共有持分の売却相場を知りたい!査定ポイントや業者も選び方も解説
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共有持分とは、不動産を複数人で所有している際の所有権割合のことです。
不動産の共有持分を所有しているものの、「使い道が少ない」「他の共有者とのトラブルを防ぎたい」などの理由で自分の持分を売却したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
結論から述べると、買い手さえ見つかれば自分が所有している持分は他の共有者の同意を得ることなく第三者に売却できます。
共有持分の買取価格は、建物の状態や共有者の人数、住宅ローンや居住者の有無などに基づいて総合的に判断されます。
そのため共有持分の明確な売却相場はありませんが、持分のみでは用途が制限される上に他の共有者とトラブルになる恐れがあるため、市場価格よりも安くなることが多いです。
なお、共有持分を投資家などの第三者に売却しようとすると交渉に時間がかかるため、共有持分専門の買取業者に依頼するのがおすすめです。
本記事では、共有持分の売却相場の計算方法や、査定のポイント、高く売却するための方法などについて詳しく解説します。共有持分の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
共有持分の売却相場が市場価格よりも安くなりやすい理由
共有持分は、購入しても自由に活用できないことから、市場価格よりも安くなるケースが多いです。
また、共有者とトラブルに発展する恐れがあることも、共有持分の売却相場が安くなる理由の1つに挙げられます。
次の項目から、共有持分の売却相場が市場価格よりも安くなりやすい理由について詳しく見ていきましょう。
共有持分を購入しても自由に活用できない
共有持分を購入しても自由な活用が難しいことから、一般の購入層には敬遠されやすく、売却相場は安くなりがちです。
共有持分の不動産を活用するためには、使用方法に応じて共有者から同意を得る必要があります。使用方法ごとに必要な共有者数と使用例は以下のとおりです。
使用方法 | 必要な共有者数 | 使用例 |
---|---|---|
変更行為 処分行為 |
共有者全員の同意 | 売却・建て替え・解体・登記申請など |
管理行為 | 共有者の過半数(共有持分価格の過半数)の同意 | 賃貸借契約・賃料改定・大規模修繕など |
保存行為 | 共有者単独 | 修繕・法定相続・不法占拠者に対する明け渡し請求など |
不動産の性質そのものを変える「変更行為」や「処分行為」を実行するためには、共有者全員からの同意が必要です。
たとえば「建物が古くなっているからリフォームしたい」という提案を出したとします。リフォームは変更行為に該当するため、共有者のうち1人でも反対する人がいればリフォームの実行はできません。
「管理行為」は不動産を保管して経済的に役立てる行為で、こちらは共有者の過半数から同意を得られれば実行が可能です。賃貸借契約や賃料改定の同意、経年劣化を防ぐ目的の大規模修繕などが該当します。
「保存行為」は不動産を保存して現状維持するための行為です。不動産の価値を維持するための行為なので、共有者単独で実行できます。
このように、共有持分を購入しても自由に活用ができないことから、需要が低く、売却相場は安くなりやすいのが現状です。
さらに、共有持分を後から購入すると新たに共有者として加わることになるため、既存の共有者よりも立場が低くなる可能性があります。
既存の共有者を納得させて不動産を活用するためには、時間と労力をかけて信頼関係を築かなければなりません。
仮に時間をかけて共有者から同意を得て不動産を活用したとしても、労力と対価が見合わない可能性もあります。
このように、共有持分はハイリスクな部分が多い上にリターンを見出しづらいことから、市場価格と同等の金額で買い取りをしてくれる人はほぼ存在しません。
他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性がある
共有持分を購入すると、他の共有者とのトラブルに巻き込まれる恐れがあります。具体的なトラブルの事例は以下のとおりです。
- 不動産の管理や変更についての意見が一致しない
- 維持管理費や固定資産税を誰がどの程度負担するのかで揉める
- 共有者と連絡先が取れなくなる
先述したとおり、共有持分の不動産を売却したり建て替えたりなど、変更行為や処分行為をするためには共有者全員の同意が必要です。そのため、不動産を活用したくても全員の意見が一致せず、トラブルに発展するケースがあります。
