共有不動産で揉める原因と解決法のガイド!実際のトラブル事例を踏まえて専門家が解説

「相続する不動産が共有名義になりそう」「離婚時に夫婦共有名義の不動産がある」といった場合、「将来、揉めるのでは?」と不安を抱く方もいるでしょう。

共有者全員に使用や管理ができる権利が法的に認められているため、意見の食い違いが起きやすく、トラブルに発展するケースも珍しくありません。売却や賃貸といった活用をする際には、他の共有者との協議が必要になるため、意見がまとまらずに共有者間で対立するケースも多々あります。

共有名義不動産が揉めやすい主な理由は次のとおりです。

  • 不動産全体の売却や活用について共有者同士で意見が対立しやすい
  • 固定資産税や維持管理費などの費用負担について共有者で揉めやすい
  • 共有不動産の日常管理をしている人としていない人で揉めやすい
  • 共有不動産を独占使用している共有者と使用していない共有者で揉めやすい
  • 家賃収入がある場合には収益の分配で共有者と揉めやすい
  • 相続がある度に共有者が増えてしまいさらに対立が起こりやすい

弊社にも「共有者と意見が合わず売却できない」「税金や管理費だけが発生して困っている」「共有者の1人が住んでいて利益が得られない」といったご相談が数多く寄せられています。実務の現場でも、共有状態の不動産はトラブルの火種になることが多いため、相続や離婚の際にはできるだけ共有を避けることが望ましいといえます。

本記事では、共有名義不動産が揉めやすい理由や、実際に弊社に寄せられたトラブル事例を紹介します。さらに、トラブルを避けるための具体的な対策や、やむを得ず共有状態となった場合の解消法についても解説していきます。

弊社「株式会社クランピーリアルエステート」は、共有名義不動産のような訳あり物件を専門とする不動産買取業者です。共有名義不動産に関する無料相談はもちろん、最短12時間で完了するスピード査定も実施しています。

既に共有者間で揉め事が起きている物件でも買取が可能ですし、「今後トラブルになりそうで不安」という場合も、事前に共有持分のみを買い取って共有状態を避けられます。共有名義不動産でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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目次

共有不動産で揉めやすい理由

共有名義不動産とは、1つの不動産を複数人で所有している状態の不動産を指します。相続で兄弟姉妹が土地や家を一緒に受け継いだり、夫婦で住宅を購入したときに2人の名義にしたりするケースが共有名義の代表例です。

単独名義と異なり、共有名義では不動産を活用する際に他の共有者の同意が必要になる場面が多くあります。例えば、売却や建て替えといった大きな決断には共有者全員の同意が欠かせず、賃貸契約やリフォームといった管理も共有持分の過半数の同意が必要です。

そのため、意見が揃わなければ不動産を売却・活用できず、結果としてトラブルにつながりやすいのです。実際、以下のように不動産の利用方法や維持管理費の負担をめぐって揉める事例は少なくありません。

  • 不動産全体の売却や活用について共有者同士で意見が対立しやすい
  • 固定資産税や維持管理費などの費用負担について共有者で揉めやすい
  • 共有不動産の日常管理をしている人としていない人で揉めやすい
  • 共有不動産を独占使用している共有者と使用していない共有者で揉めやすい
  • 家賃収入がある場合には収益の分配で共有者と揉めやすい
  • 相続がある度に共有者が増えてしまいさらに対立が起こりやすい

弊社「株式会社クランピーリアルエステート」では、共有名義不動産に関するご相談に幅広く対応しています。既に共有名義不動産を所有しており、「共有者の意見が合わず売却できない」「管理費や税金の負担で困っている」といったケースにも、適切なアドバイスとご希望に沿った買取でサポートします。お気軽に無料相談をご利用ください。

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不動産全体の売却や活用について共有者同士で意見が対立しやすい

共有名義不動産は、自分1人の判断で売却や賃貸に出すことができません。民法では、共有物における売却や建て替えなど大きな変更には「共有者全員の同意」が、賃貸契約やリフォームなどの管理には「持分の過半数の同意」が必要と定められています。


(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
引用元 e-Gov法令検索 民法第251・252条

こうしたルールがあるため、実務でも「売却して現金化したい人」と「財産として残したい人」、「収益化したい人」と「自分で使いたい人」との間で意見がぶつかるケースがよくあります。弊社にも「共有者の同意が得られず売却が進まない」といった相談は数多く寄せられており、意見の対立から共有者間の関係が悪化するといった事態も珍しくありません。

