共有持分にかかる税金を徹底解説!税金の計算方法や納付方法を確認しよう

共有持分にかかる税金を徹底解説!税金の計算方法や納付方法を確認しよう

不動産の共有持分にかかる税金にはさまざまな種類があるため、すべての税金について把握するのは難しいでしょう。

「共有持分を所有していたら、どの税金がかかるのかな?」
「共有持分を贈与した場合、誰が税金を支払うのかな?」
「共有持分にかかる税金を軽減できる措置はないのかな?」

このように、多くの疑問が出てくるのではないでしょうか。

不動産の共有持分にかかる税金として挙げられるのは、以下の8種類です。

かかるタイミング 税金
不動産の共有持分を所有しているとき 固定資産税・都市計画税
賃貸不動産の共有持分を所有しているとき 所得税・住民税
不動産の共有持分を取得したとき 不動産取得税
不動産の共有持分の贈与を受けたとき 贈与税
不動産の共有持分を相続したとき 相続税
不動産の共有持分を売却したとき 譲渡所得税

それぞれ納税の対象となる場面や納税者が異なるため、各税金の概要をきちんと理解しておくことが大切です。

なお、以上に挙げた税金のうち、次の3つは連帯納税義務が課せられています。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税

自分の分の税金を自分で納める」というのが納税の基本的なルールです。例えば、自分の収入に対する所得税を自分で納めますし、自分で購入した商品に対する消費税を自分で納めます。しかし、連帯納税義務が課せられている場合、他人が納めるべき分の税金も面倒を見なければいけません。自分は自身の負担分の税金を納めていたとしても、他人が税金を納めていない場合、自分も罰則の対象になってしまうのです。そのため、各税金の概要とともに連帯納税義務についても理解を深める必要があります。

本記事では、不動産の共有持分にかかる8つの税金について、納税対象者、計算方法、納付方法、軽減措置について解説します。記事の後半では、税金を滞納した場合や連帯納税義務についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

不動産の共有持分を所有するとかかる税金:固定資産税・都市計画税

不動産の共有持分を所有すると、固定資産税・都市計画税がかかります。

固定資産税とは、土地や建物などの不動産や償却資産の所有者に課せられる税金で、都市計画税とは市街化区域内にある土地や建物の所有者に課せられる税金です。固定資産税・都市計画税ともに地方税であり、不動産や償却資産のある市町村(東京23区は東京都)に対して納めます。

以下では、共有持分を所有した際の固定資産税・都市計画税に関する次の項目について詳しく解説します。

  • 共有持分の固定資産税・都市計画税は持分割合に応じて共有者全員が連帯して納める
  • 共有持分の固定資産税・都市計画税の計算方法
  • 共有持分の固定資産税・都市計画税の納付は代表者が行う
  • 共有持分の固定資産税が免除・減免されるケース

共有持分を所有した方は参考にしてみてください。

共有持分の固定資産税・都市計画税は持分割合に応じて共有者全員が連帯して納める

固定資産税・都市計画税は、不動産などの所有者に対して課せられる税金です。2人以上で不動産を共有している場合、共有者全員が固定資産税・都市計画税を納める必要があります。

各共有者は、持分割合に応じた分の固定資産税・都市計画税を支払います。しかし、固定資産税・都市計画税の納付は共有者全員が連帯して行う義務が課せられている点に注意が必要です。つまり、固定資産税・都市計画税を支払えない共有者がいれば他の共有者が肩代わりしなければなりません。肩代わりせず、固定資産税・都市計画税の支払いを行わない場合、詳しくは後述しますが、延滞税がかかったり資産が差し押さえられたりする可能性があるため、十分注意してください。

共有持分の固定資産税・都市計画税の計算方法

固定資産税・都市計画税の税額は、固定資産税通知書に記載されておりますが、計算方法を知っておくと事前に税額を把握しておくことが可能です。

固定資産税・都市計画税の計算方法は、それぞれ次のとおりです。

  • 固定資産税額=固定資産の評価額(課税標準額)×標準税率(基本的には1.4%だが、自治体により異なる)
  • 都市計画税額=固定資産税評価額×税率0.3%以下(税率は自治体により異なるが、最も高い場合でも0.3%に制限されている)

自身が所有する共有持分に対する税額は、求めた固定資産税・都市計画税の税額に持分割合を掛け合わせることで算出可能です。

共有持分の固定資産税・都市計画税の納付は代表者が行う

共有持分の固定資産税・都市計画税は、共有者全員で連帯して納付する義務を負っていますが、実際に納付するのは代表者1名です。代表者が他の共有者から納める分の税金を預かり、一括して払うことになっています。

誰が代表者になるのかは、自分たちが話し合いで決めることが可能です。話し合いで代表者を決めた場合は、「共有資産代表者選定届」またはそれに類似した名称の書類を役所の窓口に提出します。

一方、自分たちで代表者を決めない場合は自治体が代表者を決定します。代表者を決める基準は自治体ごとに異なりますが、以下のような基準を用いて代表者を選定していることが一般的です。

