別居中でも共有不動産を売却する方法!売却すべきタイミングも解説
配偶者と別居している人のなかには、共有不動産を所有している人もいることでしょう。その場合、「別居中でも共有不動産は売却できるのか」のように考えるのではないでしょうか。
共有不動産は、夫婦それぞれに所有権がある物件です。民法では「共有物を売却などする場合には他の共有者の同意が必要」のように定められているため、別居中に独断で共有不動産を売却することはできません。
また、共有物の売却には同意が必要なことから、「配偶者から売却を反対されている」「そもそも話し合いができていない」のような場合も同様に共有不動産の売却は認められません。
自身だけが所有する「共有持分」だけであれば自由に独断で売却は可能ですが、通常の物件よりも売却が難しいため、まずは配偶者と話し合いをするのが得策といえます。
当記事では、別居中でも共有不動産を売却する方法をテーマに、売却できるケースや具体的な売却方法、売却をするべきタイミングについて網羅的に解説していきます。
別居中に共有不動産の売却を検討している場合には参考にしてみてください。
目次
別居中に夫婦の共有不動産を売却できるかは「名義」「配偶者からの同意」がポイントになる
別居中に夫婦の共有不動産を売却できるかどうかは、簡単にいえば「不動産の名義が誰になっているのか」「配偶者から売却の同意を得ているか」の2つがポイントになります。
具体的には、下記のケースであれば別居中でも夫婦の共有不動産を売却することが可能です。
- 不動産の名義が自分または配偶者の単独であるケース
- 共有状態でも配偶者から売却の同意を得ているケース
逆にいえば、共有名義の状態で配偶者から同意を得ていないケースでは、共有不動産全体を売却することはできません。
ここからは、別居中に夫婦の共有不動産を売却できるケースをそれぞれ解説していきます。
単独名義の不動産であれば名義人が自由に売却できる
自分または配偶者の単独名義になっている不動産であれば、不動産の所有権は名義人1人にのみあります。民法第二百六条に定められている通り、所有者はその所有物を自由に使ったり、売却したりする権利が与えられています。
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用元:e-Gov法令検索「民法 第二百六条」
そのため、自分の単独名義になっている不動産であれば、法律上では配偶者の同意がなくとも自由に売却することが認められています。モラル上は好ましくないかもしれませんが、不動産の売却時に配偶者の承諾を得る必要はありません。
なお、配偶者の単独名義になっている場合、その不動産の所有権は配偶者にあるため、勝手に不動産を売却することはできません。この場合、配偶者と話し合いをしたうえで、配偶者から売却の手続きを行なってもらう必要があります。
配偶者からの同意があれば共有不動産全体を売却できる
そもそも共有不動産とは、1つの不動産に対して複数人が所有権を持っている状態の不動産のことです。
夫婦で不動産を購入した場合、お互いの共有名義にしているケースもあることでしょう。この場合、夫婦で不動産を共有している状態となり、民法で定められている通り、共有者が独断で不動産を売却することはできません。
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用元:e-Gov法令検索「民法 第二百五十一条」
民法で定められている「変更」には、共有不動産の売却も該当します。つまり、共有名義の不動産全体を売却するには、配偶者から同意を得る必要があるのです。
なお、共有不動産を売却して得られた利益は、それぞれの持分割合に応じて分配されるのが一般的です。たとえば夫が2,000万円、妻が1,000万円を出資して購入した物件ならそれぞれの持分割合は「夫:妻=2:1」となります。そのため、共有不動産の売却益も2:1で分けることになるでしょう。
自分の共有持分だけであれば配偶者の同意にかかわらず自由に売却できる
夫婦で共有している不動産全体を売却するには配偶者の同意が必要ですが、自分の共有持分だけであれば自由に売却できます。共有持分は、共有名義不動産のうち自身が保有する割合部分であるため、夫婦で共有している不動産でも共有持分については自分に所有権があるためです。