なお、具体的にどのような行為にどの程度の同意が必要かは、次のとおりです。

行為 具体例 同意の条件
変更行為 ・不動産の売却
・建物の解体
・建物の建て替え・増改築
・不動産への抵当権設定
共有者全員の同意が必要
管理行為 ・リフォーム
・不動産の賃貸契約
・宅地の整地
共有持分の過半数の同意が必要
保存行為 ・建物の修繕(雨どいや屋根、配管の修理、外壁の補修など)
・軽微なリフォーム(壁紙の交換など)
・不法占拠者への明け渡し請求
・無権利者名義の抹消登記請求
・火災や災害時の建物滅失登記
共有者の合意は必要なし

固定資産税や維持管理費などの費用負担について共有者で揉めやすい

共有名義不動産にかかる固定資産税や、水道光熱費、火災保険料といった維持管理費は、法律上それぞれの持分割合に応じて負担すると定められています。


(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
引用元 e-Gov法令検索 民法第253条

法的にはこのように定められていても、実際は「誰がどのように費用を負担するのか」について共有者間で揉めてしまうケースは多いです。

たとえば固定資産税については、代表者に納税通知書が届くため、まず代表者が全額を立て替えて納付し、その後に他の共有者へ持分に応じた金額を請求するのが一般的です。しかし実務では「他の共有者が払ってくれない」「代表者だけが毎年負担している」といったケースが少なくありません。

代表者にとっては、立て替えによる金銭的な負担や支払いを催促する手間が大きなストレスとなり、長年その状況が続けば不満が募って共有者同士の関係が悪化してしまうこともあります。一方で請求を受ける側の共有者も「請求された費用は本当に妥当なのか」と疑念を抱きやすく、不満の火種になりやすいのが実情です。

共有不動産の日常管理をしている人としていない人で揉めやすい

共有名義不動産の管理は、本来すべての共有者が関わるべきですが、実際には「誰がどの程度やるのか」が曖昧なままになりがちです。

民法252条では、修繕や賃貸といった管理行為について「共有者の持分の過半数で決められる」と定められています。しかし、草刈りや掃除などの日常的な管理については法律上の定義がなく、ルールを決めていないと「やる人」と「やらない人」の不公平感や、管理不足によるトラブルに発展しやすくなります。

具体的には、次のようなトラブルがみられます。

1. 日常管理の押し付けによるトラブル
草刈り・掃除・戸締まり確認といった軽い管理は明確なルールがなく、実務では「近くに住む人」ばかりが対応し、「遠方の共有者」は関わらないことが多く、不公平感が生まれます。

2. 費用の立替精算をめぐるトラブル
鍵交換や雨漏り修繕などの費用を誰かが立て替えても、後から「本当に必要だったのか」「勝手にやったのでは」と拒否され、精算をめぐって揉めることがあります。

3. 住んでいる・いないで起きる費用負担トラブル
住んでいる共有者は「自分は毎日管理している」と主張し、住んでいない共有者は「住んでいるのだから費用はそっちが持つべき」と反発するなど、利用状況の違いが争いにつながります。

4. 管理不足による責任トラブル
管理を怠ると老朽化や雑草放置で近隣から苦情が寄せられることがあります。さらに、倒壊や落下事故が発生すれば、共有者全員が損害賠償責任を負います。(民法717条)その結果「誰のせいか」を巡って責任の押し付け合いが起こりやすくなります。

共有不動産を独占使用している共有者と使用していない共有者で揉めやすい

共有名義の不動産では、法律上、共有者それぞれに不動産を使う権利があります。


(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元 e-Gov法令検索 民法第249条

本来は全員が持分に応じて不動産を利用できるはずですが、実際には共有者のうち1人だけが不動産を独占して使い続けたり、勝手に貸し出して家賃収入を得たりするケースがあります。この場合、他の共有者は不動産から利益を得られず、不公平感から不満がたまりやすくなります。

「不動産を明け渡してほしい」と強制的に退去を求める「明け渡し請求」という手続きもありますが、共有者同士の場合には認められにくいのが実情です。民法249条で「共有者は不動産を使う権利を持つ」と定められているため、独占使用であっても法的には「使用」の範囲とみなされる可能性があるためです。

現実的な対応策となるのは「不当利得返還請求」です。不動産を独占している共有者に対し「使用料を払ってほしい」と請求し、使用していない共有者が取り分を主張できる仕組みです。

