境界の確定状況

上記の査定ポイントにまつわる問題を事前に解消しておくと、査定時のプラス評価が期待できるでしょう。以下では、共有持分の査定ポイントを要素ごとにご紹介します。

共有者の人数

共有名義不動産の共有者の人数が多いほど、共有持分の査定においては原則としてマイナス評価です。共有者の人数が多いと、以下のリスクが懸念されるためです。

  • 共有持分買取後の交渉や相続登記に必要なコストが増える
  • 人間関係や権利関係が複雑化している可能性が高くなる
  • 1人あたりの共有持分割合が少なくなる

共有持分割合

売却しようとしている共有持分の割合が大きいほど、基本的に査定額は上がります。とくに、共有持分割合が過半数に達している場合は、買取業者からの評価がプラスになりやすくなります。

共有持分の売却は買取業者がおすすめな理由」でも解説した通り、過半数の共有持分を所有していると、軽微なリフォームなどの管理行為を単独の意思で実施できるためです。

そのため、もし他の共有者が「持分を手放したい」と言っているのであれば、事前に買い取るなどしておき、自分の割合を過半数にしてから業者に売るのも、高値で売却するための有効な方法です。

他の共有者とのトラブルの有無

他の共有者とのトラブルが残っている状態の共有持分は、査定時にマイナス評価になる可能性があります。買取業者が買い取った後に発生する問題を解決するためのコストが、査定時に考慮されるためです。

例えば、以下に挙げたトラブルは、コミュニケーションや法的手続きなどにかかる費用や時間分だけ査定額が低くなる可能性があります。

  • 共有者同士で争いが起きており、話し合いがスムーズに進まない
  • 共有者に行方不明者が存在し、不動産の全体売却の同意が得られない
  • 任意の話し合いに応じず、共有物分割請求を起こす必要がある
  • 先代以前から相続登記が未了であり、登記を修正するための調査が必要になる

具体的には、数十万円以上の弁護士・司法書士費用や、半年~1年以上の時間といった、さまざまなコストが査定額に反映されます。

可能であれば、売却前に少しでも人間関係を修復しておくか、売却後の動きについて相談しておくと、買取業者の労力が減り、査定時のマイナスを抑えられる可能性があります。

不動産に住んでいる人の有無

売却予定の共有持分が帰属する不動産に、親や兄弟といった他の人が住んでいる場合、査定額に影響が出る可能性があります。不動産に居住者が残っていると、共有持分を買い取った後の全体売却や収益化を行う際に、居住者との調整が必要になるためです。

ケースによっては、買取後の立ち退き交渉や家賃請求などを買取業者があらかじめ想定し、そのコスト分だけ査定額を厳しくすることもあるでしょう。

不動産の立地条件

通常の不動産査定と同じく、共有名義不動産自体の立地条件は査定額に大きく影響します。通常の不動産で評価される要素は、共有持分の査定額にも反映されやすくなります。

なぜなら、買取業者が最終的に単独名義にした際に、立地条件がよいほど販売や賃貸活用が進めやすくなるからです。

買取業者としても、よい条件の共有持分であるほど効果的な収益化を見込めます。「駅から近いなど交通アクセスがよい」「周囲に商業施設がある」「災害リスクが低い」といった立地条件であれば、共有持分もプラス査定になるでしょう。

建物の築年数や土地の形状など不動産の状態

建物の築年数や土地の形状といった共有名義不動産の状態は、立地条件と同じく、共有持分の査定額に大きく影響します。査定額がプラスになる不動産の状態の例を、以下に紹介します。

  • 建物の築年数が新しい
  • 建物の構造は鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造の順に高くなりやすい
  • 土地面積や建物面積が大きい
  • 家族連れの需要が高い地域なら3LDK・4LDK、1人暮らしの需要が高い地域なら1K・1LDKなど地域需要に合った間取りになっている
  • 土地の形状が旗竿地や袋地などの不整形地ではない
  • 地中埋設物や土壌汚染などがない

共有名義不動産の住宅ローンの有無

共有名義不動産自体に住宅ローンが残っており、抵当権がまだ抹消されていない場合は、査定額が大きく減額される可能性が高いです。

抵当権とは、住宅ローンなどの借入を受ける際に、金融機関が不動産を担保にする権利のことです。住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関がその担保として不動産を現金化し債権を回収できます。

抵当権が残っている不動産は、金融機関に競売にかけられるリスクや、抵当権抹消登記にかかる費用などの懸念点が存在します。そのため、査定時には、これらの問題を解消するためにかかるコストが反映されます。