そのため、下記のような状況であれば、共有持分のみを売却することを検討してみるのもよいでしょう。
- 配偶者から売却に反対されている
- そもそも売却の相談すらできない事情がある
なお、共有持分の売却については、「別居中に共有不動産を売却する方法」の見出しで詳しく解説するため参考にしてみてください。
ただし、いくら自身の自由で売却する権利があるといっても、配偶者に何の相談もなしで共有持分を売却するとトラブルが起きてしまうリスクがあります。そのため、共有持分の売却を検討している場合、可能であれば配偶者へ事前に知らせておくことをおすすめします。
別居中に共有不動産を売却する方法
実際に共有不動産を売却するとなった際には、「どうやって不動産を売却すればいいのか」のように悩むこともあるでしょう。
通常の不動産であれば、仲介や買取が主な売却方法となります。しかし、共有している不動産を通常物件のように売却できるケースは、前述したように「売却の同意を得ている」「自身の単独名義になっている」のどちらかを満たしている場合のみです。
そのため、共有不動産全体を売却できないといった場合、売却方法を工夫しなければなりません。
そこで、状況に応じて共有不動産の売却方法をまとめましたので、参考にしてみてください。
状況 | 売却方法 |
---|---|
・単独名義になっている ・配偶者から同意を得ている |
仲介や買取など、通常物件と同様の方法で不動産全体を売却する |
・配偶者の単独名義になっているうえ、売却の同意が得られそうにない | 共有持分を売却する ※まずは配偶者に買い取ってもらえないかを相談するのが得策 |
ここからは、別居中の状況に応じた共有不動産の売却方法を解説していきます。
仲介などで共有不動産全体を売却する
「自身の単独名義になっている」「配偶者から売却の同意を得ている」という場合、共有不動産全体を売却することが可能です。共有不動産全体であれば、通常物件と同様に扱われるため、不動産売却の主な方法である「仲介」「買取」で売却することを検討してみてください。
不動産売買における仲介と買取の特徴や違いをまとめましたので、参考にしてみてください。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
業者の目的 | 不動産の売買を成立させて、売主と買主、またはどちらか一方から仲介手数料を貰い利益を得ること | 買い取った不動産を転売や賃貸などで活用して利益を得ること |
買い手 | 不動産仲介業者が探した一般の人 | 買取業者 |
売却までの期間の目安 | 3か月〜9か月程度 | 数週間〜1か月程度 |
売却金額の目安 | 買取よりも高い傾向 市場価格とほぼ同等が目安 |
仲介よりも安くなる傾向 |
簡単にまとめると、「より高値で売りたいなら仲介、なるべく早く売りたいなら買取」といえます。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、共有不動産全体を売却する場合、配偶者と相談したうえで売却方法を決めるとよいでしょう。
配偶者に共有持分を買い取ってもらい単独名義の不動産とする
「配偶者の単独名義になっているうえ、売却の同意が得られそうにない」という場合、共有不動産全体を売却するのは難しいです。この場合、共有持分であれば自由に売却できるため、持分だけを売ることを検討してみてください。
共有持分のみの場合、不動産の一部の所有権であるうえに、他の共有者との権利関係が複雑であることから、通常物件と同様の方法では売却が難しいと予測されます。そのため、共有持分だけを売却するのであれば、まずは配偶者に買い取ってもらえないかを検討するとよいでしょう。
配偶者に共有持分を売った場合、その不動産は配偶者の単独名義となるため、今後は自由に活用できるようになります。
また、共有状態よりも単独所有の方が仲介などでも売却の可能性が高まるため、売却を考えた際に売りやすくなるメリットもあります。このメリットを踏まえれば、配偶者が共有持分を買い取ってくれる可能性も0ではありません。
配偶者に買取を断られた場合は専門の買取業者に相談してみる
「配偶者に断られた」「そもそも相談できる状況ではない」といった場合、共有持分を専門とする買取業者に依頼することを検討してみてください。