  • 課税対象の不動産や償却資産のある自治体に住んでいる人
  • 共有持分が多い人
  • 登記の記載が上位にある人

以上のような基準で選定された代表者、もしくは共有者が話し合いで決めた代表者に対して共有者全員分の税額が記載された納付書が送られるため、期日までに代表者がまとめて納付を行います。

話し合いで決めた、もしくは自治体に選定された代表者を変更したい場合は、届出が必要です。自治体のホームページに変更届の様式が掲載されている場合が多いため、自身でダウンロードし、必要事項を埋めた上で提出してください。

ただし、これらの内容は自治体により制度が異なる場合があります。例えば、事前に申し出れば各共有者に個別で納付書を送ってくれるケースが挙げられます。他にも、制度が異なる場合があるため、必ず各自治体のホームページや窓口で正しい情報を入手するようにしてください。

共有持分の固定資産税が免除・減免されるケース

共有持分の固定資産税が免除・減免されるケースとして、以下の7つが挙げられます。

  • 固定資産税の課税標準額が免税点に届かない
  • 共有持分が公園・私道になっている
  • 災害により修復できなくなった/破損した
  • 小規模住宅用地の特例の適用範囲である
  • 一定の条件を満たす新築戸建て・マンションを購入した
  • 土地を農地に転用した
  • 省エネ改修工事を行った

以下では、それぞれのケースで免除・減免される理由や仕組みについて見ていきましょう。

固定資産税の課税標準額が免税点に届かない

固定資産税の課税標準額が免税点に届かない場合、固定資産税の課税対象にはなりません。免税点とは、固定資産税の課税標準額が課税対象であるかそうでないかの基準となる金額のことです。例えば、免税点が30万円だとすると、固定資産税の課税標準額が30万円以上であれば固定資産税の課税対象ですが、30万円に達しない場合は課税対象にはならないのです。

具体的には、同じ市町村の中で、同一人物が所有する固定資産税の課税標準額が、それぞれ次の額に満たない場合、固定資産税の支払いが免除されます。

  • 土地:30万円
  • 家屋:20万円
  • 償却資産:150万円

共有持分が公園・私道になっている

所有している共有持分が、公園や私道など、公益性の高い用途に使用されている場合、固定資産税が非課税になるケースがあります。そもそも、地方公共団体や学校法人などが所有している不動産は、本来の目的通りに運用されていれば固定資産税が非課税です。その基準を私人が所有する不動産にも当てはめることで、所有している共有持分が、公園や私道などに使用されている場合に、固定資産税が非課税になるケースがあるのです。ただし、私道として認められるには申告が必要であるため、私道と認められる土地を所有している場合、自治体ごとに定められている要件を確認した上で、申告するようにしてください。

災害により修復できなくなった/破損した

災害により、固定資産が修復できなくなったり一部が破損したりした場合には、災害発生日以降の固定資産税が免除や減免される制度があります。この制度を適用するためには、各自治体に対する申請が必要となるため、自動的に適用を受けられるわけではありません。

制度の詳細は自治体によって異なるため、固定資産のある自治体のホームページを確認してみてください。

小規模住宅用地の特例の適用範囲である

小規模住宅用地の特例とは、小規模な住宅用地に対して課税される固定資産税や都市計画税が減税される制度のことです。具体的には、以下の表の通り、小規模住宅用地に該当する部分(200㎡以下)の固定資産税と都市計画税が軽減されるうえ、200㎡を超える部分でも住宅用地の特例が適用され、固定資産税と都市計画税が軽減されます。

税金 住宅の範囲 軽減割合
固定資産税 200㎡以下の部分 課税標準の1/6
200㎡超の部分 課税標準の1/3
都市計画税 200㎡以下の部分 課税標準の1/3
200㎡超の部分 課税標準の2/3

土地を農地に転用した

農地にかかる固定資産税の計算方法には、大きく分けて「農地課税」と「宅地並み課税」の2種類があります。農地課税とは、その土地が今後も農地として活用されることを見越した課税方法で、宅地並み課税とは、その土地が将来農地から宅地に転用されることを見越した課税方法です。

宅地並み課税に該当するのは、三大都市圏の特定しの市街化区域内に所在する農地で、生産緑地をしなかった場合です。それ以外の場合は農地課税に該当します。

農地課税における固定資産税評価額は、その農地が農作物を収穫することで得られる利益を基準に決められるため、通常の土地と比べて固定資産税評価額がかなり低くなるのです。そのため、土地を農地に転用することで、大幅に固定資産税額を減らせる可能性があります。

省エネ改修工事を行った

省エネ改修工事を行うことで、その住宅にかかる固定資産税が減額されます。具体的には、改修工事が完了した年の翌年度分の固定資産税に限って、その住宅の一戸につき120㎡の床面積相当分までの固定資産税額が1/3減額されます。