それでも解決が難しいときは、裁判で「共有状態を解消してほしい」と求める「共有物分割請求」という手段もあります。不動産を売却してお金を分け合うなどの方法で清算が可能です。

ただし、共有者が親族や兄弟姉妹の場合、感情的な対立が深まりやすく、家族関係が悪化するリスクもあります。そのため、最も良い解決策は、そもそも不動産を共有名義にしないように工夫することだといえるでしょう。

家賃収入がある場合には収益の分配で共有者と揉めやすい

民法249条では、共有者は持分割合に応じて不動産全体を使うことができると定められています。そして、共有名義不動産で家賃などの収益が発生している場合には、共有者全員がその利益を受け取る権利を持ちます。

したがって、賃料は持分割合に応じて共有者間で分けるのが基本的な考え方となります。例えば、兄弟でそれぞれ「1/2」の持分を持っていれば、家賃収入も原則として半分ずつに分配されます。

しかし、実際には共有者の1人が家賃をすべて受け取ってしまい、他の共有者に分けないといったトラブルが起こりやすいのが実情です。もちろん、共有者全員の合意があれば「1人がまとめて受け取る」「持分割合に関係なく分配する」といった取り決めも可能です。しかし、一方的に取り分を調整されてしまえば、収益を受け取れなかった共有者からすると自分の権利が侵害されたと感じ、不満や対立に発展します。

家賃を独り占めされた場合は、不当利得返還請求によって受け取れなかった分を取り戻すことができます。ただし、手続きの負担や共有者同士の関係悪化といったリスクもあるため、そもそも共有名義にしないことが一番のトラブル防止につながります。

相続がある度に共有者が増えてしまいさらに対立が起こりやすい

共有持分とは、共有名義不動産における所有権の割合を指します。例えば、兄弟2人で1つの不動産を相続した場合、それぞれ「1/2」の共有持分を持つことになります。

共有持分は相続財産として扱われるため、共有者が亡くなるとその持分は配偶者や子どもなどの相続人に引き継がれます。

例えば、兄弟2人で「1/2」ずつ共有していた場合でも、そのうちの1人が亡くなり子ども2人に相続されると、子どもはそれぞれ「1/4」の持分を持つことになります。さらに孫の代に受け継がれると「1/8」「1/16」と細分化し、共有者の人数はどんどん増えていくのです。

共有者が増えれば増えるほど意見が対立しやすくなり、不動産を売却するかどうか、修繕費をどう負担するかといった管理に関する話し合いが難航しやすくなります。

結果として、不動産が放置されたり、有効に活用できなくなったりするリスクが高まります。

このような事態を避けるには、相続の際に不動産を共有名義にしないことが重要です。既に共有名義になっている場合は、早めに売却や持分整理を検討しましょう。

実際に共有不動産で揉めごとが起きた事例!弊社に寄せられた相談事例を紹介

弊社「株式会社クランピーリアルエステート」は、共有名義不動産をはじめとする訳あり不動産の買い取りを専門に行っており、年間3,000件以上のご相談に対応しています。

共有名義不動産は権利関係が複雑になりやすく、相続や離婚などをきっかけに思わぬトラブルへ発展するケースも少なくありません。ここでは、実際に弊社へ寄せられたご相談事例の一部を紹介します。

  • 兄弟で相続した実家の売却をめぐって揉めてしまった事例
  • 老朽化した建物の修繕工事を実施するかどうかで揉めてしまったケース
  • 兄弟のうち一方だけが固定資産税を負担し続けて揉めてしまった事例
  • 近隣に住む共有者だけが日常管理を担い揉めてしまった事例
  • 離婚後に片方だけが家を独占使用して揉めてしまった事例
  • 共有アパートの家賃収入の分配をめぐって揉めてしまった事例
  • 相続を重ねて共有者が16人に増えて合意形成できず揉めてしまった事例

弊社では、共有名義不動産に関する相談・査定を無料で行っており、全国の弁護士や税理士とも連携しています。そのため、法律や税務を含む複雑な問題にも柔軟に対応可能です。さらに、売却後のトラブルについては弊社が窓口となるため、ご依頼主様は安心して共有持分を手放せます。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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兄弟で相続した実家の売却をめぐって揉めてしまった事例

相続で不動産を共有すると、「売りたい人」と「残したい人」の思いが対立しやすく、解決が長引くケースが少なくありません。

父親が亡くなった後に残された実家を、兄弟2人で共有していた事例です。

兄は「老朽化も進んでいるし、売却して現金化して平等に分けたい」と主張しましたが、弟は「思い出が詰まった家だから手放したくない。将来子どもが使うかもしれない」と反対しました。