隣地との境界の確定状況

隣地との境界が未確定の土地の共有持分は、以下の懸念点によって、査定額が減額されるケースがほとんどです。

  • 境界線を巡って隣地所有者とのトラブルに発展し、解決のための交渉コストや弁護士費用がかかる
  • 境界の確定に必要な確定測量のために、数十万円以上の土地家屋調査士への報酬が発生する

逆に言えば、査定額が安くてもよいなら、境界を確定させないままで売却できる可能性があります。「安くてもよいから早く売却したい」という場合は、土地家屋調査士と提携する買取業者に相談してみるのもよいでしょう。

共有持分の査定・売却を買取業者に依頼する流れ

共有持分の査定や売却を買取業者に依頼する場合、一般的な不動産売却とは異なる実務上の注意点がいくつか存在します。ここからは、買取の依頼から現金化までの具体的な5つのステップと、損をしないための立ち回り方をわかりやすく解説します。

  1. 他の共有者と共有持分の売却について話し合っておく
  2. 買取業者に無料相談や無料査定を依頼し売却先を選定する
  3. 買取業者と買取価格について交渉する
  4. 買取条件を確認し売買契約を締結する
  5. 持分移転登記と決済を行う

他の共有者と共有持分の売却について話し合っておく

共有持分の売却を買取業者に相談する前に、可能であれば、他の共有者と話し合っておくことを推奨します。

共有持分売買の実務において、他の共有者に何も知らせずに業者へ売却したことで、後日、買取業者や売主に対して「なんで勝手に売ったんだ」と感情的な摩擦が生じるケースは珍しくありません。

共有持分の売却自体は、他の共有者の同意を得ずに単独で行えると民法で規定されています。しかし、法律で認められているからといって共有者の感情を置き去りにしてしまうと、人間関係の破綻につながってしまうでしょう。

事前に相談することで、「自分も持分を手放したいから全体売却にしよう」「買取業者に売るなら自分に売ってほしい」といった、別の選択肢が出てくることも期待できます。

ポイント

「共有者との関係が悪すぎて、気付かれないように内緒で売りたい」という場合は、買取業者の担当者へ正直に伝えるようにしてください。業者はそれを前提とした、安全な交渉プランを組み立ててくれます。

買取業者に無料相談や無料査定を依頼し売却先を選定する

買取業者に共有持分を売却する方針が決まったら、まずは無料相談や無料査定を依頼し、売却先を選定しましょう。「共有持分専門の買取業者を選ぶ際には複数の業者に査定を依頼することが重要」で解説した通り、複数社をピックアップして査定を依頼することを推奨します。

査定を依頼する際には、共有名義不動産に関する以下の書類を、事前に準備しておくとスムーズに進められます。

  • 権利証または登記識別情報
  • 固定資産税評価額証明書
  • 土地の境界確定図や境界確認書
  • 印鑑証明書
  • 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
  • その他、買取業者が指定した書類

ここで知っておきたいのが、買取業者が実施する査定の種類です。それぞれの特徴を理解して、使い分けることが大切です。

机上査定

机上査定とは、物件の住所、面積、築年数、持分割合などが分かる資料を買取業者に送り、その資料やこれまでの取引データを基に行われる簡易的な査定です。

あくまで暫定的な査定額ではあるものの、大まかな売買金額や相場を掴むには十分な根拠として利用できます。また、買取業者によっては当日から数日で結果が出るスピーディーな査定を期待できるでしょう。

基本的には机上査定で売却先を決めるのではなく、「机上査定の結果や担当者の雰囲気を見て、訪問査定を依頼するかを判断する」といった流れになります。

訪問査定

訪問査定(現地調査)とは、買取業者の担当者が実際に現地に足を運んで、不動産の状態や周辺環境を確認する査定です。

机上査定ではわからなかった部分までしっかりと査定を行うため、精度の高い査定結果を期待できます。買取業者の場合は、この訪問査定の結果を最終的な査定額とするケースが一般的です。

AI査定

最近はインターネット上で、情報を入力するだけで瞬時に価格が出る「AI査定」が増えています。

AI査定とは、過去の膨大な取引データを参考に、AIが不動産の評価を行う査定方法です。フォームに必要事項を入力するだけで、簡易的な査定結果を気軽に確認できます。

とはいえ、共有持分の売却においてAI査定を当てにしすぎるのは避けましょう。

AIは「過去の似たような物件の取引データ」から機械的に金額を弾き出すだけであり、「兄弟で揉めている」「ローンが残っている」といった、複雑な人間関係や権利関係を計算に組み込めないからです。