不動産を所有すると維持管理費や固定資産税の支払いが必要になるのですが、誰がどの程度の費用負担するのかでトラブルになることも少なくありません。
また、共有者と連絡が取れなくなり、話し合いを進められないというトラブルも考えられます。
共有者と連絡が取れなくなったときは家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があるのですが、手続きには多大な時間と労力が必要です。
このように、共有持分を所有するとトラブルに巻き込まれ、利益を全く得られないという結果に終わってしまうこともあります。
共有持分には対価に見合わないリスクが付きまとうため、単独名義の不動産よりも価値が低くなるのは当然といえるでしょう。
共有持分の売却価格の査定ポイント
共有持分を売却する際には、不動産業者などに依頼して売却価格を査定してもらう必要があります。共有持分の主な査定ポイントは以下のとおりです。
- 物件の立地条件
- 築年数・構造など建物の条件
- 持分の割合・共有者の人数
- 不動産の居住者の有無
- 建物のみ所有か土地・建物両方所有か
- 住宅ローン残債の有無
- 隣地との境界標の有無
それぞれの査定ポイントについて、詳しく解説します。
物件の立地条件
物件の立地条件は、どのような不動産においても重要視されるポイントのひとつです。
築年数や間取りが同じ物件だとしても、利便性の高い都心と人口の少ない地方とでは、査定価格が全く異なります。
また、洪水や土砂災害、津波など災害リスクの高い地域は、査定評価が低くなる傾向にあります。
他には、交通アクセスの環境が整備されているかどうかも評価されるポイントです。駅やバス停までの距離が近い物件の方が利便性が良いことから、査定評価も高くなります。
上記は単独名義の不動産でも査定に影響を与えますが、共有持分はリスクが高いため、立地条件が通常よりも重要視されます。
築年数・構造など建物の条件
築年数や構造など、建物の条件も査定において考慮されます。具体的な評価のポイントは以下のとおりです。
建物の条件 | 評価 |
---|---|
築年数 | 築年数が新しい方が査定評価が高くなりやすい |
構造 | 鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造の順に査定評価が高くなりやすい |
面積 | 土地面積・建物面積が大きいほど査定評価が高くなりやすい |
間取り | 3LDKや4LDKなど住みやすい間取りは査定評価が高くなりやすい |
基本的に、建物の築年数は新しい方が査定評価が高くなりやすいです。
築年数が古くリフォームもされていない物件は、建物価格を抜きにし、土地のみで評価されるケースもあります。
構造については、耐用年数の長さから鉄筋コンクリート造が最も評価される傾向にあります。
面積は、一般的に大きいほど査定評価が高くなります。ただし、面積が広くても土地が三角形や台形など不整形地である場合、使いにくさから査定にマイナスの影響を与えてしまうかもしれません。
間取りについては、3LDKや4LDKなどファミリー世帯で住みやすいタイプが人気であることから、査定評価も高くなりやすいです。
持分の割合・共有者の人数
共有持分の不動産を査定する際には、持分の割合や共有者の人数なども査定に影響を与えます。
たとえば市場価格が8,000万円の共有物件を2人で共有している場合、1人あたりの持分割合は1/2になります。
一方、共有者が10人いる場合は持分割合が1/10になるため、買取価格も必然的に下がってしまいます。
必ずしも共有者全員が均等な持分割合とは限りませんが、基本的には共有者の人数が少ない方が持分割合は多くなるものです。
また、共有者の人数が多いと交渉に割く時間と労力が膨らみやすいことから、買取価格が安くなる傾向にあります。
もしも共有者が10人いる場合、不動産を活用する際には残り9人に同意を得なければなりません。一方、共有者が2人であれば1人から同意を得るだけで済むので、交渉の手間が少なくなります。
基本的に、共有者の人数が多いほど査定額は安くなるものと認識しておきましょう。
共有者の人数が多く1人あたりの持分の割合が少ない場合の対策として、他の共有者と共同で持分を売却する方法がおすすめです。売却する持分の割合が多くなるほど共有者の人数も少なくなるため、査定評価がアップする傾向にあります。
共有持分を売りたいと考えている共有者に声をかけ、少しでも多くの持分をまとめて売却してください。
不動産の居住者の有無