固定資産税の減額措置が適用されるためには、以下の6つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 平成26年4月1日以前からある住宅であること。
  2. 居住部分の割合が当該家屋の1/2以上あること(ただし、家屋の賃貸部分は減額になりません)。
  3. 令和4年4月1日から令和8年3月31 日までの間に、次の①から④までの工事のうち、①を含む工事を行うこと。(①の工事は必須です)。
    ① 窓の断熱改修工事(二重サッシ化、複層ガラス化など)
    ② 床の断熱改修工事
    ③ 天井の断熱改修工事
    ④ 壁の断熱改修工事
    注)①から④までの改修工事により、それぞれの部位が現行の省エネ基準に新たに適合することが必要になります。
  4. 当該家屋の床面積が50㎡以上280㎡以下であること。
  5. 改修工事に要した費用の額が次のいずれかに当てはまること。
    ① 断熱改修に係る工事費が60万円超
    ② 断熱改修に係る工事費が50万円超であって、太陽光発電装置、高効率空調機、高効率給湯器、太陽熱利用システムの設置に係る工事費と合わせて60万円超
    ※ 国又は地方公共団体からの補助金等の交付等がある場合には、当該改修工事に要した費用の額から補助金等の額を控除した額が、一戸あたり60万円を超えていることが必要です。
  6. 耐震基準適合住宅に係る減額等の適用中でないこと(この減額と重複して適用することができないため。)。
    (引用:省エネ改修工事をした住宅に対する固定資産税の減額|東京都主税局

減額されるためには、納税者本人が改修工事の完了から3ヶ月以内に申告することが必要であるため、早めに申告するようにしてください。

賃貸不動産の共有持分を所有するとかかる税金:所得税・住民税

賃貸不動産の共有持分を所有すると、持分割合に応じて賃貸収入が入ってきます。得られた賃貸収入は不動産所得として扱われるため、毎年確定申告をした上で、所得税と住民税の納税が必要です。ここでは、賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税に関する以下の項目について解説します。

  • 賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税は持分割合に応じて各共有者が支払う
  • 賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の計算方法
  • 賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の納付方法
  • 賃貸不動産の共有持分における所得税の軽減措置

賃貸不動産の共有持分を所有している方は、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税は持分割合に応じて各共有者が支払う

賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税は、固定資産税等の納税と同じく、持分割合に応じて各共有者が負担します。ただし、固定資産税等は代表者がまとめて納付しますが、所得税・住民税は納税も共有者ごとに行う必要がある点に注意してください。

賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の計算方法

ここでは、賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の計算方法を解説します。

賃貸不動産の共有持分における所得税は、持分割合に応じて受け取った賃貸収入と以下の表をもとに計算を行います。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円〜1,949,000円 5% 0円
1,950,000円〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

(参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

例えば、持分割合に応じて受け取った賃貸収入が200万円の場合、所得税は以下のとおりに計算します。

200万円×10%(税率)- 97,500円 = 102,500円

一方、住民税の計算方法は以下のとおりです。

課税所得×税率(区市町村民税6%+道府県民税・都民税4%=10%)

例えば、持分割合に応じて受け取った賃貸収入が200万円の場合、住民税は以下のとおりに計算します。

200万円×10%(税率)= 20万円

賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の納付方法

賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の納付方法について解説します。所得税と住民税で納付方法が異なるため、それぞれの納付方法に分けて見ていきましょう。

所得税の納付方法

所得税は、持分割合に応じて受け取った賃貸収入をもとに共有者がそれぞれ計算し、確定申告も各共有者が個別で行います。確定申告は、毎年2/16から3/15までに行う必要があるため、期限に遅れないように注意してください。

申告した所得税額を納付する方法は、以下の方法で納付可能です。

課税される所得金額 メリット デメリット
金融機関の口座からの振替納税
  • 手数料不要
  • 一度手続きをすれば、翌年以降の手続き不要
  • 他の方法に比べて期日が遅い
  • あらかじめ依頼書の提出が必要
  • 残高不足により延滞税が課せられる可能性がある
e-Taxを利用した電子納税
  • 手数料不要
  • どこでも納付手続きができる
  • 事前の手続きが必要
  • e-Taxに慣れる必要がある
  • 領収書が発行されない
クレジットカードを利用した納付
  • どこでも納付手続きができる
  • 分割払い・リボ払い等が選択可能
  • 事前の準備が必要ない
  • 手数料がかかる
  • 領収書が発行されない
QRコード(※)を利用した
コンビニエンスストアでの納付
  • 手数料不要
  • 事前の準備が必要ない
  • 買い物と同時に済ませられる
  • QRコード(※)しか使えない
  • 30万円以上の納付は一度で済ませられない
スマホアプリを使った納付
  • どこでも納付手続きができる
  • 分割払い・リボ払い等が選択可能
  • 事前の準備が必要ない
  • 残高の事前チャージが必要
  • 領収書が発行されない
  • 30万円以上の納付は一度で済ませられない
金融機関・税務署の窓口での現金納付
  • 手数料不要
  • 窓口の開いている時間に、窓口まで出向く必要がある