買取業者のなかには、共有持分のような一般的には売却が難しい物件買取を専門としている業者もあります。そのような業者であれば、たとえ仲介で売れなかった共有持分であっても売却に期待できます。
共有不動産に住宅ローンの残債がある場合には金融機関から売却が認められない可能性がある
共有不動産の売却を検討しているなら、まずはローンの残債を確認するのが重要です。ローン残債よりも不動産の売却金額が下回る「オーバーローン」の場合は、金融機関から売却を認めてもらえない可能性があるためです。
住宅ローンが残っている場合、基本的にその不動産には「抵当権」が設定されています。
抵当権とは、債権者が不動産などの財産に担保として設定する権利のことです。万が一返済が滞った場合、抵当権が行使され担保としている財産が強制的に売却され、その金額が返済に充てられます。
不動産の売却金額がローン残債を上回る「アンダーローン」の場合、売却によってローンを完済できるため、抵当権が設定されていても共有不動産を売却できます。
一方、オーバーローンの場合はローンを完済できないため、「任意売却」という形で共有不動産を売却することを事前に金融機関へ交渉しておかなければなりません。
任意売却とは、住宅ローンの返済ができなくなった際、金融機関から了承を得たうえで不動産を売却する方法のことです。交渉によって任意売却の了承が得られれば一時的に抵当権を外してもらえるため、オーバーローンの場合でも共有不動産全体を売却できます。
ただし、任意売却をするには専門的な知識が必要なため、一般の業者からは取り扱いを断られてしまうと予測されます。専門の買取業者であれば売却に期待できますが、任意売却の場合は買取先が限定されやすいと覚えておきましょう。
共有不動産を売却するなら「別居中」と「離婚後」どちらが良い?
さまざまな状況を考慮したうえで夫婦で共有している不動産の売却を決めた場合、売却のタイミングに悩む人もいるのではないでしょうか。売却のタイミングは、「財産に占める共有不動産の割合」「住宅ローンの残債の有無」によって異なります。
状況別に「別居中」「離婚後」のどちらのタイミングで売却するべきかをまとめましたので、夫婦で共有している不動産の売却を検討している場合には参考にしてみてください。
財産の大半を共有不動産が占めるなら「別居中」
離婚時に婚姻中に築いた財産を夫婦で分けることを、財産分与と言います。
財産分与の対象には現金や預金はもちろん、有価証券や不動産なども含まれます。現金や預金はそのまま分割できますが、不動産の場合はその価値を時価などに基づいて計算して分割しなければなりません。
しかし、不動産そのものを夫婦平等に分与するのは難しいのが現実です。たとえば、「現金や預金が500万円、不動産の価値が2,000万円」のように財産の多くを不動産が占めていれば、不動産を受け継いだ人が大きく得をします。
夫婦間で不平等となるため、離婚する前の別居中に不動産を売却してしまい、売却して得た現金を財産分与するのが良いでしょう。
住宅ローンの残債があるなら「別居中」
共有不動産を住宅ローンで購入した場合、その残債がある人もいることでしょう。住宅ローンの残債があるなら、別居中に共有不動産を売却したほうが良いケースが多いと言えます。
連帯保証や連帯債務は、ローンが残っている限りは離婚をしても解消されません。もし、離婚後どちらかが支払いを滞納したり、そのまま連絡が取れなくなったりといった事態になった際に住宅が差し押さえされる可能性もあります。
離婚後にも住宅ローンの問題を持ち越してしまうことになるため、別居中に家を売却してしまった方が得策です。
なお、住宅ローンの契約方法によって、共有不動産を売却するにあたっての注意点があります。「ペアローンを組んでいる場合」「夫婦の一方が連帯保証・連帯債務になっている場合」でそれぞれ解説していくため、該当する場合には参考にしてみてください。
ペアローンを組んでいる場合の注意点
ペアローンとは、夫婦それぞれが別々にローン契約を結ぶ契約方法です。単独でローンを組むよりも借入額を増やせる場合が多く、共働きの世帯で多く利用されています。
