共有物分割請求訴訟とは?流れ・期間・弁護士費用・訴訟以外の解決策まで解説

共有物分割請求訴訟とは、共有者同士で不動産の分け方を話し合っても合意できない場合や、話し合い自体ができない場合に、裁判所へ共有状態の解消を求める訴訟です。共有者であれば持分割合の大小にかかわらず分割を請求できるのが原則で、訴訟前に必ず調停を行わなければならない手続きでもありません。
判決まで進んだ場合、裁判所は主に「現物分割」「価格賠償」「競売」のいずれかの方法で共有状態の解消を図ります。
ただし、訴訟を起こした人が希望する方法がそのまま採用されるとは限りません。たとえば「不動産を売って現金化したい」と考えていても必ず競売になるわけではなく、反対に不動産を残したい共有者がいても、条件によっては競売が命じられる可能性があります。
判決や和解によって解決するまでには、おおよそ半年~1年以上かかるのが一般的です。争点が多い場合や控訴審にもつれ込んだ場合には、2年以上かかるケースも実務上珍しくありません。
また、弁護士費用などを含めて50万~150万円程度の費用がかかる可能性があるうえに、解消後も他の共有者との軋轢が残るリスクにも注意する必要があります。
そのため、実務的には共有物分割請求訴訟は、共有状態を解消できない時の最終手段と認識しておくことが大切です。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、訴訟を提起するかを慎重に判断しましょう。
この記事では、共有物分割請求訴訟が行われる事例や訴訟の流れ、費用などについて、共有名義関係の実務に携わってきた弊社が、実例を交えながら詳しく解説します。
なお、訴訟には時間と費用、そして精神的な負担がかかります。「できることなら裁判沙汰は避けたい」「費用をかけずに早く共有関係から抜け出したい」とお考えの場合は、ご自身の共有持分だけを売却してしまうという選択肢もあります。
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共有物分割請求訴訟とは?協議で解決できない共有状態を裁判で解消する手続き

共有物分割請求訴訟は、共有者同士の協議で共有状態を解消できない場合、または協議そのものができない場合に、裁判所へ共有物の分割を求める手続きです。
不動産の共有とは、1つの不動産に対して複数の人が所有権を持つ状態を指します。不動産が共有状態のままでは、固定資産税や修繕費などの費用負担、誰が利用するか、不動産全体を売却するかといった点で意見が食い違うことがあります。
共有物分割請求訴訟は民法第258条で定められており、共有者間で協議がまとまらないときだけでなく、協議をすることができないときにも裁判所へ分割を請求できます。
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
裁判所は、現物分割や、一部の共有者に他の共有者の持分を取得させる価格賠償によって分割を命じることができます。また、これらの方法で分割できない場合や、分割によって共有物の価格が著しく下がるおそれがある場合には、競売を命じることができます。
共有物分割請求と共有物分割請求訴訟の違い

共有物分割請求は、共有者が他の共有者に対して共有物の分割を求める権利です。民法第256条では、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」と定められています。
一方、共有物分割請求訴訟は、共有者間で分割方法の協議がまとまらない、または協議ができない場合に、裁判所へ分割方法の判断を求める手続きです。
つまり、まず当事者間で共有状態の解消を目指し、それでも解決できないときに訴訟へ進むのが基本的な関係です。ただし、他の共有者と連絡が取れないなど協議そのものができない場合も、民法第258条により裁判所へ分割を請求できます。
なお、民法第256条では5年を超えない期間について分割しない旨の契約を認めています。共有者であればいつでも無条件に訴訟できる、というわけではない点には注意が必要です。
共有物分割請求訴訟で解決できること・できないこと
共有物分割請求訴訟の目的は、共有状態そのものを解消することです。裁判所は共有物の性質や利用状況、共有者の事情などを踏まえ、現物分割・価格賠償・競売などの方法を判断します。
一方、「不動産を使用している共有者を退去させたい」「自分の希望する価格で相手に持分を買い取らせたい」といった目的が、そのまま共有物分割請求訴訟で実現できるとは限りません。
たとえば、他の共有者が不動産全体の任意売却に反対している場合でも、訴訟の結果として競売が命じられる可能性はあります。しかし、原告が他の共有者の意思にかかわらず任意売却を一方的に実現できるわけではありません。
共有物分割請求訴訟を検討するときは、「誰かを退去させたい」「売却したい」という目先の希望だけでなく、最終的に共有不動産全体をどうしたいのかを整理しておくことが大切です。
共有物分割請求訴訟に発展しやすいケース