(※)QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

住民税の納付方法

一方、住民税は、提出した確定申告書に基づいて市区町村が計算を行うため、申告は不要です。住民税の納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。

特別徴収は、給与所得者に適用される納付方法で、6月から翌年5月まで毎月の給料から住民税が天引きされます。一方、普通徴収は、その他の方に適用される納付方法で、自治体から送付される納税通知書に基づいて、4回にわたって支払いを行います。

賃貸不動産の共有持分における所得税の軽減措置

賃貸不動産の共有持分における所得税の軽減措置には、以下のようなものがあります。

  • 認定長期優良住宅に関する特例措置
  • 住宅借入金等特別税額控除
  • 住宅借入金等特別控除

それぞれの軽減措置の内容や適用される条件などについて、以下で詳しく見ていきましょう。

認定長期優良住宅に関する特例措置

認定長期優良住宅に関する特例措置とは、一定の要件を満たした認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を新築したり建築後未使用の認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を取得したりした場合に、所得税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税が軽減される制度です。

所得税に対する措置は、性能を強化するために通常の住宅よりも追加で必要となる費用の10%を、最大65万円の範囲で所得税額から控除するという内容です。

特例措置の適用を受けるためには、確定申告の際に次の書類を税務署に提出する必要があります。

  • 認定住宅等新築等特別税額控除額の計算明細書
  • 登記事項証明書
  • 請負契約書又は売買契約書の写し
  • 長期優良住宅認定通知書の写し
  • 住宅用家屋証明書又は認定長期優良住宅建築証明書

(参考:認定長期優良住宅に対する税の特例(所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)|国土交通省

このうち、住宅用家屋証明書は後ほど説明する登録免許税の軽減措置を適用する場合にも必要な書類であるため、写しを司法書士などから手に入れておくと良いでしょう。また、認定長期優良住宅建築証明書は、建築士事務所所属の建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関に発行を依頼できます。

ただし、認定長期優良住宅に関する特例措置は、後述する住宅借入金等特別税額控除とは併用できないため、注意してください。

住宅借入金等特別税額控除

住宅借入金等特別税額控除とは、住宅ローンを利用して住宅を新築・取得したり、増改築したりした場合に、各年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間にわたり所得税額等から控除できる制度です。

住宅の区分や住み始めた年による控除期間や控除限度額の違いを以下の表にまとめていますので、参考にしてみてください。

住宅の区分 居住の用に供した年 控除期間 控除限度額
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 令和4・5年 13年 35万円
令和6・7年 13年 31.5万円
特定エネルギー消費性能向上住宅 令和4・5年 13年 31.5万円
令和6・7年 13年 24.5万円
エネルギー消費性能向上住宅 令和4・5年 13年 28万円
令和6・7年 13年 21万円
一般の新築住宅 令和4・5年 13年 21万円
令和6・7年 10年 14万円

(参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅借入金等特別控除

住宅借入金等特別控除とは、中古住宅を取得し、令和4年以降に住み始めた場合に、各年末の住宅ローン残高の0.7%を最大10年間にわたり所得税額等から控除できる制度です。

住宅の区分や住み始めた年による控除期間や控除限度額の違いを以下の表にまとめていますので、参考にしてみてください。

住宅の区分 居住の用に供した年 控除期間 控除限度額
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
特定エネルギー消費性能向上住宅
エネルギー消費性能向上住宅
令和4〜7年 10年 21万円
一般の新築住宅 令和4〜7年 10年 14万円

(参考:No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

不動産の共有持分を取得した時にかかる税金:不動産取得税

不動産の共有持分を取得した時には、不動産取得税がかかります。不動産取得税における「取得」とは、不動産の所有権を得ることであり、売買や新増改築のみならず、贈与や交換なども含まれます。ただし、相続により不動産の所有権を得た場合は不動産取得税は非課税となり、代わりに相続税がかかる点に注意してください。

固定資産税・都市計画税や所得税・住民税とは異なり、不動産を取得した際の一度だけ課税される点が特徴的です。なお、不動産取得税の課税に登記の有無は関係ありません。登記があってもなくても、不動産を取得したことが発覚すれば、不動産取得税の課税対象となります。

以下では、共有持分の不動産取得税に関する以下の項目について詳細に解説します。

  • 共有持分の不動産取得税は不動産を取得した人が支払う
  • 共有持分の不動産取得税の計算方法
  • 共有持分の不動産取得税の納付方法
  • 共有持分の不動産取得税の軽減措置:認定長期優良住宅に関する特例措置

それぞれの内容について見ていきましょう。

共有持分の不動産取得税は不動産を取得した人が支払う

共有持分の不動産取得税は、不動産を取得した人が課税対象です。前述した通り、売買や新増改築、贈与、交換などにより不動産を取得した人は不動産取得税を支払う必要があります。