相続などで共有不動産を引き継いだ場合、親族が居住しているというケースが多くみられます。
共有不動産に居住者がいると、売却やリフォームなど不動産の活用ができません。不動産を活用するためには立ち退き交渉の必要が生じることから、買取価格が安くなる傾向にあります。
もしも居住者が立ち退き交渉に応じない場合、共有物分割請求で決着をつけなければなりません。
共有物分割請求は、共有状態の解消を求めることです。相手と話し合いの余地がありそうなら調停、話し合いが難しく早期解決をしたい場合は訴訟を起こし、共有状態の解消を目指します。
共有物分割請求が認められた場合は、主に以下のような方法で共有状態が解消されます。
方法 | 概要 |
---|---|
価格賠償 | 居住者の単独所有とする代わりに、訴訟を提起した共有者に対価として金銭を支払う方法 |
現物分割 | 土地を切り分けてそれぞれの単独所有とする方法 |
換価分割 | 不動産を競売にかけて売却し、共有者同士で対価を分け合う方法 |
建物に居住者がいる場合、現物分割の方法を取るのは難しいため、価格賠償か換価分割のいずれかの判決になる可能性が高いでしょう。
立ち退き交渉に応じてもらうことが難しそうなときは、共有物分割請求を視野に入れてみてください。
建物のみ所有か土地・建物両方所有か
土地と建物の両方の共有持分を所有していれば、活用の幅が広がることから買取価格が高くなる傾向にあります。
反対に、共有持分が土地か建物のどちらかだけの場合、土地や物件を自由に扱えないことから、買取価格が安くなりやすいです。
たとえば、土地はAとB、建物はCとDが相続で引き継ぎ、1/2ずつの持分割合でそれぞれ所有しているとします。仮にAが土地の共有持分を売却しても、建物は他人名義になっているため、土地の扱いが非常に難しくなります。
土地や建物のみの共有持分でも売却自体は可能ですが、扱いの難しさから買い手がつかないケースも多いです。売却先が見つかったとしても、相場よりも買取価格が低くなりやすいでしょう。
買取価格を上げるためには、他の共有者から持分を買い取ったり、他の共有者と共同で持分を売却したりなどの対策が必要です。
土地と建物の両方の持分が揃っていれば売却先も見つかりやすくなるので、売却を検討している共有者がいるかどうか探してみてください。
住宅ローン残債の有無
住宅ローン残債のある共有持分を売却する際には、「抵当権抹消費用」が売却価格から差し引かれるため、通常よりも買取価格が安くなります。
抵当権とは、住宅ローンを利用して不動産を購入するときに、金融機関が土地や建物を担保にする権利のことです。
抵当権付きの不動産を売却する方法は以下の2通りです。
- 住宅ローンを完済して抵当権を抹消する
- 金融機関に抵当権設定を解除してもらい、第三者に任意売却をする
住宅ローンの完済が難しい場合、金融機関と交渉して抵当権設定の解除をしてもらい、任意売却の許可を得る必要があります。
このように、住宅ローン残債があると手続きが複雑化するため、買取価格にもマイナスの影響を与える可能性が非常に高いです。
すぐにでも共有持分を売りたい場合は任意売却がおすすめですが、急ぎでない場合、住宅ローンを完済してから持分を売却することも検討してみてください。
隣地との境界標の有無
親世代から代々受け継がれてきた古い土地は、隣地との境界標がはっきりしていないというケースがあります。
土地の境界が不明瞭なままで土地を売却すると、境界標の位置を巡ってトラブルに発展する可能性があります。協議がまとまらなければ、訴訟にまで発展してしまうかもしれません。
このようなリスクを抱えていることから、隣地との境界標がない不動産は買取価格が安くなりやすいです。
境界標がない場合の対策として、土地家屋調査士や測量士等に依頼して隣地との境界線を確定させる方法があります。しかし、境界線を確定するための費用は自分で支払わなければなりません。
費用負担が気になる場合は、まず不動産買取業者に相談してみましょう。
不動産買取業者であれば境界線の確認が依頼内容に含まれていることも多く、余計なコストをかけずに済む可能性があるからです。
共有持分専門の買取業者への売却がおすすめな理由
共有持分を売却する際は、共有持分専門の買取業者への依頼が最もおすすめです。
他の共有者や不動産投資家などに売却するという選択肢もありますが、共有持分は買い手が見つかりづらいため、売却に時間を要するケースが大半を占めています。
共有持分専門の買取業者に依頼すれば迅速な売却が可能な上、仲介手数料が不要で他の共有者に売却を契約していることが知られにくいというメリットがあります。