不動産を売却するには共有者全員の同意が必要なため、話し合いは平行線のままでした。結果、数年間も売却できず、固定資産税や維持費だけがかかり続け、兄弟間の関係も悪化してしまいました。

このような事態を防ぐには、相続の段階で「誰が不動産を引き継ぐか」を決め、できるだけ共有名義にしないことが大切です。不動産の価値が高く、不公平に感じられる場合には、不動産を取得した人が他の相続人に代償金を支払うことで、公平さを保てます。既に共有状態になっている場合でも、共有者同士で持分を売買して名義を1人にまとめれば、対立を避けやすくなります。

老朽化した建物の修繕工事を実施するかどうかで揉めてしまったケース

共有名義不動産では、修繕や維持管理に関する費用負担で意見が分かれることが多くあります。特に相続した古い家では、「修繕して残すべきか」「売却して処分すべきか」で対立しやすい傾向があります。

地方にある木造住宅を兄弟3人で相続した事例です。

築50年を超え、雨漏りや外壁のひび割れが目立つようになり、長男は「このまま放置すると危険だし資産価値も下がる。修繕工事をしよう」と提案しました。

ところが次男は「修繕に数百万円もかけるくらいなら、更地にして売却した方が良い」と反対。三男は「今は資金的に負担できない」と態度を保留しました。結果的に建物は修繕できず、老朽化が進むまま放置されてしまいました。

管理費の負担や不動産の活用法で揉めないためにも、早めに修繕費の分担方法や将来の方針について合意しておくことが大切です。どうしても話し合いがまとまらない場合には、自分の共有持分だけを売却するという方法もあります。共有持分の売却であれば、他の共有者の同意は不要で、不動産を修繕せず現状のまま手放すことが可能です。

弊社では共有持分の買取にも対応しています。これまでの豊富な買取実績と、買取後の不動産活用に関するノウハウを活かし、適切な査定額をご提示できます。まずは、無料相談・無料査定をご利用ください。

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兄弟のうち一方だけが固定資産税を負担し続けて揉めてしまっ事例

共有名義不動産では、毎年かかる固定資産税の負担をめぐって揉めるケースも少なくありません。「使っていないから払いたくない」と考える共有者がいても、法律上は全員に納税義務があり、持分に応じて負担するのが原則とされています。

地方にある土地を兄弟で共有していた事例です。

毎年の固定資産税を長男が代表して支払っていました。しかし弟は「自分は土地を使っていないのだから負担する必要はない」と主張し、長男が請求しても支払いを拒否しました。最終的には滞納が発生し、市から督促状が届く事態に発展してしまいました。

このようなトラブルが起きないように、相続の段階で固定資産税の負担方法を取り決めておくことが大切です。既に共有状態になっている場合は、早めに費用分担のルールを話し合ったり、持分を整理して単独所有にしたりすることで、トラブルを避けやすくなります。土地を残すことにこだわらないのであれば、自分の共有持分だけを売却するのも手です。

共有持分の売却をご検討中の方は、ぜひ弊社へご相談ください。お問い合わせ後、最短12時間で査定金額の提示、最短48時間で現金化が可能です。まずは、無料相談からお気軽にご利用ください。

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近隣に住む共有者だけが日常管理を担い揉めてしまった事例

共有名義不動産では、日常的な管理や維持の負担をめぐってトラブルになることも多くあります。特に空き家の場合、近くに住む共有者ばかりが草刈りや換気などを担い、不公平感が募りやすいのが実情です。

空き家となった実家を兄妹で共有していた事例です。

近隣に住む兄は草刈りや換気、雨漏りチェックといった日常管理を何年も続けていましたが、妹は遠方に住んでいるため全く関与しませんでした。兄が「管理の負担を折半してほしい」と求めたところ、妹からは「頼んでもいないことを勝手にやっただけでしょ」と拒否されてしまいました。

民法上、管理にかかる負担は持分割合に応じて分担するのが原則とされています。合意が難しい場合には、持分を整理して単独所有にする、あるいは共有持分を売却することを検討するのも良いでしょう。

弊社にも「管理費用を一人で負担している」「高齢になってからの管理が不安」といったご相談が数多く寄せられています。共有名義不動産でお悩みの方は、ぜひ無料相談をご利用ください。共有名義不動産を専門に扱ってきた経験とノウハウを活かし、状況に応じた適切なアドバイスや、ご希望に沿った買取のご提案をいたします。