共有物分割請求訴訟を検討することになる代表的なケースは、共有不動産の売却・取得・利用・分割方法について共有者同士で合意できず、協議でも解決できない場合です。
相続や離婚は共有不動産が生じるきっかけにはなりますが、それ自体が訴訟の原因になるわけではありません。重要なのは、共有になった後に「不動産をどうするか」で意見がまとまらないことです。
- 共有不動産を売却したいが、他の共有者が同意しない
- 不動産を誰が取得するか、利用を続けるかで意見が対立している
- 他の共有者が話し合いを拒否している、または連絡が取れない
- 相続によって親族の共有となり、売却・取得・利用方法で意見がまとまらない
- 離婚後も元夫婦の共有名義が残り、処分方法で合意できない
共有不動産を売却したいが、他の共有者が同意しない

共有不動産全体を任意売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、自分は売却して現金化したくても、他の共有者が反対していると不動産全体を自由に売却できません。
話し合いで売却・買取などの方法に合意できない場合、共有物分割請求訴訟によって共有状態そのものの解消を求めることが選択肢になります。ただし、訴訟を起こせば必ず競売になるわけではなく、裁判所が現物分割・価格賠償・競売の中から判断します。
不動産を誰が取得するか、利用を続けるかで意見が対立している

1人が住み続けたい一方で、別の共有者が売却や代償金の受け取りを希望している場合も、共有状態の解消方法をめぐって対立しやすくなります。
共有者は持分を有する限り共有物を使用できる立場にあるため、共有物分割請求訴訟を起こせば、居住している共有者を直ちに退去させられるわけではありません。訴訟で問題になるのは、誰かを追い出すことではなく、共有不動産を最終的にどの方法で分けるかです。
他の共有者が話し合いを拒否している、または連絡が取れない

共有物分割請求訴訟は、協議がまとまらない場合だけでなく、協議そのものができない場合にも利用できます。
たとえば、売却や分割について連絡しても返答がない、話し合い自体を拒否されているといったケースです。協議できる状況なら、メールやLINE、内容証明郵便など、後から経緯を確認できる方法で記録を残しておくとよいでしょう。
なお、共有者の所在自体が分からない場合には、共有物分割請求訴訟のほか「所在等不明共有者の持分取得」などを利用できるケースもあります。
相続によって親族の共有となり、売却・取得・利用方法で意見がまとまらない

相続は共有不動産が生じる代表的なきっかけですが、「相続したから共有物分割請求訴訟になる」わけではありません。
たとえば、遺産分割後に兄弟で不動産を共有し、一方は全体を売却したいが、もう一方は住み続けたいと考えている場合などです。共有状態をどう解消するかについて協議しても合意できなければ、共有物分割請求訴訟を検討することになります。
離婚後も元夫婦の共有名義が残り、処分方法で合意できない

離婚後もマイホームが元夫婦の共有名義のまま残り、「どちらが取得するか」「売却するか」で合意できない場合もあります。
一方が住み続けたい、もう一方は売却して関係を整理したいといった対立が続く場合は、共有物分割請求訴訟による共有解消が選択肢になります。
ただし、共有物分割請求訴訟で所有権の共有状態を解消しても、金融機関との住宅ローン契約上の債務が当然になくなるわけではありません。所有権と住宅ローン債務は分けて確認する必要があります。
共有物分割請求訴訟を起こせる条件と注意点|持分が少なくても請求できる
共有者であれば、持分割合の大小にかかわらず共有物の分割を請求できるのが原則です。ただし、裁判による分割を求めるには「協議が調わない」または「協議をすることができない」ことが前提となり、分割禁止の合意や遺産共有などの例外にも注意が必要です。
協議がまとまらない、または協議できないことが前提
民法第258条では、共有者間で分割の協議がまとまらないとき、または協議をすることができないときに、裁判所へ共有物の分割を請求できると定めています。
そのため、他の共有者が売却や分割に反対している、希望する分割方法が対立している、連絡をしても返答がないといった事情がある場合に訴訟が検討されます。
協議ができる場合は、対面・電話だけでなく、メールやWeb会議、郵便などでも構いません。後から経緯を確認できるよう、メールやLINE、内容証明郵便など記録が残る方法を利用しておくとよいでしょう。
共有物分割調停は必須ではない
共有物の分割については、訴訟前に民事調停を利用して、裁判所の調停委員を交えながら話し合うこともできます。
ただし、共有物分割請求訴訟は、離婚など一部の家事事件のように必ず調停を先に行わなければならない手続きではありません。共有者間で協議がまとまらない、または協議できない事情があれば、調停を経ずに訴訟を提起することも可能です。
関係性をできるだけ悪化させたくない場合や、判決ではなく柔軟な条件で解決したい場合は、訴訟前に弁護士を介した交渉や調停を検討する余地があります。
共有者全員を当事者にする必要がある
共有物分割請求訴訟では、原則として共有者全員を当事者にして手続きを進めます。