また、トラブルを抱えている物件でも買い取ってもらえる可能性があり、柔軟な売却が可能です。
次の項目から、共有持分専門の買取業者への売却がおすすめな理由について詳しく解説します。
素早く売却できる
仲介業者を通して買い手を探したり他の共有者に売却したりする場合は、交渉が難航するケースも多くみられます。
交渉がまとまらなければ売却の手続きも進められないため、共有持分を売却するまでに時間を要する可能性が非常に高いです。
また、共有持分は用途が制限されることから、一般層からの需要はほぼありません。
第三者に買い取ってもらう場合は不動産投資家や不動産業者などが候補になりますが、単独名義の不動産よりも買い手は見つかりにくいです。
そのため、仲介業者に売却先を探してもらっても、長期間にわたって買い手がつかないというケースも珍しくありません。
一方、共有持分専門の買取業者に依頼する場合、提示された売却価格に納得さえできれば、迅速な売却が可能です。
交渉や買い手探しなどの余計な手間を省けるため、共有持分をすぐにでも現金化したいときは、共有持分専門の買取業者に依頼しましょう。
仲介手数料が不要である
仲介業者に買い手を探してもらって第三者に共有持分を売却する場合は、仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限額は、不動産の売却価格によって異なります。売却価格ごとの仲介手数料の上限額と計算方法は以下のとおりです。
売却価格 | 仲介手数料 | 上限額の計算式 |
---|---|---|
200万円以下 | 売却価格の5%以内 | 売却価格×5% |
200万円以上、400万円以下 | 売却価格の4%以内 | 売却価格×4%+2万円 |
400万円以上 | 売却価格の3%以内 | 売買価格×3%+6万円 |
たとえば共有持分の売却価格が2,000万円の場合、「2,000万円×3%+6万円=66万円」が仲介手数料の上限額となります。
一方、買取業者に依頼すれば共有持分を直接買い取ってもらえるため、上記の仲介手数料はかかりません。余計な出費を抑えたい場合には、買取業者への依頼がおすすめです。
他の共有者に売却を計画していることが知られない
仲介業者に依頼して共有持分を売却する場合、買い手を探すためにインターネットや紙媒体などに広告を掲載することになります。
もしも他の共有者に広告が見つかると、共有持分の売却を計画していることを知られてしまい、トラブルに発展する可能性があります。
たとえば「なぜ勝手に売却しようとしているのか」と問い詰められたり、「自分に売却して欲しい」と強く頼まれたりなどです。
一方、買取業者に売却すれば一般向けの広告掲載はないので、他の共有者に売却を計画していることが知られることはありません。
誰にも知られず共有持分を売却したい場合や、他の共有者とのトラブルを避けたい場合は、買取業者への依頼を検討してみてください。
既にトラブルを抱えた共有持分も買い取ってもらえる可能性がある
共有不動産は共有者同士で揉め事になるケースが多く、トラブルを抱えていることが原因で買い手が見つからないというケースも少なくありません。
上記のような背景から、共有持分専門の買取業者の中には弁護士などの専門家と連携し、トラブルに備えている業者も存在します。
トラブルに対するノウハウが豊富であることから、すでに問題を抱えている共有持分でも買い取ってもらえる可能性が高いです。
共有持分を買取業者に売却すれば共有名義から抜け出せるため、トラブルに巻き込まれることもなくなります。
共有持分を巡って揉め事が起きてしまった場合は、買取業者に依頼してトラブルの渦中から抜け出しましょう。
共有持分を少しでも高く売却するためのポイント4つ
共有持分を少しでも高く売却するためのポイントは、以下の4つです。
- 他の共有者との権利関係をクリアにしておく
- 他の共有者との関係を良好にしておく
- 他の共有者と協力して売却する持分割合を増やしておく
- 複数の買取業者に査定を依頼する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
他の共有者との権利関係をクリアにしておく
共有持分を売却する際には、「共有者が誰なのか」「共有者それぞれの持分割合はどの程度なのか」をクリアにしておく必要があります。
権利関係が複雑化しており、共有者や持分割合が不明瞭な場合、買取を避けられる場合があるからです。
たとえば親が購入した不動産を子供2人で相続した場合、共有者や持分割合が明確なので、買取価格が下げられることはありません。