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離婚後に片方だけが家を独占使用して揉めてしまった事例

離婚後に住宅を共有名義のまま残すと、住み続ける人とそうでない人との間でトラブルが起こりやすくなります。家賃相当額や住宅ローンの支払いがその典型です。

離婚により夫婦の共有名義となっていた住宅に、妻だけが住み続けていた事例です。

夫は「自分は使っていないのだから、持分割合に応じた家賃相当分を支払ってほしい」と要求しましたが、妻は「子どもと一緒に暮らしているのに、不合理だ」と拒否しました。話し合いがまとまらず、最終的に調停に持ち込まれることになりました。

不動産の共有状態は対立が生まれやすいため、離婚を機に不動産の扱いを整理しておくことが望ましいです。財産分与の際には、どちらかが不動産を取得して代わりに代償金を支払う方法や、売却して現金で分ける方法などがあります。

共有アパートの家賃収入の分配をめぐって揉めてしまった事例

収益物件を共有している場合、家賃収入の分配はトラブルの火種になりやすいです。特に「管理の負担」と「持分割合」のどちらを優先すべきかで意見が分かれることがあります。

投資目的で親子が共同購入した小規模アパートの事例です。

毎月の家賃収入がありましたが、分配方法をめぐって対立が発生しました。父親は「持分割合は1/2ずつだが、管理は自分がすべて担っているのだから多めに分けるべきだ」と主張しました。一方、息子は「持分は平等なのだから、きっちり半分ずつに分けるべきだ」と反発しました。

最終的には関係が悪化し、父と子がそれぞれ管理会社に家賃の支払いを求めるなど混乱が続き、裁判にまで発展してしまいました。

本来、家賃収入は持分割合に応じて分け合うのが基本です。しかし、管理の負担が一方に偏ると、分配方法をめぐって不満が生じやすくなります。

管理については本来すべての共有者が関わるべきですが、誰がどこまで負担するかという明確なルールがないため、あらかじめ賃料の分配方法や管理の役割分担を話し合い、契約や合意書として残しておくことが大切です。

相続を重ねて共有者が16人に増えて合意形成できず揉めてしまった事例

相続を繰り返すと、共有者がどんどん増えて管理が難しくなるケースがあります。特に誰が共有者でどれだけの持分を持っているのかが不明確になると、税金の通知や日常管理すらままならなくなり、トラブルに発展しやすいのが実情です。

祖父の代から相続を繰り返してきた土地で、孫や甥姪を含め、共有者が16人まで増えてしまった事例です。

相続によって共有者が増え続けたことで、誰が共有者であり、どのくらいの持分を持っているのかすら分からない状況となり、固定資産税の通知も一部の人には届かず、管理すらできない状態でした。

売却を検討しても、共有不動産を処分するには共有者全員の同意が必要とされているため、合意形成は事実上不可能でした。

共有名義不動産は、相続のたびに権利関係が複雑になりやすい不動産です。共有状態を放置せず、できるだけ早めに整理しておくことが重要です。例えば、不動産を売却して現金で分ける方法や、誰か1人が取得して代わりに代償金を支払う方法など、共有者が少ない段階で解決策を講じておくことが、後の大きなトラブルを防ぐポイントです。

共有者同士での協議が難しい場合には、自分の共有持分だけを売却するという選択肢もあります。買取業者であれば、共有持分のみでも買い取ることが可能です。弊社は、共有者が増えてしまった複雑な不動産の取扱い経験も豊富なため、共有名義不動産でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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共有不動産で揉めないための対策

相続や離婚などでやむを得ず、共有名義不動産を所有するケースも少なくありません。その場合でも、あらかじめルールや仕組みを整えておけば、トラブルをある程度防ぐことができます。

  • 共有不動産の利用方法・費用負担・方針などのルールを公正証書に残しておく
  • 定期的に共有者同士の話し合いの場を設ける
  • 管理が難しい場合には管理会社と委託契約を結ぶ
  • 相続が発生したときは速やかに相続登記を行う

ただし、共有名義そのものがトラブルの原因になりやすいため、どんなに工夫をしても揉め事を完全に防ぐことはできません。そのため、相続時にはできるだけ共有を避けること、すでに共有状態にある場合はなるべく早めに解消を検討することが大切です。