そのため、自分以外の共有者が複数いる場合には、当事者の確定や訴状の送達だけでも手続きが複雑になりやすくなります。相続登記が終わっていない、共有者が亡くなっている、所在が分からない共有者がいるといった場合には、訴訟に入る前の権利関係の確認に時間がかかることもあります。
5年以内の分割禁止特約がある場合などはすぐ請求できないことがある
民法第256条では、共有者は原則としていつでも共有物の分割を請求できる一方、「5年を超えない期間内は分割をしない」という契約を結ぶことも認めています。
このような分割禁止特約が有効に存在する場合は、原則どおりすぐに分割を請求できるとは限りません。
遺産分割前の相続不動産は原則として共有物分割請求訴訟を使わない
遺産分割前の相続財産について、共同相続人の間で共有状態を解消したい場合は、原則として共有物分割請求訴訟ではなく遺産分割手続きで解決します。
まず遺産分割協議を行い、合意できなければ家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てます。調停が不成立になった場合は、遺産分割審判へ移行し、裁判所が分割方法を判断します。
ただし、民法第258条の2では、相続開始から10年を経過した共有持分について、一定の場合に共有物分割を利用できる特則が設けられています。相続人から一定期間内に異議が申し出られた場合などは利用できないため、「10年経てば必ず共有物分割訴訟を利用できる」と考えるのは適切ではありません。
また、共同相続人が特定不動産の共有持分を第三者へ譲渡した場合など、通常の遺産共有とは異なる扱いになるケースもあります。
共有物分割請求訴訟の判決は「現物分割・価格賠償・競売」の3パターン
共有物分割請求訴訟で判決まで進んだ場合、裁判所は主に「現物分割」「価格賠償」「競売」の方法で共有状態の解消を図ります。
民法第258条では、まず現物分割と価格賠償が分割方法として規定されており、これらで分割できない場合や、分割によって価格が著しく減少するおそれがある場合に競売を命じることができるとされています。
◻︎自分が希望した分割方法になるとは限らない
共有物分割請求訴訟では、「自分が不動産を取得したい」「競売して現金化したい」と主張しても、その方法が必ず採用されるわけではありません。
裁判所は不動産の性質や利用状況、価格、各共有者の希望や事情などを踏まえて分割方法を判断します。
そのため、訴訟を起こす前に「希望する方法以外の判決が出た場合に受け入れられるか」まで考えておくことが大切です。
現物分割|土地などを物理的に分ける

現物分割は、土地を分筆するなどして共有物を物理的に分ける方法です。
たとえば、兄弟2人で100㎡の土地を1/2ずつ共有しており、一方は売却したい、もう一方は土地を使いたいと考えているとします。現物分割が可能であれば、土地を50㎡ずつに分筆し、それぞれが単独所有することで共有状態を解消できます。
ただし、すべての不動産を物理的に分けられるわけではありません。建物は構造上の理由から分割が難しいケースが多く、土地でも分筆後に接道義務を満たさなくなる、面積が狭くなり利用しにくくなる、インフラの配置上分割が難しいといった問題が生じることがあります。
また、物理的には分筆できても、分割によって土地の価値が著しく下がる場合には、現物分割が適さないと判断されることがあります。
価格賠償|1人が不動産を取得し、他共有者へ代償金を払う

価格賠償とは、一部の共有者が不動産や他共有者の持分を取得する代わりに、他の共有者へ金銭を支払う方法です。
代表的なのが「全面的価格賠償」です。たとえば、1,000万円の価値がある不動産をAとBが1/2ずつ共有しており、Aが不動産全体を取得する場合、AがBへ持分1/2相当の500万円を支払うという考え方です。
全面的価格賠償が認められるかは、支払能力だけで決まるわけではありません。最高裁平成8年10月31日判決では、共有物の性質・形状、共有者の人数や持分割合、利用状況、共有者の希望などを総合的に考慮し、取得させることが相当であることに加え、適正な価格評価や支払能力など、共有者間の実質的な公平が害されないことが求められると示されています。
不動産を取得したい場合は、希望を伝えるだけでなく、他共有者へ支払う代償金を準備できるか、不動産価格をどのように評価するかまで検討しておく必要があります。
また、現物分割をしたものの、それぞれが取得する部分の価値に差が生じる場合には、その差額を金銭で補う「一部価格賠償」が用いられることもあります。
競売|不動産を売却して代金を分ける

現物分割や価格賠償で分割できない場合や、それらの方法では共有物の価格が著しく下がるおそれがある場合、裁判所は競売を命じることができます。
競売による分割では、不動産を売却し、売却代金を各共有者の持分などに応じて分けます。
ここで注意したいのは、競売を命じる判決が確定しただけで不動産が自動的に売却されるわけではないことです。判決などで競売を命じられた場合は、その確定判決等をもとに、原則として不動産所在地を管轄する地方裁判所へ「形式的競売」を申し立てます。