共有持分の不動産取得税の計算方法

共有持分の不動産取得税は、次の式で計算できます。

不動産取得税額=不動産の課税標準額×税率

税率は次のように定められています。

  • 土地・家屋(住宅):3%
  • 家屋(非住宅):4%

また、宅地及び宅地評価された土地を令和9年3月31日までに取得した場合、その土地の課税標準額は、その土地の価格の1/2となります。

加えて、住宅は、建築経過年数に応じて固定資産税評価額から一定の控除を受けられます。(新築は1,200万円)

共有持分の不動産取得税の納付方法

共有持分の不動産取得税は、自治体ごとに決められた期限内に申告をする必要があります。申告に基づき、自治体から納税通知書と納付書が送付されるため、それをもとに支払いを行います。納税通知書は共有者全員に送られますが、納付書は代表者一人に送られるため、各共有者から不動産取得税の負担額を集めて支払うようにしてください。

なお、不動産取得税は、共有者全員での連帯納付が義務付けられています。もし不動産取得税を負担しない共有者がいる場合、他の共有者が肩代わりしなければなりません。自分の負担分でなくても未払いの不動産取得税がある場合、最悪のケースでは財産を差し押さえられてしまうため、まずは不動産取得税の支払いを済ませるようにしてください。税金を支払わなかった場合にどうなるかは「共有持分にかかる税金を滞納したら最悪の場合は共有者の財産が差し押さえられる」で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

共有持分の不動産取得税の軽減措置

共有持分の不動産取得税の軽減措置として、以下の3つの制度が挙げられます。

  • 新築住宅の取得に適用される軽減措置
  • 中古住宅の取得に適用される軽減措置
  • 認定長期優良住宅に関する特例措置

それぞれの制度について、以下で見ていきましょう。

新築住宅の取得に適用される軽減措置

新築住宅を取得する際、住宅の課税標準額から1,200万円の控除を受けられます。控除を受けるには、床面積に関する以下の要件を満たす必要があります。

一戸建 一戸建以外
貸家以外 50㎡以上240㎡以下 50㎡以上240㎡以下
貸家 50㎡以上240㎡以下 40㎡以上240㎡以下

中古住宅の取得に適用される軽減措置

中古住宅を取得する際も、以下の要件を満たすことで一定額の控除を受けられます。

  • 取得時の現況が住宅であること
  • 個人が自己の居住用に取得したものであること
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 新耐震基準を満たしていること

控除額は新築された日によって以下のように異なります。

新築された日 控除額
昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 350万円
昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日 420万円
昭和60年7月1日〜平成元年3月31日 450万円
平成元年4月1日〜平成9年3月31日 1,000万円
平成9年4月1日以後 1,200万円

認定長期優良住宅に関する特例措置

認定長期優良住宅に関する特例措置とは、一定の要件を満たす住宅(認定長期優良住宅)を新築した場合、住宅の課税標準額から受けられる控除が1,200万円から1,300万円に増額される特例です。なお、特例の適用は、令和8年3月31日までに新築された住宅である点に注意してください。

不動産の共有持分の贈与を受けた時にかかる税金:贈与税

不動産の共有持分の贈与を受けた時には、贈与税がかかります。ここでは、共有持分の贈与を受けた時にかかる贈与税について、以下の項目に沿って解説します。

  • 贈与税は共有持分の贈与を受けた人が支払う
  • 共有持分の贈与税の計算方法
  • 共有持分の贈与税の納付方法
  • 共有持分の贈与税の軽減措置:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

なお、共有者の一人が共有持分の放棄を行い、他の共有者が共有持分を取得した時にも贈与税がかかります。放棄した持分は、持分割合に応じて他の共有者で分け合うことになります。この所有権の移転が贈与とみなされるため、共有持分の放棄でも贈与税がかかるのです。

贈与税は共有持分の贈与を受けた人が支払う

贈与税の支払いは、共有持分の贈与を受けた人が行います。

共有持分の贈与税の計算方法

共有持分の贈与税は、以下の計算式で算出します。

課税価格(不動産の価格(固定資産税評価額×受け取る共有持分)ー基礎控除110万円)×税率ー控除額

税率と控除額は、課税価格の金額により以下のように定められています。

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

(参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

共有持分の贈与税の納付方法

共有持分の贈与税の納付は、贈与を受けた翌年の2/1から3/15までに申告・納税を行う必要があります。申告は、e-Taxを利用する方法のほか、郵便や信書便での送付、税務署の時間外収受箱への投函などの方法があります。

納付方法は所得税の納付方法と同じく、次のような方法があります。

  • 金融機関の口座からの振替納税
  • e-Taxを利用した電子納税
  • クレジットカードを利用した納付
  • QRコード(※)を利用したコンビニエンスストアでの納付
  • スマホアプリを使った納付
  • 金融機関・税務署の窓口での現金納付
    (※)QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

詳しくは「所得税の納付方法」を参考にしてみてください。

共有持分の贈与税の軽減措置:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

共有持分の贈与税には、夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除が適用できます。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除とは、以下の要件を満たした場合に、基礎控除110万円に加えて最高2,000万円まで控除できる特例です。