ローンを組む時には、債務者からの返済が滞ったり失業などで返済能力を失ったりした際のために連帯保証人を設定するのが一般的です。ペアローンを組んだ場合、連帯保証人は夫婦お互いとなります。
離婚後もペアローンを継続した場合、もし相手の返済がストップすれば相手の債務を自分が保証しなくてはならないというリスクを負うことになります。自分がきっちりと返済していても債務保証の義務からは逃れられないため、別居しているタイミングで不動産を売却してしまう方が良い場合が多いでしょう。
ただし、オーバーローンの場合は注意が必要です。前述したように、売却額を充ててもローンを完済できないため、金融機関からの売却の許可が得にくいためです。
オーバーローンかつペアローンを組んでいる場合には、下記の方法で共有不動産の売却を検討してみてください。
方法 | 内容 |
---|---|
借り換え | 今あるローンを、より低金利のローンに借り換える |
債務引受け | 夫か妻どちらか片方へ債務を移転する |
任意売却 | 金融機関から許可をもらい家を売却して抵当権を解除する |
どの方法を取っても、弁護士や司法書士などの専門家や金融機関、不動産会社などへの相談は必要です。まずはローン契約を結んでいる金融機関へ、借り換えや任意売却ができるかどうかを相談してみるのが良いでしょう。
夫婦の一方が連帯保証・連帯債務になっている場合の注意点
たとえば、夫がローン契約をして妻がその連帯保証人なった場合、夫の返済が滞ると妻が債務を負うことになります。ペアローンのケースと同じく、ローンの返済が終わらない限り離婚後も妻に返済の義務が生じます。
また、連帯保証としばしば混同されるものに「連帯債務」があります。
連帯債務は、1つの住宅ローン契約に対して夫と妻の両方が同等の返済義務を負うことです。連帯債務はいつでも夫婦双方に債務の請求が行えます。債務者の返済が滞った際に保証人に請求が行く「連帯保証人」とは異なるので注意しましょう。
どちらか一方が連帯保証人及び連帯債務者になっている場合は、家を売却することで連帯状態を解消できます。しかし、ペアローンの場合と同じくオーバーローンとなる際には、借り換えや任意売却を検討する必要があります。
住宅ローンを完済しているなら「離婚後」
すでに住宅ローンを完済していれば、離婚後の売却がおすすめです。別居中には売却せず、不動産のままで財産分与を行うことを検討してみてください。
不動産のままで財産分与をすると、以下のようなメリットがあります。
- 贈与税がかからない
- 売却のタイミングを自由に決められる
通常、共有持分を放棄して一方の単独所有となる場合には贈与税がかかります。しかし、財産分与に伴って不動産を継いだ場合は、原則として贈与税は課せられません。
財産分与は夫婦が婚姻中に築いた財産の公平な分配と、離婚後の生活保障のために行われます。そのため、贈与にはあたらず、税金の心配をせずに不動産を引き継ぐことができるのです。
また、離婚時に住宅ローンが残っている場合はなるべく早く売却をするため、価格に納得していなくても売却しないといけないケースも出てくるでしょう。しかし、ローンが残っていないのなら不動産のままで財産分与し、好きなタイミングで売却することが可能です。
不動産の価値が高くなっているタイミングをねらって、不動産を売却できる可能性も高まります。
弊社株式会社クランピーリアルエステートは、離婚前・離婚後のいずれの共有不動産売却についても、気軽に相談をお受けできます。相談のなかで「すぐ売るべきか」「まだ待ったほうがいいのか」など、売却時期・タイミングを含めた総合的な提案が可能です。また、いずれのタイミングにおいても適正価格で共有不動産を買取いたします。ぜひ気軽にご相談ください。
離婚後にトラブルなく不動産を分ける方法
離婚時には、婚姻期間中に築いた財産を公平に分ける「財産分与」を行います。前述した通り不動産は公平に分けるのが難しく、分与には工夫が必要です。
「離婚後に一方が住み続けるケース」と「離婚後双方とも住まないケース」で対応が異なるため、それぞれのケースでどのように不動産を分けるべきかを解説していきます。
離婚後に一方が住み続ける場合は「代償分割」で財産分与をする
離婚後にどちらか一方が引き続き住む場合は、一方の共有者に対して「本来分割されるべき不動産の評価額分の財産」が分配されます。