裁判所の案内では、形式的競売の申立てには手数料、民事執行予納金、登録免許税などが必要とされています。
なお、裁判中に共有者同士が和解し、不動産全体を任意売却することで合意することも可能です。「競売による換価」と「全共有者の合意による任意売却」は別の方法として考えましょう。
共有物分割請求訴訟の流れ|協議から判決後の共有解消まで
共有物分割請求訴訟は、おおむね「協議→訴訟準備・提訴→訴状の送達・答弁→審理→和解または判決→必要に応じて控訴→判決内容に応じた手続き」という流れで進みます。
弁護士への相談は有力な選択肢ですが、弁護士への依頼自体が訴訟の必須条件ではありません。
- 共有者同士で共有物の分割を協議する
- 訴訟で何を実現したいか、希望する分割方法を整理する
- 必要書類をそろえて管轄裁判所へ提訴する
- 他の共有者へ訴状が送達され、被告が答弁する
- 分割方法・不動産価格などを審理する
- 和解または判決で分割方法が決まる
- 判決確定後に登記・代償金支払・形式的競売などを行う
1.共有者同士で共有物の分割を協議する
まず、話し合いができる状況であれば、共有者間で共有状態をどのように解消するか協議します。
選択肢としては、不動産全体を任意売却する、1人が他共有者の持分を買い取る、土地を分筆するなどがあります。
協議は対面や電話、メール、Web会議、郵便などで行えます。話し合いの経緯を後から確認できるよう、メールやLINE、内容証明郵便など記録が残る方法を利用しておくとよいでしょう。
なお、他共有者が協議を拒否している、所在が分からないなど協議ができない事情がある場合は、協議成立を目指して延々と連絡を続けなければ訴訟できないというわけではありません。
2.訴訟で何を実現したいか、希望する分割方法を整理する
訴訟を検討する段階では、「不動産全体を売却したい」「自分が不動産を取得したい」「自分の持分だけ手放して共有関係から抜けたい」など、最終目的を整理します。
たとえば、自分が不動産を取得したいなら価格賠償を見据えて資金を準備する必要があります。一方、自分だけ共有から抜けたいのであれば、訴訟より自己持分の売却の方が目的に直接つながるケースもあります。
弁護士へ依頼する場合は、この段階で希望や不動産の状況を伝え、訴訟だけでなく交渉・調停・和解の可能性も含めて方針を整理するとよいでしょう。
3.必要書類をそろえて管轄裁判所へ提訴する
方針が決まったら、訴状などを準備して管轄裁判所へ訴えを提起します。
一般的には、訴状のほか、不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書、必要に応じて公図・地積測量図・建物図面、共有者との協議経緯が分かる資料などを準備します。
実際に必要となる書類は、不動産の種類、共有者の人数、争点、裁判所の運用によって異なるため、提出前に弁護士や管轄裁判所へ確認してください。
また、「共有物分割請求訴訟は必ず地方裁判所へ出す」とは限りません。民事訴訟では訴額などによって簡易裁判所と地方裁判所の事物管轄が分かれるため、対象不動産や訴額、土地管轄を確認する必要があります。
なお、現在は本人でも裁判所のシステムを利用してオンラインで訴えを提起できます。提出方法や必要書類は管轄裁判所で確認してください。
4.他の共有者へ訴状が送達され、被告が答弁する
裁判所で訴状が受理されると、被告となる他の共有者へ訴状などが送達され、期日が指定されます。
被告は、原告の主張に対する認否や自分が希望する分割方法などを答弁書等で示します。
裁判所から書類が届いたにもかかわらず何も対応しないと、自分の反論や希望を十分に伝えられないまま手続きが進むおそれがあります。訴えられた側は、訴状の内容と提出期限・期日を確認し、放置しないことが重要です。
5.分割方法・不動産価格などを審理する
訴訟では、双方が希望する分割方法やその理由、不動産の利用状況、価格などについて主張・立証します。
価格賠償が争点になる場合などには、不動産業者の査定資料や不動産鑑定士の鑑定評価が検討されることがあります。
また、訴訟を提起したからといって必ず判決まで争う必要はありません。裁判の途中で共有者同士が合意できれば、裁判上の和解によって解決できます。
6.和解または判決で分割方法が決まる
和解が成立しなければ、裁判所が判決で分割方法を判断します。
判決に不服がある場合は、判決の送達を受けた日から2週間以内に上級裁判所へ控訴できます。一方、裁判上の和解が成立した場合、和解調書は確定判決と同一の効力を持ちます。
7.判決確定後に登記・代償金支払・形式的競売などを行う
判決が出たからといって、必ずその時点ですべての共有関係が実務上完了するわけではありません。判決内容に応じて、その後の手続きが必要です。
現物分割なら分筆や所有権登記、価格賠償なら代償金の支払いや登記、競売なら確定判決等をもとに形式的競売の申立てを進めます。
共有物分割請求訴訟の「流れ」を考えるときは、判決までではなく、実際に共有状態の解消が完了するところまでを見ておきましょう。
共有物分割請求訴訟にはどのくらいの期間がかかる?