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に行われた贈与。
  • 配偶者から贈与された財産が居住用不動産である、または居住用不動産を取得するための金銭である。
  • 贈与を受けた年の翌年3/15までに、贈与により取得した居住用不動産、または贈与を受けた金銭で取得した居住雨よう不動産に贈与を受けた者が住み、今後も引き続き住む見込みである
    (参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

特例を受けるためには、贈与税の申告書に以下の書類の添付が必要です。

  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本または抄本
  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  • 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
  • 居住用不動産を評価した評価明細書などの書類(居住用不動産の贈与を受けた場合のみ)
    (参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

不動産の共有持分を相続した時にかかる税金:相続税

不動産の共有持分を相続した時には、相続税がかかります。ここでは、共有持分にかかる相続税について、以下の項目に沿って解説します。

  • 相続税は共有持分を相続した人が支払う
  • 共有持分の相続税の計算方法
  • 共有持分の相続税の納付方法
  • 共有持分の相続税の軽減措置

各項目について以下で見ていきましょう。

相続税は共有持分を相続した人が支払う

相続税は共有持分を相続した人が支払います。共有持分を相続した人が複数人いる場合は、それぞれの相続人が相続税を納めます。

共有持分の相続税の計算方法

共有持分の相続税の計算は、以下の手順で行います。

  • 課税対象となる遺産総額を調査する
  • 法定相続分で各相続人の相続税を計算し、合算する
  • 実際に相続割合を元に相続税額を算出する

詳しい計算方法は、以下の記事を参考にしてください。

共有持分の相続税の納付方法

共有持分の相続税の申告と納付は、相続した人全員がそれぞれ行います。相続税の申告と納付の流れは、次のとおりです。

  • 相続税の申告対象であるかどうかを確認する
  • 相続開始の日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行う

詳しい納付方法は、以下の記事を参考にしてください。

共有持分の相続税の軽減措置

共有持分の相続税に適用できる軽減措置は、以下の表の通りです。

軽減措置 概要 軽減額/軽減割合
配偶者の税額の軽減 配偶者が相続人になった際に、相続税の負担を減らせる制度 法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までの相続分については、相続税がかからない
未成年者の税額控除 相続人が未成年者の場合に、相続税の負担を減らせる制度 相続開始時に未成年である相続人が18歳になるまでの年数に応じて、1年につき10万円(特別障害者である場合は1年につき20万円)が相続税額から控除される
障害者の税額控除 相続人が障害者の場合に、相続税の負担を減らせる制度 相続開始時に障害者である相続人が85歳になるまでの年数に応じて、1年につき10万円(特別障害者である場合は1年につき20万円)が相続税額から控除される
相次相続控除 短期間で連続して相続が発生した場合に相続税の負担を減らせる制度 前回の相続から10年以内に再度相続が発生した場合、前回の相続で支払った相続税の一部を今回の相続税額から控除される
小規模宅地等の特例 被相続人の居住用または事業用の土地について、相続税評価額を減額される制度 一定の要件を満たす場合に、居住用宅地は330平方メートルまで80%減額、事業用宅地は400平方メートルまで80%または200平方メートルまで50%減額される
地積規模の大きな宅地の評価 広大な宅地についての相続税評価額を減額される制度 500平方メートル以上の宅地で、一定の要件を満たす場合に相続税評価額が減額される
外国税額控除 国外の財産を相続した場合に、その財産に対して支払った外国の相続税を日本の相続税から控除される制度 外国で支払った相続税額を日本の相続税額から差し引くことが可能

軽減措置の詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

不動産の共有持分を売却した時にかかる税金:譲渡所得税

不動産の共有持分を売却した時には、譲渡所得税がかかります。ここでは、共有持分にかかる譲渡所得税について、以下の項目に沿って解説します。

  • 譲渡所得税は共有持分の譲渡によって所得を得た人が支払う
  • 共有持分の譲渡所得税の計算方法
  • 共有持分の譲渡所得税の納付方法
  • 共有持分の譲渡所得税の軽減措置

各項目について以下で見ていきましょう。

譲渡所得税は共有持分の譲渡によって所得を得た人が支払う

譲渡所得税は、共有持分の譲渡によって所得を得た人が支払います。つまり、共有持分を他の人に売却した人が支払の対象となるのです。

共有持分の譲渡所得税の計算方法

共有持分の譲渡所得税の計算は、以下の流れで行います。

  • 譲渡所得を持分割合で分け、課税譲渡所得を算出する
  • 共有持分の保有期間に応じて決められた税率をかける

以下で、詳細な計算方法を解説します。

譲渡所得を持分割合で分け、課税譲渡所得を算出する

まずは、以下の式を用いて譲渡所得を算出します。

売却価格ー取得費ー譲渡費用

それぞれの費用の項目について、以下で簡単に説明します。

  • 売却価格:共有持分の売却により得た金額。
  • 取得費:売却した共有持分を取得したときにかかった金額。例えば、以下のような費用が取得費に該当する。
    • 共有持分の購入価格(不動産は購入価格から減価償却費を引いて算出)
    • 購入時の仲介手数料・印紙代・司法書士への報酬
    • 登録免許税・不動産取得税
  • 譲渡費用:共有持分の売却時にかかった金額。例えば、以下のような費用が譲渡費用に該当する。
    • 売却時の仲介手数料・印紙税
    • 建物の取り壊しにかかった解体費用・建物の損失額