評価額の半分の金額を現金で渡したり、他の財産でその金額分を相殺するのが一般的です。これを「代償分割」と呼びます。
たとえば、1,000万円の共有不動産と預貯金1,000万円を財産分与する場合、一方が不動産を取得し、もう一方が預貯金を取得すれば公平に分配できます。しかし、このように上手く分配できるケースばかりではありません。
仮に3,000万円の不動産と1,000万円の預貯金を分配する際に、夫が不動産を取得して妻が預貯金を取得したとすれば、夫は現金で1,000万円を妻へ渡し双方共に2,000万円ずつの財産を取得できるよう調整する必要があります。
ただし、財産分与の分割割合「1/2ずつ」はあくまで法律に則った基本的なルールにすぎません。実際には夫婦の合意があれば分配金額は自由に設定可能です。
ちなみに、後々トラブルに発展する可能性を回避するため不動産評価額は正しく把握する必要があります。必ず不動産業者へ査定を依頼し、正確な評価額を得ておきましょう。
離婚後双方とも住まない場合は「換価分割」で売却金額を分配する
離婚後は夫婦双方とも共有不動産に住まないケースもあることでしょう。
その場合、不動産を売却してその売却金額を夫婦で分割するのがスムーズです。これを「換価分割」と呼びます。
不動産を物理的に分割することはできませんが、換価分割なら1円単位まできっちり分けられます。
過不足なく公平に分けられるためトラブルが起こりにくいといったメリットがある換価分割ですが、前述の通りオーバーローンの物件には注意が必要です。
基本的には、住宅ローンを完済し金融機関が設定する「抵当権」を外さないと物件は売却できません。金融機関に交渉をして任意売却の承諾が得られれば、一時的に抵当権を外してもらうことは可能です。
ただし、任意売却は特殊な売却方法のため、通常の不動産売買とは勝手が違います。専門的な知識が必要で手間がかかるうえに、期限内に売却できないなどのリスクがあるため不動産仲介業者の中には取り扱いを拒むところが多いでしょう。
もし仲介業者で取り扱ってくれるところが見つからない場合は、変形地や売れなくて困っている土地など訳あり物件を多く扱う専門の不動産買取業者に依頼するのがおすすめです。
こうした専門の買取業者なら、オーバーローンの物件でもアンダーローンの物件でも、問題なく買い取ってくれるケースが多いでしょう。仲介業者と異なり、自社で買い取るため基本的には1週間から1ヶ月ほどで買い取ってもらえます。
財産分与がスムーズにできるのも、メリットの1つです。
離婚時には不動産の共有状態を解消しておくのが得策
現在は別居中でも将来的に離婚をする場合、基本的に不動産の共有状態は事前に解消しておくのが得策です。不動産の共有状態をそのまま放置してしまうことには、下記のようなリスクがあるからです。
- 離婚した後も夫婦間で売却のためのやり取りが必要になる
- 住宅ローンが残ったままだとどちらかの住宅ローン返済が滞った際に不動産が差し押さえられるリスクがある
- 住宅ローンの残債がある場合は契約違反になる可能性がある
ここからは、不動産の共有状態を放置した場合のリスクをそれぞれ解説していきます。
離婚した後も夫婦間で売却のためのやり取りが必要になる
前述したように、共有不動産に何かしらの変更がある場合、共有者全員からの同意が必要です。そのため、離婚後も共有状態をそのまま放置してしまうと、不動産の変更が必要になった際に元配偶者とやり取りをしなければなりません。
なお、不動産における「変更」に該当する行為には、下記が挙げられます。
- 不動産を取り壊す
- 不動産を売却する
- 不動産を賃貸借する
- 大幅なリフォーム・増築・改築をする
- 土地に建物を建設する
場合によっては、「離婚後に元配偶者と連絡をとりたくない」というケースもあるかもしれません。そのような事情があってもこちらから連絡をしなければならないことも考えられるため、基本的に離婚の際には不動産の共有状態を解消しておくのが得策です。
住宅ローンが残ったままだとどちらかの住宅ローン返済が滞った際に不動産が差し押さえられるリスクがある
離婚時に共有不動産を残す場合、「片方が共有名義状態の不動産に住み、出ていく片方が住宅ローンの残債を負担する」という場合もあることでしょう。あくまでも可能性の話ですが、住宅ローンの負担者による返済が滞ってしまう可能性も0とはいえません。