共有物分割請求訴訟は、比較的シンプルな事案であれば半年〜1年程度が一つの実務上の目安です。ただし、不動産価格や分割方法で争いが大きい場合、鑑定や控訴が必要な場合は1年以上かかり、2年以上に及ぶケースもあります。
この期間は裁判所が公表している「共有物分割請求訴訟の平均期間」ではありません。共有物分割を扱う複数の法律事務所が公開している実務上の目安を整理したものです。
※上記は実務上の目安であり、個別の訴訟期間を保証するものではありません。
判決・和解までの期間は争点によって変わる
共有物分割請求訴訟の期間を左右しやすいのは、「共有状態を解消するか」よりも「どの方法で分けるか」「不動産をいくらと評価するか」という争点です。
たとえば、共有者全員が共有解消自体には異論がなく、価格や分割方法についても早い段階で折り合えれば、裁判上の和解によって判決を待たずに解決できる可能性があります。
一方、「自分が取得したい」「相手には取得させたくない」と分割方法が強く対立している場合や、不動産価格について双方の主張に大きな差がある場合は、審理が長くなりやすいです。
判決後に共有状態が解消するまで時間がかかる場合もある
期間を考えるときは、「判決が出るまで」と「実際に共有状態の解消が完了するまで」を分けて考える必要があります。
価格賠償なら代償金の支払いや所有権移転登記などが必要です。競売を命じる判決の場合は、判決確定後に形式的競売を申し立て、不動産の売却・代金の配当まで進めます。
そのため、「判決が出た=その日に共有関係がすべて終わる」というわけではありません。
長期化しやすいケース
次のような事情があると、訴訟から共有解消までの期間が長くなりやすくなります。
- 共有者が多く、当事者の確定や主張の整理に時間がかかる
- 不動産価格について争いがある
- 不動産鑑定が必要になる
- 誰が不動産を取得するかなど、希望する分割方法が大きく対立している
- 相続登記未了、共有者の死亡など権利関係が複雑
- 第一審判決に不服があり控訴する
訴訟を選ぶか迷っている場合は、期間だけを見るのではなく、長期化しても不動産全体の共有状態を解消したいのか、それとも自分だけ早く共有から離脱したいのかまで整理しておくと判断しやすくなります。
共有物分割請求訴訟の弁護士費用はいくら?訴訟費用・鑑定費用も含めて解説
共有物分割請求訴訟にかかる費用は、「弁護士費用」「裁判所へ納める費用」「必要に応じた不動産鑑定費用」「判決後の手続き費用」に分けて考えると分かりやすいです。特に弁護士費用は一律ではなく、法律事務所や解決方法によって大きく異なります。
そのため、「共有物分割請求訴訟の弁護士費用は40〜60万円程度」など、一つの金額を相場として考えるのは適切ではありません。
このように、着手金だけでなく成功報酬の計算方法や日当、追加費用まで異なるため、依頼前に総額の見積もりを確認する必要があります。
弁護士費用|相談料・着手金・成功報酬・日当・実費
弁護士費用を確認するときは、着手金だけでなく、解決時の成功報酬や期日日当まで含めて比較してください。
共有物分割請求では、成功報酬を「経済的利益」の何%と定める法律事務所もあります。しかし、何を経済的利益として計算するかは料金体系によって異なるため、パーセンテージだけを比較しても総額は判断できません。
複数の法律事務所へ相談する場合は、「着手時にいくら必要か」「成功報酬は何を基準に計算するか」「期日日当・控訴・追加請求がある場合はいくらか」まで確認すると比較しやすくなります。
裁判所へ納める費用|訴額に応じて申立手数料が決まる
訴訟を提起するときは、弁護士費用とは別に、訴訟の目的の価額(訴額)に応じた申立手数料を裁判所へ納めます。
共有物分割請求訴訟では、実務上、分割前の不動産について原告が持つ共有持分の価額の3分の1を基礎に訴額を算定します。土地については、固定資産評価額に2分の1を乗じた額を基準とする取扱いがあります。
たとえば、固定資産評価額3,000万円の土地を2人で1/2ずつ共有し、そのうち1人が原告になるケースでは、一般的な算定例は次のとおりです。
3,000万円 × 1/2(土地)× 1/2(原告の持分)× 1/3(共有物分割)=250万円
2026年5月21日以降に提起する新法適用の民事訴訟で、訴額が250万円、被告が1人の場合、裁判所の手数料早見表では「260万円まで」の欄を使用します。
参考:裁判所「手数料額早見表」
また、新法適用事件では被告が2人以上の場合、被告の人数から1を引いた数に2,000円を乗じた額が加算されます。
上記は計算方法を理解するための一例です。土地・建物の構成、原告の人数、持分割合などによって訴額は変わるため、実際に提訴するときは管轄裁判所や弁護士へ確認してください。
不動産鑑定費用|価格が争点になる場合に発生することがある
共有物分割請求訴訟では、必ず不動産鑑定士による鑑定が必要になるわけではありません。
不動産価格について当事者間で大きな争いがなく、不動産業者の査定資料などを基に協議・和解できる場合もあります。一方、価格賠償を希望する共有者と他共有者で不動産価格の認識が大きく異なる場合などは、鑑定が必要になることがあります。
鑑定費用は不動産の種類・規模・評価の難易度などによって変わるため、「20〜30万円」などと固定的に見込むのではなく、実際に鑑定が必要になった段階で確認しましょう。
競売になった場合は形式的競売の費用も別途かかる
競売を命じる判決が確定した場合は、訴訟とは別に形式的競売を申し立てるための費用が必要です。