共有不動産の利用方法・費用負担・方針などのルールを公正証書に残しておく

共有名義不動産は、活用方法や固定資産税・維持管理費の負担、日常の管理、将来の方向性などについて意見が分かれやすい不動産です。そのため、これらのルールをあらかじめ共有者間で話し合い、決めた内容を「公正証書」にして残しておくことをおすすめします。

公正証書は公証役場で作成できる法的効力のある文書なので、口約束ではなく客観的な証拠として残せます。文書として残すことで、トラブルの抑止力にもなります。

例えば、次のような取り決めを文書化しておくと良いでしょう。

共有者の1人が居住している場合 居住していない共有者に、居住者が家賃相当分を支払うなどのルールを決めておくと、トラブルが起こりにくいです。
不動産を賃貸に出している場合 家賃収入の分配方法をあらかじめ決めておきます。管理業務を1人が担うなら、その労力を考慮して分配割合を調整すると良いでしょう。
固定資産税や維持管理費の負担 基本は持分割合で負担しますが、草刈りや換気など日常管理を特定の人が担っている場合には、その分を考慮して費用分担を調整することをおすすめします。
将来の方針 共有名義を続けるリスクや、相続でさらに共有者が増える可能性について話し合い、最終的には誰か1人に名義をまとめるのか、それとも売却して現金で分けるのかなど、方向性を共有しておきましょう。

共有名義不動産に関する取り決めを公正証書にしておけば、後で「言った・言わない」の争いになるリスクが少なく、不動産を管理しやすくなります。

定期的に共有者同士の話し合いの場を設ける

共有名義不動産を所有している間は、定期的に共有者同士で話し合いの場を設けておくことが大切です。定期的に顔を合わせて意見交換することで、「管理の負担が一人に偏っていないか」「誰かが不満を抱えていないか」といった確認ができ、トラブルの芽を早めに摘むことができます。

また、将来的に共有状態を解消することを視野に入れている場合も、話し合いを重ねておくことで、その時期や方法を見極めやすくなります。

例えば、子どもが独立して共有名義不動産に住む必要がなくなったとき、高齢になって管理に不安が出てきたときなど、ライフスタイルの変化によって処分を検討する共有者が現れることもあります。こうした変化を共有できるのは、定期的な話し合いのメリットです。

さらに、話し合いの内容を簡単に書面に残しておくと、後から「言った・言わない」の食い違いを防げます。

管理が難しい場合には管理会社と委託契約を結ぶ

共有名義不動産を持っていても、共有者の誰も管理を担えないケースは少なくありません。そのような場合は、不動産管理会社や空き家管理専門サービスに委託する方法があります。

これらの会社は、所有者に代わって不動産を維持管理してくれます。会社によって対応範囲は異なりますが、代表的な業務は次のとおりです。

  • 換気や通水、雨漏りや劣化のチェックといった建物の維持管理
  • 草刈り、除雪、清掃など敷地の管理
  • 郵便物の確認や鍵の管理などの防犯対策
  • 固定資産税や書類関連のサポート
  • 将来の活用や売却についての相談

不動産管理会社の手数料は家賃の5~10%が目安とされ、多くは「賃貸募集や入居者対応」を前提としています。そのため、空き家や共有名義不動産の管理を依頼する際には、該当する実績があるか確認すると安心です。

一方、近年は空き家管理に特化したサービスも増えています。費用の目安は、月1回の点検・報告で8,000~9,000円程度です。外観やポスト確認など簡易的な内容なら月3,000~5,000円ほどで依頼できるケースもあります。草刈りや雪下ろしといった追加作業を頼む場合は、数千円から数万円の費用が別途かかります。

共有者の1人に負担が偏ったり、誰も対応せず老朽化が進んでしまうのを防ぐためにも、管理会社や空き家管理サービスの利用は有効な選択肢といえるでしょう。

相続が発生したときは速やかに相続登記を行う

不動産を相続したら、複数人であっても単独であっても、できるだけ早く相続登記を行うことが重要です。

相続登記をしないまま放置すると、名義が故人のままになり、法的に所有権を主張できなくなります。その状態でさらに次の相続が発生すると、共有者や持分が分からなくなり、権利関係が一層複雑になってトラブルの原因となります。

なお、2024年4月1日より相続登記は義務化され、不動産を取得した相続人は、その事実を知った日から3年以内に登記申請をする必要があります。施行日前に発生した相続についても適用されるため、過去の未登記不動産も対象です。