あくまで、「どれくらいの価格で売れそうか」「本当に需要があるのか」など、机上査定を依頼する前の意思決定の参考に留めておくことを推奨します。

買取業者と買取価格について交渉する

買取業者の選定や査定結果の確認を終えたら、買取価格について交渉を行いましょう。訪問査定の結果がベースになるとはいえ、売主との交渉を経て買取価格を上げるというケースは、弊社を含めた買取実務において珍しいことではありません。

例えば、複数社の訪問査定の結果を取得している場合は、「他社のほうが〇〇万円高く買い取ってくれる」と交渉してみるのが非常に効果的です。

これは「買い取った不動産を収益化する」という買取業者のビジネスモデル上、共有持分自体の魅力が高いほど、「他社に価格競争で負けるくらいなら、少し高値になってでも買い取って利益を出したい」という心理になるためです。

買取条件を確認し売買契約を締結する

買取業者が提示した買取条件に納得できれば、売買契約書の内容を確認して売買契約を締結しましょう。

売買契約書には、「買取価格」「買取対象の不動産の情報」「契約不適合責任免責」「現況有姿買取」など、売買に関するさまざまな条件が記載されています。契約を締結する前に、契約内容の不備や、話し合った内容と異なる部分などがないかを、しっかりと確認しておいてください。

「本当に契約内容に問題があるか判断できない」といった場合は、弁護士や司法書士に契約内容をチェックしてもらうのがおすすめです。

持分移転登記と決済を行う

売買契約を結んだら、買取業者の担当者や登記を担当する司法書士などの当事者とスケジュールを調整し、持分移転登記と決済を行う日を決定しましょう。

基本的には、買取業者と司法書士が主体となって手続きを進めてくれます。買取業者から指定口座へ代金が振り込まれたことを確認した後、司法書士が法務局へ名義変更の登記申請を行います。これで、共有持分の売却手続きはすべて完了です。

売却した後は、買取業者と他の共有者の間で交渉が行われ、共有名義不動産全体をどのように処分していくかを決めていきます。

買取業者への共有持分の売却相場は「市場価格 × 持分割合 × 1/2~1/3」

共有持分を買取業者に売却する際の売却相場は、「共有名義不動産の市場価格×持分割合×1/2~1/3」です。

例えば、共有名義不動産の市場価格が3,000万円、持分割合が40%だった場合は、「3,000万円 × 40% × 1/2~1/3」で、400万~600万円が大まかな相場になります。

「市場価格×持分割合で計算した後に、なぜ1/2~1/3になるのか」と疑問に思われるかもしれませんが、これは買取業者の買取実務や、買取後にかかる諸経費を査定額に反映するためです。買取業者への共有持分売却は、便利な反面、売却価格が少し安くなるのがデメリットだと言えます。

売却価格が低くなってしまう理由については、「売却価格が他の共有者に売るよりも低くなる」にて詳細を解説します。

他の共有者への売却相場は「市場価格 × 持分割合」

他の共有者が共有持分を買い取ってくれる場合、売却相場は「市場価格 × 持分割合」になります。共有名義不動産の市場価格が3,000万円、持分割合が40%であれば、「3,000万円 × 40%」で1,200万円が売却相場です。

売却先が他の共有者の場合、買取業者の実務に関する費用が差し引かれない分、売却価格が高くなる傾向があります。

「共有持分を高値で売りたい」「他の共有者が共有持分をほしがっている」といった場合は、買取業者よりも先に他の共有者と売買について話し合うことを推奨します。

共有名義不動産全体を売却できれば高値が付く可能性がある

共有持分を売却する方法の1つとして、「他の共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する」というものがあります。

全体売却のメリットは、仲介業者を利用して第三者の一般の方に購入してもらいやすい点です。共有者全員の共有持分をすべて買主が購入することになるのですから、実質的に通常の不動産を買うのと変わらないためです。

そのため、全体売却であれば、仲介業者を利用して通常の不動産を売却したときと同程度の売却相場になります。買主との交渉や市場需要によっては、高値で売れる可能性が高くなるでしょう。

専門の買取業者に共有持分を売却する前に知っておきたい注意点

ここまで「共有持分は専門の買取業者への売却がおすすめ」と解説してきましたが、当然ながら実務上の注意点やデメリットが存在します。

最後に、契約後に「こんなはずでは」と後悔しないために、売却前に必ず知っておくべき3つの注意点を解説します。

売却価格が他の共有者に売るよりも低くなる

前章でも触れましたが、買取業者へ売却する場合、他の共有者に売るよりも売却価格は基本的に安くなります。買取業者はボランティアで持分を買い取るわけではなく、最終的に権利関係を整理した後、活用して事業利益を出さなければならないからです。