裁判所の案内では、形式的競売の申立てには申立手数料4,000円のほか、民事執行予納金、差押登記のための登録免許税などが必要とされています。特に予納金は裁判所や物件によって異なります。
つまり、共有物分割請求訴訟の費用を考えるときは、「判決を得るまでの費用」だけでなく、「判決内容を実行して共有状態を解消するまでの費用」も確認する必要があります。
費用を見積もるときは4種類に分けて確認する
共有物分割請求訴訟の総額は、不動産価格や持分割合だけでは決まりません。次の4種類に分けて確認すると、自分のケースで追加費用が発生する可能性を把握しやすくなります。
- 弁護士費用:着手金・成功報酬・日当・実費など
- 裁判所費用:訴額に応じた申立手数料など
- 審理中の追加費用:不動産鑑定や控訴が必要になった場合の費用
- 判決後の費用:登記や形式的競売など、共有状態を実際に解消するための費用
弁護士へ相談する際は、不動産の評価額・持分割合・希望する分割方法・他共有者との対立点を伝えたうえで、どの費用が発生しそうかを確認しましょう。
弁護士に依頼するか判断するポイント
共有物分割請求訴訟は、弁護士へ依頼しなければ提起できない手続きではありません。
ただし、共有者が多い、相続関係が複雑、価格賠償を希望している、不動産価格が大きな争点になっている、訴えられた側でどのように主張すべきか分からない、といった場合は自分だけで進める負担が大きくなります。
また、弁護士へ相談することで、訴訟だけでなく、交渉・調停・裁判上の和解によって解決できる可能性も含めて検討できます。
共有物分割請求訴訟を起こされたら無視せず、希望する分割方法を主張する
裁判所から共有物分割請求訴訟の訴状が届いた場合は、放置せず内容を確認してください。
何も対応しないと、自分の反論や希望する分割方法を十分に伝えられないまま手続きが進むおそれがあります。
まず訴状・証拠・期日を確認する
訴状が届いたら、まず次の点を確認します。
- 原告が何を求めているか
- 原告が希望している分割方法
- 不動産の評価額についてどのような主張をしているか
- 答弁書等の提出期限
- 指定された期日
原告の主張に納得できない場合は、答弁書等で自分の考えを示します。
不動産を残したいなら価格賠償を含め具体的な解決案を検討する
「今後もこの家に住みたい」「不動産を手放したくない」と考えている場合は、その希望を伝えるだけでなく、価格賠償で他の共有者の持分を取得できるかを検討します。
そのためには、不動産の適正な価格を把握し、他の共有者へ支払う代償金を準備できるか確認する必要があります。
相手方と不動産価格について意見が大きく異なる場合は、不動産査定や鑑定の必要性も検討します。
原告側の希望に納得できない場合も代替案を示す
共有物分割請求訴訟では、原告が希望する分割方法がそのまま認められるわけではありません。
たとえば原告が競売を希望していても、自分が価格賠償による取得を希望するのであれば、その理由や資金面を具体的に主張することが考えられます。
また、裁判途中でも和解は可能です。全共有者が合意できれば、競売ではなく任意売却する、一方が他方の持分を買い取るなど、判決より柔軟な方法で解決する余地があります。
共有物分割請求そのものを拒否し続ければ共有状態を維持できるとは限らない
共有者には原則として共有物の分割を請求する権利があります。そのため、他の共有者から分割を求められたときに、単に「共有を続けたい」と拒否し続けるだけで共有状態を維持できるとは限りません。
不動産を残したいのであれば、価格賠償で自分が取得するなど、共有状態を解消しつつ希望を実現できる方法を具体的に検討する必要があります。
ただし、分割禁止特約や遺産共有など例外的な論点がある場合は別途確認してください。
共有物分割請求訴訟のメリット・デメリット
共有物分割請求訴訟のメリットは、共有者同士で合意できなくても裁判所の判断によって共有状態の解消を図れることです。一方で、時間・費用がかかり、希望した分割方法になるとは限りません。
メリット|相手が合意しなくても最終的な解決を図れる
話し合いや交渉では解決できない場合でも、共有物分割請求訴訟なら裁判所の判断によって共有状態の解消を目指せます。
たとえば、一方が売却を希望しているのに他共有者が話し合いに応じない場合や、誰が不動産を取得するかで意見が対立している場合でも、訴訟で分割方法を判断してもらえます。
そのため、「他共有者の同意が得られなくても、不動産全体の共有状態を最終的に解消したい」という人にとっては大きなメリットがあります。
デメリット|時間・費用がかかり、希望どおりの結果とは限らない
共有物分割請求訴訟では、自分が希望する分割方法がそのまま認められるとは限りません。
「不動産を売却して現金化したい」と考えていても価格賠償になる場合があり、不動産を残したいと考えていても競売が命じられる可能性があります。また、弁護士費用や裁判所へ納める費用がかかり、不動産鑑定・控訴・形式的競売などが必要になれば負担はさらに増えます。
そのため、不動産全体の共有状態を解消することが最優先ではなく、「自分だけ早く共有から抜けたい」という目的なら、訴訟以外の方法も比較した方がよいでしょう。
共有物分割請求訴訟をするべきかの判断基準
共有物分割請求訴訟をするべきかは、「共有状態を解消したい」という理由だけでは判断できません。最終的に不動産全体を売りたいのか、自分が取得したいのか、自分だけ共有関係から抜けたいのかで、適した方法は変わります。
クランピーリアルエステートへ寄せられる相談でも、同じ「共有状態を解消したい」という相談でも、相談者が実現したいことや他共有者との関係によって検討すべき選択肢は異なります。