また、相続人の調査に時間がかかっている場合や、遺産分割協議がまとまっていない場合などの正当な理由ないにもかかわらず、登記を怠った場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。

スムーズに登記を行うためには、戸籍謄本や遺産分割協議書などの必要書類を早めに揃え、司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。相続登記を後回しにせず、できるだけ早く済ませておくことが、将来のトラブル防止につながります。

揉め事を回避したい場合は共有名義を解消することも得策

共有名義不動産は、所有者が複数いるため活用や売却には合意が必要で、どうしても揉め事が起きやすくなります。そのため、既に共有状態にある場合は、なるべく早めに解消しておくことが望ましいです。

共有名義を解消する方法には、次のようなものがあります。

共有名義の解消方法 概要 向いているケース
共有持分を第三者に売却する 自分の持分のみを共有者以外の第三者(不動産買取業者)に売却する方法。
売却相場は「不動産全体の価格 × 持分割合 × 1/3~1/2」が目安。
・他の共有者と関わることなく、共有名義を解消したい場合
・価格が割安になっても、共有持分をすばやく売却したい場合
共有者間で共有持分を売却する 他の共有者に自分の共有持分を売却する方法。
売却相場は「不動産全体の価格×持分割合」が目安。
・共有者との関係が良く、話し合いができる場合
・共有者に共有持分を買い取るだけの資金力がある場合
共有者全員で共有不動産を売却する 共有者全員の同意を得て共有不動産を売却する方法。
基本的に売却益は持分割合に応じて分配する。
・共有者全員が不動産の売却に同意している場合
・共有名義不動産に誰も住んでいない場合
・近隣相場に近い価格で売却したい場合
共有不動産を分筆する(土地の場合) 1つの土地を複数に分けて、それぞれの単独名義にする方法。 ・共有持分の過半数が土地の分筆に同意している場合
・土地が広く、分筆しても利用できる余地がある場合
・正方形や長方形など、分筆しやすい形状の土地の場合
共有持分を放棄する 自分の持分を放棄して他の共有者に帰属させる方法。 ・持分の現金化にこだわらない場合
・他の共有者が持分放棄の登記に協力してくれる場合
共有物分割請求訴訟を起こす 裁判の判決によって土地を分割し、共有名義を解消する方法。 ・他の共有者との協議が難しい場合
・強制的にでも共有名義を解消したい場合
・裁判費用や時間がかかっても構わない場合

上記の方法のなかで、自分の意思だけで進められるのは「第三者への共有持分の売却」です。共有持分については、自分に所有権があるため、売却時に他の共有者の同意は不要です。

ただし、個人への売却は現実的に難しいため、売却先は不動産買取業者となります。買取業者であれば直接不動産を買い取るため、買主探しの手間がなく、スピーディーに現金化できます。

反面、売却相場は「不動産全体の価格 × 持分割合 × 1/3~1/2」と低めになる傾向があります。そのため、他の共有者に売却できない場合や、早く共有名義を解消したい場合に向いています。

弊社「株式会社クランピーリアルエステート」でも、共有持分の買取を積極的に行っています。共有持分のような訳あり不動産を専門に取り扱ってきた実績から、過去の取引データや法的リスク、他の共有者との関係性、将来的な活用の可能性まで総合的に判断し、適正な査定額をご提示いたします。ご依頼主様に納得いただいたうえで、安心して売却いただけます。

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まとめ

共有名義不動産は、他の共有者との合意がなければ売却や賃貸といった活用ができません。また、固定資産税や維持管理費の負担、誰か1人による独占使用などをめぐって、トラブルが起こりやすい不動産です。

そのため、相続の際にはできるだけ共有状態を避けることが望ましいです。やむを得ず共有名義となった場合や、既に共有状態が続いている場合には、共有者同士で利用方法や費用負担のルールを話し合いましょう。

とはいえ、共有状態がトラブルの火種となる可能性はゼロではないため、将来的には共有状態そのものを解消することをおすすめします。

よくある質問

相続時に共有名義を避ける方法はありますか?