一方、相続が何世代かにわたって発生しており、共有者の人数が増えていると、共有者が誰なのかが不明瞭になります。
共有者を明確化するためにはコストが発生するため、買取価格から差し引かれるか、そもそも買取を断られる可能性が高いです。
共有持分の買取価格を下げたくない場合は、司法書士などの専門家に依頼し、事前に権利関係をクリアにしておくことが大切です。
他の共有者との関係を良好にしておく
他の共有者との関係を良好にしておくことも、共有持分を高く売却するために重要なポイントです。
すでに他の共有者とトラブルに発展しており関係が悪い場合、共有持分を買い取った後の労力が予測されるため、買取価格が相場よりも低くなる傾向にあります。
一方、他の共有者と良好な関係を築いておけば、買い取り後のトラブルを避けられ、活用方法の交渉などもスムーズに進みます。
上記のことから、他の共有者との関係が良好であるほど、高値で買い取ってもらえる可能性が高いです。
他の共有者と協力して売却する持分割合を増やしておく
共有持分は扱いが難しいため、他の共有者の中にも売却を検討している人がいる可能性があります。
他の共有者と協力して共有持分の売却をすれば、1人で売却するよりも持分割合が増えるため、市場相場に近い価格で売却できる可能性が高くなります。
なお、他の共有者と協力して共有持分を売却する方法は以下の2通りです。
- 他の共有者から共有持分を買い取った後に売却する
- 他の共有者と一緒に共有持分を売却する
他の共有者から共有持分を買い取った後に売却する方法であれば、業者との交渉次第で買取価格よりも高値が付く可能性があります。
しかし、共有持分の売却で利益が出たことを他の共有者に知られると、トラブルに発展してしまうかもしれません。
他の共有者との関係性を悪化させたくない場合は、一緒に共有持分を売却する方法がおすすめです。
複数の買取業者に査定を依頼する
共有持分専門の買取業者で売却する際には、複数の業者に査定を依頼し、高く買い取ってくれる業者を探しましょう。
1社だけで見積もりを取っても適正価格かどうかの判断は難しいですが、複数の業者に査定を依頼すれば、簡単に買取価格を比較できます。
また、買取業者に「他の業者にも査定依頼をしている」という旨を伝えることにより、買取金額を上乗せしてもらえるケースもあります。
少しでも共有持分を高く売りたい場合は、複数の買取業者に査定依頼をし、買取価格を比較してみてください。
信頼できる共有持分専門の買取業者を探すコツ
共有持分専門の買取業者を探す際には、以下のポイントを重点的にチェックしましょう。
- 買取実績
- 弁護士との連携の有無
- 営業マンの対応
信頼できる共有持分専門の買取業者を探すコツについて、それぞれ詳しく解説します。
実績を確認する
共有持分は取り扱いが難しいため、買取実績が豊富かどうかは重要なチェックポイントです。
買取実績が豊富な業者であれば、共有持分を収益化するノウハウや他の共有者との交渉に長けているため、不動産の価値を正しく査定してもらえます。
反対に買取実績が不足している業者に依頼すると、共有持分の価値を低く見積もられ、安値を提示されてしまう可能性があります。
なお、買取業者を探す際は共有持分の買取実績だけでなく、相続物件の買取実績もあわせて確認してみましょう。
共有持分を所持している方の中には「共有持分を相続してしまったが、取り扱いに困っており手放したい」という方が多くいるからです。
相続物件の取り扱いが豊富な業者は、共有持分の買取実績の取り扱いにも慣れている可能性が高いです。
そのため、買取業者を探す際には、公式サイトなどで共有持分や相続の買取実績を必ずチェックしましょう。
弁護士と連携しているかを確認する
共有持分専門の買取業者の中には、弁護士と連携して業務を進めている業者も存在します。
弁護士と連携している買取業者は、他の共有者とのトラブルや複雑な事情がある不動産についても、法的知識で円滑に対応できます。
そのため、弁護士と連携していない業者より、共有持分を高値で買い取りしてくれる可能性が高いです。
特に相続や離婚などでトラブルを抱えている共有持分を売却する場合、弁護士と連携しているかどうかの確認は必須です。
無料相談などで営業マンの対応を確認する
買取業者の中には、詐欺などをしている悪徳な業者も存在するため、査定価格だけで安易に業者を選ぶのは危険です。
たとえば見積もりの際には高額査定を出したにもかかわらず、売却の直前になって大幅に値下げをされるなどの被害に遭う恐れがあります。
また、共有持分が悪徳業者の手に渡ることになるため、他の共有者にも迷惑をかけてしまうかもしれません。