訴訟と他の解決方法を比べる前に、次の6点を整理しておくと判断しやすくなります。
- 不動産全体を売却したいのか、自分が取得したいのか、自分だけ共有から抜けたいのか
- 他の共有者に売却や持分買取の意思があるか
- 他の共有者に持分を買い取る資金力があるか
- 現在誰が不動産を使用しているか
- 固定資産税・修繕費などを誰が負担しているか
- 解決までにかけられる時間・費用と、共有者との関係を早く終わらせたい事情があるか
不動産全体を売却したい|まず任意売却の合意、難しければ訴訟を検討
共有不動産全体を売却したい場合、共有者全員が合意できるなら、まず任意売却を検討するのが基本です。
任意売却であれば、売却時期や売出価格、買主との条件などを共有者間で調整できます。一方、他共有者が売却に反対し、今後も合意できる見込みが低い場合には、共有物分割請求訴訟によって共有状態そのものを解消することが選択肢になります。
ただし、訴訟を起こしても「不動産を任意売却するよう命じてもらえる」わけではありません。判決では現物分割・価格賠償・競売のいずれかになるため、「売却したい=訴訟をすれば希望どおり売れる」と考えないことが重要です。
自分が不動産を取得したい|価格賠償を見据え、資金と評価額を確認
自分が不動産を取得して単独所有したい場合は、価格賠償を見据えて「不動産全体の価格」と「他共有者へ支払う資金」を先に確認します。
たとえば持分1/2ずつの不動産を自分が取得する場合、適正な不動産価格を前提に、他共有者の持分相当額を支払えるかが重要になります。相手方と不動産価格の認識が大きく異なれば、査定や鑑定が争点になることもあります。
訴訟を始めてから資金を検討するのではなく、事前に不動産全体の査定を取り、資金計画まで確認しておくと、「価格賠償を現実的に目指せるか」を判断しやすくなります。
自分だけ共有関係から抜けたい|持分売却なら訴訟せず離脱できる
自分の目的が「共有不動産全体をどうするか」ではなく、「自分だけ共有関係から抜けたい」ということであれば、自己持分の売却も選択肢です。
自分の共有持分だけであれば、原則として他共有者の同意を得ずに第三者へ売却できます。
ただし、共有持分は不動産全体を単独で使用・処分できる権利ではないため、通常の不動産全体を売却する場合より買い手が限られます。そのため、「不動産全体の価格×持分割合」と同額で売れるとは限りません。
訴訟をすればより大きな手取りを得られる可能性がある一方、時間や弁護士費用などがかかります。反対に持分売却は、全体売却より売却価格が低くなりやすいものの、自分だけ共有関係から離脱できる点が大きな違いです。
訴訟・弁護士交渉・任意売却・持分売却を比較する
どの方法が有利かは、価格だけでは決まりません。他共有者の同意、解決までの時間、費用、最終的に得たい結果をセットで比較します。
クランピーリアルエステートの相談事例から見る「訴訟以外を選ぶケース」
持分売却が適しているかは、「訴訟ができるか」ではなく、相談者が何を実現したいかで判断する必要があります。
兄弟2人で相続した不動産について、当初は全体を売却する方向で進んでいたものの、契約直前に兄が反対し、売却できなくなった事例です。
ご相談者様の希望は「何としても不動産全体を売却すること」ではなく、「自分の持分だけでも手放して共有関係から抜けること」でした。そのため、共有物分割請求訴訟で全体の分割を求めるのではなく、当社がご相談者様の持分を買い取ることで共有関係から離脱しています。
このように、他共有者が売却に反対していても、目的が「自分だけ共有から抜けること」であれば、訴訟以外で目的を達成できる場合があります。
離婚後も元夫が共有マンションに居住し続け、全体売却の話し合いが進まない状態が続いていた事例です。
ご相談者様は「共有状態を解消して元夫との関係を断ち切りたい」と希望していたため、当社がご相談者様の持分を買い取ることで解決に至りました。
この事例でも、判断の中心は「共有不動産全体をどう処分するか」より、「自分が共有関係から離脱すること」でした。
持分放棄・共有者への売却・贈与も選択肢になる
訴訟以外には、自分の共有持分を他の共有者へ売却する、贈与する、持分を放棄するといった方法もあります。
他の共有者へ持分を売却する方法は、相手に購入意思と資金力があれば、共有関係を解消しながら現金化できます。一方、関係性が悪い場合や相手が資金を用意できない場合は交渉が進みません。
持分の贈与は無償で譲る方法ですが、受贈者の合意が必要で、贈与税が発生する可能性があります。持分放棄は経済的利益を得られず、登記手続きで他共有者の協力が必要になる場合があります。
訴訟前に「不動産全体の査定額」と「自己持分の売却額」を両方確認すると判断しやすい
訴訟と持分売却で迷う場合は、「不動産全体を売却・取得する場合の価値」と「今、自分の持分だけを売却した場合の査定額」を分けて確認してください。
不動産全体の価格が高く、任意売却や価格賠償で大きな手取りが見込めるのであれば、時間と費用をかけて交渉・訴訟を進める経済的な意味がある場合があります。
一方、共有者との関係を早く終わらせたい、訴訟費用や長期化を避けたいという事情が強い場合は、持分だけを売却した方が目的に近いこともあります。
クランピーリアルエステートでは共有持分のみの査定にも対応しています。査定額は訴訟の結果や価格賠償額を保証するものではありませんが、訴訟に進むか、持分を売却して共有から抜けるかを比較するための材料として利用できます。
共有物分割請求訴訟に関するよくある質問
共有物分割請求訴訟に時効はありますか?