相続で不動産を複数人の共有名義にしてしまうと、売却や管理のたびに全員の同意が必要となり、トラブルの原因になりやすいです。できるだけ最初から共有を避けるのが賢明です。

代表的な方法は次のとおりです。

・遺産分割協議で話し合う
相続人全員で話し合い、不動産を誰か1人が相続する、または売却して現金を分ける方法です。現金化して分ければ公平になりやすく、揉め事を防げます。

・代償分割を利用する
不動産を1人が相続し、その人が他の相続人に現金(代償金)を支払う方法です。相続人全員が不動産を共有する必要がなくなります。

・相続放棄をする
不動産を含むすべての財産を相続しない選択です。相続放棄をすると不動産の共有者にならずに済みますが、預貯金などプラスの財産も一切受け取れないので注意が必要です。

・遺言書を作成してもらう
被相続人(親など)が生前に遺言書を残しておけば、その内容に従って特定の人に不動産を相続させられます。特に公正証書遺言なら法的効力が確実です。

・家族信託を活用する
生前に信託契約を結び、不動産の管理や継承先をあらかじめ決めておく方法です。将来の共有や相続トラブルを防ぐ仕組みとして活用が広がっています。

・親が生前に売却する
相続発生前に不動産を売却し、現金にしておく方法です。現金なら分けやすく、相続後の揉め事を防ぎやすいです。

これらの方法を検討し、共有名義にならないよう事前に準備しておくことが、将来のトラブル回避につながります。

共有名義不動産には、どのような使用方法がありますか?

共有名義不動産は、各共有者が自分の持分(所有割合)に応じて使う権利があります。ただし、実際には物理的に分けて使うのは難しいため、主に次のような使い方が考えられます。

1. 単独で使用する
共有者の1人が建物全体を使うことも可能です。ただし、自分の持分を超えて使っている分については、他の共有者に「使用料」を支払う必要があります。共有者の居住後に、強引に追い出すことは法律上難しいため、あらかじめ協議して、使用料などについて合意を残しておくことが大切です。

2. 賃貸に出す
誰も住まない場合は第三者に貸し出し、家賃収入を得ることができます。収入や経費は基本的に持分割合で分けます。ただし、貸し出すには共有者の同意が必要で、短期契約なら「持分の過半数」、長期契約なら「全員の同意」が必要です(建物は3年以内/土地は5年以内が過半数の目安)。(民法252条)

3. 無償で貸す(使用貸借)
親族や友人などに無料で貸すことも可能です。ただし、短期契約なら「持分の過半数」、長期契約なら「全員の同意」が必要です(建物は3年以内/土地は5年以内が過半数の目安)。賃貸契約と異なり、借りた人が亡くなれば契約は終了し、相続人に引き継がれることはありません。

いずれの方法も共有者間の協議と合意形成が必要です。また、後々のトラブルを避けるためには、使用方法や分配ルールを事前に話し合って書面に残しておくことをおすすめします。

共有名義不動産で揉め事が起きやすいのはどんなケースですか?

共有名義不動産は、複数人が権利を持つため合意形成が難しく、特に次のようなケースで揉め事に発展しやすいです。

・離婚する場合
夫婦で共有名義にしていた住宅は、離婚後も固定資産税や住宅ローンの返済、売却などで関わりが続くためトラブルになりやすいです。離婚時の共有名義不動産については、財産分与で折半するか、代償金を支払ってどちらかが単独名義にする、あるいは売却して現金化するといった選択肢があります。

・共有者と連絡が取れない場合
遠方に住んでいる、所在不明、関係が疎遠といった理由で連絡が取れないと、税金や管理費の請求、売却の同意が得られず話が進みません。最終的には共有物分割請求訴訟や持分売却で解消を図ることになります。

・共有者が認知症になった場合
共有者が認知症になり、判断能力がなくなると同意や契約などの法律行為が無効となり、売却や賃貸の手続きが進められません。成年後見人を家庭裁判所に申し立てて選任し、代理で手続きをしてもらう必要があります。

・共有者が行方不明の場合
従来は不在者財産管理人を選任するしかありませんでしたが、2023年の民法改正で「所在等不明共有者の持分取得制度」「持分譲渡権限付与制度」が設けられ、裁判所を通じて処分が可能になりました。ただし手続きや費用の負担は大きいので、専門家への相談が欠かせません。

・収益物件を共有している場合
家賃の分配や経費の負担、入居者対応などで揉めやすいです。収益を独り占めされた場合は、不当利得返還請求や損害賠償請求が可能ですが、関係がこじれると解決は難航します。早期に話し合い、難しければ持分売却で整理するのが現実的です。

共有不名義動産はさまざまな場面でトラブルの火種となりやすい不動産です。共通するのは「共有者全員の合意が必要」という点であり、話し合いができない状況では前に進みにくくなります。将来的に揉め事を避けたいなら、共有状態を長く放置せず、早めに整理しておくことが重要です。

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