このようにして算出した譲渡所得を共有者の持分割合で分けます。例えば、夫婦で50%ずつ所有していた不動産を売却した際の譲渡所得が3,000万円だった場合、夫婦の譲渡所得はそれぞれ1,500万円ずつになります。

算出した各共有者の譲渡所得から軽減措置により控除される分を差し引いた金額が課税譲渡所得です。

共有持分の保有期間に応じて決められた税率をかける

譲渡所得税は、課税譲渡所得に税率をかけることで計算できます。譲渡所得税の税率は、共有持分の保有期間に応じて次のように定められています。

売却した年の1月1日時点での保有期間 所得税 住民税
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9%
5年超(長期譲渡所得) 15% 5%

また、2037年までの間には復興特別所得税として「課税所得税×2.1%」が付加されます。

例えば、長期譲渡所得が3,000万円の場合、譲渡所得税は次のように計算できます。

  • 所得税:3,000万円×15%=450万円
  • 復興特別所得税:450万円×2.1%=9万4,500円
  • 住民税:3,000万円×5%=150万円

共有持分の譲渡所得税の納付方法

譲渡所得がある場合には、確定申告が必要です。確定申告は、共有者それぞれが譲渡のあった翌年2/16〜3/15の間に行う必要があります。
詳しい納税方法は、「賃貸不動産の共有持分における所得税・住民税の納付方法」を参考にしてみてください。

共有持分の譲渡所得税の確定申告に必要な書類

共有持分の譲渡所得税の確定申告に必要な書類を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

  • 確定申告書B様式(第一表)
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 不動産購入時、売却時の売買契約書の写し(購入時の売却契約書を紛失した場合、売主や仲介業者から入手)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 譲渡費用(仲介手数料など)や取得費用が分かる領収証の写し
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票

共有持分の譲渡所得税の軽減措置

共有持分の譲渡所得税の軽減措置として、以下の4つの制度が挙げられます。

  • 譲渡所得税の特別控除
  • 10年超所有軽減税率特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
  • 固定資産の交換の特例

それぞれの軽減措置の内容について、以下で見ていきましょう。

譲渡所得税の特別控除

譲渡所得税には、以下の表に示したように7つの特別控除が設けられており、最大で合計5,000万円まで控除を受けられます。控除の適用は1から7の順に行われます。

特別控除の種類 概要
収用等により土地建物を売ったときの特例 土地収用法などの法律で収容が認められている公共事業のために土地や建物を売った場合に受けられる特別控除。

参考:No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例|国税庁

マイホームを売ったときの特例 マイホームを売った時に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例。

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合、譲渡所得から2,000万円を控除できる制度。

参考:租税特別措置法第34条

特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合、譲渡所得から1,500万円を控除できる制度。

参考:租税特別措置法第34条の2

平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除 平成21年及び平成22年に取得した土地を売却した場合、譲渡所得から1,000万円を控除できる制度。

参考:No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除|国税庁

農地保有合理化等のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 農地保有合理化などのために農地を売却した場合、譲渡所得から800万円を控除できる制度。

参考:租税特別措置法第34条の3

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 都市計画区域内にある低未利用土地などを500万円以下(800万円以下の場合あり)売却した場合、譲渡所得から100万円を控除できる制度。

参考:No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除|国税庁

それぞれの特別控除の適用を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。国税庁のホームページを確認したり専門家に相談したりして、特別控除を受けられるかどうかを確認してみてください。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

上記に記した「譲渡所得税の特別控除」のうち、利用される頻度の多い特例が「マイホームを売ったときの特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)」です。

「マイホームを売ったときの特例」が適用されるためには、次の要件を満たすことが必要です。

  1. 居住用の土地や建物であること、または住まなくなってから3年が経過した年の12/31までに売ること
  2. 売った年の前年と前々年にこの特例や「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の適用を受けていない。
  3. 売った年とその前年、前々年に、買い替え特例の適用を受けていない。
  4. 売った建物や敷地などについて、他の特例の適用を受けていない。
  5. 災害により建物を取り壊した場合、その敷地に住まなくなった日から3年が経過する日の属する12/31までに売る。
  6. 売り手が親子や夫婦などの特別な関係でない
    (参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

10年超所有軽減税率特例

10年超所有軽減税率特例とは、マイホームを売却した際に、以下の要件を満たすことで、譲渡所得税について軽減税率が適用される特例です。

  1. 居住用の土地や建物であること、または住まなくなってから3年が経過した年の12/31までに売ること
  2. 売った年の1/1時点で、所有期間が10年を超えていること
  3. 売った年の前年と前々年にこの特例の適用を受けていない。
  4. 売った建物や敷地などについて、他の特例の適用を受けていない。
  5. 売り手が親子や夫婦などの特別な関係でない