住宅ローンの滞納が数か月続いてしまうと、最終的に共有名義不動産が差し押さえられてしまい、物件を手放さなければなりません。
自身が共有不動産に居住を続ける場合、生活に悪影響を及ぼしてしまうリスクもあるため、離婚時には不動産の共有状態を解消しておくのが得策です。
住宅ローンの残債がある場合は契約違反になる可能性がある
共有不動産の住宅ローンによっては、「契約者が物件に住んでいること」と契約内容に定められているケースもあります。このような住宅ローンを利用しており残債がある場合、夫婦ともに共有不動産に居住を続けなければ、契約違反になってしまうリスクがあります。
契約違反として判断された場合、住宅ローンの残債の一括返済を求められる可能性も0ではありません。
なお、このような住宅ローンを利用している場合、離婚の手続きを進める前に金融機関へ連絡をして、契約内容の変更を交渉しておくのが得策です。連絡をせずに単独名義に変更したり、共有不動産を売却したりすることも契約内容に違反すると考えられるためです。
別居中に共有不動産のトラブルが発生したら弁護士に相談しよう
これまで解説してきたように、別居中の共有不動産に関するトラブルにはさまざまなものがあります。解決には法的な知識が必要なものもあり、離婚後の準備などを進めないといけない中でトラブルが起こると肉体的、精神的に負担となるでしょう。
そのため、困ったことが起きた際には弁護士への相談をおすすめします。解決に向けての具体的な動き方のアドバイスや、手続きが必要な際のサポートなど多くの面で助けになってくれることでしょう。
また、夫婦で話し合いが難しい場合には、弁護士に依頼し間に入ってもらうのもおすすめです。当事者同士での話し合いでは感情的になってしまうケースでも、弁護士が間に立つことで冷静な話し合いが実現します。
まとめ
いくら別居中でも、共有不動産を相手の合意なく売却することはできません。共有不動産全体を売却できるケースには、「配偶者から同意を得ている」「自分の単独名義になっている」のどちらかのケースが該当し、該当しなければ不動産全体の売却はできません。
とはいえ、共有持分のみであれば自由に売却できるため、「共有状態を解消しておきたい」という場合には検討してみてもよい方法といえるでしょう。
なお、共有不動産を売却するべきタイミングは、財産に占める共有不動産の割合や住宅ローンの残債の有無によって異なります。基本的に、住宅ローンを完済しているなら離婚後、それ以外の場合には別居中が売却に向いているタイミングとなります。
状況によっては、「離婚後も共有状態が続いてしまうかもしれない」と考えるかもしれませんが、共有状態の放置には様々なリスクがあるため、タイミングを見計らって売却や共有状態の解消をしておくのが得策です。
「うちのケースだと、離婚前と離婚後いつ売ればよいのかわからない」「共有不動産をできる限り高く売りたい」とお悩みであれば、弊社株式会社クランピーリアルエステートへお任せください。共有不動産・共有持分の買取実績が豊富な弊社であれば、別居中の共有不動産や共有持分のみに限らず、高額買取いたします。
また弊社が提携している全国1,500以上の士業と協力して、さまざまな法的手続きやトラブル解決にも対応可能です。ぜひ下記の窓口より、無料査定や無料相談からご連絡ください。
別居中の共有不動産に関するよくある質問
別居中でも、妻に夫名義の家に住み続けられる権利はありますか?
夫名義の家であっても、婚姻期間中に取得した物件は夫婦の共有財産とみなされます。そのため、夫の単独名義であるかどうかにかかわらず、離婚成立まではその家に住み続ける権利が妻にはあります。
離婚調停中に共有不動産は売却できますか?
配偶者から売却の同意が得られているのであれば、離婚調停中であっても共有不動産を売却できます。同意が得られていないのであれば、法律でも認められていないため、共有不動産を売却することはできません。
共有不動産の査定はどこに頼むべきでしょうか?
「どこ」という指定は難しいですが、共有不動産を売却するのであれば、複数の業者に査定を依頼しておくのが得策です。複数社に見積もりを依頼しておけば、各社の査定結果を比較検討したうえで依頼する業者を見つけられます。査定のみであれば基本的に無料で行ってもらえます。