共有物分割請求権について、「何年経過すれば時効で請求できなくなる」という一般的な消滅時効はありません。共有者である限り、民法第256条に基づき分割を請求できるのが原則です。
ただし、5年以内の分割禁止特約がある場合や、遺産共有のように別の手続きが必要な場合があります。
持分割合が1%など少なくても訴訟できますか?
持分割合が少なくても、共有者であれば共有物の分割を請求できるのが原則です。民法第256条は持分割合による下限を定めていません。
ただし、実際にどのような分割方法になるかは、共有物の性質や持分割合、利用状況などを踏まえて裁判所が判断します。
共有物分割請求訴訟の前に調停は必要ですか?
必須ではありません。共有物分割請求訴訟には原則として調停前置のルールがないため、協議がまとまらない、または協議できない場合には、調停を経ずに訴訟を提起できます。
ただし、柔軟な条件での解決を目指すなら、訴訟前に民事調停や弁護士を介した交渉を利用する価値があります。
共有物分割請求訴訟はどこの裁判所に起こしますか?
管轄裁判所は、不動産所在地、被告の住所、訴額などによって判断します。
民事訴訟では、訴額140万円以下の事件は原則として簡易裁判所、140万円を超える事件は地方裁判所が第一審を担当します。不動産に関する訴えには特則もあるため、「共有物分割請求訴訟は必ず地方裁判所」と決めつけず、具体的な管轄を裁判所や弁護士へ確認してください。
弁護士なしでも共有物分割請求訴訟はできますか?
弁護士へ依頼せず、本人が訴訟を行うことも可能です。
ただし、共有者の確定、希望する分割方法の主張、不動産価格の立証、相続関係の整理などが必要になるため、複雑な案件では弁護士へ相談する価値があります。
共有物分割請求訴訟の途中でも和解できますか?
できます。裁判所も、民事訴訟は判決だけでなく裁判上の和解によって終了する場合があると案内しています。
共有物分割訴訟でも、裁判中に全共有者が合意すれば、任意売却する、一方が他方の持分を買い取るなど、判決とは異なる柔軟な条件で和解できます。
共有物分割請求訴訟で競売判決が出たらすぐ不動産は売られますか?
すぐに売却されるわけではありません。
競売を命じる判決が確定した後、その判決等をもとに形式的競売を申し立て、競売手続きを進める必要があります。
裁判所の案内では、形式的競売は「複数人が共有する不動産等について、判決などで競売を命じられた場合に利用する手続」とされています。
共有者が行方不明でも共有状態を解消できますか?
共有者の所在が分からない場合でも、状況によって共有状態を解消できる可能性があります。
共有物分割請求訴訟だけでなく、裁判所の手続きによって所在等不明共有者の持分を取得したり、第三者へ譲渡する権限を取得したりできる制度が利用できる場合があります。
どの方法が適切かは、所在不明の期間や共有関係、最終的に不動産全体をどうしたいかによって異なります。
まとめ
共有物分割請求訴訟は、共有者間の協議で解決できない、または協議ができない共有状態を、裁判所の判断によって解消するための手段です。
判決では、現物分割・価格賠償・競売の方法が検討されますが、自分が希望する分割方法が必ず採用されるわけではありません。また、弁護士費用や裁判所へ納める費用などがかかり、鑑定や控訴、判決後の形式的競売まで必要になれば、時間と費用の負担はさらに大きくなります。
そのため、訴訟を起こす前に「共有不動産全体を売却したいのか」「自分が取得したいのか」「自分だけ共有関係から抜けたいのか」を整理してください。
不動産全体を売却・取得したいのであれば、共有者間の協議や弁護士を介した交渉、共有物分割請求訴訟を検討することになります。一方、自分だけ共有関係から離脱したいのであれば、他共有者の同意を得ずに自己持分を売却する方法もあります。
クランピーリアルエステートでは、相続や離婚などをきっかけに共有状態となり、「他の共有者が売却に同意してくれない」「話し合いを続けたくない」といった共有持分の相談・買取に対応しています。
訴訟と持分売却のどちらを選ぶか迷う場合は、まず不動産全体の価値と、自分の持分だけを売却した場合の査定額を確認し、時間・費用・手取り・共有者との関係性を含めて比較してみてください。