適用される軽減税率は、次の表のとおりです。

課税譲渡所得金額 税率
6,000万円以下 課税譲渡所得金額×10%
6,000万円超 (課税譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円

特例の適用を受けるためには、確定申告書に以下の2つの書類を添付して提出する必要があります。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは、被相続人が住んでいた建物やその敷地を売却し、以下の要件に当てはまる場合は、譲渡所得から最高3,000万円の控除を受けられる制度です。

項目 内容
建物の要件
  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • 区分所有建物登記がされている建物でない
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった
土地の要件 相続の開始の直前に被相続人が住む建物の敷地として使われていた土地
売却時の要件
  • 売った人が相続や遺贈により被相続人が住んでいた建物やその敷地を得たこと
  • 次の2つのいずれかで売却すること
    • 相続や遺贈により取得した被相続人が住んでいた建物を売却するか、被相続人が住んでいた建物とその敷地を売却する
    • 相続や遺贈により取得した被相続人が住んでいた建物を取り壊した後に、その敷地を売却する
  • 次の3つの要件に当てはまること
    • 相続時から売却時まで、事業や貸付、居住などの用途に使われていないこと
    • 売却時から売却の翌年2/15までの間に、一定の耐震基準を満たすことになったこと
    • 売却時から売却の翌年2/15までの間に、被相続人が住んでいた建物の全部の取り壊しを行ったこと
  • 相続開始があった日から3年が経過した年の12/31までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売った建物や敷地について、他の特例の適用を受けていないこと
  • 同じ被相続人から相続や以蔵で取得した被相続人の住んでいた建物やその敷地について、この特例の適用を受けていないこと
  • 買い手が親子や夫婦など特別の関係がある人でないこと

(参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

固定資産の交換の特例

固定資産の交換の特例とは、土地と土地、建物と建物のように、同じ種類の固定資産同士を交換した際には譲渡がなかったものとする特例です。譲渡がなかったものとされることで、譲渡所得税の課税を避けることができます。

ただし、交換する固定資産に金銭的差額が生じるなどして、交換差金を受け取った場合は、交換差金が譲渡所得に該当するため、所得税が課税される点に注意してください。

共有持分にかかる税金を滞納したら最悪の場合は共有者の財産が差し押さえられる

共有持分にかかる税金を滞納したら、延滞税が加算されます。延滞税率は、以下の表のとおり、納付期限の翌日から1ヶ月をすぎると延滞税の税率が高くなるため注意が必要です。

納付の遅れた期間 延滞税率
納付期限から2ヶ月以内 年「7.3パーセント」と「延滞税特例基準割合(注2)+1パーセント」のいずれか低い割合
納付期限から2ヶ月超 年「14.6パーセント」と「延滞税特例基準割合+7.3パーセント」のいずれか低い割合

(参考:No.9205 延滞税について|国税庁

また、税金を滞納すると納税を求める督促状が送られます。納付期限の20日後までに発送されることがほとんどです。督促状が送られても納税されない場合、電話や文書、訪問による督促がされるほか、差し押さえをするための財産・人物の調査が行われます。

そして、数度にわたる督促でも納税をしなければ、差し押さえになります。滞納者が所有している土地や建物などの不動産や金融資産などが差し押さえの対象です。差し押さえられた財産は公売にかけられて未払い分の納税に充てられます。

共有持分の固定資産税・都市計画税・不動産取得税を払わない共有者がいる場合の対処法

共有持分の固定資産税・都市計画税・不動産取得税は、連帯納税義務が課せられています。連帯納税義務とは、他の共有者が税金を納めていない場合、他の共有者にも連帯責任として納税の義務が課せられる制度のことです。連帯納税義務が課せられている税金を滞納している人がいたら、自分の負担分の納税が完了していても、最終的には差し押さえの対象になってしまいます。そのため、もし他の共有者が税金を納めていない場合は、税金を肩代わりしなければなりません。肩代わりした分は、後から求償して支払わせることになるでしょう。

詳しい対処法は以下の記事で解説していますので、あわせてお読みください。

まとめ

共有持分にかかる税金には多くの種類があります。各税金がかかる場面や納税対象者を理解しておくことは、共有持分を所有する上で必要なことだと言えます。しかし、各税金の計算方法や納付方法、適用できる軽減措置などの細かい情報まですべてを把握しておくことは難しいでしょう。そのため、本記事をブックマークするなどして、いつでも見返せる状態にしておくことをおすすめします。特に、適用できる軽減措置には細かなルールが多く設けられているため、税金を支払う際にその都度チェックするようにしてみてください。

後半で解説したように、税金を滞納すると最悪の場合、差し押さえの対象となります。連帯納税義務が課せられている場合、自身の負担分をきちんと納税していても他人が納税していなければ差し押さえの対象になることもあるため、必ず共有者の納税状況を把握しておくようにしましょう。

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