悪徳業者を見極めるためには、無料相談の際に営業マンの対応を確認してみましょう。主なチェックポイントは以下のとおりです。
- 営業マンが親身に相談にのってくれるか
- 査定額の提示などに明確な根拠があるか
- 不利益なことでもはっきり回答してくれるか
他社よりも買取価格が高い場合は、査定の根拠を尋ねてみましょう。明確な根拠をはっきりと提示してくれれば、信頼できる業者である可能性が高いです。
悪徳業者に騙されないためにも、複数の業者に無料相談をしてみて営業マンの対応をしっかりとチェックしてください。
共有持分を買取業者に売却する流れ
共有持分を買取業者に売却する際の流れは以下のとおりです。
- 査定依頼を出す
- 売買契約を結ぶ
- 決済後に所有権移転登記をする
- 確定申告をする
売却の流れを詳しく解説していくので、共有持分の売却を検討している方はぜひチェックしてください。
査定依頼を出す
まずは複数の買取業者に査定依頼を出し、見積もりや営業マンの対応などを比較してみましょう。
依頼する業者が確定したら、以下の書類を用意します。
- 権利証または登記識別情報
- 身分証明書
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)
- 実印
- 固定資産税評価額証明書
- 土地測量図と境界確認書(土地を売却する場合)
- 住民票(現住所が登記簿上と異なる場合)
- 委任状(代理人に委任する場合)
権利証または登記識別情報は、共有持分を取得する際に法務局から発行されています。もしも紛失してしまった場合は代わりの方法を提案してもらえるため、買取業者に相談してみてください。
固定資産税評価額証明書は役所の窓口やコンビニなどで発行が可能です。
売買契約を結ぶ
買取業者から提示された買取条件や重要事項などを確認して納得できたら、売買契約に進みましょう。
不動産の売買を行う際には、宅地建物取引業法によって「不動産売買契約書」の作成が義務付けられています。
売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、後々のトラブルを防止する役割を担っています。
契約書の内容を確認し、問題がなければ署名押印をして売買契約を成立させましょう。
決済後に所有権移転登記をする
売買契約の成立後、契約内容に従って買取業者から入金があります。入金が確認できたら所有権移転登記の手続きを進めていきましょう。
所有権移転登記は、共有持分の所有権を売主から買主に移すための手続きのことです。
買取業者に依頼する場合、所有権移転登記は業者が主体となって進めてくれるため、指示された通りに手続きをすれば問題ありません。
以上で買取業者とのやり取りは完了となります。
確定申告をする
共有持分を売却すると、確定申告をして譲渡所得税を支払う必要があります。確定申告の期間は売却した翌年の2月16日〜3月15日までなので、忘れないようにしましょう。
共有持分の譲渡所得税を計算する際には、まず課税所得金額の計算が必要です。
譲渡所得金額は、不動産を売却して得た譲渡益のことです。以下の計算式で算出できます。
自分が住んでいる土地や建物の共有持分を売却する場合、最大3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります。特別控除が適用されれば税金の支払いがなくなるケースもあるので、該当するかどうか必ず確認しましょう。
譲渡所得金額が算出できたら、次に税率をかけて譲渡所得税額を算出します。税率は不動産の所有期間に応じて異なります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年超 | 15.315% | 5% |
5年以下 | 30.63% | 9% |
不動産の所有期間が5年を超える場合は20.315%、5年以下の場合は39.63%の税率をかけて計算してみてください。
確定申告をして譲渡所得税の支払いが完了したら、共有持分の売却に関するすべての手続きは完了です。
まとめ
共有持分の買取価格は、物件や共有者の状況などから総合的に判断されるため、明確な売却相場はありません。
自由に活用することが難しく、他の共有者とトラブルに発展するリスクがあることから、市場相場よりも査定額は安くなりやすいです。
すぐにでも共有持分を売却したい場合は、共有持分専門の買取業者への依頼がおすすめです。
買取業者は共有持分の取り扱いに慣れているため、すでにトラブルを抱えている不動産でも買い取ってもらえる可能性があります。
共有持分の扱いに困っている方は、ぜひ買取業者への依頼を検討してみてください。