そのため、買取業者が共有持分を査定する場合は、以下のコストやリスク分が査定額から差し引かれます。

  • 他の共有者と交渉し、問題解決に導くための弁護士費用や司法書士費用
  • 名義変更にかかる登記費用や、不動産取得税などの税金
  • 単独名義化した後のリフォームや修繕にかかる費用
  • 契約不適合責任免責や現況有姿買取など売買契約に関するリスク負担費
  • 他の共有者との話し合いが難航した場合、現金化して資金を回収するまでにかかる時間に対するリスク負担費

買取業者の立場としても、事業そのものを成り立たせるために必要な諸経費であるため、完全にゼロにするのは難しいのが正直なところです。その代わりに、徹底した売却サポートと迅速な現金化を実現しています。

共有持分専門の買取業者は、「過去の取引データを基にしたスピーディーな査定」「共有持分に強い専門家との綿密な提携によるスムーズな問題解決」などによって、発生するコストを抑えてその分だけ査定額に反映しています。

悪質な買取業者に依頼するとトラブルになるリスクがある

非常に残念なことですが、不動産業界には利益を最優先する悪質な買取業者も一部存在します。そうした業者に引っかかると、以下のようなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

  • 最初に高い金額を提示して売主を釣り、「権利関係が複雑だったので減額します」と後出ししたり、契約書に黙って減額した金額を記載したりする
  • 一度査定を依頼しただけで、昼夜問わずしつこく電話がかかってきたり、自宅に押しかけられたりする
  • 他の共有者に強引な買取交渉や迷惑行為で圧力をかけ、持分を手放させようとする

なお、宅地建物取引業の免許を正式に取得し、弁護士などの士業としっかり提携している一般的な業者であれば、コンプライアンスを厳守しているため、上記のようなトラブルはまず起こりません。

悪徳業者を避けるためには、前述した「複数社への相見積もり」を行い、担当者の誠実さや査定額の論理的な根拠をしっかりと見極めることが最大の防衛策になります。

条件によっては買取対応できない共有持分も存在する

いくら専門の買取業者であっても、ケースによっては買取を断られる共有持分も存在します。買取を断られる可能性がある共有持分の例は、次の通りです。

  • 不動産自体の資産価値があまりにも低く、収益化が見込めない
  • 査定額が5,000万円以上などの高額となり、中小規模の業者に「高すぎてうちでは買い取れない」と断られる
  • 不動産の住宅ローンの契約者が滞納しており、差し押さえの一歩手前まできている
  • 他の共有者のなかに、反社会的勢力に属する人物が含まれている

一方で、再建築不可、借地権・底地、老朽化、相続など一見して買取が難しいと思われる問題を持つ共有持分であっても、買取業者に買い取ってもらえたというケースは多々あります。

共有持分を売却できるか不安に思う場合は、まずは買取業者の無料相談から利用し、客観的な判断を仰いでみることを推奨します。

まとめ

共有持分は、一般の市場ではなかなか買い手が見つからない特殊な不動産です。しかし、高い専門性と買取ノウハウを持つ専門の買取業者であれば、共有者同士の争いや権利関係でトラブルがある共有持分であっても、適切な査定と買取を期待できます。

買取業者を選ぶ際には、「共有持分の専門性や取引実績があるのか」「信頼性はあるのか」「コミュニケーション面で問題はないのか」などをしっかり確認しましょう。複数社に査定を依頼し、査定額や担当者の態度などを比較検討することを推奨します。

買取業者は、基本的に無料相談・査定に対応してくれます。共有持分の売却について不安や疑問がある場合は、一度気軽に問い合わせてみてください。

共有持分の買取業者についてよくある質問

買取業者は持分を買い取った後どうやって現金化しているのですか?

買取業者が持分を買い取った後は、「他の共有者全員から持分を買い取り、単独名義にしてから売ったり賃貸に出したりする」「他の共有者に持分を買い取ってもらう」といった方法で収益化して現金を得ています。

買取業者に持分を売却する際に他の共有者への連絡は必要ですか?

共有持分単体の売却は単独行為であるため、他の共有者への事前連絡は必要ありません。とはいえ、連絡せずに勝手に売却すると他の共有者との人間関係が悪化する可能性があるため、事前に話し合っておくのが実務上一般的です。

共有持分の売却以外で共有状態を解消する方法はありますか?

「全員の同意を得て全体売却する」「他の共有者に贈与する」「共有持分を放棄する」「共有物分割請求を起こす」「土地を分筆する」などの方法が挙げられます。相続時であれば、相続放棄という方法もあります。

それぞれの方法にはメリット・デメリットが存在するため、どれが自分に合うのかを慎重に検討することを推奨します。

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